第31回金融トラブル連絡調整協議会議事要旨

1.日時:

平成18年6月23日(金曜日)14時00分~16時25分

2.場所:

中央合同庁舎第4号館 共用第一特別会議室

3.議題:

金融商品取引法等について など

4.議事内容:

金融商品取引法等について

  • 金融庁総務企画局市場課投資サービス法令準備室松尾室長より資料1及び資料1参考に基づき説明が行われた。

    • 原委員 認定投資者保護団体については、制度を周知徹底して名乗り出てくるところがないかを見極めるというような説明だったが、特に金融の中の消費者政策としては非常に大きな柱であり、金融行政としては是非この場、それから金融審議会の場で早急に検討を開始していただきたい。そこで、認定投資者保護団体というものを条文に入れた経緯、何を目指したものかについて、もう少し詳しく説明していただきたい。また、金融庁の中でどのように検討するつもりかという点について説明願いたい。

    • 松尾室長 経緯については、金融審議会第一部会において、それほど議論はなかったかもしれないが、事務局から提案し、概ねご了解を得た上で報告書に記載し、これを踏まえて今回立法化したもの。目的については、証券業協会等の法律上の根拠のある自主規制機関は、金融商品取引法においても引き続き法律に基づいて活動いただく一方、これらの自主規制機関以外の業界団体、消費者団体あるいはNPO法人などに手を挙げていただき、法律の枠内での活動に位置付けた上で、国民あるいは利用者の信頼を、より得られる枠組みの中で活動していただくことを考えて、今回法律に盛り込んだ。それらの団体の自発的な申請に基づいて認定をするということで、原委員のご指摘のとおり、円滑な実施に向けて活かされるということが大事であり、より多くの方に利用いただけるよう、今後、周知あるいは広報活動に向けて努力して行きたい。

    • 原委員 これが苦情や紛争解決の完成形と考えているわけではないですね。

    • 松尾室長 金融審議会第一部会報告では、「苦情解決あっせん業務は利用者保護を図るために重要な役割を担うものであり、平成12年6月の金融審議会答申の考え方を踏まえ、その強化に向けて引き続き検討を行うべきである。」というご指摘をいただいており、引き続き検討すべき課題であろうかと考えている。

    • 島野委員 参議院の付帯決議などでいう「トラブルが解消していかない場合」とは、何処かに寄せられている苦情の件数など、具体的にはどのような状態を指しているのか。

    • 松尾室長 これは立法府における付帯決議であり、私ども行政が解釈を示す立場に無い。ただし、国会の審議の中では国民生活センターへの苦情件数が取り上げられておりました。

    • 石戸谷委員 認可協会と公益協会と認定投資者保護団体に分かれると、証券業協会などは認可協会であり、参画団体がいろいろとあるが、その他の団体、例えば、銀行協会とか、生保協会など法律に基づかないものは、どのように分類されていくというイメージになるのか。

    • 松尾室長 協会の章は、タイトルは金融商品取引業協会であるが、そのうちの認定投資者保護団体は、自主規制機関という位置付けではない。自主規制機関は、認可協会と公益法人協会の二つであり、この二つの自主規制機関については、金融商品取引業者が設立ないし会員になるということ、正確に言うと登録金融機関も入ってくるというのはある。このため、純粋な銀行とか保険については、引き続き銀行法あるいは保険業法で業として位置付けられるので、ここでいう金融商品取引法の認可協会、公益法人協会と位置付けられるものではなく、銀行として、あるいは保険会社としてということである。一方、今回は新たに様々な商品が金融商品取引法の対象範囲に入ってくるため、それらの新たな商品を取り扱う者が金融商品取引業者になる。そうした新たな商品を取り扱う団体が、公益法人協会として位置付けられるかどうかという点については、法律上の仕組みは認可協会でさえ強制設立ではないため、認定を受けるという点については、各団体、各業界の中でよく検討いただくという位置付けになっている。

平成17年度の各団体における規則の改善等の報告について

  • 金融庁総務企画局政策課金融サービス利用者相談室安藤室長より資料2-1に基づき説明を行い、次いで金融トラブル連絡調整協議会事務局から資料2-2、2-3、2-4に基づいて説明を行った。

    • 原委員 資料2-3で運用面の状況について、会員企業又は代理店・販売業者の欄を見ると各会員のホームページには苦情・相談受付等のPRの記載をしていないところが大半である。これには何らかの理由があるのか。

    • 神門委員 銀行とりひき相談所のPRについては、全銀協のホームページには当然載せている。加盟銀行のホームページについては、一部の銀行が全銀協のホームページへのリンクを貼っているものの、各銀行のホームページにそのまま載せるというところまでは行っていない。

    • 原田委員 金融先物取引業協会に加盟している会員は、会員である旨をホームページに掲載するとともに、当協会のホームページ・アドレスを基本的に掲載するよう指示している。ただし強制できないので、加入している協会名だけを載せているというのが実態だと思われる。

    • 原委員 各金融機関個別のホームページは、かなり充実しているので、その金融機関で解決しなかったものは、それぞれ協会の苦情紛争解決や他の仕組みもあるので、そういうものを各金融機関のホームページで是非PRしていただくよう各金融機関に徹底をしていただきたい。

    • 高橋委員 金融庁の利用者相談室について、私も時々利用させてもらうが、よく言えば慎重、率直に申し上げるとたいへん杓子定規な受け答えだと感じる面がある。これについて、ユーザー・フレンドリーな対応ができているかを確認するために利用者満足度調査を行う計画は無いのか。また、相談員には、消費者相談に従事してきた方と金融機関OBの方がおられると聞いているが、金融機関OBの方の比率が増えているから杓子定規な対応に感じるのではないかと考えており、実態を知りたい。次に、受けた相談等のうち業界団体を紹介しているのが1割程度だということだが、後の9割はどういう扱いになっているのか実態を知りたい。

    • 安藤委員 今のところ満足度調査を実施する考えは無いが、調査を行うかどうかも含め今後検討したい。次に相談員の構成については、消費者相談に関する資格を有する方がほとんどであり、金融機関での勤務経験者も若干いるものの消費者相談業務に従事していた方が中心となっている。次に、業界団体の紹介の件であるが、相談室には、個別のトラブルに関する相談以外にも一般的な照会や質問、例えば、業者の登録の有無についての照会といったものもある。また金融行政に関する要望等もあり、個別のトラブルに関する相談のみが寄せられているわけではない。

    • 高橋委員 消費者相談に関する有資格者を相談員に採用しているとのことだが、その人数や保有している資格などについて開示するのも相談室の信頼性の確保、ユーザーフレンドリーな対応を実現するための一つの方法ではないかと思う。もちろん、単にFP、消費生活アドバイザーや消費生活コンサルタントの資格を持っているだけでは十分ではなくて、やはり経験年数とか様々なものが加味されないと利用者が満足するフレンドリーな対応ができないのではと感じるので、今後、金融庁でも努力していただきたい。

    • 安藤委員 相談員の経歴の開示については、そのようなご意見があったことは承らせていただく。相談員については、当庁で実際に業務に従事する中で覚えていくことが大事だと考えている。

    • 土田委員代理 生命保険に対する苦情を見ると、銀行の窓販から生保に渡ったという事例がでているが、銀行の窓口に行かれた方は、銀行の商品だと思って買われる方がほとんどだと思われるので、銀行の窓販で生命保険を売る場合の注意喚起など、もう少し販売方法に工夫がされて然るべきではないか。次に貸金業について、紛争がゼロということになっているが、これは要するに業界団体として把握をしていないと見てよろしいのか。あれだけいろいろ問題が多かったのに紛争がゼロというのは納得がいかない。

    • 竹中委員 いわゆる銀行窓販におけるトラブルというものに対して生命保険協会としては、原因を分析し、個別の会社に対して意見を申し入れる場合もある。また、生命保険会社からも銀行に対しての募集上の営業研修を行っている。当協会で受け付けた銀行窓販にからむ苦情件数は、16年度より17年度は合計で増えたが上期に当協会から個別に会社と話しをしたところ、下期でかなり減ってきた。当該会社によれば、全国くまなく、保険会社の担当者が銀行に出向き研修を徹底したということである。

    • 神門委員 全銀協としても、昨年この問題を大きくとらえ、各銀行へ注意喚起の通知を行った。また、先進的な取組みをしている銀行の事例を集め、各銀行に通知するということで対応を図ってきている。内容的には、先程の生命保険協会の説明と同様に各銀行とも対応しているところ。全銀協に寄せられるクレームは、窓販の件数の増加に伴い16年度より17年度の方が多いが、今年に入って若干減少傾向にある。

    • 矢野委員 報告の中では紛争はゼロとなっているが、今回のアンケートの中ではその項目がなかったため、このような結果になっているだけであり、確かにご指摘のように、紛争事例は、過払いの問題など現実にはある。

    • 高橋委員 私が存じている事例では、適合性原則違反が疑われるような70代、80代の人が90歳から年金開始になるようなケースがある。先程の生命保険協会の銀行窓販の件の対処結果では、自分でチェックを入れていたり、書類に署名、捺印しているから錯誤に陥っていたものとは考えられない、という結論になっているが、一般的に高齢者のケースでは本人がよく分からずに署名しているケースも多いと思うが、その辺はどのように考えているのか。

    • 竹中委員 この事例は、30代後半の女性社長の方の案件。本件では、保険会社を通じて、銀行の担当者、申立人双方から申込時の経緯等を確認したところ、錯誤というような状態には決してないような方であるという結果になった。この裁定審査会が始まってからこの事例以外に1件まだ係争中の事案があり、高齢者の方だが、裁定審査会として事情聴取を通じてその方の認識度とか、どういう説明があったか、銀行サイドを含め別々に話を聞き、極めて中立的に確認をし、説明義務を十分に果たしていたかどうかという点と、認識が十分になされていたかという点を確認するという進め方をしている。

    • 高橋委員 多くの紛争処理等の中から、どのような基準でここに記載した事例を選択しているのか。取り上げられた事例だけを見ると、相談者側ばかりに問題があるように読める。今後ホームページなどで、様々な事例を出していく場合に、相談者の背景等の情報が分からないと、事例だけ見ても判断できないということがある。報告に関する基準について、もう少し合意が必要ではないか。

    • 事務局 検討する。

    • 土田委員代理 先程の貸金業のところで紛争がゼロということで、アンケート用紙にそういう項目がないというような話をされたが、金融庁としては、何をもって紛争としているのか。裁判事例などは紛争とは言わないのか。

    • 岩原座長 苦情紛争解決規則にいう紛争の定義でアンケートしているということか。

    • 事務局 そうである。

    • 土田委員代理 であれば、裁定委員会のないところは常にゼロということか。

    • 事務局 事実関係を確認の後、ご報告する。(注)

    • 岩原座長 アンケートの取り方の工夫の問題もあると思われるので、今のご指摘を受けて事務局の方で検討していただきたい。

参加団体等における裁判外紛争処理に係る取組みについて

  • 生命保険協会から資料3-1に基づいて説明を行った。次いで、信託協会、全国貸金業協会連合会、全国銀行協会、農林中央金庫、日本損害保険協会の各委員から資料3-2に基づいて説明を行った。

    • 石戸谷委員 不払いの関係でいくつか処分が出ており、払うべきものを払っていないという件数が相当な数になっていると思うが、その後払われるべき金額が払われているかについてのフォローというのは、協会なり、金融庁の方で行っているのか。

    • 八田委員 当庁の監督局の担当ではあるが、基本的には、業務改善命令が出された場合、その改善状況を確認するなかで、不適切な不払いに係る対応状況についても確認している。

    • 蓮澤委員 生命保険協会の取組みについては、一年かかってようやくここまで来たかというおもいとともに一定評価している。その中で、苦情相談対応態勢の強化について特に評価をしたいと思う。損保協会、銀行、貸金業などについての処分もここのところ続いているが、個社それぞれが自分の会社のことでもあるのだと受け止めているかという点が不安である。そういう中で、各社へのけん制機能として協会がこれだけのことをしていくということがとても大事なことであると感じており、それが各会社での取組み十分に活かされていけばいいと考えている。

    • 高橋委員 生保業界は、大変な危機意識を持って取り組まれたと思っており、実効性を今後上げていただきたい。この協議会で作った規則との関連でいえば、非常に規定を強化されたところがあり、我々の活動も、もう6年ということになったので、この規則そのもので見直さなければいけないところがあるのか、あるいは規則以上のところを評価していくのか、この協議会の役割ももう一つ出てきたという感じは持っている。次に、損害保険業界の一連の不払い問題でひどい事例が今、出てきているわけだが、やはり、これも個社の問題というよりは、業界の体質に基づく業界共通の問題も少なからず見られるという印象がある。特に、生保と損保は隣接業界であり、他業界で取り組まれたことに関して、自分のところにも同様のものがあるかもしれないということで迅速に取組んでいただきたい。

    • 山崎委員 既に損害保険協会でも、例えば、ボイスリポートに相当するものとして、業務報告があり、四半期ごとに報告を行っている。また、苦情のフィードバックということで、各保険会社に個社の苦情を全データ戻すといったような対応はしている。

    • 土田委員代理 苦情の取扱いについて、各社とも、苦情は個人のミスというような捕らえ方をして欲しくないと考えている。個人のミスではなく、同じことが組織で行われているのではないかという危機感を常に持っていただきたい。個人のミスとしての処分で終わることなく、必ず組織の中で見直していただきたい。そうすれば、このような大事な問題になることは少ないのではないかと思うので、よくご検討願いたい。

    • 石戸谷委員 自主規制機関の話に戻るが、ガイドラインなどを作っても拘束力がなければ実効性に問題がある。確かに自主規制機関は金融商品取引法の適用される金融商品取引業者等だけである。他の業態に関しては一部横並びで、準用されている分野においても、準用しているのは行為規制だけであって、自主規制機関のところは、全く横並びになっていない。この点については、やはり乗り越えるべきではないかと思う。せっかく紛争解決支援規則や苦情解決支援規則を作って再発防止等の様々な信頼性確保の手段が謳われているのだから、単に協会の方から自主的にやってくださいというような形の提示しかできないのであれば、実効性に限界があると思う。

    • 原委員 私からも補足として意見を述べたい。何故こんなに貸金や生保、損保も、苦情が山のように出てくるのか。5年も6年もこの協議会をやっていて、非常に残念に思っているので、もう少し有効な仕組みを検討する場を是非立ち上げていただきたい。

(注):金融分野の業界団体・自主規制機関における苦情・紛争解決支援のモデル(平成14年4月25日)

2-1(苦情等の定義)

1.  苦情とは、関係者にその責任若しくは責務に基づく行為を求めること、又は、商品やサービスの内容若しくは営業活動等に起因して何らかの被害が発生しているか、若しくは、被害が発生する可能性があるものをいう。

2.  紛争とは、上記1の苦情のうち当事者間による解決ができず、消費者から、各機関が定める紛争解決支援規則に沿った解決の申し出があり、当該規則に基づき解決が図られるものをいう。

以上

お問い合わせ先

金融庁 Tel 03-3506-6000(代表)
総務企画局 企画課
(内線3682、3516)本議事要旨は暫定版であるため、今後変更があり得ます。

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