第35回金融トラブル連絡調整協議会議事要旨

1. 日時:

平成20年3月31日(月曜日)14時00分~16時00分

2. 場所:

中央合同庁舎第7号館13階 共用第1特別会議室

3. 議題:

  • (1)金融分野の業界団体・自主規制機関における苦情・紛争解決支援のモデル改正のためのワーキンググループについて

  • (2)業界団体等からの報告

    • 日本貸金業協会
    • 日本証券業協会
    • 国民生活センター
  • (3)訴訟等を理由とする金融ADR手続の拒否について等

  • (4)最近の消費者政策を踏まえた自由討議

4. 議事内容:

金融分野の業界団体・自主規制機関における苦情・紛争解決支援のモデル改正のためのワーキンググループについて

事務局から第34回金融トラブル連絡調整協議会(以下、「金トラ協」という。)での議論を踏まえ、苦情の定義の変更や第三者委託方式における業界団体等の責任・会員企業の義務に関する規定の整備等を検討するため、「金融分野の業界団体・自主規制機関における苦情・紛争解決支援のモデル改正のためのワーキンググループ」を再開することが提起された。

  • 石戸谷委員 金融分野の業界団体・自主規制機関における苦情・紛争解決支援のモデル(以下、「モデル」という。)の改正自体は意味のあることだと思う。しかし、金トラ協は、平成12年6月の金融審答申で指摘された5項目((1)個別紛争処理における機関間連携の強化、(2)苦情・紛争処理手続の透明化、(3)苦情・紛争処理事案のフォローアップ、(4)苦情・紛争処理実績に関する積極的公表、(5)広報活動を含む消費者アクセスの改善)を実施するため設置された。以来、平成14年4月にモデルを取りまとめて、その後フォローアップをしたものの、運用改善がはかばかしく進まないといったところが岩盤のようになっている。そのような状態のなかで、モデルの水準に達していないにも関わらず、更にもう一段階モデルを改正しても効果がどのくらいあるのか。

    現在、2007年7月の消費者の紛争解決及び救済に関するOECD理事会勧告などを受け、今月27日の国民生活審議会総合企画部会の報告書でも、行政が被害救済に直接関与する制度や父権訴訟等、様々な提言を政府について検討すべきであると謳っている。運用改善は結構だが、基本的な骨組み自体を検討する時期ではないか。

    そのため、金トラ協は設置趣旨からして、検討する受け皿としてはあまり相応しくなく、金融審議会で検討すべき。

  • 原委員 長年モデルを見てきて感じるのは、モデルはとても立派でも実態は全然追いついていないということ。検証なしにモデルだけを見直しても、同じようなことが繰り返される。検証を前提に検討するべき。

以上の意見や議題4での議論を前提として、ワーキンググループの再開が了承された。

日本貸金業協会からの報告

日本貸金業協会の福原委員から資料1の「日本貸金業協会における苦情処理・相談対応」に基づいて説明が行われた。

日本証券業協会からの報告

日本証券業協会の白石委員から裁判外紛争解決手続の利用の促進に関する法律(以下、「ADR法」という。)の認証申請について以下の説明が行われた。

  • 白石委員 日本証券業協会では、当協会のあっせん制度の信頼度・認知度を高めていく必要があることや、あっせん手続利用中に時効が進行する問題を解決する必要があり、より利用者が安心して利用できる環境を提供していくためADR法の認証申請をした。認証申請手続では、一方当事者が当協会員であることについて、どのように公共性を確保するのか問題となったが、本協会は、認可協会として金融商品取引法(以下、「金商法」という。)の監督を受けていることから、支障がないのではないかと主張した。ADR法の認証を受けると、今後、細かな事務処理の手続が求められること、規則改正の手続に際しては、新たに変更認証という手続が生じること、申請内容の厳格な保守管理業務が求められることなどから、バックオフィス部門の負担が増大するものと考えている。ADR法の認証取得については、昨年の秋から検討を始め、今年の2月に申請した。認証を受けられるのは夏頃になるのではないかと思っている。

国民生活センターからの報告

国民生活センターの井口委員から資料2の「国民生活センターにおける『金融・保険サービス等』に関する相談件数及び傾向等について」に基づいて説明が行われた。

  • 浜地委員 資料2の商品先物の中には、国内の商品取引所法に基づく取引以外のものも含まれていると聞いているが、どのようなものが入っているのか。

  • 井口委員 国内公設市場以外の海外の商品先物等も含まれている。

  • 竹中委員 業種別の相談件数において、会社生命保険とは共済と区別分類した民間保険のことで、建物火災・傷害保険・自動車保険に関する相談は損害保険に分類されているようだが、医療保険など第三分野の保険はそれぞれ生保会社・損保会社に区分けされているか。また、相談件数は苦情と一般の相談が合算された数字なのか、苦情そのものを表しているのか。最後に、高齢者対応についてはこれまでも国民生活センターからは要請を受けているところだが、この60歳代以上の相談者は、相談の電話等があった時点の年齢なのか、契約時点の年齢なのか、伺いたい。

  • 井口委員 まず、第三分野は生命保険会社が販売しているものについては生保、損保会社は損保という形で集計している。相談件数は苦情のみの数字。また、高齢者の60歳代以上は相談時の年齢であり、例えば、若い頃に入った保険の配当金が満期の際、当時説明された金額と違うという苦情の申し出者が60歳代以上であれば、ここでの件数として把握される。

  • 玉本委員代理 日本貸金業協会の資料1の7ページに、債務解決支援として第三者機関の紹介、生活再建支援・生活のリハビリテーションとして心理カウンセリングの実施・精神保健福祉センター等の紹介等の記述があるが、これら機関等の連携はとれているのか。

  • 福原委員 本日終了するJCFA(日本消費者金融協会)のカウンセリングセンターで行っていた生活再建支援や依存症等への対処は、新しい協会で行うこととなっており、他機関等との連携も今後行う予定。

  • 高橋委員 加入貸金業者が増えていないことに関する認識如何。また、資料1の13ページに非協会員に対して協力を要請する項目があるが、もっと協会への加盟を促す等の対応ができないのか、できないとしたらその理由を教えていただきたい。

    それから、資料1の12ページの貸付自粛制度(つづき)に「必ず貸付けが受けられなくなるという保証はない」とあるが、なぜなのか。

  • 福原委員 協会加入率は約40%であり、まずは現在加入の会員業者が漏れることのないようにしたい。各種契約書関係の販売等の事業者に対するサービスが前の協会のときには色々あったが新協会においては何ら無いとか、会費がちょっと高いという声も少しある。今後、この状況でいいのかについては、協会内部でも検討していく課題。貸付自粛制度について、あくまで自粛であることから、必ずしも保証はない。なぜ今後貸さないことを担保できないかについては、今後検討していかなければならない課題。

  • 高橋委員 加入業者4,063社40%とのことであるが、資料1の1ページ目に新協会設立に必要となる加入貸金業者のシェア完全施行時50%とあることとの関係がよく分からなかった。また、消費者から見て加入貸金業者かどうかどのように識別できるのか、識別できるための取組みを教えていただきたい。

  • 福原委員 消費者からの識別については、新聞・雑誌の広告には日本貸金業協会員ナンバー○○といった表示の義務付けがある。新聞・雑誌のサイズにより協会員であることのみ表示することや、協会の相談センターを記載する場合もある。その他、各会員企業のATMコーナー等に協会員のシールを貼るという案があり、今後検討していく。

  • 高橋委員 早急に対応していただきたい。マークが各都道府県によって色が違う等の不都合はあったが、前の貸金業協会はかなり努力していたと金トラ協では受け止めていた。金トラ協に入っている以上は少なくとも相談の組織をもっているのだから、ここに加盟している業者であることを胸を張ってアピールすることが必要であり、前向きな努力をお願いしたい。

訴訟等を理由とする金融ADR手続の拒否について等

事務局から資料3-1「訴訟等を理由とする金融ADR手続の拒否について」及び資料3-2「国民生活センター、消費生活センターとの連携状況について」に基づき説明が行われた。

  • 原委員 資料3-1の最後の表の「消費者から申立てがあったが紛争解決支援手続を行わなかった件数及び理由」で、日本損害保険協会は全ての件数をその他の理由としているが、その他とは何か。また、資料3-2の4ページ国民生活審議会消費者政策部会議事録での松本部会長の「従来センターでのあっせんに乗ってこないのが銀行業界だと言われている」との発言の一方、5ページ「あっせん・調停に会員企業が誠実な対応をしているか把握しているか」で、把握しているとした団体は全国銀行協会だけと全く反対であるが、なぜか。

  • 坂本委員 日本損害保険協会に申し立てられる事案には、事故そのものが起こったのか、発生したかどうかが争点になっている事案や、事故と損害の程度が争点となっている事案が多数ある。こうしたものの中には、損害保険調停委員会で事実認定できないものがあり、これらが主としてその他としてカウントされている。

  • 原委員 ほとんど全部がそういう判断になるのか。

  • 坂本委員 他に受理した件数もある中での件数であり、不受理とならざるを得ないものもあるということである。調停委員会は警察のような調査権限を有していないため、事実関係で判断が付かない事案は不受理とせざるを得ず、相応の件数に上っている。

  • 辻委員 会員銀行等の話から、資料3-2の5ページのとおりと認識している。4ページの国民生活審議会の件については、全銀協は参加していないが、議事録が公開されたことを受けて当方でも調べてみた。ただ、松本部会長の発言の「従来センターで」というのが、国民生活センターなのか消費生活センターなのか分からず、また、中身がどのような案件なのか、投資信託なのか変額個人年金保険なのかということが分からなかった。そのため、国民生活センターへ実際出向いたり、国民生活センターのホームページに掲載されている相談事例を調べてみた。ホームページには変額個人年金保険の事例が1件あったが、本件は銀行もあっせんに乗って終了した事案であり、結局、個別の案件としてどのようなものか判明しなかった。

    一般論的には、国民生活センターからは、消費者と銀行を呼んでみると、該当する案件について事前にしっかりと調査し、対応してもらえるが、最近の場合、特に金商法により銀行に説明項目のチェックリスト等の証拠があった場合は、銀行は国民生活センターには来るが、きちんと説明は果たしているとしてなかなかあっせんに乗ることはないと聞いている。

  • 原委員 金融業界のトラブルは、相談対応の場面のやりとりにも不満やトラブルの原因があるようなので、対応自体も検討すべき。

  • 井口委員 松本部会長の発言について、どの事例を指しているか分からないが、消費生活センターの相談員の印象としては、外れてはいないと思う。銀行が相手の場合、トラブル発生時にお互いに譲歩を引き出して解決線を見出すようなあっせん対応が現実にはほとんどとれない。

    例えば、高齢者に変額年金等のリスクの高い商品を販売し、リスクの説明について言った言わないというようなことになった場合に、銀行側はチェックリスト等の証拠があるといって、そこから先もう話が進まない。当事者にリスクの認識がなかったといっても、どうしてもあっせんに乗ってこないということが現実には多いと思う。ただ、決して出て来ないとか、一切あっせんに乗る姿勢も見せないということではないと感じている。

最近の消費者政策を踏まえた自由討議

金融庁の大森委員から、資料4の「最近の消費者政策を踏まえた法律案の概要について」及び参考資料の「消費者行政のあり方に関する最終とりまとめ」に基づき以下の背景説明が行われた。

  • 大森委員 私は金トラ協の事務局だが、金融行政を代表する委員の立場で発言させていただく。金融行政も大蔵省から分離して10年経ち、当初は国民生活センターに裁判外紛争解決をお願いする議論もあったが、国民生活センターに金融商品や業法の知識もないため、各業界が自主的に取り組み、そのコーディネーターとして金トラ協を設けて現在に至っている。個々の担当者は一生懸命にやってきたかもしれないが、全体として満足できる水準に達していないという石戸谷委員の見方が普通の見方だと思う。

    本日、前半の貸金業協会・証券業協会・国民生活センターの説明が偶然ながら後半の議論にもかなり関係してくると思う。貸金業協会は従来は県ごとの公益法人で中小業者の業界団体的な性格が強かったのが、業法上の認可法人として全国一律の法人として自主規制機能を持つようになり、大手の業者が業者としての力に応じて自主規制も一生懸命やらなくてはならなくなった。どちらかといえば自分の仲間だと思っていたものが、自分を取り締まるものに変わってくる。これは乗り越えなくてはいけない壁であるが、その辺りが貸金業協会と高橋委員とのやりとりの背景にあるのだろうと思って聞いていた。そういう形で昔から自主規制をしているのが証券業協会であり、ADRもほとんど唯一といっていいが、顧客と業者の言い分を聞き、例えば責任の割合が4:6くらいであれば、50万円損したなら6割の30万円払っておしまいにしなさいということを日常的にやっている。それ以外のところといえば、例えば、生保協会は認定投資者保護団体資格をいち早く取得したのは大変結構なことだが、地域の相談員などからは生保協会のあっせんは、あっせんしているのか被害者をあきらめさせようとしているのかよく分からないという声も聞くし、銀行協会は4万件相談・苦情がきて2件しか紛争解決していないのは一体何なんだ、というのが素直な物の見方ではないか。冒頭、石戸谷委員が言ったように、いつまで金トラ協の枠組みで物事を検討していくのかという議論が出てくる背景があると思う。

    新たな動きについて簡単に説明したい。資料4では1番目は、既に前回の協議会でも紹介した今国会の国民生活センター法改正案が出ており、当事者を呼び出す、資料の提出を求める、といった法的な機能が国民生活センターにあると呼び出された方もなかなか断りにくくなり、それに止まらず独立して職権を行使する委員会を設け、時効の中断等の法的効果を持つということで、今まで明確でなかった国民生活センターのADR機能がクリアになる。そして、設立が検討されている消費者庁にとって国民生活センターが最も重要な実働部隊になってくると思われるため、国民生活センターと金融分野の裁判外紛争解決の関係をどう考えるかという論点がある。

    2番目は2007年に集団訴訟が消費者契約法で開かれており適格消費者保護団体であれば消費者契約保護上の不実告知について差止請求ができるという制度があるが、これをさらに拡充する法案が今国会に提出されている。不実告知に止まらず、故意の事実不告知とか、威迫、誇大広告に拡充されている。ただ、特定商取引法上の違法行為に拡充したが、特定商取引法は経済産業省所管なので、二重規制回避のため金融業法を適用除外している。したがって、こういった集団訴訟の道が金融サービス利用者には適用されない。

    3番目は金融商品取引法と発想は同じだが、特定商取引法そのものの改正であり、訪問販売などの分野において隙間無く消費者保護を図るということで、経済産業省が取り組んでいるが、金融業法については既に必要な消費者保護の規定が置かれており適用が除外されているというのが最近の国会に提出された法律案の動向である。

    さらに参考資料として、先々週の自民党消費者問題調査会のとりまとめを用意している。1ページに骨子があり、産業育成官庁から独立し消費者・生活者目線で他省庁に司令を出す「消費者庁」を新設する、あるいは、違法収益のはく奪、相談窓口の一元化、被害救済の簡易・迅速な仲裁制度、といった取組みを今後、推進して行くべしとして、具体的な提言がなされている。これを政府がどう受け止めて制度化していくかについては、原委員が政府の有識者委員になっているので、後ほど補足していただきたいと思う。消費者庁の仕事は何かというと、例えば、7ページに新しい行政組織が所轄すべき具体的な法律として特定商取引法、景品表示法、製品安全として消費生活用製品安全法、さらに食品安全委員会の食品安全基本法、こういった横断的な対応が相応しいと考えられる法律については消費者庁が所管していくという方針がとりまとめでは示されている。先程1ページで申し上げたように、違法収益のはく奪、窓口の一元化、簡易・迅速なADR等といった取組みがなされていくと、直接は消費者庁で所管しない金融分野における取組みをどうしていくのかということになる。

    冒頭、制度なのか制度に基づく運用なのかということを申し上げたが、先般の貸金業法は非常に統制色の強い法改正と言われており、貸金業協会も証券業協会並にしなければならないとして、当事者の意向はお構いなしに法的枠組みが用意された。その場合に往々にして当事者の意識からかなり離れた義務付けがなされるとうまくワークしないのではないか、という議論もあり、この辺の兼ね合いがいつも難しいところである。

    イギリスでは保険業界の破綻や不払いに対する国民の批判が80年頃高まったことを受けて第三者に紛争をあっせん解決してもらうための財政的な手当を業界がした。わかりやすく言えば、「金は出すけど口は出さない。」ということで、業界サイドは第三者機関のあっせんに従うが消費者の側は裁判を起こしたければ起こして下さいという取組みが各業界で定着した。20年程経ったところで、定着した実態を2000年の金融サービス・市場法で立法化した。従って、金トラ協もおそらくそういうフェーズにあるが、石戸谷委員の言う岩盤にぶつかり進捗状況がはかばかしくない。

    そこで、ただいま申し上げたような客観情勢の変化もあり、今後どうしていくかということについて意見をいただきたい。もちろん、今日だけでは済まないと思うが、いくつか考えられることはあるだろうと思う。既に認定投資者保護団体やADR法という制度があるので、それらの取得を目指すとか相談員を質・量ともに拡充していくとか、さらには、第三者性が消費者から明確に分かり実際にも第三者として紛争解決ができる体制を整備していくことが考えられる。一方で、国民生活センターは誰が見ても第三者性に文句をつける人はいないわけで、単に金融の知識やノウハウが無いということだから、必要な資金・人材を拠出して、国民生活センターで金融分野の具体的な紛争解決を行うことが考えられる。あるいは、元々議論はされている割になかなか実現に向けた気運がこれまで盛り上がってこなかった金融版国民生活センター、金融版ADRみたいなものも考えられる。そういった取組みがなかなかニワトリ・卵の関係で難しいのであれば、制度が先行するということもありうる。これは既に消費者庁がそうした形で動こうとしている訳だから、金融分野も手をこまねいているわけにはいかない。

    そこで、どういう仕組みがいいのかというのは、何分コストがかかる話であることは間違いないので、金トラ協委員は顧客相談に携わっている方々であり、必ずしも自分の思ったことをそれぞれの団体の長に従わせられないだろうから、自分が感じていることと自分の業界の公式な方針というのが必ずしも一致しないもどかしさを感じてこられたのかもしれない。冒頭私が今日は委員としてと申し上げたのは、金融行政というのは当然、様々な局面で業界と意見交換をしたり物事を要請したりするわけであるから、この金トラ協の場に限らず色々な形で、これまでの経緯、最近の情勢の変化を踏まえ、金融分野の紛争解決システムについて何が出来るのか、改めてこれまでの発想にとらわれずに考える必要があるし、その時期に来ているのではないかということを申しあげていきたいということ。ただ、金トラ協に35回の歴史があるのも確かなので、この枠組みの中でまずはどう考えるのかというところから、今日から始めていってはどうかということで、自由討議のための問題提起をさせていただく。

  • 原委員 前半の報告を聞いても、8年間金トラ協で改善しようとしたものが、ほとんど改善されていない。例えば、生命保険のトラブルは、国民生活センターの相談件数では20位あたりが長年続いているから、これを減らしてほしいと言っていたが増えている。貸金も、消費者とのトラブルをどうすれば解決できるかもっと頑張ってもらいたい。先物取引も、お年寄りを狙った不招請勧誘でトラブルが多いことを金トラ協立上げのときから言っているが、相変わらず多い。銀行とか損害保険は、トラブルになったときの接客対応という、トラブル解決の一番最初の基本のところが相変わらず非常に悪い。件数を見ると、8年間努力してきた結果が実を結んでいない。大森委員から発言があったように、今、国、政府のレベルで消費者行政全般をどう見直すかという議論が始まっている。自民党の消費者問題調査会は、3月19日に終わり、最終とりまとめが出た。国民生活審議会は、先週、消費者政策部会と総合企画部会が終わり、4月3日に総会が開かれるが、消費者行政についての新組織についての提言をしている。官邸では、消費者行政推進会議が2月12日から3回開催されているが、今週から週1回のペースで新組織の検討を進める。新組織は、今日ここで議題になっている苦情とか相談の解決、情報をいち早く政策提言に結びつけていくこと、実際の被害救済とかが大きな柱のひとつ。ここで8年検討してきたが、その次のステップに行くべき。金融紛争解決のための全体的な枠組みについて新たな枠組みの構築を是非お願いしたい。

  • 玉本委員代理 原委員に賛成であるが、金融は非常に幅が広いので、個々の業法を所管している金融庁が主体となってやっていかないといけない。国民生活センターに任せたよというのでは、消費者側から見ると隔靴掻痒というような気持ちで、どうしてじゃあ自分のところでやらないのという思いがある。日本消費生活アドバイザー・コンサルタント協会では、平成15年からConsumer ADRをやっており、統計をとっている。3月31日今日をもって終了する平成19年度では、ADRは5件行った。2,740件くらいの相談の中から5件を調停・あっせんを行ったが、その中には金融問題も1件入っている。これは、消費者が問題解決を事業者と交渉したが、どうしても納得いかないということで、日本消費生活アドバイザー・コンサルタント協会の110番に入った事例であった。そのときに思ったのは、各事業者の業界団体があるのだから、ADRという形で自分のところのクレームは自分のところで解決するということをきちんと考えてもらいたいということ。そこでどうしようもなかったときの他の手だてを考えるという形で、横断的な金融トラブルをなんとかしたいということがこの金トラ協の出来た経緯で、横断的に手を結んでADRを作っていくというのが趣旨であった。それがデッドロックに乗り上げてしまってどうしようもないといっても、これだけ金融関係の方が集まっているのだから、何とか横断的なADRということで考えてもらいたい。

  • 石戸谷委員 法律に根拠を置いて自主規制機関としてやっているところが運営するところとそうでないところでは、かなりの差があると感じる。実際にユーザーとして使ってみて、全体として見ると、証券業協会を始めとして、法律上自主規制機関を持ち、自分らで自主規制規則や何かを定めて、全体としてコンプライアンスを高めるという形で努力しているところは、紛争が来たときに後ろ向きの話として紛争を解決しておしまいとするのではなく、何か問題があれば、それを自主規制又はコンプライアンスの形で反映した形で対処できるというバックグランドがある。業界団体としての枠組みの中でやっていると限界があるのではないかというのが、これまでユーザーとして使ってみたり、実際に裁定委員として中に入ってやってみたりした実感。ただ、法律に基づいてやっているところが十分かというと、決してそんなことはない。これは、説明義務にしても適合性にしてもそうであるが、金融分野における対顧客ルールは、法改正を裁判所の判例法理にあわせる形で行われることが多いが、本来自主規制機関は金融分野の専門機関として、新たな商品の販売等の事象に対しても、どのようなルールが適切かを裁判所を先行する形で迅速に築きあげて対応できるはずであるし、そうすべき。そこで、銀行、保険その他金融業全般につき、法律上の自主規制機関とした上、ルールはどうあるべきかを自ら定める枠組みを構築すれば、新しく法律を作る場合にも法律では原則を定め、自主規制機関で迅速に適切なルールを積み上げる形をとることが可能になる。苦情や紛争の解決の次元でも、同じことが言える。運用の改善というより、新しくそういった制度を、是非検討いただきたい。

  • 竹中委員 生保業界はこの2、3年は不支払の問題等でお客様方に御迷惑をおかけしたが、業界も消費者の目線に立ち、協会だけでなく各社も対応をしてきた。この金トラ協から提案された紛争解決支援の仕組みということで、裁判外の紛争解決機関として裁定審査会を平成13年に立ち上げてから8年目に入る。今日まで145件の事案を審議しているが、業界が作るADR機関は、協会の中にあることによって、各社も目を向けてくる。裁定審査会はあくまでも中立公正であるが、保険会社に警鐘を鳴らす結果も出している。日本証券業協会と違い、自主規制機関ではないが、ガイドラインを作った。それを金融庁に報告している中では、各社も、ガイドラインをひとつの基準としており、金融庁も検査等を実施する場合にその点も見ておられると思う。保険という専門性の点については常に考えてきたつもりであり、これから国民生活センターと色々と連携関係が出るのであれば、個人的な考えであるが、ここまで作ってきたADRである裁定審査会をもっと充実させるよう育てていきたい。各社も相当目を向けてくれるようになっており、裁定審査会にあがる前にいかに解決を図るかという機運が出ている実態もある。先ほど、あっせんをあきらめさせようとしているとの声があるという話があったが、決してそんなことはない。和解になるものは、お客様にとってはあきらめていたと思われるものが、お客様の意向が相当反映されるということで、十二分に役に立っている。苦情というものは、いい方向に出たものについての声はそこで止まってしまうが、解決されない方の声は強いというのも実態。苦情というものは減ることはあっても世の中からなくなることは決してない。その苦情の中身も、いい苦情、悪い苦情と言ったら変かもしないが、色々な質があるということも念頭において考えていきたい。

  • 岩原座長 改善の必要性があるということについては、何人かの委員から意見があったが、具体的にどのようにもっていくのかという点については、かなり幅のある意見だった。玉本委員は横断的なADRの法制をということだったと思うが、竹中委員はむしろそれぞれの個別の業界のADRをもっと充実したものにしていってはどうかという発想に立つ意見だったと思う。これから我々の議論としては、金融トラブルのADR機関をよりよいものにしていくためには、具体的にどういう手を打っていったらよいかについて、建設的な意見をいただきたい。

  • 森委員 弁護士会仲裁センターの担当として、また、弁護士として紛争を扱っている立場から言うと、紛争は、説明をしている側と受けている側とで認識が異なることはよくあることである。業界団体のADRは、ADRを扱うのが説明をする側の立場にある者だと、これを受けている側の不満を単なるクレームとして選別する傾向がないのかという懸念もありうるところであり、中立な立場の者が関与することは意義があるように思う。金融ADRについて、入口での相談や苦情のスクリーニングと、中身に入るのが適当である場合の苦情・紛争の専門性を持った解決支援とを、別のところで扱うという考え方もありうるのではないか。

    また、金融の専門性という指摘があったが、事案の中身の専門性と紛争解決を取り扱うという手続の専門性とは必ずしも両立しないのではないか。専門性について、業界団体でやるという考え方だけでなく、別の専門性のあるところで扱う、あるいは共同してこれを扱うという考え方もある。弁護士会でのADRや裁判所の調停であっせん等を扱う場合でも、例えば医療とか建築の事案では、紛争を扱う専門家に加えてそれぞれの分野に知見を持つ方が加わり手続を行うことは普通にされており、そうしたことが金融の場合にできないことはないと思う。

  • 井上(聡)委員 私も方法論が一番難しいと思う。金トラ協の立ち上げのときから申し上げていたが、できる限り自主的に業者側にインセンティブを持たせる形で制度をつくったほうがうまくいくと思っていた。ADRのマーケティングツールとしての有用性が認識されていけば、前向きに取り組むだろうと期待をしていた。今でも期待しているが、思いのほか時間がかかっていて期待どおりになっていない。インセンティブだけで自主的に業界を動かすのが難しいなら、それに加えて制度的な対応も必要である。しかし、法律で一挙に横断的ADRを作ることには無理がある気もするし、業界団体で蓄積しているノウハウや人材を活用することも重要。そこで、(1)レベル、組織の大きさに差がある団体のADRをまずは標準化することを目指し、(2)それができたところから一種のフランチャイズ化を進め、(3)最終的に横断的なADRを作るのはどうか。まず、第1段階において、モデルのアップデート等の改正を行う必要があるが、モデルを標準化することは金トラ協でできても、標準化されたモデルの実際の運用レベルを標準化するのが難しいので、行政で引っ張るか、法令で制度を作るなどして望ましい運営レベルまで持っていく。そして、第2段階において、統一的窓口・ADR規則の下に、振り分け先として一定のレベルのADRが複数あるという状態を実現し、第3段階でそれを最終的に統一していくことが考えられる。

  • 辻委員 金商法が施行されてから、苦情の内容が変わってきている。一つは、国民生活センターが出した資料2でも分かるが、説明不足というのは減ってきていて、説明が過剰、説明時間が長すぎることが、接客の対応が悪いと認識されているのかもしれない。高齢者の問題で、例えば取引にあたって年齢制限をすると、それはおかしいではないかという話になり、では家族の人を連れてきて下さいと言えば、家族とは仲が悪いので連れてこれないという話がある。苦情の内容が金融商品の実損というより、銀行の接客対応とか、逆に説明が過剰すぎるといったもの、あるいは事務ミスなどで謝罪はさせていただいたが、それでは不十分で頭取名の謝罪文書を出せとかいったものもあり、金銭という形での決着が難しい状況になっている。一方で、そうした事案を弁護士会の仲裁センターにお願いすれば、申立手数料や成立手数料がかかるため、手数料代だけがかかって金銭的なものが出てこないということで、これではあまりワークしないと思う。苦情の中身が変わってきていることも頭の中に入れて検討していかないと、なかなか件数が増えないという問題が発生するおそれがある。

  • 高橋委員 今の話に対する意見だが、言っていることは本当ですかという印象がある。金商法によって変わった面があるかもしれないが、少なくとも先程の国民生活センターから示された資料は金商法施行前の話だし、接客対応が悪かったということはかなり昔からあって、さらに上昇のトレンドにある。この先に金商法の施行でどうなっているのかはまだ検証されていない。それと今私どもが検討したいのは、苦情相談は、当然ながら各事業者で行うべきであって、その先の紛争をどうするかなので、そこは是非混ぜないでいただきたい。次のステップへの進め方に関しては、井上委員の提案と似たところがあるが、業界のADRを充実させることと、相談・苦情解決支援を充実させて、紛争にならないようにすること、それでも解決できない複雑な問題とか、業・法の隙間に落ちてしまうものは、横断的に解決することを模索していきたい。消費者からの信頼性確保のため、金融庁なり国民生活センターなり消費者庁なりが絡む法制面・制度面での対応が必要。相談・苦情解決を各事業者がやるのは当然であるが、各事業者で解決できなかったものについては、業界団体が共同機関を設立して蓄積されたノウハウ・専門性を使うことが、迅速な解決、費用節約、人的資源を生かす上で必要。具体的には業界団体の相談・苦情・紛争の組織を統一すること、特に紛争解決支援機関はほとんどの業界にないので、統一した紛争解決支援機関をつくり、金融庁の金融サービス利用者相談室と連携する方法もあるのではないか。8年間の間に交代しているが、業界団体委員の方々は、給料の源泉である事業者にも遠慮しながら、消費者を向いて果たすべきことを果たすという、非常に難しい職責をこなしてきたと思うが、少なくとも紛争の解決にあたる方々が事業者に遠慮しなくても対応できるような枠組みは絶対的に確保していただきたい。

  • 井口委員 全銀協の説明で金商法施行以降、相談内容が変わったとあった。銀行の窓口でそういう傾向があるかもしれないが、消費者センターや国民生活センターでは金商法による説明過剰や高齢者に対する制限に関する苦情はほとんど入っていない。ほとんどは金銭的被害、リスク等の説明不足、高齢者に対する配慮不足という内容であり、金商法が3K、苦情の元凶と言われているような弊害は今のところ把握していない。

  • 辻委員 国民生活センターにはまだ入っていないかもしれないが、銀行とりひき相談所にはそのような事例は実際出てきている。また、相談とあっせんを混在しないようにという指摘については、モデルにも紛争解決支援規則の項目4-14「あっせん・調停を行わない場合」があり、相手方の会員企業の経営方針や会員企業の役職員個人に関わる事項等、本制度の利用が適当でないと認められるときという項目がある。こういったものが増えているという認識である。

  • 高橋委員 接客時間が長いため苦情になるとか、高齢者が云々ということについて、そもそも説明に過剰に長い時間を要する相手に対して販売すること自体が間違っているのではないかとか、そこまで説明しなくてはいけないような複雑な商品を作ることに問題があるのではないかと常々感じている。それが苦情だと認識するのであれば持ち帰って検討していただきたい。

  • 原委員 全体的な感想と今の話に関連して発言したい。製品事故の場合は安全性の観点から、製品の欠陥か誤使用かを消費者の目線で判断しなくてはならないというのが、重要な柱。一方、金融トラブルの判断の場合、消費者の目線が入っていないので、今の銀行協会のような指摘が出てくる。 この8年間私は2つのことを感じている。一つは、金融業界は消費者の苦情・相談を大切な情報と見ていないこと。他業界では消費者からの苦情・相談は宝であるとして、24時間体制で苦情・相談受付窓口を設けているところがある。それに比べ金融業界のトップの方から消費者相談・苦情の話を聞くことが無いのは、トップ層の意識からして問題。去年8月に金融関係の新聞のインタビューでそのことを発言し一面トップに掲載されたが、どこの金融機関のトップ層からも何の反応も無かった。もう一つは、金融庁に対して、折々につき、金トラ協での議論は限界があるので、金融審議会にあげてほしいと何度か申し上げた。議題に少し入り込むことはあったが、本格的に検討する場が設けられていない。私は金融業界、金融行政全体に消費者からの相談・苦情・紛争解決についての意識が未だに大きく欠けていると思っており、今日の検討の場をきっかけに全体での検討に広げていただきたい。

  • 岩原座長 今日は議論の始まりですので、今日の議論を踏まえ、今後検討して、金融庁にも考えていただきたい。今日の意見は、大所高所からの議論であったが、大所高所の視点も重要である。横断的なADR機関を構築すべきか、あるいは、国民生活センターにどれくらいの役割を担ってもらうかという、非常に大きなレベルの問題の一方で各業界のADRをもっと実効性のあるものにしていってはどうかという意見が多かった。そのときに何人かの委員が何らかの制度的な手当を行うことによってと言っていたが、何らかの制度的な手当が何なのか、その中で金融庁がどういうことをすることを考えていったらいいか、ということを議論し、より実効性のあるADRの体制を作ることが重要である。今後今日の議論をきっかけに各委員の方にも考えていただき、より具体化して本当に実効性のある制度に結びつけていく議論を行っていただきたい。

以上

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金融庁総務企画局企画課内 金融トラブル連絡調整協議会事務局
Tel 03-3506-6000(内線3682、3516、3647)

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