第12回金融トラブル連絡調整協議会議事要旨

1. 日時:

平成14年4月25日(木)10時00分~12時00分

2. 場所:

中央合同庁舎4号館 共用第1特別会議室

3. 議題:

金融分野の業界団体・自主規制機関における苦情・紛争解決支援のモデルの修正案について

4. 議事内容

(金融分野の業界団体・自主規制機関における苦情・紛争解決支援のモデルの修正案について)

  • 「金融分野の業界団体・自主規制機関における苦情・紛争解決支援のモデル(案)」の修正点等について、資料1の対照表及び資料2の修正案を用いて事務局より説明があった。

    • 8ページにある人材育成の部分についてだが、民間のADRの機能の充実のためには苦情相談担当の方の資質・能力が重要である。司法制度改革推進本部のADR検討会で民間のADR80機関に対してアンケート調査をした結果、61機関から回答があり、その回答のうちの人材育成の部分では実際に採用に当たって1割から2割ぐらいの機関しか資質や能力を考慮していないとのことである。また、4割から5割の機関で研修が行なわれているが、その中身も1年に1回の講習会も含めたもので現状は大変お粗末だと思っている。このため、一つは採用時にも経験や能力を念頭に採用することと、二つ目は1年に1回の講習ではほとんど意味がないので、具体的な研修内容とその効果に具体性を持たせることで人材育成を図ることを留意すべき点の中に盛り込んでいただきたい。

    • 当然採用に当たっては適性とかを考えなければいけないが、能力といっても、経験を積んだ人のプールが必ずしも十分でなく、また何が適当な資格かという問題がある。精神論を越えた部分で適性を考えることは難しい。研修は大事と皆が合意しているが、これも今のところ精神論の世界になっており、具体的に何に留意する必要があるかはあまり議論しておらず、一種のスタンダードに関するコンセンサスもないため、この部分は空欄になっている。むしろ、業界団体や自主規制機関として必要な研修や適性に関して、今後の取組みの中で検討課題として挙がっている実務者ネットワークの場で考えたり、あるいは共通のスキームや、場合によってはプログラムを作ることを皆で知恵を出し合っていかなければならないこともこの部分が空欄となっている理由である。こうしたことから、皆さんのご意見を的確に反映して、そのコンセンサスになりうるものがないためやむをえず原文のままになっている。ただ、何かいい修正案があり合意できるのであれば修正させていただきたいと思うが、他方、1か所の文章ごとに協議会が1回ずつ伸びていくのもどうかと思うので、できれば、決着していただければと思う。

    • 第一に苦情・紛争解決支援機関の担当者採用においても、経験や研修の履歴などを考慮すること。それから2つ目が研修についてはその内容及び段階的に知識能力がつくよう、できるだけ具体化を図ること、という内容の2点の文章を挿入してはどうか。

    • 他の項目で読み込めれば結構だが、研修の内容及び時間の公表も、留意すべき点に1項目付け加えてはどうか。消費者の選択という視点もあり、研修の内容も情報として必要と思う。

    • 通則的事項の中で機関の運営の情報開示や透明性に関する項目があれば、そうしたものも含まれてくると思うが、現在は該当するところがない。だから、例えば、消費者への周知に人材育成の部分を含む機関の運営が全体的に外部から見えるほうがいいので、通則的事項にうまく入らないか。

    • 今の二人の指摘のご指摘は、モデル案の4ページの留意すべき点の最初の点で、「機関の周知には、規則や手続等の業務内容を含む」という文言にもう少し書き込む必要があるということか。

    • スタンダードとしてやる方がいいことを加えると、もう50ページぐらい増えそうな気もする。また、信頼できる人が紛争処理に当たることもあるだろうし、マーク方式のような自主的な一種のレベル設定もあると思うので、ここは消費者の側の感覚と業界それぞれの団体の現実的にどこにウエイトを置くといった、バランスの話だと思う。

    • 研修の質まで開示するとなると、ある程度スタンダードが必要だが、現時点でそのスタンダードにある程度の了解を得ることができるか懸念される。逆に内部で少しでも研修をしたら、研修をしたと対外的に言えるとするならいくらでも書けるが、正しい表示とならないという問題が出てくる。開示させる以上は、そのレベルを認定するためのスタンダードが必要だと思うが、現時点でそのスタンダードを決めることは難しいのではないか。

    • 当事者の選択権の保障の趣旨の部分の3行に、「消費者である当事者の選択権が十分に保障されている必要がある」という私たちが希望する文章が入っている。その下の4行は具体的内容をそのまま書いてあるが、上3行を生かして、一番最後の「開示することを定めている」に続けて、各機関で消費者の選択権を保障するための工夫を深めていただくことを追加すれば、名簿の公開のみならず他にも工夫をこらすことが入ってくると思う。それぞれの機関における選択権保障のための工夫の余地を入れたほうがいいと思う。

    • 趣旨のところに一文付け加えるということか、例えば、「さらにそれぞれの機関において、消費者の選択権を保障するような工夫を重ねることが期待される」くらいにしておくか。

    • 具体的内容のところと乖離が少しできてしまうので、「選択権が十分保障されている必要がある」として、この項目は具体的な紛争解決支援の話を書いているとしたほうが、具体的内容を留意すべき点と趣旨のスタイルの統一ができる。

    • 今のご指摘で書き直すと、項目2-3の当事者の選択権の保障の趣旨の前段の最後に、「消費者である当事者の選択権が十分に保障されている必要があり、それぞれの機関において、その組織内容につき開示の工夫を行なうことが期待される」と、それで段落を改めて、「そのため、この項目では、そのような開示の一つとして、」と例示である趣旨を入れる修文案でよいか。

    • 趣旨は明快な形の方がよく、今の修文の内容は留意すべき点に入ると思われる。ワーキンググループの議論では選択権の保障のためにどこまで公開するかが論点の中心であり、この留意すべき点の二点目にある経歴の中には資格も入ってくるだろうが、もうひとつ丸を増やして、組織としての研修を入れたほうが、明快な気がする。

    • この留意すべき点の二つ目は委員に関する記載である。今の議論は委員ではなくて、機関の職員の方に関することだが、それについてもう一つ点を設けて書くということか。ただそうするとかなり具体的な事項を提案することになる。いろいろな工夫の一つであれば、比較的抵抗なく受けられると思うが、この留意すべき点の中に書いてしまうと、必ず実現すべきことに受け取られないかと懸念される。

    • この具体的内容、留意すべき点、趣旨というセットの考え方についてだが、具体的内容があくまで内容であり、残りは補足説明なので、多分今言われたことは、具体的内容の追加になる感じがする。あまり留意すべき点に挿入すると、例えば事後的にチェックしたとき、具体的内容には入っていないが留意すべき点に入っているからやらなくてもいいとか、話が混乱していく感じはするがどうだろうか。

    • 今議論しているのは工夫の一つとしての公開であり、留意すべき点で書くとそれで終わってしまう感じもしないではないが、いろいろありうる工夫の中の一つであれば、むしろ、趣旨の中に書いたほうが広がりがある気がした。あと、留意すべき点で書くと研修の開示方法が問題になって、一体どのレベルまでやれば研修したと開示していいかという、かなり具体的なことが問題になってくる。

    • 趣旨はおっしゃったような表現振りで良いと思うが、ただこの項目のメインである多様な紛争解決スキームの開示と支援委員の名簿の開示が例示という位置付けになるとまずいと思うので、消費者が選択をするために、組織機関等の開示が重要という趣旨を真ん中に入れていただき、このためこの項目では最低限この線を求めていることが明確になれば、趣旨が不明確になるという懸念も緩和されると思ったが。

    • 今後は項目2-3の具体的内容、この委員の名簿の公開は入っているので、当然それはやるということである。例示の意味は、当然入るものとして書いているものであり、ただそれだけには限らず、いろいろできればやって欲しいという意味の例示である。それでは「そのような開示において、とりわけ重要なものとして」と入れたらよいか。それではそういう形で修文をお願いしたい。もう1つ最初にご提案があった点だが、事務局のほうで案をもとに修文を考えてくれたので、それを披露したい。項目2-5の人材育成のところの留意すべき点が現在は空欄になっているが、ここに2つの点を記載するという案である。第1の点は、「苦情・紛争解決支援機関の担当者採用においても経験や研修の履歴などを考慮する」これが第1点、第2点が「研修についてはその内容及び段階的に知識能力が身につくようできるだけ具体化を図る」とあるが、2点目は修正させていただき「研修については段階的に知識能力が身につくよう、できるだけその内容の具体化を図る」とする。以上の2点を留意すべき点として加えるという案だがどうか。

    • 全銀協の場合は協会職員の人事ローテーションの中での配置であり、相談所が独自に採用しているわけではないので、1点目の「担当者採用において」を「担当者の採用・配置にあたっては」としていただくといいと思うが。

    • 現在、ADRだけで独自の採用をしているところはほとんど無いと思う。広く言えば「任用」というか、要するに誰を担当者を決めるときは経験や研修の履歴なども考えて配置するとのことだから、「任用」でよいか。

    • それから2点目のところ、研修だけに書いてあるが、具体的内容のところには研究も入っているので、「研修等」としてほしい。

    • それでは特にご意見がなければ、今のような形で項目2-5の留意すべき点に2つの点を記載することにしたいと思う。修正部分を後で配らせていただくので、その確認を除いて、モデル案に関する審議はこれで終えたいと思う。

(金融トラブル連絡調整協議会の今後の取組みについて)

  • 金融トラブル連絡調整協議会の今後の取組みについて、資料3を用いて事務局より説明があった。

    • モデルのフォローアップに関して、いくつかの懸念がある。1つ目の自己評価の部分は、目標まで含めた形で、1ヶ月ぐらいでいただけると思っており、それは早急にやっていただきたいと思っている。2つ目の協議会メンバーによる評価の組み合わせの部分だが、おそらくチームを組んでボランタリーな形で各機関を訪ねることと思うが、いろいろな第三者評価にここ数年関わってきて感じている大きな問題は、情報や現場をどれだけ見させてもらえるかということである。情報と現場はある程度の専門的知識がないと評価ができない。金融庁がバックでこれをしっかりやれと言ってくれるかにもかかっていると思うが、それをどこまで開示してくれるのか非常に心もとない。また、チーム間でのばらつきが出てくるし、時間もかかることからタイムスケジュール問題となる。それから3点目だが、評価手法も大変難しく、単純にボランタリーなグループで評価ができるか懸念される。実際には、数時間のヒアリングでは収まらず、何日もかけて、現場に行って支援も見ながらでないと厳密な評価にはならない。ボランタリーなチームでできる範囲は自己評価に基づき、ポイントをしぼった形で自己評価に基づいてヒアリングをすることくらいだと思っている。自己評価と相互評価を組み合わせれば立派なものができるように見えるが、どこまでやれるのか議論をしておく必要があると感じている。それから、フォローアップは1つの作業グループで作業を進めていき、その都度この協議会に調査の報告をして全体的な議論を進めていくのが協議会の場で、これにばかり奔走するのが今後ではないと思っている。

    • 関連してだが、確かにモデルのフォローアップは非常に労力のかかる。フォローアップは協議会としてやるべきことだが、金融庁にどれだけ関わって欲しいかを明確に主張する1項目を付け加えてはどうか。フォローアップを詳細なものができることに越したことはないので、この協議会で行なえること、その下のワーキンググループで行なえることと、金融庁に担ってもらいたいことを整理して、金融庁にお願いすることを明確に示してはいかがか。フォローアップでは情報の開示が重要なので、例えば情報の収集とか、情報の開示を金融庁の分担してもらうといったことや、継続的なフォローアップの内容を取りまとめていただくといった、事務局機能を金融庁に果たしてもらうことも必要だと思う。いずれにしても協議会でやることを打ち出すのは協議会の立場としては当然だから、それは非常にいいことと思うが、フォローアップを実効あるものにするためには金融庁としてのフォロー体制、この協議会に対するフォロー体制を少し議論したほうがいいのではないか。

    • このボランタリーな協議会メンバーによる評価の部分を、自己評価結果をチェックする程度の補足的なヒアリング調査的にするのか、それとも自己評価は事前に資料と位置付け、協議会メンバーによる評価を絶対的と位置付け、実際に現場に出向き、情報も取って、食い違いがないかチェックする権限や、改善点を提言できる権限を持たせるかにもかかっていると思う。それで、前者であっても、後者であっても金融庁がフォローアップについてどれだけの姿勢を示せるかが問われている思っている。

    • 私どもはこの会議の事務局なので、ここでは金融当局の1つではあるが、それ以上にコミットしているつもりである。自己評価については、ここに参加された方々はモデルを作る過程で自己点検を行い、それぞれの機関の位置付けを踏まえ、今後どうすべきかすでに考えておられると思う。ただ、そこを業界団体の思い込みだけでなく、消費者側の目や他の団体での経験を組み合わせながら、客観的に評価するための仕組みはあったほうがいいし、やるべきと思っている。その取りまとめは事務量がいるので、我々としてもサポートしていく。ただ、フォローアップは、モデルの性格上、消費者と業界団体、業界団体同士の対話・協力を通じて進んでいくべき性格のものと認識している。ルールができたから、後はその行政当局、監督当局が強制するという話では多分ない。逆に言うと、消費者として分かる部分や消費者の方々の要望に対して、業界の立場からはどうすれば実行可能かということが中心であり、皆さんがどこまでこのプロセスにコミットしていただけるかにかかっていると思う。現実には組織内の事情その他もあろうが、それは前向きにやっていただけると信じている。国際的な基準の場合、誰かトップが指示するわけではないので、全て関係国による自主的な設定と自主的な相互チェックよって実現されている。これはそれぞれ国の主権に関わる問題ではあるため、もちろん開示できないものもあるし、個別の細かい話までは駄目というケースもある。現実問題として、事務局機能のあるIMF・世銀の職員が来るケースもあるが、通常は各国の監督当局の人が実は来て見ており、分かっている人同士がやっているので、このフォローアップもそれに近い形がいいと思っている。もし参加されている方のコミットメントがないとなると、各業界団体いろいろ法的性格も違うことから、どれだけお願い等できるかにもよるが、実現は難しいと考えている。我々も体制をとってサポートするが、ここは是非集まった委員の方のコミットメントがいただきたい。

    • 感想的な意見だが、私なども日常生活はほとんど全部ボランタリーである。金融のADRが良くなるのであれば、お手伝いしたいと思っているが、対話が中心で、消費者からの意見が刺激になるというスタンスであれば、多分実際にスタートすると業界団体がやりたいところはやり、やりたくないことはやらないとするところが出てくると思う。その場合の金融庁の姿勢は明確にしておいて頂きたい。

    • この取組みでは、非常に大きなところが抜けているのではと懸念している。この協議会の大きな目的と前提条件に関する認識が、私と金融庁ではかなり違っているのではと思う。前文で「個別機関相互間の連携と調整機能を強化するためには、業態の枠を超えて苦情・紛争処理に関する問題把握や情報・意見交換、さらには各機関の活動の評価を行なう場が金融業態においても必要とのものである」という認識からこの協議会が設置されたとあるが、協議会設置の大きな目的は金融審議会第一部会及びワーキングで検討していた消費者保護であり、事業所に落ち度があった場合に簡易迅速に消費者の損害がきちんと回復されることであったと思う。9ページに私等が言った意見として「金融審議会答申において中長期的には一つの理想形と評価すべきとされた統一的・包括的な第三者機関について当協議会でも議論していく必要がある」と書いているが、業界委員の立場と消費者委員、学識委員の立場はそれぞれ違うと思う。私の参加しているスタンスは、協議会は消費者保護のために実験をしている暫定的なものという認識を持っている。だから、協議会の取組みにより消費者保護の目的を果たせない場合は審議会にボールを投げ返すべきとの考えている。このモデルを作るのに2年近い月日を使ったが、規則がモデルに近いかを評価するのではなく、各団体の規則で実際に消費者保護が図れるかを評価する必要があり、これまでの2年近い歳月よりももっと短い時間で効率的に取り組む必要がある。そのときに我々消費者委員が入るのであれば、それなりの権限を与えていただかないと目的を達成することはできないと思う。このモデルは実現可能な範囲での理想形だから、いちはやく取り組んでいただく必要があり、この取組みが消費者保護に資することによって市場活性化に役立いるかという視点から評価をしたいと考えている。

    • この9ページで言っている評価は各機関におけるモデルを踏まえた取組みをモデルを作った立場で見るという評価である。それを通じて全体としてのレベルアップを図っていけばその先に包括的第三者機関が見えてくるのかもしれないが、まずは各機関毎にレベルアップしていくためにモデルを作って、そのモデルを作った観点から見て、それぞれの各機関の取組みをここで評価して、各機関に努力してもらうことだと思うが。

    • 評価を行なうことはかまわないが、そのレベルアップはかなりスピード感を持ってやる必要があると思っている。フォローアップもボランタリーなものでいいのか。

    • 協議会そのものがより良くしようとして皆さんが集まっているものであり、基本的にボランタリーなものである。この評価もそういう意味では総合評価であり、お互いに評価しあって、切磋琢磨していくことからボランタリーなものと理解している。

    • 評価が必要なときに、ボランタリーだからエンドレスでやればいいということではない。業界の方はフォローアップの方法について実はあまり話し合いをされていないと感じている。

    • フォローアップはエンドレスではないが、具体的にどういうステップアップの手続きをするかは、今後それはここで議論していくと理解している。具体的なスケジュールを含めて、まだ合意を得るところまでは議論していない理解しているが。

    • スケジュールも含めてどうするかという議論から始める必要がある。それからもう1点、このフォローアップが金融政策の国際スタンダードに沿っていることは分かるが、消費者政策のスタンダードに沿っているかは少し懐疑的に思っている。消費者政策に関してはCOPOLCOという国際組織があり、経済産業省のJISCの消費者政策特別委員会がCOPOLCOに関与しているが、ISOの問題として、金融サービスがワーキンググループのテーマに挙がっており、業界ADRの標準化も挙がっている。それで私どもJISCの会議では、金融庁にも加わってもらうことが必要ではないかと言って、経済産業省から金融庁に働きかけがあったと思うが、金融庁のほうでは情報は欲しいけれど関与はしないという答えをもらっている。業界ADRの問題とか、消費者保護の問題は総務企画局の管轄だと思うので、まさに消費者政策のほうのスタンダードに沿って考えていくのであれば、この協議会の考え方も私は少し違ってくるのではないか。

    • ADRにスタンダードがあれば、2年近くかけた作業をする必要が多分なく、スタンダードに対して、金融の特殊性を加えることから議論が始まっていたと思う。しかしスタンダードがないために作ったのがこのモデルだと思う。しかもこの組織として全員集まって作ったのだから、それに対しては皆さん同意もあるし、責任もあるというのが私の基本的出発点である。結局これはルールとか形式を整える話ではなく、消費者にとって比較的簡単でお互い皆納得いく解決の仕組みを作ることである。モデルの様式で内容と留意事項と趣旨という3点セットとしたのは、重要な事項とその目的がわからなければ、形式的に合致しても何の意味もないからである。この作業は実はエンドレスではないかと思っている。最初の段階でできるだけ早くギャップが埋まればいいが、世の中に常に改善の余地はある。金融機関の形態や司法制度などが変われば、こちらのほうも当然実態に合わせて変えなければならない。制度論は別途考えなければいけない議論だが、こういう消費者の方、あるいは利用者の方々、業界団体という、苦情・紛争解決支援の団体の方が一堂に会して成果ができたから、活用方法を是非議論して、知恵を出していく必要があると思う。そういう意味で、フォローアップについては今後その方法の具体化するというの一言に集約されており、まだコンセンサスとしてのイメージはないと思う。

    • モデル案には外部評価の話は入っている。通則的事項や苦情処理規則にも入っているし、紛争段階の処理のところにも運営委員会を置くとして、各段階で運用改善の話が入っている。だから、せっかくモデル案を作ったのだから、この通りすぐに立ち上げれば、いろいろな人が評価することになる。また協議会の今の体制だとフォローアップは難しいのではないか。メンバー構成の問題として、業界団体のほうが非常に多く、消費者団体が3分の1ぐらいというのはおかしいという話はあったが、各団体にはみんな入ってもらう必要があり、また、部屋の問題もあるため、消費者側の人数が圧倒的に少ないのだが、先ほどのようなことで言われるのであれば、利用者側の人数を何倍かに増やさないとてもできない。外部評価の仕組みとは別に、協議会自体による評価はどんどんやればいいと思うが、体制を考えて欲しい、今の体制ではとてもできない。

    • 評価の方法や程度は今後考えていかなければいけない。現時点では取組みの9ページの、自己評価と協議会メンバーによる評価とあるところで、メンバーによると限定するのか、それとも協議会による評価にするかが問題と思う。しかし、フォローアップの具体的な方法はまさにここにあるように今後を考えるとしており、協議会における評価のやり方まで、現時点でコンセンサスを作ることは難しいと思う。単なる自己評価だけではなくて、協議会における評価も組み合わせることを確認いただいて、その具体的な方法は今後詰めていくことと思っているが、この大きな方向感について、なにかご意見があればいただきたい。いろいろご指摘いただいたが自己評価だけではまずいのではないか。ステップアップのためには協議会における広い意味での第三者評価が必要であるが、ただその具体的なやり方については今後検討すべきことと思っている。この大きな方向感についてご了解いただけるなら、それをもとに「取組みについて」を取りまとめていきたいと思う。

    • 9ページのところで(7)で、今後の協議会で議論すべき事項として指摘のあったものとして統一的・包括的な第三者機関の検討の話が出ていて、今後重点的に取り組んでいくべき事項にはこの話はないが、私としては(5)として是非この議論の続きをやっていただきたい思う。この1年間モデルを作ることに時間と精力を費やしたが、これは苦情紛争解決のひとつの手法に過ぎない。これはひとつの成果として是非実行していきたいと思うが、例えばこの1年間、金融関係の苦情とか紛争が減ったかと言えば、全然減っていない。金融トラブル110番をやればたくさん電話がかかってきており、また、裁判の場所に傍聴に入ると金融の裁判が多く、長期化したものが大変多い。それから、JAROという日本広告審査機構に金融広告に関する相談と苦情のこの1年間分を見させてほしいと問い合わせをして、資料をいただくこととなっているが、相談を含めたら膨大すぎてとても出せず、苦情だけにしぼってもかなりあるとのことである。それから金融庁にも相談・苦情の電話がかかってくる。それは各業界で苦情解決支援機関を持っていながら、実態は苦情や相談の申し出先が分散しており、どれほど解決に結びついているかが大変疑問に思っている。この協議会ではそういったことの問題点は一体どこにあるのかの分析や、2年前の金融審で提案している統一的・横断的な第三者機関に関する議論の継続を今後重点的に取り組んでいくべき課題として是非書いていただきたいと思う。

    • 金融庁として何か持てるのかを別にしても、消費者がきちんと情報を手にして、主体的に選択できる市場環境を作らないと金融市場は拡大はしない。こうした不安が背景にあるから苦情がたくさんあるため、消費者支援策をもう少し総合的に検討してもよいのではないかと感じた。昨年ADSLやマイラインを含む消費者苦情が、総務省の消費者相談窓口で一気に1.5倍とか2倍とかという水準に増えたことを背景に、消費者が主体的に選択できる条件を整備しないと、電気通信分野これから先立ちゆかないという問題意識もあり、審議会からも基本政策が出て、総務省では総合的な視点からの消費者支援策を検討している。この協議会は、裁判外紛争処理機関という非常に具体的で重要なことを中心に検討しているが、もう一度この金融分野における消費者支援をどう大枠組み立てるか、考える必要があるのではないか。

    • 業界の方は、苦情はあまりないと言われる一方で、110番にこれだけ相談があったと業界に対して言うと、110番を開いているから何とか電話してやらなければ悪いと思って電話をしていると受け止め、苦情ではないという受け止め方をしている。苦情を何とかしてほしいと電話をしてもあちこちに回されて終わりになるのが現状である。このたびの銀行の問題でも、電話が殺到したというのは、トラブルがあるからであり、何にもなければ、電話はこない。だから、苦情等の電話があった場合にきちんと解決をして、たらいまわしがないようなADRを考えていただきたいと思う。

    • 本当に残念なのは、業界の方の発言も期待してここに参加しているのに、業界の方々が、なぜ発言されないのかということである。私がなぜ急いでいるかというと、どんどん事実が先行しているからである。具体例で言うと、この10月に銀行が保険を窓販する予定であり、金融審議会でそちらを担当している会議に入っているが、今の銀行が販売したリスクの高い変額年金保険のトラブルは、このモデルでは、銀行は保険業界に移送するということになっているが、そのルールは果たして実効性はあるのかという発言をした。そうしたら、保険業界の方々が非会員である銀行をテーブルにつけさせることは難しいと話した。金融庁のほうは、この協議会で検討していると言われたのである。しかし、こちらでは実際は検討しておらず、たらいまわし的なことになっていると思う。銀行協会と保険の、生損保三者で話し合いをして規則改正をして銀行のトラブルであっても、保険のADRで解決しなさいということだが、生保も損保も銀行もそれぞれのADRは法的根拠をもっているわけでもないボランタリーなものなわけである。そこに非会員である人をデーブルにつけさせることを書くことはできても、事実上はできないのかという問題がある。変額年金保険は、有価証券として保険業と両方の規制を受けている性格からいうと、保険のADRではなくて、証券業協会のあっせんで本来は見るべきではないのではないか。銀行や証券会社が変額年金を売っているが、このトラブルの解決はまさに谷間に落ちる事例として実際に出てきているのに、この協議会はそれを金融審のマターだと言って、協議会と金融審の間のたらいまわし状態が解決しない問題となっている。このことについては、協議会としてもどうするのかをこの場でも話し合うし、金融審でも話し合っていただけると思っている。

  • モデル案の修正について了承された。

  • モデルの記者発表の方法等について岩原座長及び山本進行役に一任された。

  • 資料の公表について了承された。

  • 裁判外紛争処理制度の改善に向けた取り組みについて、投資信託協会及び日本証券業協会から報告があった。

  • 次回協議会は、引き続き、今後の取組みを議題とすることとされた。

問い合わせ先

総務企画局企画課
電話03-3506-6000(内線3517)
本議事要旨は暫定版であるため、今後修正がありえます。

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