第50回金融トラブル連絡調整協議会 議事録

1.日時:

平成27年12月4日(金曜日)14時00分~16時10分

2.場所:

中央合同庁舎第7号館13階 共用第1特別会議室

○山本座長

それでは、定刻になりましたので、ただいまから第50回金融トラブル連絡調整協議会を開催いたします。本日はご多忙のところをお集まりいただきまして、ありがとうございます。

まず、事務局から人事異動等に伴う委員の交代のご紹介をお願いいたします。

○菅井室長

今回、委員の交代が4名ございました。

まず、消費者行政機関等といたしまして、消費者庁消費者教育・地方協力課長の岡田様。なお、本日は尾﨑様が代理で出席されておられます。

それから、日本司法支援センター第一事業部情報提供課長の菅沼様。本日は山口様が代理で出席されております。

次に、金融当局といたしまして、国土交通省土地・建設産業局不動産市場整備課不動産投資市場整備室長の松家様。

最後に、金融庁でございますが、監督局総務課長の伊野でございます。

委員の交代は以上でございます。なお、委員の交代はございませんが、日本消費生活アドバイザー・コンサルタント・相談員協会におかれましては、本日、大塚様が唯根委員の代理で出席されておられます。

人事異動等に伴う委員のご紹介は以上でございます。

○山本座長

ありがとうございました。

それでは、議事に入りたいと思いますが、本日はまず、平成27年度上半期における各指定紛争解決機関の業務実施状況につきまして事務局から説明を受けたいと思います。それに引き続きまして、本日のメーンテーマであります、利用者からの信頼を向上させるための対応につきまして、各指定紛争解決機関からご報告をいただきたいと思います。これらのご説明、ご報告が一通り終わった後、意見交換を行いたいと思っております。そして、最後に恒例でありますけれども、金融サービス利用者相談室における相談等の受付状況、それから金融ADR連絡協議会の概要の報告をお願いしたいと思っております。

それでは、最初のテーマであります、平成27年度上半期の各指定紛争解決機関の業務実施状況につきまして事務局からご説明をお願いいたします。

○菅井室長

それでは、平成27年度上半期の指定紛争解決機関の業務実施状況についてご説明をいたします。資料1-1、1-2、1-3でございます。このうち、まずホチキスどめをいたしました資料1-3をご覧いただきたいと思います。なお、この資料の計数でございますが、各機関で算出した速報値でございます。

まず、苦情処理手続の状況でございます。この資料1-3の1ページ目をお開きください。苦情処理手続の受付件数、これがグラフになっております。このグラフの一番右が、27年度上半期の実績でございまして、8機関合計で4,244件となっております。為替デリバティブに関する申立て件数の減少に伴いまして、23年度下半期をピークに減少傾向が続いておりましたが、26年度下半期、27年度上半期と増加しておりまして、特に27年度上半期の増加が大きくなっております。これは損保協会、生保協会での増加が主たる要因となっております。損保協会、生保協会に対して苦情として寄せられるものの件数自体に大きな変化は見られないと聞いておりますが、それらのうちで解決の申立てを受け、保険会社に連絡し、処理を求めたもの、すなわち苦情処理手続に移行したケースが増加していると聞いております。また、FINMAC、証券・金融商品あっせん相談センターについても増加しておりますが、同様に苦情として寄せられたもののうち、苦情処理手続に移行したケースが増加したと聞いております。一方、全銀協については減少しておりますが、これは為替デリバティブに関する件数の減少のほか、預金、貸出金等に関する苦情も減少しているとのことでございます。

次の2ページでございますが、これは苦情処理手続における結果の比較でございます。左側が前年同期の26年度上半期の状況ですが、この26年度上半期を含めまして、これまではおおむね7割が解決ということで推移してきております。今回の27年度上半期は、先ほどご説明しましたように、苦情処理手続の受付件数が増加し、そのため苦情処理が終結した件数も増加しております。こうした中で、解決割合につきましては77%ということで若干上昇しているという状況にございます。

次の3ページをお願いいたします。3ページは苦情処理手続の終結に要した期間の比較でございます。左側が26年度上半期の状況ですが、この26年度上半期を含めまして、これまで3カ月未満で終結したものが、おおむね全体の7割ということで推移してきております。今回、苦情処理手続の件数が増加しております中で、3カ月未満での終結割合は合計で74%ということで、これも若干上昇しているという状況にございます。

次に、紛争解決手続の状況でございます。4ページをお願いいたします。4ページは、紛争解決手続の受付件数を示しております。紛争解決手続につきましても、為替デリバティブに関する申立て件数の減少に伴いまして、23年度下半期をピークに減少してまいりました。今回の27年度上半期は8機関合計で紛争申立てが533件となっており、直前の26年度下半期と比較しますと8%増加しております。機関別で見ますと、生保協会と損保協会での増加が主な要因となっております。これは、苦情処理手続の件数が増加したことに伴って、苦情から紛争に移行するものが増加したことによるものと聞いております。なお、苦情処理手続の段階で解決するものも多いことなどから、紛争解決手続については苦情処理手続ほどの増加にはなっていないとのことでございます。一方、全銀協が減少しておりますが、これは主に為替デリバティブに関する件数の減少によるというふうに聞いております。

また、FINMACについても減少しております。先ほどご説明したように、FINMACの苦情処理手続の受付件数のほうは増加しております。しかしながら、苦情処理手続の段階で解決するものが多かったことや、8月以降に受け付けた苦情を中心として9月末の段階で、まだ苦情処理手続の途中であったものが多かったことなどから、上半期だけを見ますと、紛争解決手続の受付は減少となったというふうに聞いております。

次の5ページでございます。紛争解決手続における結果の比較ですが、右側の27年度上半期、8機関合計で和解成立の割合が40%となっておりまして、左側の26年度上半期の35%と比較しますと、5%ポイントの上昇となっております。

次の6ページをお願いいたします。6ページは、紛争解決の終結に要した期間の比較でございます。右側の27年度上半期では、全体として合計で71%の案件が6カ月未満で終結しております。左側の前年同期の26年度上半期では、合計で77%ですので、6カ月未満での終結割合は若干ですが低下しているということでございます。

次の7ページをお願いいたします。7ページは、各指定紛争解決機関別の和解状況を示しております。先ほどご説明したとおり、27年度上半期では8機関合計で和解割合が40%となっておりますが、これを機関別に示したものでございます。

資料1-3の説明は以上でございます。

なお、資料1-1、1-2、それぞれ1枚紙を用意いたしましたが、これにつきましてはただいまご説明したこと等につきまして、機関別に示したものでございます。時間の都合上、説明は省略させていただきます。

また、資料全体の一番最後に大きなA3の横長の1枚紙の資料7がございます。これは業界団体における相談、苦情、紛争の件数として、平成15年度から26年度までの推移を取りまとめたものでございますので、参考までにご覧いただければと思います。

私からの説明は以上でございます。

○山本座長

ありがとうございました。

今のご説明につきまして、ご質問、ご意見等あろうかと思いますけれども、それにつきましてはこの後の時間、次の議題とまとめて質疑の時間を取りたいと思いますので、とりあえず議事としては次に進ませていただきまして、本日のメーンテーマであります、利用者からの信頼を向上させるための対応につきまして、まず、各指定紛争解決機関別からご報告をお願いしたいと思います。資料につきましては、各機関に作成いただきました資料3及び4、それから、それを取りまとめました資料2に基づきまして、紛争解決手続の運営、利用者アンケート、外部有識者による検証・評価、それぞれについて現状と今後の対応についてご報告をいただきたいと思います。なお、大変恐縮ではありますが、この後、質疑の時間を十分取りたいと思いますので、時間の関係上、各機関5分以内、時間厳守ということで、まことに恐縮ですけれども、よろしくお願いしたいと思います。

それでは、まず、全国銀行協会の阿部委員からお願いいたします。

○阿部(耕)委員

全銀協でございます。では、5分厳守ということでご説明いたします。

資料2と資料3に基づいてご説明を申し上げますが、まず最初の資料3のほうの1ページをご覧いただきたいと思います。最初に、先ほどのお話にありましたとおり、27年度上期の全銀協での終結件数、これは紛争解決の運営状況の件数は86件ございまして、このうち、左のほうにあります、答弁書における申立てには一切応じられないと表記されているもの、これが81件。記載がありますけれども、形式的な答弁書としては大体そういったものの記載が多いというものであります。その下の、一定の譲歩の姿勢を示したもの、これが5件あるわけでございますけれども、これは、例えば、負担割合まで記載していないまでも、一定割合については譲歩する余地があると。積極的な記載が示されている。これが5件ありまして、こうしたものは銀行において一定の問題点を自認しているケースが多いものでありまして、これは答弁書の記載ぶりの整理でございます。

そして、両方のケースで和解を提示したものは、それぞれ合計で47件ということで、先ほどのご説明のとおり、成立の割合は45%というふうになっておりまして、大体5割に近い割合を維持しているということであります。

左から2番目の上のほうの真ん中、双方に歩み寄りの可能性・条件を紹介した。これは15件ございますけれども、整理といたしましては、和解案の提示を行わなかったというものでございます。この内訳といたしましては、相手方銀行の販売時におきます問題点が見出せないというものが9件、あるいは経済的な損害がないにもかかわらず逸失利益を求めると、あるいは訴訟案件になっていると、こういったものが6件というふうになっております。

それでは、資料2のほうに目を通していただきたいと思います。A3のほうですね。資料2のほうで、不受理ということで全体の22件ということで、上から5番目の枠外に1行書いてあるわけでございます。この不受理が22件ということで、前年度上期と平成27年度上期を比較すると、終結件数に占める不受理の割合が約10%増えているのですけれども、これは数字だけ見ますと非常に高く見えますが、先ほどもご説明のとおり、そもそも受理率の高いデリバティブ事案が26年度上期にかなり激減していると。その占める割合が低くなったことによる要因が大きいと考えております。あっせん委員会では個々の事案を慎重に判断した上での結果でございますので、この数字自体が特に大きく問題があるとは考えてはいないところであります。

じゃあ、具体的に、この不受理の22件の中身でございますけれども、これは資料3の3ページに詳しく書いてあるのですが、この左のほうにあります、事実確認が困難な10件とあります。これは、例えば、30年以上前に預け入れた定期預金証書による払い戻し請求ですとか、あるいは、現金の過不足を争点とするものが多いものであります。そして、経営方針等に関するものが8件ございますが、例えば、投資信託商品が銀行としての受け入れ許容限度を超えたということで、セット商品の定期預金の預け入れができないというようなもの、こういったものが8件と多勢を占めているわけであります。

資料2に戻っていただきまして、今後の対応というところでございまして、この不受理の件につきましては、運営懇におきましてもご指摘もあったことでございますので、このあっせん委員会の分科会、これはあっせん委員の意見交換の場でございますが、ここで過去の不受理事案などを検証し、改めまして先例や商品・サービスの種類、トラブルの類型にとらわれることなく、個々の案件ごとの争点、論点を的確に把握して紛争解決手続により解決を図る可能性があれば受理するということを改めて確認をし、委員間で認識を共有しているわけであります。また、本年6月の山本先生を座長といたしますあっせん委員会の運営懇談会におきましても、外部有識者委員からこの不受理について顧客の納得性の観点から申立てがあった案件については全て受理して、あっせん委員会で直接事情聴取をしたほうが納得感が得られやすいのではないかというご意見がある一方、いや、顧客からは過度な事情聴取への期待ですとか無用な負担を避けるためにも、一定のスクリーニング機能として不受理とすることは必要という考え方が両論示されておりまして、この点につきまして不受理のあり方について、12月下旬に運営懇談会を開催して検討する予定としております。

そして、資料の真ん中の利用者アンケートの実施状況、ここは上のほうに書いてございますとおり、まず回収率のほうは記載のとおりの回収率でございまして、回収率の向上策につきましても、不受理の検討のあり方を踏まえまして運営懇で検討する予定でございます。

以下、中立性・公正性に関するアンケート項目につきましても、資料のとおりの手続の納得性に関する項目を追加しておりまして、今後、こうしたアンケート結果等を報告いたしまして、原則として利用者の具体的な意見を公表していくということにしております。

最後に、一番下の外部有識者による検証・評価の箇所でございますが、真ん中の、今後の報告というところにございますとおり、相談事例別の件数・構成割合につきまして、全銀協の場合には申出人が拒否をしない限り、大部分におきまして助言やアドバイスを行っているところでございますけれども、その件数等を報告することとしております。

私からは以上でございます。

○山本座長

ありがとうございました。

続きまして、信託協会の岡本委員、よろしくお願いいたします。

○岡本委員

私のほうから資料2に基づいてご説明いたします。まず、紛争解決手続の運営ですけれども、当協会は手続件数が少ないため、ADR業務開始から平成27年上期までの件数となっております。終結件数は8件で、そのうち不受理が2件、打ち切りが1件ございます。通常の紛争解決手続を実施し、紛争解決委員の考え方、見解を示し、和解を促したもの、これは5件ございますが、全件和解が成立しております。また、打ち切り案件も、こちらは面談の場で申出人が当初の申し出を取り下げ、新たな提案を行い、それを相手方金融機関が受け入れたというもので、解決に近い内容となっております。また、この資料では和解率が63%となっておりますが、実質的には和解率は100%と理解しております。

次に、利用者アンケートの実施状況でございますが、申出人、相手方金融機関ともに、アンケートの回収率は100%となっております。アンケートでは、紛争解決手続の利便性等の向上を目的に実施しておりますが、今年度より信託相談所、あっせん委員会に関する中立性・公正性をより明確に問うため、満足感及び不満足を感じた理由、信頼のおける対応及び信頼をおけないと感じた理由、これをアンケートの項目に追加しております。今後は、アンケート結果等について検証し、外部有識者のご意見を伺った上で改善を図っていきたいと考えております。また、現在、アンケートの回収数が4件と少ないため、結果等の公表は行っておりませんが、これから利用したいと考えていらっしゃる方の重要な情報になるとも考えられますので、外部有識者の意見を伺いながら公表する方向で検討していきたいと考えております。

最後に、外部有識者による検証・評価ですが、現状では相談・照会、苦情の受付件数、また、その特徴等のほか、苦情事案の全件の概要と、苦情が終結するまでのフォローアップした内容を報告しております。今後は相談、苦情の内容をより分かりやすく整理した形で報告したいと考えており、検証・評価の内容、改善策につきましても、また外部有識者のご意見を伺いながら公表する方向で検討したいと考えております。

以上でございます。

○山本座長

ありがとうございました。

続きまして、生命保険協会の酒巻委員、よろしくお願いいたします。

○酒巻委員

初めに、紛争解決手続の運営状況についてでございますけれども、資料3の7ページをご覧いただきたいと思います。まず、本題に入ります前に、紛争解決手続の前提となります苦情処理手続の受付状況について少し補足をさせていただきますと、第48回の金トラ協の場でご説明申し上げましたとおり、昨年の12月から、申出人からの個別事情の丁寧な聴取や、主張あるいは意向の十分な把握に取り組み、苦情処理手続の案内の徹底を図ってきておりまして、冒頭ご説明がございましたように、27年度上半期では苦情処理手続件数が増加しておりまして、これに伴いまして苦情から紛争に移行する件数も増加をしております。まず前提としてご説明させていただきました。

紛争解決手続でございますけれども、上期の終了事案は109件でございまして、申立書に対する金融機関の答弁では、請求に応じられないとするものが100件、一定の譲歩の姿勢が示されたものが9件ございました。請求に応じられないとされた100件につきましては、34件で和解案を提示しておりますけれども、これは全て紛争解決委員が保険会社側の不適切な対応等を指摘して、特別調停案により和解案を提示したものでございます。

なお、本年の7月以降は、前回会議の場で、紛争解決手続にかかる改善対応としてご報告いたしましたとおり、積極的に事情聴取、面談を実施していることによりまして、より柔軟な解決の糸口となる個別事情や、事案の内容に応じまして受け入れ可能な和解内容等の把握に努め、それらを反映、考慮した積極的な和解提案を行うようにしてございます。その結果、和解割合につきましては、27年度上半期につきましては若干増加しておりまして、26年度の24%から7%増加して31%という状況でございます。

一方、和解案を提示しなかった、その他の66件の内訳でございますけれども、申立て不受理が6件、和解の見込みなしが52件、打ち切りが7件、一方の離脱、すなわち申立人による申立ての取り下げが1件となっております。不受理といたしました事案につきましては、資料3の9ページのほうに記載してございますけれども、保険契約の引き受けの判断に関するものなど、請求内容が会社の経営方針に関する事項だったものなどでございますけれども、当会では申立て内容に基づき、苦情段階での申立人の主張や会社の交渉状況等も確認しながら、適格性の審査を行いまして、適宜、申出人に対しましては内容の補足等を促す等によりまして、できる限り申立てを受理するように努めているところでございます。

次に、和解の見込みなしとした事案でございますけれども、先ほど申し上げました業務改善実施後の事案につきましては、当事者から提出された書面、あるいは事情聴取の実施、追加書面の徴求、申立人の担当医や第三者である専門医への照会等の手続を実施しておりまして、それによっても解決の糸口となる個別事情、保険会社側の不適切な対応等が認められず、和解による解決を相当とする事情がなかったというものでございますけれども、この中には、業務改善実施前の事案も含まれておりますので、補足させていただきます。

次に、打ち切りとした事案でございますけれども、例えば、申立て内容が当方で事情を確認できない第三者の行為を原因としておりまして、かつ、20年以上も前の出来事で、事実関係を確認することが著しく困難なものなどがこれに当たります。ただ、そうは申しましても、当会では厳密な事実認定等ができなくとも、できる限り委員がADRとして判断をして柔軟な解決が図れるように努めているというところでございます。一方、申立書に対する答弁で一定の譲歩の姿勢が示された9件につきましては、保険会社側の譲歩の姿勢を踏まえまして、それをもとに紛争解決委員が特別調停として和解提案をしたものが4件。一方、保険会社の譲歩の内容が申立人の請求内容を認容したものであったために、紛争解決委員において妥当性を判断した上で和解提案したものが5件となっております。

紛争解決手続の運営状況は以上でございますけれども、今後の対応といたしまして、資料4の10ページのほうに記載をしておりますとおり、7月以降実施している業務改善策を確実に実施していくとともに、そのような取り組みを利用者に理解いただけるように当会ADRの和解提案に向けた考え方をホームページ等で公表してまいりたいと考えてございます。

次に、事後的な検証・評価についてでございますけれども、こちらは資料4の10ページをご覧いただきたいと思います。まず、利用者アンケートの実施状況についてでございますけれども、当会では現在、不調事案を含む利用者アンケートを実施しておりまして、アンケート項目には手続に関する納得感、指定機関に関する信頼性など、手続の中立性、公正性、実効性を問う項目も含まれております。回収率につきまして、直近27年度上半期実施分では、63.6%となっています。また、アンケートの回収率、主な項目についての回答状況につきましては、アンケート結果を踏まえ、実施した業務改善の内容とともにホームページ等で公表してございます。今後は、アンケート回収率のさらなる向上策について検討するとともに、これまで公表していなかった項目を含め、各項目の回答結果及びそれを踏まえた改善策について引き続き公表を図ってまいりたいと考えてございます。

次に、外部有識者による検証・評価の実施状況についてでございますけれども、こちらは資料4の13ページをご覧いただきたいと思います。外部有識者による検証・評価につきましては、直近の9月に開催をいたしました裁定諮問委員会で実施をしております。その際に検証いただくために報告した項目といたしましては、相談等を受け付けた場合の対応に関するもの、それから資料の15ページのほうになりますけれども、苦情処理手続に関するもの、また、資料16ページのほうに記載しております紛争解決手続に関するものでございます。そのような報告に対しまして、外部有識者のほうからは、こちらは資料の14ページに記載してございますけれども、苦情処理手続にかかる業務改善の実施状況が理解できたというようなコメント、また、17ページのほうに記載しておりますけれども、紛争解決手続にかかる業務改善の実施を評価するとのご意見、一方で、消費者のモラルハザードにつながることがないよう留意することも必要であるなどのご意見をいただきました。今後は、49回金トラ協の場でご報告した業務改善策の実施状況に加えまして、資料の13ページにも記載してございますけれども、相談内容を類型化して詳細に取りまとめた資料、また、苦情処理手続に移行しなかった事由の内訳など、また、資料の15ページに記載しておりますとおり、苦情処理手続において交渉能力の格差等の是正のために、苦情申出人に対してどのようなサポートを行ったか、また、保険会社にどのような働きかけを行ったかといったことについても報告を行い、検証をいただくことといたします。

また、資料の最後、17ページになりますが、検証・評価の内容及び結果、検証評価の結果を踏まえて実施した改善策について引き続き公表をしてまいります。

私からは以上でございます。

○山本座長

ありがとうございました。

続きまして、日本損害保険協会の森委員、よろしくお願いいたします。

○森(栄)委員

森でございます。

資料の2をご覧ください。資料2の表面のほうです。日本損害保険協会、4番目に書かれていますが、資料3と資料4をサマリーにしたものでございます。終結件数は上半期216件、解決委員の考え方を示したものは50件、和解案を提示したものが110件、51%、和解したものが87件、40%となっております。補足説明にありますとおり、相談者からの相談に対して丁寧な聴取を行う、また、その意向に沿った対応を心がけ、苦情処理手続に移行するというようなことを徹底してやってまいりました結果、苦情処理手続の件数が増加をしております。また、その増加に伴いまして、紛争解決に移行した数も増加しているということでございまして、苦情処理手続の増加というものが生保さんと同じようにございます。苦情処理手続に行かないものの分析とかということも引き続きやっていきたいと思っております。

それから、補足説明の2つ目のところにありますとおり、当初、双方の主張が対立したケースのうち、損保会社側の譲歩により和解を提示したものが約4分の1あったということでございます。それから、当事者間の主張の隔たりが大きいということで打ち切ったものですが、面談、事情聴取、今、増加ということでやっておりますけれども、まだ十分でないという面もありまして、打ち切りとなった件数が97あったということでございます。

それから、今後の対応としましては、49回のこの協議会で報告をしました改善策を着実に実施していくということです。これは資料の4にも書いてありますが、この資料2の今後の対応の部分に3つほど面談の増加、紛争解決手続の終了時の対応、事実認定の困難な事案の和解に向けた努力というようなことが書いてありますが、これらを着実に実施していくということでございます。

ここにつきましては、資料3、11ページに損保協会の部分がございます。今、申し上げた数字の詳細につきましては、11ページに載ってございますので、ご覧いただければと思います。

それから、12ページ以降は、その事例について幾つか載せておりまして、12ページは和解を示して促しているということで、和解の成立した案件であります。細かくご説明すると時間がありませんので、ご覧いただきたいと思います。13ページ以降は和解を提示することなく終結をしたという事例で、事例の1、2、3、4ということが14ページにかけて載ってございますので、ご覧いただければと思います。

続きまして、資料2に戻っていただきまして、利用者アンケートの実施状況でございます。回収率は33%、3分の1でございまして、やはり不調案件が22%ということで、不調の案件の回収率が低いということになってございます。中立・公正性に関するアンケートにつきましては、従来より中立・公正な対応をやっておりますか、また、それに関する意見がございましたらくださいというような項目を挙げています。その結果、やはり不調になった事案については、利用者アンケートの項目の3つ目の欄に書いてありますが、不調になった案件については、やはり中立・公正性が疑わしいというようなアンケートの結果が出ています。いずれにしましても、そのアンケート結果や意見については自らも検証しますし、外部有識者の会議にかけて検証を行って、対応をしていきたいと思ってございます。

それから、回収率の状況や今後の対応でございますが、回収率の状況や回答の結果の公表ということに努めていきたいということを書かせていただいております。

次に、一番最後の外部有識者のところでございますが、現状の報告事項はここに書いてあるとおりでございますけれども、今後の対応として相談の内容を類型化する。これは生保さんのほうでもありましたが、こういったものを整理して、また、苦情処理にしなかったものの理由等も整理して報告をするということにしたいと思っております。それから、49回のこの協議会の場で報告した改善対応の実施状況等も報告をしていくということにしたいと。公表については、今後も引き続き公表に努めていくということで、今までは機関誌とかそういったものに一部公表していましたが、媒体も増やして公表していく方向で考えていきたいと思っております。

ここまでの説明は以上なのですが、1点だけ追加でご報告をしたいのですけれども、前回、高橋先生のほうから乗合代理店の苦情について、特に比較推奨の件について、生保さんのほうはご説明があったのですが、私どもはその場では数も少ないとかということでしたが、対応につきましては生保さんと同じように、そういった問題があれば当然、適切に対応していきたいと思っていますが、その後、他の機関さんだとかうちの状況も調べまして、乗合代理店からの苦情があるというのは当然あるのですが、それは比較推奨とかでなくて、単独の代理店さんでも同じような苦情があるというものがあるということでしたので、比較推奨ということで言えば、やはり数はそんなに多くなかったのですが、もし、当然ながらあれば、生保さんと同じように、代理店を対象にはできませんが、当該保険会社を当事者として、また、意見聴取に代理店を呼ぶということも今までもやっていますし、こういったケースがあれば、当然、代理店もあわせて呼んで事情を聴取するというようなこともあるかと思います。その結果、不適切であるということになれば、和解金の支払いだとかそういったことも含めて適切に対応していきたいと思います。

いずれにしましても、保険業法が改正になって、今後、情報提供義務だとか意向の把握義務だとかいうことを徹底してやっていかないと、来年5月に参りますので、そもそも今までも少ないのですが、苦情が来ないように体制を整えていくことが必要だと思っていますので、いずれにしても先生のおっしゃるとおり適切な対応に努めていきたいと思っております。

損保協会からは以上です。

○山本座長

ありがとうございました。

それでは、続きまして保険オンブズマン、瀧下委員、お願いします。

○瀧下委員

まず、当機関の信頼にかかわることということで、私、信頼されていないというふうには思っておりませんで、むしろ過剰な期待をいただくことが多くて困っております。苦情を受けるのですけれども、当機関に苦情を言えば、「それは大変ですね。保険会社に言ってあげましょう」と言ってくれるようなつもりで電話をかけてくる方が大変に多い。中には「おまえがしっかり監督しないからだ」というようなことでおっしゃられる方もいて、そういう場合には、うちは監督するんじゃありません。監督するのは金融庁ですよということでご説明しているわけですけれども、そういうことで、ちょくちょく時間を取られているというのがあります。

当機関の信頼にかかわることで日常私どもが見聞きしているものですと、確かに、申立人の中には「おまえら、事業者寄りなんだろう。保険会社の肩を持つんだろう」とおっしゃる方は確かにいらっしゃいます。その場合には相談員が「法律の規定に基づいて金融庁長官の監督を受けてやっています。調停委員は私どもの構成員ではなくて第三者の弁護士とか消費生活相談員の方ですよ」ということでご説明してご納得いただいていると思います。それならやめておこうとおっしゃられた方は今まで1人もいないものと理解しております。

次に、私どもが困ったのが、実は、当機関の信頼というよりも、金融ADR制度の信頼にかかわると思われることが実は発生しておりまして、傷害保険金の後遺障害保険金の請求を巡る紛争で、調停委員会として特別調停案を出したんですね。支払えという。それに対して保険会社が訴訟を提起しまして。特別調停案を、1カ月以内に訴訟提起するとなかったことになっちゃいますので、訴訟に移行したわけですが、困ったことは何かというと、一つには、現在の私どもの規定は、法律の規定もそうですけれども、訴訟を起こしたことは当機関に保険会社から報告しなければいけないことになっているのですが、その結果についての報告義務がない。したがって、どうなったかもわからない。聞くところによると、裁判外で和解したということなので、おそらく和解示談書の中に守秘条項も入っているのだと思うのですが、申立人からも結果については聞けない状況になっているというのが一つ。

もう一つは、訴訟は東京地裁に係属したのですけれども、お客様が遠方の方で、弁護士も雇えないし、そんな東京まで行けないということで結局、和解せざるを得なかったような状況に聞いております。したがって、特別調停案を訴訟提起して蹴飛ばすような場合については、やはり、例えば我々ADR機関が補助参加するなり、あるいは訴訟費用、あるいは弁護士費用の立てかえをするなり何なり、やっぱり支援してあげないと、やはりこの制度はもたないんじゃないかなと、私ども、保険オンブズマンの考えとして申していますけれども。本件については、法律はどう書いてあると、こう書いてあると、じゃあ訴訟を起こせばいいじゃないというようなことで決めてしまったようです。したがって、やはり、ちょっと特別調停案に対する取り扱いについてどうするか、何らかの対応が必要ではないかと考えております。

その他、具体的な施策につきましては、配付いたしました資料の中に書いているとおりでございます。やはり私どもの考え方というのは、調停のプロセスが大事なのだろうと。信頼のためには。逐一ご説明して、できるだけ詳細に経過等もご報告する。情報等も伝えるように努めております。やはりプロセスというのを重視して今後とも取り組んでいきたいと思っております。

以上です。

○山本座長

ありがとうございました。

それでは、続きまして、日本少額短期保険協会、小泉委員、よろしくお願いします。

○小泉委員

ご報告いたします。基本的には資料2に基づきながら行いますが、一番上にあります紛争解決手続の運営そのものについては、資料3の19ページをご覧いただきたいと思います。

この上半期、申立人の請求には応じないということで、双方、主張が隔たったままでADR移行したというのが、当期4件ございます。その中で紛争解決委員の対応の中で和解案が提示され、それが成立したというのが3件。もう一つは、その他のほうにありますが、一方の離脱ということになっておりまして、具体的には、申立人側のほうでの離脱ということでございます。紛争解決そのものでいきますと、私どもの協会、パイが小さいものですから、4件のうち3件和解ということになってございますが、やはりお客様からの信頼の向上という意味において大事なのは、日常あります相談、苦情、この段階でどれだけお客様からの信頼感を得られるのか。やはりこの辺が一番大事なところなんじゃないかなと思ってございまして、当期も苦情は51件あったわけですけれども、この上半期、私ども保険相談室が一丸となって取り組んできたことというのは、苦情があると当然に当該保険会社のほうに案件の記帳をして、こういうような申し入れがありますよと。それに対する対応を素早く行ってくださいと。それに対するフォローを行うというのが基本なわけでありますけれども、やはり当事者任せのままでいると、申出人と会社側の情報量の差、それからいろいろな論理主張の巧拙の問題、いろいろなことが、差があるわけでございまして、やはりその辺を我々がお客様の言いたいことはこういうことだということで、こちら側でもいろいろと整理をしながら会社側に対して申し上げていくというような姿勢で、できるだけ紛争解決形態に近い形での苦情処理対応姿勢を持とうということで今年度やってございます。

それから、資料2に戻ります。利用者アンケートの件については、これは率直にちょっとおわび申し上げないといけません。たかだか4件でありながら、回収が今のところゼロということで、大変にお恥ずかしい状態になってございます。解決後のフォローが私どもとして十分な形での利用者アンケートの活用ができていなかったということでは、ほんとうにおわびを申し上げたいと思いますし、下期はこういうことが一切ないような形にすることをお約束しておきたいと、このように思っております。実態の内容的には、先ほど申し上げたように、紛争解決の中でいろいろとヒアリングをしながらやっておりますので、お客様からは好意的な形の評価を受けていると考えております。

それから、下の外部有識者による検証・評価のところは、具体的にはここに書かれているとおりでございます。従来、外部有識者会議による検証結果についての公表というのは行ってございませんでしたが、来週頭に上期の保険相談室レポートという、上半期の実績レポートを公表してまいりますが、その中では私ども外部有識者会議というのはADR諮問委員会という名前になっておりますが、そこでのご指摘の内容、それに対する改善策というのを具体的に記述していくことになっております。今回は特に委員会のほうからご指摘いただいたのは、実務面では非常に円滑に処理がうまくされているけれども、苦情が多い会社、その他について、経営トップにしっかりとその情報が伝達されているのかと。業界として若い業界なだけに、その辺がいかがなものかというようなお話もいただきまして、その辺の工夫としましては、実は11月に上半期の苦情、それから紛争事案移行分について事案内容と件数、そして業界平均値とその会社の実績という形の中で、実績表を会社の社長宛てに送ると。そして、少しでも経営刷新に向けた取り組みをしてほしいということを述べてございます。実は83社ありますけれども、実際の苦情というのは、57社が苦情ゼロという状態にもなっておりますので、ある意味、苦情多発会社に対する重点取り組みを今後とも行っていくことの中で諮問委員会のご指摘に応えていきたいと、このように考えてございます。

以上です。

○山本座長

ありがとうございました。

続きまして、FINMAC、田口委員、よろしくお願いいたします。

○田口委員

証券・金融商品あっせん相談センター、FINMACでございます。それでは、まず初めに、紛争解決手続の運営について簡単にご説明をしたいと思います。資料3の22ページをごらんいただければと思います。平成27年度上半期の紛争解決手続の処理件数、FINMACは41件でございまして、和解が成立したものが22件、そして不成立のものが19件という状況でございます。他のADR機関と同様かと思いますが、当センターにおきましても、あっせん申立てに基づき、被申立人から提出を受ける答弁書の多くは、やはり申立人が主張する請求には応じられないという、そういった主張が記載されているところでございます。書面上はお互いの主張が入れられないという状況の中で、当センターではいよいよ申立人、被申立人、そしてあっせん委員が一堂に会してあっせんを行うということになります。と申しましても、あっせんの場におきましては、双方から提出された書面を見比べるだけではなく、改めてあっせん委員がそれぞれ、そして一方ずつから事情を聴取し、そうしたヒアリングを交互に続けていくことで、どこかで歩み寄りを図ることができないか、和解を促すことができないかということを探っていくように努めていただいております。こうしたあっせん委員の努力の結果、答弁書上は請求に応じられないということであったとしても、あっせん委員のほうから被申立人側に対して、こうした点は問題不十分ではなかったか、こうした対応は問題ではなかったかということを見解を示しまして、このあっせんの場で、話し合いの場で解決するのが妥当ではないかということで口頭で和解案を提示するというのが当センターのあっせん手続の基本的な流れでございます。

こうした形であっせん委員の働きかけによりまして、申立人の請求には応じられないとした32件の事案のうち、13件が和解の成立に至ったという状況でございます。ただし、その反対に、あっせん委員から何らかの案を提示をしまして和解での解決を促したとしても、やはり被申立人のほうから和解に応じる余地がないと、あるいは裁判のような厳密な事実認定が必要であるというような主張もされる場合もあります。その場合には不成立になってしまうものがございますが、それが11件、上半期はございましたという状況です。

一方、提出されたあっせん申立書に基づきあっせんを行ったものの、そして事情聴取を経た上で、それでも被申立人側に落ち度が見当たらないと、そして主張を変更しないというような事案には、和解案を提示することなく不調、打ち切りといったものもございます。上半期はそれが5件ということでございます。他方、あっせん事案によりましては、この22ページの下になりますけれども、答弁書の段階であっせんにおいて解決を図りたいということで、この段階で譲歩の姿勢を示すものもあります。この場合でも、やはりあっせん委員が改めて事情聴取を行い、そして見解を述べて和解案を提示して、和解が成立するということでございます。上半期は9件中全てがこういった形で和解が成立しているという状況です。

当センターが中立・公正な立場でこういった苦情処理手続、紛争解決手続を行っているということにつきましては、業務委託元の自主規制機関傘下の会員に対しまして周知が図られておりまして、一定の理解は得られていると考えております。また、これまで述べてきたとおり、当センターの紛争解決手続は厳密な証拠調べ、事実認定は行わないものの、あっせん委員の主催のもと、面談、事情聴取を通じまして、簡易、迅速、柔軟な解決を目指しているということについて自主規制機関が開催する役職員向けの研修の場に、当センターの担当者を講師として派遣しまして、こういった紛争解決手続の趣旨を説明しているところでございます。

今後も引き続き、こうした研修の場で説明をしていきますが、それとともに自主規制機関が開催する金融機関の役員等を対象とした会議等の場におきましても、当センターの理事からこのADRの趣旨を説明するなど、さらなる理解を求めていきたいなというふうに考えております。

利用者アンケートにつきましてでございます。資料2に取りまとめてございます。アンケートそのものの結果は資料4の34ページ目に掲げておりますけれども、あっせん委員による事情聴取はどうでしたか、もしくはあっせん委員による説明はわかりやすかったですかと、そういったようなアンケート調査を現在しておりますが、よく聞いてくれた、大変わかりやすかったというような、おおむね高い評価をいただいているところでございます。申立人からいただいたアンケートの回収率は直近の調査におきまして62.5%でございます。このうち、不調事案となった申立人からいただいたアンケートの回収率は48.8%でございます。こうした、具体的に意見をいただいたものにつきましては公表しまして、その対応方針もあわせて機関誌及び当センターのホームページに掲載、公表をしております。現在は、このアンケート用紙の自由記述欄に紛争解決機関である当センターの手続の中立性、公正性、実効性についての意見をいただきたい旨の記述を追加して、申立人から信頼性、納得感が得られているかどうかを記載していただくこととしております。こうして得られた意見については集約して、必要に応じて改善策を検討していきたいと思っております。

最後に外部有識者による検証、評価につきましてでございます。当センターでは外部有識者の方が委員に就任いただいている運営審議委員会において、当センターの業務に関し、報告した上で検証・評価を受けております。これまでこの運営審議委員会では、相談件数、苦情受付件数など、現状を示す数値を報告するとともに、苦情の具体的な事例についてもご説明を行ってきました。あわせてあっせんにつきましても受理件数や開催場所、開催回数、平均所要時間、アンケートの調査結果について報告をいただいておりまして、アンケートの調査結果などはよい評価をいただいているというふうに評価もいただいております。

こうした報告をしたところ、これまで特段の意見はいただいておりませんが、今後は例えば苦情として受け付けたが、苦情処理手続へ移行しなかった事案についての理由、そして理由別の件数、割合構成など、報告を行い、さまざまな観点での検証を行う予定としております。そうした中で、指摘された問題点があれば改善について検討を行うこととし、そういった改善策については今後、ホームページ等において公表することになろうかと考えております。

FINMACとしては以上です。

○山本座長

ありがとうございました。

それでは、最後に日本貸金業協会、黒岩委員、よろしくお願いいたします。

○黒岩委員

まず最初に、紛争解決手続の運営について資料2に沿ってご説明させていただきます。

本年度上期の手続終結件数は7件で、このうち、申立て当初、相手方業者が請求に応じられないとしたものは5件でございます。紛争解決委員の考え方、見解を示して和解を促したものは3件です。また、和解案を提示したものは3件で、これについては3件とも和解となっておりまして、提示率、和解率とも43%となっております。今後の対応ですが、終了事案全件について和解に向けた調整、働きかけが十分であったか事後検証を行い、その結果について外部有識者の検証を受けることとしております。

続きまして、利用者アンケートについてご説明させていただきます。本年度上期のアンケート回収率は28.6%で、不調事案については0%となっております。回収率の向上策につきましては、アンケート項目の変更等の改善に努めることとしております。また、中立性・公正性に関するアンケート項目につきましては、本年10月に紛争解決委員や事務局職員の手続の進行は中立・公正でしたかという項目を追加いたしました。これについての回答は、10月に設置のため、まだ得ておりません。アンケート結果を踏まえた今後の対応ですが、新たに追加した質問項目を含め、アンケート結果や意見について自ら検証するとともに、外部有識者に報告して意見を伺った上で、改善策を検討、実施していくこととしております。利用者アンケートの公表状況と今後の対応ですが、アンケート結果は公表しておりません。今後は全体の回収率と不調事案の回収率、それから新たに追加した質問項目を含めて、全質問項目ごとの和解・不調事案の回答状況を公表するとともに、具体的意見については外部有識者に報告の上、原則として公表、また、改善策を講じた場合はこれを公表することとしております。

続きまして、外部有識者による検証・評価についてご説明させていただきます。相談対応、苦情処理手続、紛争解決手続について、外部有識者に対する報告の現状と今後の報告につきまして、それぞれ順番にご説明いたします。1つ目の、相談を受け付けた場合の対応ですが、外部有識者に対しましては受付件数と相談内容別分類ごとの件数、対応結果ごとの件数を報告しておりますが、苦情要素を含む相談事案への対応状況などについては報告しておりません。今後は引き続き相談内容を類型化して件数及び構成割合を整理したものを報告するとともに、苦情要素であります不満足の表明を含む相談事案で苦情処理手続に移行しなかったものはその理由を整理して件数及び構成割合を報告することとしております。

2つ目の苦情処理手続ですが、苦情受付件数と苦情内容別分類ごとの件数を報告しておりますが、顧客の納得を得られる解決のための対応などについては報告しておりません。今後は苦情処理手続までの所要日数の取りまとめ結果、長期を要した事案や処理結果に申立人が納得しなかった事案の自己検証結果を報告することとしております。

3つ目の紛争解決手続ですが、手続終了事案全件について事案ごとに面談の実施状況、和解案提示状況、和解率、利用者アンケートの結果等について報告しております。今後は中立性・公正性の確保、和解に向けた努力や納得感、信頼感を得るための努力が十分であったかなどの検証ポイントを踏まえて説明を行い、自己検証結果を報告することとしております。

最後に、外部有識者による検証評価結果と改善策の公表についてですが、これについては公表はしておりません。今後は検証項目や検証ポイント等に沿って、検証・評価の内容、検証・評価の結果、検証・評価を踏まえた改善策について公表することとしております。

私からは以上でございます。

○山本座長

ありがとうございました。

それでは、ただいまの事務局からのご説明及び各指定紛争解決機関からのご報告につきまして、どの点からでも結構ですのでご質問、ご意見等をお出しいただければと思います。よろしくお願いいたします。

どうぞ、高橋委員。

○高橋委員

まず全体的なことですけれども、苦情段階で解決が図られることが重要だというのは、金トラが発足した当初から言われていて、特に苦情処理手続への移行というのは10年来言われてきたことですが、今回非常に好ましい結果が出たということで、各機関がほんとうに真剣に取り組んでくださったのだなということを感じました。手続そのものも迅速な手続終結に行っているということですけれども、関連してお伺いしたいのは、紛争のところは6カ月未満の解決というのが数字的には少なくなっていて、つまり、少し長期化の傾向があるということです。これに関しては案件の性質の問題なのか、対応が丁寧になったのか、どういう理由なのかを知りたいところでございます。

今回、非常に細かく書いていただいているのですけれども、紛争解決手続の運営状況を拝見すると、紛争解決委員の方々が金融機関に対して非常に粘り強くいろいろおっしゃっているというような傾向が読み取れます。また、一方では、機関にもよりますけれども、金融機関の側でかなり譲歩の姿勢を示しているということですが、このあたり、紛争解決委員の方々も構成とかもろもろ、あるいはこの事態を受けて、紛争解決委員の態度といいますか、対応も変わってきているのか、あるいは金融機関の対応がより変わってきているのか、そのあたりについて何かお気づきの点がありましたら該当の機関からお話をいただきたいと思います。

○山本座長

ありがとうございます。

2点ほどのご質問だったと思いますけれども、最初のほう、紛争解決のほうが期間が少し長くなっていることの要因ということでしたが、これは機関ごとに長くなっているところと短くなっているところがあるかもしれません。瀧下委員、どうぞ。

○瀧下委員

私どもでも結構長いのがあるんですけれども、保険金請求を巡る問題で長くなりやすい。というのは、苦情段階、例えば保険事故が起きましたと電話すると、担当とやりとりして、そんなの払えるかと。それはけしからんというので苦情処理手続に入ると。それでも解決しなくて紛争解決手続に上がってくるというような場合ですと、紛争解決手続が始まった段階から調停委員会の指摘等を踏まえて補充調査を向こうが始めることがあるんですね。例えば、医療調査を始めるとか、そこからやっていくので、医療調査、お医者さんが忙しいと2カ月も3カ月も医者に会えないというようなことで時間がかかって、そこでさらにまたいろいろな手続を進めるということで、調停委員会も2カ月、3カ月開けない状態というのが多いと理解しております。

○山本座長

ほかの機関で、もしございましたらいかがでしょうか。阿部委員、どうぞ。

○阿部(耕)委員

まず期間なんですけれども、いろいろな要因があると思っておりまして、特に個人の方の申立ての中でも、やっぱり高齢者が増えてきていらして、途中で体のぐあいが悪くなられて入院するようなケースもありました。あるいは、非常に残念ですけれども、途中の段階で亡くなられるというようなケースもありまして、そうなってきますと、その部分は長くなってきてしまうのと、もう一つは、全銀協では、基本的に1回で事情聴取を終わらせるということの手続ではあるものの、やはり申立人さんのほうがもう少し言い足りないところがあるですとか、複雑な事案であれば、ご希望に応じて、第2期日を設けるというような運用に変えてきておりますので、その分は伸びてきているということもありますが、そうはいっても基本的には極力6カ月以内に終わらせたいと思っているわけであります。

法人のほうなのですけれども、実は最近、3年半かかって終わったというのがありまして、過去の為替のデリバティブのほうの事案で、解約清算金等の負担を求める事案、これは和解の提示をしたのですが、お客様のほうがやっぱり相場の動向をじっくり見ていきたいということがありまして、そこを真摯にご希望を聞いて、結果として長くなったというものがありますが、基本的にはそういう事情が引っ張るのであって、手続上、何かプラスアルファをしたので延びているというものではございません。

以上です。

○山本座長

ありがとうございました。

ほかに。どうぞ、酒巻委員。

○酒巻委員

生保協会について言いますと、業務改善を行いまして、今、全件で事情聴取を実施する。それから、個別の事情を把握するために、例えば給付金等の請求事案であれば、主治医とか外部の専門医の意見も聴取するとか、そういう手続をより丁寧にやる。そういうことに伴って増加している部分がございます。

またあと、申立人の場合の事情として、例えば特別調停案を提示した後で、なかなか回答がいただけないケースが結構あります。それから、あと、主張に対して反論、主張、反論と何回か繰り返すわけですけれども、今の反論を用意しているのでもうしばらく待ってほしいという形で1カ月、2カ月経過したりとかいうことがありまして、申立人側の事情で延びてしまうという部分もございます。

それから、あと、今、申立て件数が増加しているということもあるのですけれども、この点につきましては、1月から部会を増設するということで今、既に体制が整っておりますので、できるだけ早期に解決できるように対応していきたい、そんな状況でございます。

○山本座長

ありがとうございました。

ほかに。どうぞ、森委員。

○森(栄)委員

損保協会です。私どもも生保協会さんと同じような事由がございます。面談を高めていくということをやっておりますので、当然ながら丁寧な対応、それから、和解に向けた努力ということも、例えば第三者機関への意見聴取をするとかということをすれば、当然、期間が延びたりということがありますので、期間が延びているという傾向はあります。前年同期に比べると、それほど大きくまだあれしていないのですけれども、そういう傾向はあるんじゃないかなと。一方で、短くするために、今度、審査会等を増やしたりとか、審査会の回数も増やしていますので、それが徐々に、7月からやっていますから、実際に稼働するのはおそらく下半期ではないかなと思いますので、そういった面でも改善をしていく部分も同時にあるんじゃないかなと思っています。いずれにしても、丁寧にやっていくことによって長くなってしまうということがあるので、相反するものをどうやってまとめていくかということがあくまでも課題になってくると思います。

○山本座長

どうぞ、小泉委員。

○小泉委員

少短協会です。私どもの例で考えますと、基本的には全て3カ月以内で解決ができております。中には申立書に対する金融機関からの答弁書に対して、やはりそれの主張内容が気に入らないということで、再申立書を出したりとか、都合3回、4回ぐらい出された方もおられましたけれども、その方も含めて3カ月以内で一応和解に至っております。

それから、高橋委員のご質問の中に、どちらがよくなったんでしょうかというお話もございました。資料3の20ページをちょっと見ていただきたいのですが、これは紛争解決の4件のうち3件が和解しているということでお話をさせていただきましたが、その3件の内容について書かれてございます。一番上の家財賠償のところは、2行目の真ん中ぐらいに、双方とも事実関係を正確に把握する材料に欠けていると。なかなかやっぱり難しい案件であることは事実です。それから、生命・医療保険、二番目のところですね。こちらも、募集人に対して伝えていたとか、いなかったとか、ちょっとその辺についての考え方、事実認識がお互い決定打に欠けているというようなこともございましたが、やはりいろいろなやりとりの中で出てきている対応の中で、パーフェクトはなかなかないということの中で、逆に、金融機関側からの対応可能な部分を取り上げて譲歩を求めるというような形の中でやっておりまして、それを金融機関も受け入れているということですので、そういう意味では双方が少しよくなってきているのかなと。

それから、一番下の生命・医療保険の三番目の部分は、どちらかというと事業者側の対応がちょっとよくなかったと。事務的な手続とか、お客様に対する応対の事実のいろいろなお伝えの仕方だとか、そういうことにいろいろな齟齬があったということですので、これは当然に対応の不十分さが指摘されて和解したということですので、一応、紛争解決委員の方の姿勢もかなりちゃんとされて、ADR的な解決という形になってきたのかなというぐあいに思います。

○山本座長

いかがでしょうか。

○高橋委員

ご説明ありがとうございました。

期間が若干長くなっているのは、丁寧な対応による、あるいは申立人ご本人の側でのご事情によるものが結構多いということが説明でわかりました。アンケート調査の中で、多分、期間に関しては利用者の感想をきいていらっしゃると思うので、期間の適切性というか、どのぐらいが望まれているのか、不満がないのかということも、また何かの機会に教えていただきたいと思います。特に、銀行協会さんから、高齢者に関するご説明があったのですが、高齢者の場合は、やはり早く解決して差し上げないと、いろいろ体調不良もあったり、そういうことを抱えていること自体が体調に大きく影響するということがあると思います。高齢化の中で期間の問題は慎重に考えていく必要があると思いました。

以上です。

○山本座長

ありがとうございました。大変貴重なご指摘をいただいたかと思います。

それでは、ほかの点についてございましたらお願いしたいと思います。どうぞ、犬飼委員。

○犬飼委員

犬飼です。今日のお話と、それから前回のお話をお聞きしておりまして、幾つか重要と感じられる点がございましたので、二、三、簡潔に申し上げたいと思います。

一番重要と思いましたのは、先ほど保険オンブズマンの瀧下委員がおっしゃった点でございます。委員は、金融ADR制度への信頼自体を揺るがしかねない問題だとのご認識のもとでおっしゃったと思うのですが、「特別調停案を出したのに、業者さんがそれを受けず、訴訟を提起するといって、訴訟のプロセスに移行させておきながら、実際はしなかった。最終的には裁判外で和解してしまったらしい。そしてその結果も聞けなかった。」というお話があったのですけれども、この点は、そもそも金融ADR制度を我が国につくる議論をしていた6年、7年前にわかっていたことで、本来、片面的仲裁が機能するような制度にすることを狙って金融ADR制度がつくられていったわけですが、最終的には憲法上の裁判を受ける権利の観点から、特別調停案を業者さんの側が蹴って裁判に持ち込むこともよしとするという変則的な、部分的な片面的仲裁の制度になったいきさつがあると私は理解しているわけです。今のようなお話ですと、やはり権利の悪用というか、そういうものが発生した可能性があるのかなと思いますが、それがどの程度、発生しているかはよくわかりません。もしかしたら、表面的にはそのような状況ともいえるが、実際のところは訴訟のプロセスの中で自然にそうなっていったことで、別に他意はなかったとか、いろいろなことがあるかもしれませんが。いずれにしても、金融ADR制度の目指すもの、そもそもの目的に照らして、本来そういう権利の悪用のようなことが生ずることのないように、瀧下さんも先ほど、補助参加とか、弁護士費用をもつとか、そういうこともあるのかもしれないというお話もいただきましたが、この問題に、今後どのように対処していったらいいのか、非常に大事な問題と思います。結論はなかなか出しにくいのですが、我々も含め、皆さん全員で考えていく必要のある話ではないかと感じたというのが1点でございます。

それと、前回、樋山委員がおっしゃったことですが、消費生活センターでの苦情や相談の場でお聞きになられる話として、これは指定金融ADR機関につないだほうがいいというときに、「ご紹介しますよ」と言ったけれども、相手の方が、「業者団体寄りなんじゃないですか。業界がお金を出しているのではないですか。」ということで、金融ADR機関の中立性と公正性に疑義を抱かれて、紹介しにくいことがあるというお話があったと思います。やっぱりその点が非常に気になっております。それに関して、金融庁さん等のご作成のパンフにも、中立・公正という観点からも、あっせん委員会とか調停委員とか、指定ADR機関によって紛争解決委員の名前はそれぞれ違うのですが、委員の方々は、第三者であるとか、消費者問題の専門家であるとか、弁護士の方であるとか、非常に中立性の高い、公正性の高い方がやっておられるので、中立・公正ですという趣旨のことが書いてあるわけです。ただ、それは限定的に言えば、紛争解決の部分でございまして、実際に相談から始まって、苦情対応、紛争解決に向けた対応という流れの中で、お客様、お相手の面倒を見られるのは、相談員の方でございます。その方々は、やはり各協会に所属された方々である。でも、その方々も、私の理解では、紛争解決委員の方々と同じほどの中立性を持って、少なくともそれぞれご自身ではそのような自覚をお持ちになってご対応されていらっしゃると私は信じておりますし、私が見聞きさせていただいている協会、ADR機関の方々は、皆さまそのようにやっておられるので、いいと思いますが、そういう協会、機関の組織全体としての中立性・公正性というものを、より強く担保できるような仕組み、方法というものが、何かもう一つ、ないのかなということを思っているところです。これもまた皆さんとご一緒に、これからいろいろと考えていく必要があるのではないかと思うところです。

なお、第2点に関連して、ただいま現在、協会の名前で指定ADR機関をやっていらっしゃるところが6つですね。協会の名前でないのは、「証券・金融商品あっせん相談センター」と「保険オンブズマン」ということではありますが、名前が違ったからいいというものではないと思いますが、その辺、名前が違うといいのか悪いのか、あるいは名前が違うだけではなくて、組織の形態を変更して、より中立性を増すようなことができるのかできないのかとか、今後、いろいろな観点からの検討課題があるのではないかと思われた次第でございます。

以上です。

○山本座長

ありがとうございました。大変重要な点を2点ご指摘いただいたかと思いますが、第1点、私も非常に重要な問題だと思っているんですけれども、先ほど瀧下委員のご指摘で、特別調停案を出した後、業者側が訴訟に訴えたときに、その後、どういうふうになっているのか、ADR機関としてはフォローのしようがなくてよくわからないと。結果としてよくわからないことがあるという問題点の指摘があったのですが、これはほかの機関は業者側が訴えた場合に、それがどうなったかということをADRに報告する義務というか、そういうようなことを設けておられるところというのはあるのでしょうか。

どうぞ、阿部委員。

○阿部(耕)委員

全銀協で特別調停案、今、提示実績は6件ありまして、訴訟に行ったのは2件あるのですが、手続上、1カ月以内に裁判を起こすというときの、裁判を起こしましたよというものを示す、裁判所から出された書面をしかるべき期間内に提出するという手続をしていますので、それで訴訟に行ったということはわかるということに証明をいただいております。

先ほどの瀧下委員がおっしゃった事例は、ちょっと私どもからすると極めて特殊かなとは思っていまして、特別調停案を出すぐらいですから、よほど業者さんのほうに問題点があって、それで、しかしながら、それをかたくなに拒んでいる。しかし、しかるべき指摘点があって、申立人もそれで和解をしたいと思っている。まさにこれが特別調停案を出したいと。我々はそういうとき出すんですけれども。それに対してお相手方銀行は、規定上、1カ月以内に訴訟をするか、それでも和解に至るかという2つに1つでございますので、あまりそこは私どもの業界では気にしていなかったところではございます。

以上です。

○山本座長

ほかにございますか。瀧下委員。

○瀧下委員

気になったのは、中には守秘義務があって申立人もしゃべれないのですけれども、経過については実は話をしていまして、訴訟になって、口頭弁論がある前に和解の申し入れがあったようなんですね。何回か交渉して、少しずつ上がって、一定の限度で、しかも裁判外で和解に至ったという事例のようです。これは何か、要するに、金融ADRを使って、要するに値切りをやったような私は理解をしていまして、非常に腹を立てております。そうなればやはりこちらも特別調停案を出した責任もあるから、それなりの責任をやっぱり全うせにゃいかんのじゃないかと。ただ、やはり憲法上の保障ということになるとどうしたらいいのか、やはりこちらが、先ほど申し上げた遠方の方だったので、裁判所に行くこと自体大変だと。足代もかかるし大変だといって、弁護士雇う余裕もないと。そういうことになったら、かわりに保険オンブズマンが引き受けてやるしかないんじゃないかなと、そういうことをそのとき考えたというわけでございます。

○山本座長

ありがとうございました。ほかのADR、諸外国の例などでは、確かにそういう調停案を出したADR機関が補助参加を顧客のためにするというような制度、あるいは弁護士費用を塡補するというような制度を持っているところもあるというふうに承知しておりますので、確かに将来の検討課題にはなるというふうには思います。

もう1点、犬飼委員がご指摘された点で、やはり本日の話題である、こういう利用者アンケートとか外部有識者による検証というのを行って、利用者からの信頼を得ようと、向上させるということ、取り組みがかなり進んでいるということだけれども、なお顧客側からはどうしても業者寄りだというような懸念が払拭できない部分があるのではないかと。そもそも名前自体が業界団体という名前なので、そこを払拭するのはなかなか難しいところが確かにあって、それをさらに考えていかなければいけないのではないかという問題提起であったかと思いますが、このあたりで何かあるでしょうか。

○樋山委員

今、まさに利用者からの信頼を向上させるための対応というところで、皆様が集まってご議論されているところなのですけれども、トラブルがあれば皆さん、国民が積極的にADRを利用して、よりよい解決に持ち込むためにどうしたらいいのか。それで、なおかつ信頼を得て、中立・公正な立場で解決していただくということなのですが、先ほどからいろいろな業界団体の方が、こういった工夫をしているということで、いろいろなご努力についてご披露いただいたのですけれども、それが外にどうやって見えているかというところが非常に大切なのではないかなと思います。

皆様のご努力については、ほんとうに頭が下がる思いで、銀行協会さんはじめ、面談なんかも積極的になさったり、非常に事務局が丁寧にサポートしている様子が見てうかがえるのですけれども、そういったことが外にどうやって見えているのか。それから、アンケートなどについて、どういう声があって、利用した人がどんなにいいことがあったのかというところが、まだまだ外から見えないというところで、皆さんがなかなか利用をためらったりとか、信頼性がなかったりとか、ほんとうに中立・公正な立場でやってくれるのかなというような疑問が湧いてきたりというようなところがあると思いますので、今後、皆様のご努力を外からどのように見せて、皆さんに理解していただくのかというところを考えていく必要があるのではないかというようなことを一つ感じました。

あと、もう一つなのですが、多分、近く、障害者差別解消法という法律が施行されると思います。私が受けた相談の中で、障害者の方がいらしたのですが、ADRにお任せしたほうがいいのではないかというような事例がありまして、その障害者の方の処理をADRにお願いできるかというふうに投げかけたときがあったのですけれども、残念ながら、その障害の方についてはADRでは今のところお受けする能力がありませんというようなお答えを頂戴したことがございました。この法律、施行になりますので、各業界団体さんにおかれましても、障害者の方についても積極的に利用いただけるような制度といいましょうか、仕組みをつくっていただきたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

○山本座長

ありがとうございました。やはり重要なご指摘で、先ほど全銀協のほうから高齢者の対応というお話がありましたが、やはり障害を持たれている方に対する対応というのも紛争解決、非常に重要な課題だろうというふうに思います。その点の対応、よろしくお願いしたいと私からも思います。

どうぞ。

○樋山委員

ごめんなさい、すごくくだらないことと言えばちょっとくだらないことなのかもしれないのですけれども、やはり中立・公正であるということを私どもは相談者の方にご説明することが大変多く、ほんとうに業界団体が中立・公正にやってくれるのかというような懸念が強いことが多々あります。それを解決するために皆さんがいろいろ商標などで工夫されているところはございますけれども、例えば法務省のADRなんかですとロゴマークがありまして、こういう中立・公正性を視覚的に理解できるようなことをやっています。各ADRさん、もしくは金融ADRというところにおいては、金融庁が取りまとめて中立・公正であることを皆さんが視覚的にもわかるような形での工夫というのも一つあったほうがいいのではないかなというふうに最近感じておりまして、そこら辺のところもご検討をお願いしたいと思います。

○山本座長

ありがとうございました。

私もどこかで同じようなことを発言したような記憶がありますけれども、一つのご提案として金融庁のほうでも。

○松尾委員

視覚的に、商標自体が公正な感じの商標になっていると。

○樋山委員

そうです。目で見てぱっとわかる。

○山本座長

要するに、それが、法務省がやっている、その、あれだと。

○松尾委員

そういう法務省としてのお墨付きみたいな、そういうイメージということでございますね。

○山本座長

まあ、そういうことです。だから、そのマークを持っているところは法務省のもとで、しっかりしたところだという中立・公正は担保されていると。

○松尾委員

そうですね。そういう意味ではちょっといろいろ考えられるような気もいたします。

○山本座長

それは今後の課題としてお考えを。

ありがとうございました。

ほかに、それでは。どうぞ、石戸谷委員。

○石戸谷委員

ご説明を伺っていて、指定ADR機関におかれては改善の努力を積み重ねておられると。特に、生保協会と損保協会については、前回報告いただいた改善案の実施が実績としてもあらわれているなということで、そこは評価したいと思います。

それで、指定されていない業態の点についても、若干、意見を述べさせていただきたいのですけれども、指定ADR機関については毎回データを出していただいてご報告いただいているところなのですが、そうでない業態のところでも、苦情がないのかというとそういうことはなくて、現在、例えば電子マネーの分野では、金融審議会の決済業務等の高度化に関するワーキング・グループのほうで、発展著しいこの分野についての制度のインフラを検討されていると思うのですけれども、ADRの側面から見ましても、そこの手当もぜひご検討をお願いしたいと思います。

具体的には、資金決済法、現在は、資金移動については金融ADR法の対象になっているのですけれども、前払式支払い手段のところは外れているということがありまして、今の状態だと、立法当時と違って、事態が急激に変わってきておりますので、そういう区分はもう不要ではないかというふうに考えております。ぜひ、発展の基盤になるインフラの一つとして、この金融ADR制度というのをきちんと位置づけていただければなと思います。

それと同時に、可能な範囲でいいのですけれども、次以降、指定ADRでない業態においても、苦情であるとか、何らかのご報告をいただくような格好にしていただければと思います。電子マネーについては、例えば、国民生活センターのほうでトラブルが、市場の拡大と同時にトラブルも起こってくるわけですけれども、その部分について何本か既に報告、情報提供が行われてきておりまして、先ほどのお話とも関連するのですけれども、そういうものが国民生活センターのほうに行くというのっていうのは、専門的自主規制機関と苦情紛争処理制度を持っているところっていうところから見ると、ちょっと物足りないのではないかというふうに思いますので、特にこういうふうな変化が著しいところほど専門の機関のほうが苦情内容を分析して、かくあるべしというものを出していくようなスタンスをぜひお願いできればと思います。

○山本座長

ありがとうございました。

この点は、松尾委員。

○松尾委員

今、まさにご指摘のように、いろいろ決済、新しい技術とかについてどういうふうに取り組んでいくかというのを審議会で検討しております。おそらく視点が2つありまして、これはまさに新しいところなので、今、いろいろな小さいベンチャー的な取り組みから始まって、非常にそういう小規模かつ資本の小さいベンチャー的なところでいろいろな技術をつくって、いろいろな新しいフロンティアをやっていっているかどうか、そういう、まさにスタートアップ的な側面と、まさにそういう意味では資金ということなので、まさに利用者の保護というのをどうやって図っていくかという、そのバランスをどういうふうにとっていくかということが一番のポイントということだろうと思います。

そういう意味で、技術革新をしていくためにどういうふうな規制でやっていくかということ及びその中で利用者保護を、じゃあ、それはADRなのか、いろいろな行為義務なのか、または自主機関なのかと、そういういろいろなオプションの中で、まさにそういう技術革新もやり、かつ、利用者保護もやる。そのときに現実問題としてそういう非常に小さなところの集まりであるというところも一つ、考慮要素としてある中で、そういう意味で新しい政策パッケージとしてそのバランスをとっていくかというのを常に考えていきたいと考えております。

○山本座長

よろしいでしょうか。

それでは、ほかの点についていかがでしょうか。どうぞ、高橋さん。

○高橋委員

今のお話とも関連するのですけれども、金融ADRの信頼性は非常に重要で、この会議体ができた当初から、本来狙っていたのは金融ADRの一元化ということでした。当然ながら業界には資金的には出していただきたいのだけれども、先ほどからもお話があるように、そこで働く人たちの身分保証とか中立性の保証をどうしたらいいのかも議論した過程の中で、まずはこの形でスタートしようということでそれぞれの業界が自分のところの機関をつくる、あるいはFINMACのように自主規制機関からも独立させるなど、いろいろな試みをしてきたと思うんですね。

やはり今回の瀧下委員のご発言は非常に示唆に富んだものであり、全ての業界がそういうわけではないのですが、当然そういうことが起きることは当初から想定されていたことだと思います。特別調停案をのまないところは債務不存在訴訟を起こすということも、これはもう最初のときからそういう形で進んでいたのですけれども、それが今おっしゃったように悪用というか、逃げ道になってはいけない。ここのところをどうするかは今、私たちが考えるべきところだと思っております。

なぜ裁判に行くのかとで言えば、ADR機関で事例が公表されるのは判例の積み上げと同じような効果が出てしまうとか、裁判に行った場合は結構和解しているのが多いんじゃないかという点も法律家の方からも以前から発言がありました。やはり判例等を残したくないというのが事業者の側にあって、和解で、その結果に関しても守秘義務というか、申立人のほうも何もしゃべらない状況になってしまっている、これでいいのか、私は非常に問題意識を持っております。少なくとも、業界団体といいますか、事業者団体の協会であれば、加盟事業者のことですから、裁判に行った場合には、その結果はきちんとADRに戻していただいて、その問題を共有するということが必要ではないかと思うのです。もしそれができない状況であれば、当初申し上げたように、協会でADRをやること自体が難しいので、一元化して、お金は出すけど口は出さないとすべき。それから、先ほど森委員のほうから乗合代理店についてもサポートしていただいたのですけれども、いろいろな形の事業者が出てくる中で、指定紛争解決機関がないところもあります。でも、消費者にとってみれば、トラブルに巻き込まれたらば、信頼できるところに頼みたいわけですから、とりあえず窓口を一本化して、同じ建物の中にあって、そこできちんと対処してくれる、現行では対処してくれない問題も対処してくれるような何らかの機関がその中にはある、そういう形が望ましい。これは最初描いた絵だったのですけれども、そういうことももう一度思い出しながら、現状をどうしたらいいのかを、金融庁さんも一緒になって考えていただきたいなと思っております。

○山本座長

先ほどの特別調停案のフォローアップ、訴訟になった場合のフォローアップで、全銀協のほうから若干ご紹介がありましたが、そのほか、特に生保、損保はかなり特別調停案を出されることが多いというふうに承知をしている……どうぞ。

○阿部(耕)委員

補足ですけど、先ほど、裁判になったことはわかるんですけれども、その結果については制度的に何か担保しているわけではないんですね。

○山本座長

そこまではフォローされていないということですよね。それは同じような……どうぞ、酒巻委員。

○酒巻委員

生保協会は基本的に特別調停案で和解を提案していまして、これまで訴訟に移行した事例は1件だけあります。1件でございますので、担当者ベースでも適宜情報交換できる状況であるということでございます。基本的には業界のほうで従前から片面的な拘束力がある形でやっていた経緯がありますので、基本的には受諾していただけるという前提なので、あまり問題はないと考えています。

○山本座長

損保のほうはいかがでしょうか。

○森(栄)委員

特別調停案であれば、生保さんと同じかと思いますが、和解案とかですと、ほぼしていないので、その後、裁判だったりとかいうことがあるのかどうかというのが、このことかなと思っているんですけれども、それはわからないということです。

○山本座長

どうぞ、小泉委員。

○小泉委員

全く同じです。裁判になるということはわかるんですが、結果がわからない。そこから先が全くつかみようがないということが実態です。

○山本座長

そこはやはり問題は、なおあるということでしょうかね。

いかがでしょうか。松尾委員、どうぞ。

○松尾委員

またそういういろいろな問題というのもあると思いますし、一方で、今こういうふうにいろいろな業界というか、銀行は銀行、生保は生保、損保は損保でいろいろ、仕切る側としても、いろいろなところでこういう改善がありますよと出てくると、一番いいやつをとって、ほかもやったらいいじゃないかと、そういうふうに持っていきやすいというのも一つ、考慮要素としては実際ございまして、例えば1個になるとそれを改善させるというのはおそらく相当、全員が納得しないと、なかなかそういう改善というのはできないような気が直感的にはいたしておりますが、こういうふうにいろいろなところが競ってやっていくと、ベストプラクティスというのを引き出しやすいという面もあるのかもしれないなというのも。ただ、おっしゃるとおり、すごく課題として非常に何が一番いいかというのは常に議論していかなければいけないとは思っております。

○山本座長

今の点はまさにこの金トラ協の目的なわけですが、高いところの水準に合わせていって、高いところに基準を設定していこうということで、それがそれなりの効果を上げてきたということはまた間違いのないところですけれども、高橋委員の言う、調停に関してはさらにそれを見ていかなければいけないというご指摘はそのとおりだろうと思います。

ほか。どうぞ。

○高橋委員

もう1点よろしいでしょうか。先ほど、小泉委員がおっしゃいました経営トップに対して提言していくといいますか、その機能も私は非常に大事だと思っています。今、コーポレートガバナンス改革が進んでいます。コーポレートガバナンスコードをはじめ、金融機関もいろいろ対応していらっしゃると思うのですけれども、訴訟案件に関しては間違いなく監査役会とか取締役会に上がっていくのだろうと信じておりますけれども、それぞれの会社の苦情、紛争の状況などもボードにきちんと上がっているのかどうかも協会等でフォローしていただけると非常にありがたいと思います。やはり経営者に、現在どういうトラブルがあって、どうしなければいけないかをきちんと届けることも、ADR機関からのフィードバックとして必要だと思います。それは個社の問題だと言えば個社の問題なんですけれども、やはりどこの会社もやっていますよということになれば、それぞれの会社がやるようになるでしょう。多分、ばらつきがあると思っています。金融庁さんがかなり厳しい指導をやっていらっしゃるようで、私が社外取締役とか監査役をやっているところではかなり細かく苦情・紛争対応状況や訴訟案件が上がってくるのですけれども、各社ともそうなのかと少し疑問に思ったりしたものですから、そのあたりの実態も我々としては共有したいと思っています。

○山本座長

それは金融庁のほうである程度把握はされているんですかね。その紛争状況をトップがどの程度。

○松尾委員

そういう意味では、コーポレートガバナンスというのを集中的にいろいろな業態で見ておりまして、その中でそういう管理体制がどうかとか、そういうところを去年なんかも横串でいろいろな業態を見ています。そういう中で、訴訟に着目しているかどうか、訴訟に個別にというのはちょっと私も今わからないですけれども、まさにそういう、いろいろな意味でのガバナンスというのが一番、そこがいろいろな意味での、そういう意味では銀行の経営ということでもそうですし、今進めております事業性融資とかそういう面でもガバナンスのあたりがかなり根本問題でもあるというのはこちらも認識しておりまして、そういう意味では金融行政方針の中でもそのガバナンスというのをきちんと見ていくというのは明記しております。今後ともそういう方向性は一番重要な手段として持ち続けるだろうと思っています。

○山本座長

紛争解決の観点からしても、ISO10000という、紛争解決についての国際規格がありますけれども、そこでもやはり顧客に対して裁判ではない方法で紛争解決の手段を与えるということが、顧客サービスとして非常に重要であり、そのためには経営トップのコミットメントが最も肝要であるというようなことが国際的なスタンダードとしても言われているのではないかと思いますので、今の点、大変重要なご指摘だと思いますので、引き続き。

○松尾委員

すみません、あと1点。本来、今回、資料でご説明すべきだったのかもしれないのですけれども、金融行政方針というのを出しまして、あれはかなりエッセンスで、おおよそあらゆる論点が書いてあるということはなくて、非常に限られたことだけ書いて、その中でも金融ADRについてはきちんと書き込んでおりますので、そういう意味で金融庁として、金融行政方針という、監督、検査、企画部門も含めた全庁の方針として金融ADRを重視していくというのは今回、金融行政方針に明記させていただいたところでございます。その資料、次回資料に加えさせていただければと思います。

○田口委員

すみません、よろしいでしょうか。

○山本座長

どうぞ、田口委員。

○田口委員

FINMACでございます。ご存じのとおり、私どもはNPO法人ということで、いわゆる自主規制団体とは一応、独立した形で運営をしております。そういった中で、今のお話でございますけれども、私どももそういった自主規制団体のほうに研修を行いまして、私が例えば講師に行って、もちろんFINMACに寄せられた苦情というのは、意向があれば取り次ぎますと。その対応についてはきちんと対応していただきたいというお話をさせていただいておりますし、一方で当然、各社さん、各証券会社さん、登録金融機関にも、そういう苦情紛争処理窓口がありまして、当然、私どもでなく、直接証券会社さんのほうに寄せられてくる場合があって、そういった苦情解決処理の適切な対応というのも、今、金融当局としても求められているというお話もあわせてさせていただいております。そういった中で、ですから、経営上の苦情処理解決、苦情処理の対応というのは、経営上の重要な課題ですということは私のほうからもお伝えし、そして基本的には各自主規制機関傘下の会員さんもご理解いただいているんじゃないかなと思っております。ちょっと補足まででございます。

○山本座長

ありがとうございました。

ほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。

ありがとうございました。大変有意義な意見交換ができたのではないかと思います。幾つか宿題的なことも出たかと思いますので、この利用者の信頼確保の向上というのは、先ほど来、出ているとおり、ADRにとって永遠の課題であるという部分がございますので、今後も引き続き、この協議会でも議論をさせていただければと思います。

それでは、次の議題に移りたいと思いますが、金融サービス利用者相談室における相談等の受付状況等についてということで、金融庁金融サービス利用者相談室長の﨑山委員からご説明を受け、続いて金融ADR連絡協議会の概要につきまして事務局からご報告をお願いしたいと思います。まず﨑山委員からお願いします。

○﨑山委員

金融サービス利用者相談室の﨑山でございます。

早速ですが、今回も、前回の協議会以降の相談の受付状況につきましてご説明させていただきます。前回以降、相談室では、今年の7月と10月にそれぞれ4~6月、及び今年7~9月の四半期状況につきまして公表しております。なお、公表に用いました資料5-1及び5-2につきましてはお手元にお配りしておりますので、後ほどご確認いただければと思っております。

相談等の受付につきましては、資料5-3、相談件数の推移を見ていただければと存じます。ここにございますように、4~6月は9,201件、7~9月は8,890件と推移しております。なお、参考までに、1日の平均の受付件数は4~6月で151件、7~9は143件となってございます。また、分野別内訳で見ますと、預金融資に関する相談が4~6月が2,691件、7~9月は2,711件と推移しております。次に、保険商品に関する相談ですが、4~6月が2,955件、7~9月が2,638件と推移してございます。また、投資商品に関する相談につきましては、4~6月が2,387件、7~9月は2,466件と推移してございます。貸金等に関する相談につきましては、4~6月が844件、7~9月が753件となってございます。

次に、詐欺的な投資勧誘につきましてご説明させていただきます。これは資料5-4のトピックスにありますとおり、4~6月が614件、7~9月が440件と推移してございます。なお、前回もご説明いたしましたが、詐欺的な投資勧誘につきましては、相談してこられる方で年齢が判明している方々では、おおむね60代以上の方が大半を占めているところでございますが、年代別の表にございますように、20代から50代の方からの相談も件数としてはいまだ少ないものの4~6月が121件、7~9月が100件と推移しているところでございます。前回と同様、詐欺的な投資勧誘に相談を、いわゆる相談者の被害の有無、いわゆる被害に遭う前に慎重になって相談があったのか、被害に遭ってしまった後で相談をしてきたのかという切り口で見てみますと、7~9月では相変わらず若い世代や現役世代である20代から50代の相談者の、実に約7割が被害に遭った後に相談をしてきておりまして、60代以上の高齢者のそれが約5割であったことから、顕著に目立ったものとなってございます。金融庁としては、こういう状況を踏まえまして、引き続き若い世代、特に社会人になる前の高校生とか大学生を対象とした金融経済教育の普及活動等を引き続き積極的に行っていく所存でございます。

また、次に、事前相談に関する相談についてでございますが、4~6月が370件、7~9月が291件となってございます。相談の内容でございますけれども、やはり投資に関する相談が多く、4~6月の303件、7~9月は197件と、その大部分を占めてございまして、特に詐欺的な投資勧誘のうち、被害の前の相談にかかるものが主なものでございます。なお、全体の相談件数と事前相談の受付件数の関係ですけれども、ご承知のとおり、相談内容が取引前のもの、例えば金融機関等の確認や、金融商品の紹介等については事前相談の件数として整理しておりまして、そういう意味では事前相談件数というのは全体の件数の内数ということでございます。

最後に、当相談室は常日ごろから関係機関等との意見交換、情報交換などを行わせていただき、連携を密にさせていただいておりますが、相談者からの相談内容によっては、相談者の方々に関係機関、業界団体を紹介させていただいてございます。参考までにそれらの件数をご紹介させていただきますと、相談におきましては各関係業界団体を紹介させていただきました件数が4~6月が1,076件、7~9月が1,030件でございます。その中で特に保険に関する相談が5割前後を占めてございまして、都度、仲裁等のために協会を紹介させていただいております。また、相談室から消費生活センターなどの公的機関を紹介させていただきました件数が4~6月が166件、7~9月は170件でございまして、特に投資に関する相談で、詐欺的な投資に関する返金交渉などの個別案件については消費生活センター等を紹介させていただいております。逆に、消費生活センターなどから当相談室への相談も4~6月で152件、7~9月で157件と、引き続き多くの相談を受け付けております。主な相談としましては、投資商品の商品内容の照会等が多くなってございます。

相談実績の状況につきましては以上でございます。各ADR機関の方々とは定期的に意見交換、情報交換などを行わせていただいておりまして、この場をかりまして改めて御礼申し上げます。

当相談室は今年の7月で発足10年となりました。そこで、この10月から、金融庁として相談室として初めての試みとして、月1回程度の当相談室の出張の相談会の開催を都内でスタートさせたところでございます。また、地方財務局所在地でのいわゆる出張相談会もあわせて開催しております。このような対面式の相談会も実施することによりまして、これまで当相談室をご存じでない方もご利用いただければと考えております。当相談室といたしましても、引き続き金融行政を行う側のセンサー機能としての役割を果たして、また、関係機関、業界団体等との密接な連携を図りつつ、業務遂行を行っていく所存でございますので、よろしくお願い申し上げます。

○山本座長

ありがとうございました。

それでは、続きまして、金融ADR連絡協議会の概要について事務局からご報告をお願いいたします。

○菅井室長

金融ADR連絡協議会の開催状況についてご説明いたします。資料6の1枚紙でございます。前回の金トラ協以降、本年10月に連絡協議会を開催しております。テーマとしましては、利用者からの信頼性を向上させるための取り組みを取り上げまして、本日この金トラ協で取り上げた項目のほかに、利用者からの信頼を得るため、和解に向けた努力を行っている状況を利用者に対してどのように伝えていくのかといった点について報告、意見交換を行いました。各機関からは、実績等をさらに積極的に公表していく、あるいは紛争解決のプロセスの実態について、一般の人が見て納得できるような形で、また、消費者目線で公表していってはどうかといったような意見がございました。

簡単ではございますが、以上でございます。

○山本座長

それでは、ただいまのご説明、ご報告につきましてご質問等がありますでしょうか。どうぞ、お願いします。

○小浦委員

すみません、1点、金融サービス利用者相談室発足10年に当たって、都内と地方の財務局のところで出張相談室を設けるというお話がありましたけれども、この広報はどういうふうにされているのかちょっと教えていただければと思います。

○﨑山委員

出張相談会につきましては、まず地方の相談会につきましては財務局で金融経済教育等のシンポジウムが定期的に開催されています。それにあわせて金融庁から出張相談会、私ども相談室が出張をして相談会をしますということを、金融庁や財務局のホームページでPRしてもらって、そこにお集まりいただくというふうな形にしております。ただ、相談が1日限りでございますので、相談希望の方は1日5組限定とか4組限定とかということで事前予約にせざるを得ないという時間的な制限がございます。

あと、月1回の相談につきましては、実は行政評価局のご協力を得て、池袋の西武百貨店に行政相談のスペースがございますが、ここに月1回、金融庁の枠をいただきまして、そこで相談会を実施するということで10月からスタートをさせていただいていますが、今のところ、金融庁のほうから積極的なPRを行うというよりも、まずちょっと試験的にやってみようということで、西武百貨店に置いてある、百貨店のチラシとか、そういうところで相談会を開催しますというレベルでPRさせていただいているところでございます。

○山本座長

いかがでしょうか。どうぞ。

○小浦委員

はい、わかりました。一歩外へ出てこういうことをされるというのはとてもいいことだと思っておりますので、人員的なこともあると思いますのでなかなか対応が難しいところがあるかもしれないのですけれども、様子を見ながら拡充をしていっていただければと思います。

あわせて、先ほどの話で、金融ADRはほんとうに真摯に取り組まれていて、どんどん進化をしているというのもよくわかります。ただ、協会の中へ向いてのいろいろな、高橋さんがおっしゃいましたように、ADRの趣旨を説明するですとか、どんどん進んでいるのだと思うのですけれども、やはり樋山委員がおっしゃったように、消費者に向けてはまだまだのところがあると思いますので、そこは皆さん、消費者教育のパンフレットだとかおつくりになって、その中にもきっと盛り込まれているのだと思うのですけれども、そういう協会さんだけではなく、金融庁さんのほうでも金融ADRが中立・公平だということを何かの機会を見て、国民といいますか、消費者へ向けてもPRをするように政府も一緒に進めていっていただければ、もっと消費者も情報を取りやすいんじゃないかなというふうに感じましたので、一言申し添えます。

○山本座長

ありがとうございました。

それでは、ほかに。どうぞ、高橋さん。

○高橋委員

お時間のないところすみません。金融庁さんにお伺いしたいと思います。1点目は、この相談のカウントに関してです。出張相談会を始めたということは、今後は出張相談会の内容も全体の相談受付件数に入ってくるのか、それは別物になるのか、そのあたりをお伺いしたい。また、説明の中に事前相談を26年の5月から開始したと書いてあって、これに関しては資料5-1の上のところを見ますと、全体の中でこの事前相談の受付件数は9,201件のうちの370件というふうに書いてあるので含まれているということはわかったのですが、これを分けた意味というのがちょっとよくわからなかったので教えていただきたい。ホームページを見ると、事前相談のほうは、知るぽるとのホームページとか、いろいろな機関の資料を参考にしながら答えていくようです。事前相談でもそちらに直接アクセスする方と、普通の相談の中に事前相談含め行うケースもあると思うのです。私などが知りたいのは、事前的な相談と事後的な相談の比率がどうなっているのかです。データではそれがわからないし、今後、出張相談も入れるのだとすれば、「場での相談」と「電話相談」を分けるなど、民間は類型別に集計したりしているので、金融庁さんのほうももう少し見える化していただけるとありがたいです。

それと、もう一つ、詐欺的な投資勧誘に関しては、年齢がわかるところに関して統計を公表していただいているのですけれども、全体の相談に関して年齢を聞いているのかどうか。高齢者の相談、被害が増えていると思うのですが、相談者イコール被害者とは限らないですよね。投資勧誘の統計では、若い人で被害を受けた人が相談されているのが読み取れるのですけど、全体の相談の中では本人相談と支援者の相談の割合がわからない。その辺も今後の金融行政の参考にしていただくために、せっかくだったら聞いていただいたほうがいいのではないかなと思いました。

それから、「利用者から寄せられた相談等の活用状況について」というのが文面にあり、利用者全体の利便性の向上、検査・監督に生かすというふうになっているのですが、そもそも、相談室ができたときには企画の部分にも生かしていくことが期待されたと記憶しています。つまり法規制とかガイドラインとか、そもそもの枠組み、今日のADRもそうですけれども、昔は金融審で議論していたわけですけれども、検査・監督だけではなくて、企画局の分野にもフィードバックしていただくことが非常に重要だと思っています。その点が記述されていないので、何か理由があれば補足していただけたらと思います。

○山本座長

お願いします。

○﨑山委員

まず1点目なのですが、対面式の外部での相談会をやるに当たっては、その相談内容等については当然に、うちで受ける電話での対応と同じような形での事務処理をしますので、その件数も今度はそこを分けて件数として出すのかというのはちょっとまだ具体的に答えが出ていませんけれども、それを含めたところの相談件数とすることはそのとおりでございます。

2点目として、事前相談でございますけれども、当初やはり金融商品とか、そういう知識がないままに詐欺的な投資勧誘に引っかかるとか、そういうこともあって、そこら辺で商品について何でもいいですから聞いてくださいということでスタートした事前相談でございます。ところが、件数自体はそこの部分で私どもが思っていたよりは少し件数は上がっていないなというふうな感じは正直しているのですが、ご高齢者の方のいわゆる投資詐欺にかかる割合が若干減ってきているというのは、この事前相談でまずこういうところから電話があって、こういう商品というのはほんとうにあるんですかとか、こういう会社ってあるんですかというところで歯どめをかけることが意外と事前相談でできているということも少し寄与している部分ではないかなと思っています。

ただ、我々がもっとほんとうは欲していた投資商品とか外為のFX取引の商品の仕組みはどういうふうな形になっているんですかとか、具体的にもっと細かい金融商品についての商品説明を求めるというふうな質問というのは、正直、現段階ではほとんどないのかなというふうなことですので、そのあたりは事前相談について私どもももう少しPRが必要なのかもしれないというふうに思っています。

相談については、初めから事前相談という、そういう金融商品のことについて知りたいというときには、事前相談というふうにわかるような形で仕分けをしてございますので、そこは相談員のほうがそこで整理ができるふうになってございますが、実際、話をしていく中で、途中で、実はこういうのも言われているんだけど、これって何でしょうねっていうふうなことがあったときには、正直、相談員がつくる相談対応内容を見ながら、我々のほうで仕分けをしているということです。両方にカウントするということはちょっとやってございません。ですから、事前相談か、これはやはりトラブルの相談かということでの仕分けをさせていただいている部分があるということです。

総務企画局、企画部門に情報をというのは、これは私、舌足らずでございまして、当然に企画部門にも情報としては私ども毎日出してございますので、そこは検査・監督及び企画部門に情報を出しているということでお考えいただければと思っています。

○山本座長

よろしいですか。

○高橋委員

あと、年齢の件はどうですか。

○﨑山委員

年齢は、私ども相談員は原則、お名前と性別と年齢については最初にお聞きするということを原則としているのですが、やはり詐欺被害等に遭った方は、なかなか年齢とか言いたくないっていう方もいらっしゃるので、そこは強制がちょっとできないので、そこを全てお聞きした中でご回答をいただけた部分について年齢がわかったものということでの統計をとらせていただいているということです。

○山本座長

基本的にはご本人が相談というのは通常。それ、要するに、第三者の方が被害に遭ったのを……。

○﨑山委員

第三者の場合でも、相談者の方の年齢となっています。

○山本座長

それでは、よろしゅうございましょうか。予定された時間が過ぎていますので、本日の審議はこの程度にさせていただければと思います。

次回、第51回の協議会につきましては、いつもどおりですが、来年6月ごろを予定しておりますので、また詳細については追って事務局のほうからご連絡をしていただきたいと思います。

それでは、本日の審議はこれで終了したいと思います。長時間にわたって活発なご議論、ありがとうございました。

(以上)

お問い合わせ先

金融庁Tel 03-3506-6000(代表)
総務企画局企画課金融トラブル解決制度推進室
(内線3528)

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