第16回金融トラブル連絡調整協議会議事要旨

1. 日時:

平成14年10月11日(金)15時00分~17時00分

2. 場所:

中央合同庁舎4号館 金融庁特別会議室

3. 議題:

苦情・紛争解決支援のモデルのフォローアップについて

4. 議事内容

(苦情・紛争解決支援のモデルのフォローアップについて)

  • 苦情・紛争解決支援のモデルのフォローアップと協議会の関与の流れについて資料1、資料2、資料3、資料4を用いて事務局より説明があった。

    • 日本投資顧問業協会だが、当方の誤解で[この項目に相当する規則の規定]を記入してない。それはその都度申し上げたほうがよいか。

      • 規定があるところの書き振りを補足していただければ、他の委員の方の議論の役に立つと思う。

    • 誤記入という点について申し上げたい。この協議会の場で自己評価を行う時に、(問題あり-対応予定)というのがC1、(問題あり-対応予定なし又は対応不可)というのがC2となっているが、(問題あり-対応予定)というのは具体的に何日から制度改正をするとか、実施するとか、対応が明確に担保されているものであり、今後検討していくといったようなものを対応予定に入れるのは問題があるという議論や意見があった。私どもとしては、例えば、2-2の細目の中で、リーフレットで相談所等の周知を実施している項目があり、会員企業等がそのリーフレットの備え付けをして、顧客への周知等をしている。4つある細目の最後の項目は、「消費者に対して交付する書類の中に、苦情相談窓口の連絡先を記載することにより消費者が容易に苦情相談窓口を知ることができるように努めること」とあるが、今後、傘下の会員労働金庫の体制等の整備を図りながら、対応は検討していきたいと回答している。ただ現時点では、何時からやるというところまで決定していないのでC2(問題あり-対応予定なし又は対応不可)にチェックをした。この辺のところは、細目4項目あって3つぐらいがそれなりにやっているので、B(趣旨等を反映した形で概ね実施)として回答することが適当だったのかどうか分からない。そういう点で、今回の自己評価全てがそうなのだが、質問項目一つに対して細目が幾つもある場合、どの程度の実施でBにするのか、また、細目を全部やっていない場合はその具体的な着手時期が決めてあればC1に、時期が決まっていなければC2になるのかということで、回答にバラつきが出ているのではないか。

    • 理念的事項の項目1-1の基本理念において、Aと回答しているところでも、掲げるべき事項に幾つか欠如しているところが散見される。細目によって異なる時はどのように答えるかということについて、それぞれ団体によって回答の仕方が異なっているが、あくまでも自己評価を書いているのだから、団体によって評価の仕方が違うことになっている。

    • 只今説明のあった評価は、かなり辛めに自己評価された団体の一つであるが、他方、細目のうち一つでも該当があったら概ね実施ということでBと付けているところもある。他方、座長が例示された項目1-1の場合、共通してマル2の「透明性」が抜けているということが抽出されたという点を踏まえて、この部分を共通して直していただくということはできないか、また、細目の回答については、モデルの見直しという意味も含めて、今回もしくは次回の協議会で議論していただければありがたい。

    • 確かに項目1-1のマル2の規定については、×の団体がほとんどであるにもかかわらずAと答えた団体が非常に多い。しかも、他の項目では2つ3つ×であっても、必ずしも問題ありになっていないところが多い。

    • マル2の「透明性」という言葉を規則の中に入れる必要があると考える。しかし、具体的に何をやれば透明かということが協会内でも議論になった。単に規則として「透明性」という言葉を入れるのは簡単だが、もし、求められている「透明性」が広い範囲を求めているとすれば難しい面もあるのではないか。そこあたりをどのように考えればよいか説明していただきたい。

      • 「透明性」の規定が欠けているということと、例えば、外部評価の項目が比較的弱いということが対になっているようにも思われる。理念規定を書いた場合にどのように担保するのかということは、恐らくこういう具体的事項と対に考えるのではないか。「透明性」は、金融分野においてあまり重要視されてこなかったところであり、どのように取り組んで行くのかという事を含めて議論し、雛形のようなものを協議会で作れれば良いのではないかと考えている。

    • 「透明性」の規定が欠けているというのは、これまでの業界の姿勢が出ているのではないかと思う。メルクマール(基準)は4点位ある。1点目は、消費者側から見た選択権の保障の部分、2点目は、自分が申出た苦情や相談がどのように最後まで扱われるのかということが外から見えない部分、3点目は、実際に扱われた苦情の結果についてどのように公表していくかという部分、4点目は、外部評価である。このような点が手当てされてくると、透明性の肉付けが図られて、言葉だけではなく内容としても充実していくのではないかと思う。

    • 透明性の議論にも係ってくるが、消費者側への情報提供という定めが置かれていないことが多い。何か実際こういうことについて問題があるとか、自分たちでは評価しにくいといったものがあればお話し頂きたい。特に無いということであれば、情報提供等について今後規定を整備していくことについて問題ないと理解して良いか。ここは、基本理念を書いているところであり、規定の整備自体はそれほど難しいことではないと思われる。無論、単に基本理念のみ書いてあれば良いというようなものでは全くないということは、先程指摘があったとおりである。

    • 次に2-1苦情の定義について、別紙2の評価を見ると、規定自体が設けられていない団体が多い。自己申告を見ても、Aと答えているところは必ずしも多くない。何かこういった規定を整備することに問題があるのか、それとも、これから整備したいということなのか。

      • これから対応を予定されている団体が多い。書き振りを1つ加えるということなので、対応するという団体が多いが、実際上困らないのでいらないというコメントもある。

    • これは、どういったものをADRで扱うかということを宣言する部分であり、全体の通則規定である。規定はないが実際やっているということで良いかもしれないが、やはりできれば規定もきちんと整備して消費者が分かるようにしていただければと思う。

    • この定義は、モデルを作成する過程でかなり神経を使って議論した。一般的な問合わせなのか苦情なのかという区別がはっきりしないと、苦情解決支援規則を作ってもその対象になるのか否かが分からない。メルクマールになるところなので明確に決めるべきである。

    • 当協会では、この規定はない。受けるものは、会員と顧客との間の商品先物取引の受託業務に関する苦情であり、本会が受けて会員に対応を求めたものは全部苦情になっている。被害の有無にかかわらず、会員の受託業務に関して不平不満があれば全て受付けている。従って、モデルのように被害を前提としたような苦情の定義を規定してしまうと、当業界では苦情の範囲が狭まってしまう。規定することが出来ないこともないが、先物取引の場合、金融商品と違うようなものになっても止むを得ないのではないかと、困惑している。

    • 例えば、協会に商品取引を止めたいが止めさせてもらえないという連絡があった場合、それが苦情であれば苦情処理を始めれられるが、問合わせであればその取引会社の管理部に問合わせなさいということで終わってしまう。その時、どの辺までが苦情で、どこの辺までが相談なのかというところが問題。一般的な問合わせと言われている中に苦情が含まれていることがあるので、それが入るように定義しようと議論していた。そういう意味からすると、日本商品先物取引業協会がかなりの数の苦情を処理していることはデータ的にも承知しているが、問合わせや相談はそれよりはるかに多いはずで、その中に本来的に苦情として取扱っても良いものが入っているのではないかということである。

    • 当方の受付原則からすると、今の例は苦情である。会社も個人名も特定した上で問題があると言われたら、それは全部苦情で受けている。名前を言わなかったり、会社名も言わない場合は、苦情の解決に向けて処理ができないので問合せとして扱わざるを得ない。

    • 苦情の定義は非常に大きいポイントだと思う。モデルの一行目を見ると、「責任若しくは責任に基づく行為を求めること」とあり、とても幅広い概念と捉えていたが、それぞれの業界団体では、これをかなり狭く捉えている。例えば、ある銀行のある業務に対して私は責任を問いたいというところまで言葉がないと苦情にならない、というように読み方によっては取れなくもない。最初作るときは、かなり広く取れるように考えたが、書き振りによっては逆になる。もう少し議論をして、ある程度苦情についてコンセンサスを打っておいた方が良いのではないかと思う。

    • 苦情の定義は、協議会が始まった頃に非常に議論されたところ。消費者から見ると苦情ではないかということがそれぞれの団体で相談として処理されていたということがある。それ故に、苦情とは何かということを取り決めたと思うので、きちんと書き込んでいただきたい。

    • 苦情の定義をどう考えるかということを協会内で議論するが、規則にこのような書き振りを入れると、実態と差異が出てくる。よろず相談所で顧客からの声を受け付けているが、苦情処理規則や紛争処理規則を作る前は、かなり幅広い考え方でやっていた。ただし、苦情規則を作って以降は、苦情としては顧客が自分の名前と相手の金融機関名に加え、こういう原因で苦情が発生していると伝え、それに対して解決を求めるということがはっきりしたものについて苦情と考えるべきであろうということで、運用上捉えている。ただ、実際にそれだけで良いのか、苦情というのを現実に1件1件そういう条件を満たしていないと苦情としてカウントできないということで良いのか、と割り切れないところがある。

    • 苦情のモデルではこのように定義されているが、それぞれの機関の実情に応じて、独自の書き方をして全く構わない。とにかく書いてくださいというのが消費者側の要望である。規定がないと、せっかくいろいろ配慮されていても、外からは全く見えない。細かいところは細則に書いて、いずれも公表するというのが原則ではないか。現在の消費者から見た問題は、規定がないとか、規定が公開されていないとか、苦情の事例がホームページやパンフレットに載っていないからそこの機関にどういうことを質問したらよいか、どういう対応をしてくれるのかが分からないという状況。項目2-10(外部評価)を見ると、苦情が少ないからアンケートは必要ないという回答になっている。しかし、協議会では積極的に苦情を拾っていこうという考え方であり、苦情が増えたら色々な評価をするというのもおかしな話である。とりあえずそれぞれの機関が良心的に苦情の定義をして、それを出すことから検討が始まるのではないかと思う。

    • 形式的には、苦情の定義がないと3の各項目が必要なくなる。申立てがあった消費者の名前を聞くといったことは、苦情の定義の問題というより苦情の申立人に対する団体側の手続き上の問題である。そういうことがはっきりしていない以上、苦情がないということはないと思う。あくまでこれはモデルであって、この定義に100%沿う形で規定していないといけないものでもない。そこは、あまり神経質に考える必要はない。むしろ、日本商品先物取引協会ではかなり広く苦情を扱っていると受け取ったが、まさにそうであればそちらの協会で扱っているように苦情を定義していただければ結構である。このモデルを頭から押し付けようという訳では全くないので、いろいろ改善していくきっかけになればと思う。

    • 日本証券業協会だが、別紙2では定義不明瞭と記されているが、本協会の細則中の別表で、苦情相談処理報告書という形で既に公表ベースのものは規定している。顧客が必ずしも自分の名前、相手の会社名も言わない苦情相談も非常に多く、半分以上を占めている。単に第三者の意見を聞きたいというのが半数以上占めているということ、証券取引制度等に対する質問あるいは意見というのも多くある。証券取引に限らない他業界等に対する相談に分類せざるを得ないというものもあるので、文章で定義を書いてしまうと実務的にやっていく上で運用しづらいということになる。ここは広く実情を認めていただければありがたい。

      • それは当然苦情の手続きにのらないところで対応されるということではないか。

      • 現状、全て苦情相談という形にしている。制度に対する質問や会員会社に対するもの以外でも、苦情として処理している。あくまで統計上の分類で、さらに細分化して分類しているということ。

    • 証券分野でも今の話を聞く限り、相談をやっているのか苦情をやっているのか、斡旋段階に移れるのかそうでないのかというところをはっきりさせた方が良い。相談と苦情を区別し、苦情であれば上手く斡旋が出せるというような形でやった方が良い。証券業協会は制度を改善して実績も上げているので、定義もすっきりさせた方が良いのではないか。

    • 証券業協会の中で、苦情として扱うべきものはその手続きにのせて、そうでないものはそうでないような扱いとするという整理をしてはどうかということ。苦情か否かを明確にしていくことが、団体自身にとっても自ら受けたものをどう扱うかということをはっきりさせていくことになるし、それが消費者に対する関係でも良いのではないかという意見。

      次に項目2-2(消費者への周知)については、やはり規定がない一方、運用面で対応しているところは多いようである。

    • モデルの具体的内容の一番最初が、自らのPRをするという内容になっているが、自明なので規定のないところが多いのではないか。自己PRをする相手は、業界会員企業の利用者、消費者ということになるが、実際にはいろいろニーズがあって運用面が良くなっているということであれば、それを踏まえた規定を今後設けていただければと思っている。

    • 当業界では、法律上、商品先物取引の受託に先立って事前に交付すべき書面(通称「委託のガイド」)の規定があり、全委託者に配布している。その中には、先物取引のリスクや仕組み、注意事項等が解説されており、苦情受付の窓口についても他の窓口(商品取引所)を含めていろいろ説明されており、そのような手当てをしているので規定はないが実態面では行われていると回答した。

    • 実態面で相当行っていることは理解している。さて、項目2-3(当事者の選択権の保障)は、あまり達成度が高くない。規定を設けているところはほとんどない一方、仲裁センターを利用しているので、規定を設けていないというところがある。

    • 生命保険協会、日本証券業協会、日本損害保険協会等の機関手続きがある団体は、自動的に手続きを記載できるので実施済になるが、仲裁センターに委託した場合には、仲裁センターの中の機構の話を委託者として記載するということになる。苦情、紛争事案を申立てる方は、ここが手当てされないとそこから先の部分が見えなくなり困ってしまうかもしれない。今後、仲裁センターとの提携を結んだ場合には規定するところもあるので、苦情若しくは紛争処理の機関の有無で書き方が分かれている。

    • 資料4は大川委員の意見だが、弁護士会の仲裁センターは、モデルの紛争解決支援規則と比較すると、信頼性等の望ましい点も多いが、会員企業の手続きへの応諾義務の問題や証拠の提出協力義務、調停案の尊重義務等の定めがないため、モデルの紛争解決支援規則が予定する手続きに比べると劣っているという問題もある。従ってこの点の改善が必要だというのが指摘されている。仲裁センターとADRの各団体が協定を結ぶ時に、工夫をすることが考えられるのでないかという問題提起である。仲裁センターを用意すれば、それで事足り、全て終わりという訳には行かない。

    • 紛争解決支援規則があるのは4団体である一方、弁護士会の仲裁センターと契約済の団体と予定の団体を合わせると八つになっている。これはモデルの規則を作成する時には、想定していなかったことではないか。大川委員は、基本的に弁護士会の仲裁センターとの提携を促進する立場かと思うが、私は消費者の権利保護等の観点から若干違っていて、モデル案を作る時にも紛争解決支援規則で、公正迅速、透明な解決支援を行うことにより、会員及び取引の公正を確保し、利用者の正当な権利の擁護、金融市場の健全性の確保を目的とした。これらは弁護士仲裁センターでの紛争解決を個別にするということとは機能が違っていて、斡旋調停段階における手続上の乖離がある。入口の段階では、弁護士仲裁センターは開始について同意なしには始められないが、モデル案では送られたら紛争解決支援手続は当然開始される。事実解明についても基本的に協力するが、資料をどの程度出すかというのはいろいろ議論があり、規則になっている。しかし、弁護士仲裁センターではそのようなこともない。出口の段階では、受諾に関しての尊重義務も何もないということになっており、かなり食違いが出てしまう。この点は、仲裁センターとの取決めがモデル案とバランスを保つような方向があり得るのか是非検討していただきたい。大川委員のペーパーには、各機関と弁護士会との協議を開始とあるが、個別的にそういうことは必要だと思う一方、この協議会のテーマでもあるのでしっかりと議論していただきたい。手続き上生じるバランスの問題の他に、モデルでは、紛争が解決した時、紛争処理機関が会員企業に対して一定の措置や勧告が取れるようになっているのに、弁護士仲裁センターはその部分も全部欠落してしまう。ここは仲裁センターの問題ではない部分なので、どうやって移送元機関にフィードバックしてモデル案にあるような機能を持たせられるかという独立した問題として検討すべきである。

    • 紛争解決支援は、大川先生と私に加えて日本損害保険協会、全国貸金業協会の方が加わって作業したが、作業当時は全国銀行協会だけが仲裁センターを利用していて、これ程広がってくるとは予想していなかった。こちらで作ったモデルを優先されて整備されていくということを考えながらやっていたので、これだけ広がってくると是非ここでもう一度検討していただきたいと思う。

    • 弁護士会の仲裁センターの利用は、今後さらに広がるのではないかと思っている。そうだとすると、むしろ仲裁センターを利用した場合の定義をモデルの中に設けて、そういう場合には各ADR・業界団体が仲裁センターの現在の手続きを前提にしてどのように扱うか、また、仲裁センターとADRとの間でも、仲裁センターにもこういった金融機関ADRの案件を扱う場合の特別な手続きを用意してもらうことを検討する必要を感じる。モデルの紛争解決支援手続きに実質的に匹敵するような手続き内容を仲裁センターを利用したときにも用意できるという工夫が必要。そういう意味で、ADRと仲裁センターの間においてのモデル契約をここで検討し、モデルの改定なり特則を作ることが望ましい。

    • 自前の紛争解決処理機関を持たないところを弁護士会の仲裁センターに誘導してしまう危険性を感じる。項目3-14(今後の設置予定)には、ほとんど設置予定なしと回答している。例えば、全国銀行協会は非常にうまくいっているので必要ないと答えているが、取り扱い件数もまだ少ないし、案件の上げ方等々に問題があるという意識を弁護士会が持っているのではないかと推測される。全国銀行協会は外部評価についても利用者に対してアンケートを行っていない等、外から見ると疑問もある。弁護士会の仲裁センターの活用の具体的な検討に入っているところが4団体で、他に全国漁業協同組合連合会でも検討・調査中ということをふまえると、現状をもう一度検証してみる必要がある。その上でモデルを規則でどう対応するかということを検討していただきたい。

    • 仲裁センターを利用しようが自前で紛争解決支援手続きを設けようが、同じようなサービスを消費者に提供できれば、それで良いのではないか。

    • 仲裁センターを利用するかどうか議論をした時の一番基本的な考え方は、最終的には司法の判断にゆだねるというのが基本というもの。しかしながら、その中間段階で解決できるものもあるのではないかということであった。検討を重ねた中で、仲裁センターの利用を決めた。これは、当事者同士が合意をした上で進めていく手続きであろうということで理解している。顧客から仲裁センターへの申出があって、銀行がそれを受けないという場合がどれくらいあるのかという点については、当初とは違ってきていて、銀行も受けるようになっている。

    • そもそも金融審議会で金融のADRを作る検討をした時に、金融の専門性を考え、また、事業者と消費者の交渉力の格差を前提にして簡易迅速で費用のかからないものを作りたいというのが前提にあった。事業者がまずテーブルにつくということと、結果の尊重義務がないと、自分で弁護士会の仲介センターを使った時と金融ADRの一つとして弁護士会の仲裁センターを使った時では、費用負担の違いしかないという感想を持たざるを得ない。やはり、金融の専門性ないし金融の業界団体が係わることによるメリットを消費者にもたらすことが必要だと思う。

    • 顧客からそういう申立てがあった時、会員銀行が断る場合もあるが、全て受けないということではない。これには、裁判で既に係争中、裁判に行くつもりであるとかといった、合理的な理由が示されて受けないということになっている。

    • 金融機関に関するADRを設けるという理念からすると、それぞれの金融の特性にあったADRをそれぞれの業態毎に考え、将来的には金融全体に通じるようなものが望ましいという話にも係わって来るところだと思う。そういった考え方がある一方、仲裁センターの利用がこれだけ広がっているということは、中立性において、従前の業界団体が設けていたADRにないメリットが当然あると思われ、場合によっては、金融に関してより上手く機能するように弁護士仲裁センターを改善するということも考えられる。あるいは、選択の余地を広げるということも考えられる。一律に、金融独自の紛争解決支援手続きが必要だと考えるのが良いのかどうか意見の分かれるところである。

    • 司法制度改革の検討会で仲裁法制の議論がこんなに進むとは予期していなかった。仲裁は非常に強いもので、そこのところをどのように考えるかという点を次の機会に山本先生から紹介していただいて、あるべき姿を考えてみてはどうか。

    • 不動産シンジケーション協議会であるが、前回、紛争解決支援については東京弁護士会の仲裁センターを利用する方向であると報告した。その後、弁護士会より提示された『協定書』の雛型に沿って案を作成するなど締結準備に入ったが、弁護士会の方から紛争の当事者である会員社に対する団体の協力要請義務について協議の申し入れがあった。具体的には「苦情を受けた団体が当該会員社に対して仲裁センターの手続きに応諾するよう要請する、といった団体側の協力義務を協定書に織り込んで欲しい」といった趣旨である。当初は10月に締結をしたいと考えていたが、こうした経緯から内容を再検討することとなった。

    • 仲裁センターの中でもそういうことを検討しているようなので、金融ADR・各団体がそれにどう対応すべきかという現実の問題として、他の団体も仲裁センターとの間で起きていることをこの場で話し合って、より良いものを作るために議論したいと思う。

    • 全国銀行協会の評価表は事前にチェックしたが、人材育成の項目の評価が協会と私で異なっており、訂正を求めたが訂正はしないということで返答がきた。この部分は大変難しい。規定がここまで書いてあるとか、ここまでやっているというところでA評価にもなるし、まだ不十分と思われるとBとかC1とかになるということで、評価する時に苦労したのではないかと思う。それをまず出していただいた方が適切な評価だったかどうかという事につながるのではないかと思う。

    • 自己満足している訳ではないが、実際の現場では99%が相談であり、人材育成をしていく時に企業としては、99%の顧客ニーズに答えていくことを優先したい。もちろん、苦情と相談の境目のものもあり、最初は相談でやっているうちに苦情になったというものもあるので、非常に密接に絡んでいる。そういう中で、総体的にどういう状況にも対応できる人材をできるだけ多く育てていくということで臨んでいる。

    • 項目2-6(守秘義務)は、大体すでにかなり整備されている。本日は、大きい課題を出していただいたように思えるので、その点を次回まで考えていただきたい。また、山本委員からもお話をいたただければと思う。次回は、2-7から始めたいと思う。

  • 議事資料の公表について了承された。

  • 裁判外紛争処理制度の改善に向けた取組みについて、信託協会、全国銀行協会、全国信用金庫協会及び生命保険協会から報告があった。

(以上)

問い合わせ先

総務企画局企画課
電話03-3506-6000(内線3517)
本議事要旨は暫定版であるため、今後修正がありえます。

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