第9回金融トラブル連絡調整協議会議事要旨

1. 日時:

平成14年1月15日(火)10時00分~11時50分

2. 場所:

中央合同庁舎4号館 金融庁特別会議室

3. 議題:

「金融分野の業界団体・自主規制機関における苦情・紛争解決支援のモデル(案)」について

4. 議事内容

  • 資料1、2「金融分野の業界団体・自主規制機関における苦情・紛争解決支援のモデル(案)」の主な変更点の考え方について山本委員より説明があった。また、山本委員から、ワーキンググループからの提案として、協議会で了承されたモデル案に対する各界からの意見照会を行ない、その意見も踏まえてモデルを最終的に確定させることについて了承された。

  • 資料1、2「金融分野の業界団体・自主規制機関における苦情・紛争処理のモデル(案)」における個々のモデルの変更点について事務局より説明があった。

    • このモデルの具体的内容は、そのまま規則の個々の規定のサンプルとして使えるように策定されている部分が比較的多いと思われるが、例えば15ページの項目3-3のように「を明記する」とか「を考慮する」という形で、規定そのものではなく規則の規定に盛り込むべき事項が記載されているところもある。このため、規定のサンプルを示したものと規定に盛り込むべきことを示したものの区別を趣旨の部分に明記するか、又は、例えば前文に総論として注記した方がよいと思う。最初このモデル案を頂いて読み始めると、特に最初の数条が規則案又はモデル規則のような書き方に見えるから、方針に相当するものと受け止められずにモデル規則として読まれる可能性がある。モデル規則ではないということであれば、そのことを明確にした方がいいだろうと思う。

    • これは苦情・紛争解決支援のあるべき姿をモデルとして書いたもので、必ずしも各ADR機関の規則の規定そのものとは限らない。このため、個々の規定にはこうしたことを明記すべきとの表現となっている場合もあると思う。今のご提案は規則の規定として使えるものと規則に盛り込むべきものの区別を明らかにしておいたほうがいいとのことだと思うがいかがか。

    • ご指摘はもっともである。特に苦情解決支援の部分は、手続きの内容が紛争解決支援に比べると多様性があり、また柔軟であることが必要なので、統一的に書ける部分は具体的に記載する一方で、例えば17ページ(取り扱う苦情の範囲)等のように、会員企業の取り扱っている商品等によっても様々な違いがある場合などは、この条項についてはこうしたことを必ず記載しなければいけないとした上で、その限度で統一的な取扱いをすることにとどめたものである。そういう意味では、今ご指摘のようにその趣旨を前文等で明らかにすることは、より分かりやすくするという観点から適当かと思うが。

    • いろいろな考え方があると思うが、個々のADR機関の立場からの観点ではどうかと思われる。つまり、モデルの文章をそのまま取り入れる形になっていることをよりも、全体としては内容的にこうしたことが盛り込まれることが大事だと思うが、モデルのユーザーたる機関がこうしたものを見ながら実際に規則を策定する立場からの観点からはどうかなという気がする。

    • このモデルは、規則を作るときの一つの目安として作成されてある。場合によってはかなり具体的なところまで書けるものがあるが、全体として言えば、方針に相当するものを示した文書という理解ではないか。このため、事務局の方と相談して、今のご趣旨を前文に文章として挿入する方法を検討させていただいた。具体的な文章はもう少しこの後練らせていただきたいと思っているが、前文の3ページ目の最初の行、「趣旨に相当する」で終わっている行に、なお書きで、「なお、具体的内容は規則等の内容も示すものであり、規則等の条文としてそのまま用いられることを必ずしも意図しているものではない。」という趣旨の文章を追加してみてはどうか。

    • 分かりやすさの観点から提案させていただくと、前文の2ページ目の「苦情解決支援規則等の内容のモデルとなる事項」の記述を少し修正して、例えば「苦情解決支援規則等を作成するにあたって、その内容及び書き振りのモデルとなる事項」とすることで同じことが言えて分かりやすいと思う。

    • モデルというとどうしてもサンプルのような感じが私は個人的にしてしまうので、事務局からご提案があったような、「具体的内容については必ずしも条項にそのまま用いられるものを示すものではない」という注記を書くほうがいい気がする。これは全く私の個人的な印象かもしれないが、モデルという言葉にサンプル規則とか規則案と受け止められかねない響きがあり、かつ当初の数条がそうなっていることで誤解を与えかねないかと思った。

    • 細かい表現振りはこの後お任せ頂くことにして、先程事務局が提案した「なお、本モデルは必ずしも規則に盛り込まれるべき規定そのものの案として作成されたものではない」という趣旨をいれるということにさせていただく。

    • 8ページの守秘義務に関する部分だが、この項目の趣旨では、組織としての守秘義務があるとした上で、具体的内容では個人の守秘義務を規定している。しかし、今国会に提出又は検討されている個人情報保護法案又は個人信用情報保護制度の内容を考慮すると、本来はこの具体的内容でも組織の責任を併せて規定されるべきと思われるので、趣旨の部分に個人情報保護法案の内容や、その法律がいずれ施行されることも少し盛り込んだほうが、具体的な点では参考になるのではないか。

      それからもう一点だが、17ページの取り扱う苦情の範囲の部分で機関関連携に触れているが、読んでみると、たらい回しにはならないかもしれないがはじき飛ばされてしまう苦情が発生するのではないかという印象が強いため、できるだけ受け付けられる苦情の範囲を拡大する必要がある。このため、もう少し前向きに、機関間連携で範囲の拡大に努めることと併せて、もう一つの努力義務として、留意すべき点のところで、苦情の範囲を拡大し、責任をもって解決に当たる努力をする必要があるという言葉を付け加えていただきたいと思う。商品設計と販売が違う業者により行われることが大変多くなっていて、そうした中で機関関連携と言っても、双方に責任がある場合も出てくると思うので、関わる者全体が責任を持つという趣旨を留意すべき点を是非加えておいて頂きたいと思う。

      それから、先程の注記の部分について、実際に少し修文が入ることは私も基本的に賛成だが、なお書き以降の事務局提案を「なお」として同じ強さの文章で入れてしまうと、せっかくワーキンググループやこの協議会で議論をして理想的なモデルとして作ったものが、必ずしもその通りでもなくてもいいというトーンが強くなり、本来の趣旨とは違ってくるので、文書については丁寧に吟味をしていただきたいと思う。

    • 個人情報保護法は、ご案内のように、国会に提出されてから2回ほど継続審議になっており、先行きがはっきりしないことと、個人情報保護法案が、理念は幅広いが、実際の規制の適用範囲が組織的にデータベース化している場合などに限定されており、法律案の名称を記載するのは、今の段階では少しどうかという気がする。

    • 個人情報保護法は本来であれば成立しているはずだが、実際には成立の目途が未だに立っていない状態ではある。また、逆に個人情報保護法が成立しなかった場合に、この法案に関する記述を加えていた場合はどうなのかという指摘が出ることは確かである。こうしたことに関係なく個人情報は保護しなければならないので、敢えてここで触れなくてもいい気はする。

      次の17ページのところは中身に関わる意見である。単に機関間連携をするだけではなくて、ADR機関として受け付ける苦情の範囲を可能な限り広く取るべきいう具体的な主張が入ってくるので、そうすると他の、特にADRをそれぞれ代表されている方々から意見がありうるところだが、何か意見はあるか。

    • 具体的な商品には言及されなかったが、この問題は投資信託が相当程度該当すると考えている。つまり、投資信託には委託会社があり、販売会社としての証券会社や銀行がある。私達にもいろいろ苦情が寄せられたときに、日証協で対応するのか、銀行協会で対応するのか、私達なのかという場面がよくある。そのときに私達は、原則的には、メーカーであり会員である委託会社に対する苦情であれば受けることとしている。さらに証券会社の一部も私達のところの会員になっている。販売の部分では原則的には日証協にお願いしているが、当協会の会員であれば、場合によっては私達で取り扱っている。こうしたことを具体的に考えると、なかなか連携してできる部分とできない部分があると思うので、そこは私達にできればお任せいただいた方がよいのではと思っている。

    • これはおそらく、17ページの具体的内容の「機関間連携等」の「等」に含めて、わざとややぼやかした形で趣旨が書かれていると思うが、より具体化した記述をする場合、どこまで書くべきとお考えか。

    • またはその「等」というところでは、責任まではなかなか読み取れないから、意見として申し上げておきたい。また意見提出もあるので、文章にはさせていただきたいと思う。

    • 例えば、通則的事項の1を見ると、「苦情とは、関係者にその責任若しくは責務に基づく行為を求めること、又は、商品やサービスの内容若しくは」と書いてある。これはそのまま規定として使えるが、もしこのまま使うとすると大変広い規定になり得る。例えば保険関係では、普通は「又は」の後に会員保険会社が販売する保険商品等に限るのが普通だろうし、消費者に何らかの被害が発生しているとかいった形で、一定の限定を置くことが普通だと思うが、これをサンプルとして捉えると場合によっては広くなり得ると思う。そうしたことは他のところにもいくつかみられる。個々の機関の具体的ルールとして使えるように限定をかけないのはモデルだから当たり前だが、こうしたことが一人歩きするのは必ずしも適切ではない。

    • この定義はモデルで使う言葉の定義であるから、ある意味広い定義になっている。ADR機関の中で仮にこれでもかまわないということで、これをそのまま使ってもかまわない。

    • 一つは55ページの「会員企業に対する措置・勧告等」の趣旨だが、第2段落の「なお」ではじまる行の「同種の苦情・紛争の再発を含めた解決を図る」との表現は非常に分かりにくい。これは2ページの理念的事項の「苦情等の原因解明及び再発防止」の「同種の苦情等の再発防止・拡大防止及び未然防止に努めなければいけない」の部分を受けているかと思われる。もし、そうであれば、もっと端的にこの「再発防止等」といった言葉を使えば整合性がとれるのではないか。もし、私の理解が間違っていて、再発を含めた解決を図るというのは別の意味があるのであれば教えていただきたい。

      それに関連して、前文の1ページ目のところで、「未然防止にむけた問題是正に向けた取組み…」という表現がはいっているが、これも消費者トラブルの解決とは個別のトラブルの解決にとどまらない広い意味があると思うが、この拡大防止と再発防止と未然防止という、三つのことを言うのであれば、この「未然防止による」といった限定的な表現を取ることはどうか、と少し気になった。記憶が間違っているかもしれないが、消費者教育的なものという記憶にあるのだが、未然や再発について、この辺の統一について他の方の御意見もいただきたい。

      それから二点目として、このモデルに沿った規則の周知や公表の必要性を記載しなくてよいのか。これが世に出たときには消費者側がモデル案との比較ができることが非常に大切だと思う。周知・公表についての規定がなくても、当然実行されると思いたいが、現時点で規則を策定しているところが開示しているかというと、前向きなところとそうでないところの両方があり、ホームページを開いても規則まで読めないところがある。現在の時点での軽い手直しを提案したい。4ページの「消費者への周知」のところで具体的内容では「機関及び会員企業は当該機関の周知に努める」とあって、これは留意すべき事項のところに「機関の周知というのは具体的な受付窓口の連絡先及び業務内容を含む」とあるが、この「業務内容」というのは多分規則とか手続きを指すと思う。ここをもう少し具体的に漏れがないように、例えば、連絡先及び規則や手続き等の業務内容を含むと例示をした方が、規則の周知・公表につながっていくと思う。

    • 55ページの趣旨の「同種の苦情・紛争の再発を含めた解決」は、当該紛争当事者間での再発だけではなく、一般的に同種類の苦情紛争の未然防止も含めた解決ということか。

    • 基本的にはご指摘の通り、項目1-2(苦情等の原因解明及び再発防止)の情報提供によって苦情等の再発防止、拡大防止、未然防止に努めるのと、趣旨としては同じ。措置勧告についても、やはり紛争解決において同種の効果が期待されているということだと思う。だから、確かに語句整理する必要があると思う。

    • 再発防止、未然防止を厳密に必ずしも使い分けなくても、趣旨は分かるという気がしないわけでもないが、少なくても55ページの趣旨の第二パラグラフのなお書きのところは再発の後に「防止」を入れるということで修正させていただく。一般的な問題として言えば、ご指摘の通りのことはあり、全く起きてない場合も含むのが未然防止だろうが、そこまで厳密につくらなくても趣旨は分かると思う。特に現在の表現振りで問題があるということはなければ、そういうことでご理解を頂きたい。

    • 消費者トラブルの解決は個別の問題の解決にとどまらず、むしろ広い意味でトラブルが起きないようにする趣旨という理解だったと思う。「再発」ではすでにあるものが前提となっている一方で、「未然」が一番広い概念となるため、再発防止や拡大防止まで含めて、一言で言っていると理解しているが。

    • 私も未然防止には再発防止も含まれると理解するのだが、ここで未然防止を使うことに問題があるだろうか。単に当該紛争又は苦情の事案の解決にとどまらず、それを契機に同種の問題を防ぐため今後企業としての対応を改めることも含めて、再発防止と同時に将来似たようなことが起きないとの意味の防止という、より広い意味を持たせるためにこの未然防止が付け加わったと思う。特に異論がなければ、そういう広い意味での未然防止とご理解頂きたい。

    • もう一つ、後の問題是正に向けた取組みとのセットである場合に理解しにくいとのことだが、これも全く私の個人的理解だが、要は、そこの問題是正が全く消えてしまうとどうなるかをまず考えると、個別事案の解決と未然防止だけでは、金融が複雑化などいろいろなことが起きている中では、トラブルを全て完全に解決又は完全に未然防止することは、人間社会だからおそらくできないだろう。しかし、そうした問題是正に向けて、問題が起きるたびに、個別事案としても是正し、全体としても将来似たような事案やそこから連想、想定できるものについても何かうまく手当てしておくといった取組みで、市場とか消費者の信頼を確立していこうというロジックではないかと思う。

    • 二点目のご指摘である、4ページの留意する点の書き振りを、連絡先及び規則、業務内容を含む、ということでよいか。

    • 業務内容というものに規則や手続が入るという考え方だと理解しているが、今、あまり規則が公表されていない点からすると規則を入れたほうがよい。ただ規則だけだと突出しすぎるのであれば、規則や手続等の業務内容を含む、というような例示でどうか。

    • そうすると今日の協議会で修正する点は三点あって、そのうち二つは今御指摘のあったところで、一つ目は4ページの「業務内容」を「規則や手続等の業務内容」に、二つ目は55ページは趣旨のなお書きのところに「再発」を「再発防止」とする、三つ目は御指摘のあった、前文のところの2ページから3ページにかけたところに、表現はお任せ頂きたいと思うが、必ずしもただちにサンプルとして使われなければならないというものではないという趣旨の文を入れる。という三点の修正を経た上で意見照会に使うということにしたい。

    • この苦情・紛争解決支援のモデル案で、一つ事業者の方々にお願いしたい。「消費者への周知」の一番上に「機関及び会員企業は当該機関の周知に努める」とあるが、これは会員企業の皆様に、是非ともこの周知をお願いしたい。なぜなら、この趣旨にあるように、消費者への周知は「消費者の保護に資するとともに、当該企業の発展に資する」と、この二つが期待されていることが非常に大きいと思われるからである。このあたりの事情については、消費者の方への周知ももちろん大事であるが、会員企業の方々に周知を徹底していただきたい。

    • ここで一年議論をしているが、消費生活センターや国民生活センターでも今非常に金融トラブルが増えている状況である。ところが、この協議会では、自分のところの機関には苦情があまりないと言われる方が結構いて、それは私としては苦情を拾う努力がほとんどしていないことが大きいと思われる。それから、どうして消費生活センターや国民生活センターにそうしたトラブルが来ているかというと、苦情処理の仕方がまずいことが苦情になっている場合が大変多いためであり、苦情の取扱い方法がトラブルの原因となっていることをもう少し意識をしていただきたいと思う。それから、「消費者への周知」について、きちんと周知徹底するようにという話があったが、現在、業界団体・自主規制機関は消費者側からはほとんど見えない存在になっている。例えばこのあいだ杉並区の消費者センターに行ったが、パンフレットを置いてあるのは銀行と信託だけで、ホームページも金融庁から全部アクセスをしたが、アクセスをした印象では、銀行は、かなり取り組まれていると思われるが、苦情を扱うと書いてありながら、実際の事例は相談と照会のみ掲載されているという問題もある。また、信託は図が使われていて、大変分かりやすくなっていて、規則まで掲載されていた。一方、生命保険と貸金業は、見直しのための相談といった言葉だけしか使われていなくて、苦情という言葉がない。それから、信用金庫と信用組合と労働金庫は電話番号しかないが、この番号をいくらクリックしても苦情相談の窓口に出てこないので、おそらく代表番号だと思う。損害保険は本日、一応改善の話をされるようだが、ここで一年、実質的には前の審議会からだと2年の議論をしていて、ほとんど消費者への周知というところがかわっていないところには大変危惧していて、是非このモデル案を契機にそこの改善を図って頂きたいと思う。

    • これは金融庁へのお願いということになるが、モデル案前文の3ページ目の最後に金融当局の役割ということで、機関関連携など協議会で意見交換していく中で、金融庁のホームページから各機関のホームページにアクセスできるようになったことは大変な改善だと思うが、各機関のホームページへ飛んでみると、そのホームページのトップページに行くが、窓口は見つからない。以前も言ったと思うが、Q&Aとかそういうところを探してクリックしていって始めてでてくるとか、生保のように裁定審査会を設けていながら、裁定審査会については一切書かれてなくて、ニュースリリースの発表だけに触れることができるといった状況である。現状は機関のページにリンクされるので、具体的に苦情相談のページを設けているところには、そのページにリンクするような形に変えていただくとかしていただければ、まだトップページしか出ないところは苦情相談のページがないのだという判断が我々もつきやすいので、何かそういう工夫をしていただけたらと思う。

    • それでは、本日の意見を踏まえたこの案をもって意見募集を行うためのモデル案としたい。

  • 事務局よりモデル案発表の際に用いる概要についての説明があった。

  • 裁判外紛争処理制度の改善に向けた取り組みについて、全国銀行協会及び日本損害保険協会から報告があった。

  • 次回協議会においては今後の取り組みに係る論点メモについて議論することとなった。

問い合わせ先

総務企画局企画課
電話03-3506-6000(内線3517)
本議事要旨は暫定版であるため、今後修正がありえます。

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