第136回自動車損害賠償責任保険審議会議事録

1.日時:平成29年1月12日(木)10時00分~11時15分

2.場所:中央合同庁舎第7号館西館13階 共用第1特別会議室

【落合会長】

それでは、定刻になりましたので、136回になりますけれども、自動車損害賠償責任保険審議会を開催いたしたいと思います。本日は、非常に多忙の中ご出席いただきましてありがとうございます。

お手元に当審議会のルールについてお配りしておりますが、これに則りまして、本日の審議は全て公開で進めたいと考えております。ただし、カメラでの撮影は冒頭のみ可とするということにしたいと思います。

まず、今回より新たに就任いただきました委員の方のご紹介いたします。

秋田委員でございます。

【秋田委員】

秋田でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

【落合会長】

髙荒委員でございます。

【髙荒委員】

髙荒でございます。どうぞよろしくお願いします。

【落合会長】

森委員でございます。

【森委員】

森でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

【落合会長】

唯根特別委員でございます。

【唯根委員】

唯根と申します。よろしくお願いいたします。

【落合会長】

ただいま紹介いたしました4名のほかに、松本特別委員にも、また今回新たに委員の就任をお願いしておりますけれども、松本特別委員は今回所用により欠席ということになっております。また、相原委員、田島委員、藤田特別委員におかれましても、今回は所用により欠席ということになります。

続きまして、本日ご欠席の委員のうち、松本特別委員よりご意見の代読の申出がございましたので、代読いただく方をご紹介したいと思います。松本特別委員からのご意見の代読、代読いただいた範囲内で質疑に対応いただく、日本医師会の松本吉郎常任理事でございます。

【松本常任理事】

松本吉郎でございます。よろしくお願いいたします。

【落合会長】

それでは、ここでカメラ撮りの方はご退室をいただきたいというふうにお願いいたします。

(カメラ退出)

【落合会長】

さて、本日の議題といたしましては、お手元の議事次第にありますように、自賠責保険料率の検証結果に関する報告のほか、来年度の運用益の使途についてのご報告がございます。

それでは、まず事務局から、資料の確認をお願いいたします。

【岡田課長】

保険課長の岡田でございます。おはようございます。まず、お手元の配付資料でございます。まず、配席図、それから当審議会の公開ルール、議事次第、委員名簿となっております。

それでは、議事次第に沿って資料の確認をさせていただきます。まず、議題1は、自賠責保険の基準料率についての検証結果をご報告するもので、資料1でございます。

議題2は報告事項でございまして、議事次第に記載しております3点についてご報告するものでございます。資料2から資料4まででございます。資料4につきまして、一部申し訳ございませんが、不備があったようでございますので、会議中に差し替えを配付させていただきます。

以上が、本日の資料でございます。過不足、ご不明な点などございますでしょうか。

それでは、本日の審議会ですが、おおむね12時ごろをめどに終了することを予定しております。私からは以上でございます。

【落合会長】

ありがとうございました。それでは早速、議題1、料率検証結果についてのご報告をいただきまして、ご議論をお願いしたいと思います。

まず、実際に料率検証の作業を行いました損害保険料率算出機構、堀本委員に概要をご説明していただき、その後、事務局からの補足説明をしていただきたいと思っております。

それでは、堀本委員、よろしくお願いいたします。

【堀本委員】

堀本でございます。よろしくお願いいたします。

それでは、平成28年度の検証結果につきまして、お手元資料1に沿ってご説明させていただきます。

まず1ページの自賠責保険・共済収支表をご覧ください。表のタイトルに契約年度とございますが、1ページでございます。この表は、当該年度において契約を締結した車両の保険料と、その車両が起こした事故による支払保険金を集計したものでございます。この表では、自賠責事業を行っております全事業者の収入純保険料、それから支払保険金、収支残、損害率につきまして、過年度の推移及び今回の検証の対象年度であります、28契約年度及び29契約年度の予測値を載せております。

まず、表の一番左側の収入純保険料をご覧いただきますと、20年度以降、22年度までは6,000億円台での推移となっておりましたが、23年4月に純保険料率を17.2%引き上げたことによりまして、23、24年度は約7,000億円程度、その後、25年4月に純保険料率を20.1%引き上げたことによりまして、25年度以降27年度までは8,500億円程度となっております。

また、今回の検証の対象であります28年度、29年度をご覧いただきますと、収入純保険料は28年度が8,607億円、その下の29年度が8,544億円と見込んでおります。また、その右側の支払保険金につきましては、28年度が8,154億円、29年度が8,059億円と見込んでおります。なお、支払保険金の算出に当たりましては、31年10月に消費税率が10%に引き上げられる影響を織り込んで計算したものとなっております。

以上の収入純保険料と支払保険金との差額が、次の収支残の欄でございますが、28年度が453億円の黒字、29年度が484億円の黒字となっております。また、一番右側に損害率の欄がございます。支払保険金を収入純保険料で割った値でございますが、これが28年度は94.7%、29年度は94.3%となっておりまして、下の欄外の注3にございますように、25年4月の基準料率改定の際の予定損害率は100.2%でございますので、算出時の見込みとの対比で、成績の改善が見込まれる状況となっております。

以上が、今年度の検証結果でございます。

続きまして、今年度検証結果の背景及び要因等についてご説明させていただきます。

それでは、2ページをご覧いただきたいと思います。このページの交通事故の発生状況は、警察庁の交通事故統計によるものでございまして、交通事故の傾向を把握するための参考ということで添付しております。初めに、左側の発生件数をご覧いただきますと、平成16年辺りをピークとして減少傾向となっております。その右側の死者数につきましても、継続して減少傾向となっており、27年は+0.1%とわずかに増加しておりますが、28年については再び減少に転じています。その右側、表の中ほどの負傷者数につきましても同様に、近年減少傾向となっております。

次に、3ページをご覧いただきたいと思います。3ページでは、料率検証における主な予測要因についてご説明しております。まず(1)の収入純保険料に関する予測要因といたしましては、過年度の保有車両数の動向を参考に、将来年度の保有車両数を推計しておりまして、28年度は+0.2%、29年度は+0.1%と、いずれも若干の増加を見込んでおります。

次に(2)の支払保険金の予測に当たって前提となりますのが、マル1の事故率と、マル2の平均支払保険金でございます。まずマル1の事故率でございますが、ここでの事故率と申しますのは、自賠責による保険金支払の対象となる事故の発生率を意味しております。こちらにつきましては、過年度の事故率の動向、及び先ほどご説明いたしました交通事故発生状況などを参考として算出しております。ご覧いただいている3ページの表は死亡、後遺障害、傷害別の予測値をまとめたものとなっておりますが、4ページに過去の実績値を含めましてグラフと表でお示ししておりますので、先に4ページをご覧いただきたいと思います。

最初に右下の表の、左端の死亡の事故率についてですが、過年度の動向といたしましては、22年度以降、一貫して減少傾向となっております。また、先ほど警察庁の交通事故統計をご覧いただきましたけれども、交通事故死者数は28年度に入ってからも減少傾向となっております。このため、死亡事故率は今後も減少していくものと予測しております。

次に、表の右端の傷害の事故率をご説明させていただきます。自賠責の事故率は、過去、増加傾向で推移していましたが、25年度以降は物件事故として届け出られた事故における自賠責保険の支払いの増加傾向が緩やかになっており、警察統計上の交通事故負傷者数と同様、減少傾向となっております。28年の交通事故負傷者数は減少傾向が続いていることから、28年度以降、緩やかに減少していくものと予測しております。

最後は、表の中央の後遺障害の事故率でございますが、後遺障害事案は交通事故による受傷の後に後遺症が残る事案でございます。そこで、後遺障害事故率と傷害事故率の関連性を見ますと、直近では傷害事故率と同様に減少傾向での推移となっております。このため、28年度以降の後遺障害事故率につきましても、傷害事故率と同様に減少傾向で推移するものと予測しております。

以上が、事故率に関するご説明でございます。

続きまして、資料3ページに戻っていただきまして、(2)のマル2平均支払保険金についてご説明させていただきます。平均支払保険金に影響を与える主な要因といたしましては、賃金、治療費及び支払基準の改定の影響による変動が挙げられます。このうち、賃金上昇率につきましては、今後の景気動向が不透明であることを踏まえ、28年度以降は横ばいということで予測しております。

また、治療費上昇率につきましては、近年、平均入通院日数に増加傾向が見られることを踏まえまして、治療費全体としては、28年度は+0.33%、29年度以降は+0.28%と、若干の上昇を見込んでおります。

次に、一番右の治療費、休業損害及び慰謝料の金額や算定方法等を定めております支払基準の改定による影響でございますが、28年度は支払基準の改定見込みは今のところございませんので、影響はゼロとし、29年度以降発生する事故については、直近の22年4月の支払基準改定の年平均上昇率0.05%を毎年度織り込んでおります。

なお、資料には記載しておりませんが、平均支払保険金の予測に当たりましては、31年10月に消費税率が8%から10%に引き上げられる影響を別途織り込んでおります。

続きまして、5ページをご覧いただきたいと思います。5ページは、3ページ及び4ページに基づき算出した、自賠責保険・共済の支払件数、平均支払保険金の推移を一覧表にしたものでございます。こちらの表もタイトルに契約年度とありますが、これは先ほどの1ページと同じく、当該年度において契約を締結した車両が起こした事故による支払件数と平均支払保険金ということでございます。したがいまして、保険期間が1年を超える長期契約の場合、その契約を締結した車両に生じた事故につきましては、契約を締結した年度の支払件数と平均支払保険金の欄に、保険期間全体分を通算したものが集計されております。

一番左側の欄の死亡の支払件数につきましては、28年度が3,756件、29年度が3,653件と予測しておりまして、28年度は1.4%の減少、29年度は2.7%の減少となっております。また、後遺障害及び傷害につきましては、それぞれ28年度は1.1%、1.2%の増加、29年度はいずれも1.2%の減少と予測しております。このように数字が波を打っておりますが、先ほど申し上げましたとおり、後遺障害及び傷害の事故率は減少傾向で見込んでおりますものの、各年度の契約台数自体の増減によりまして、件数としてはこのような結果となっております。他方、平均支払保険金をご覧いただきますと、死亡はわずかに減少、後遺障害はほぼ横ばい、傷害はわずかに増加と予測しております。

次に、6ページをご覧いただきたいと思います。6ページは自賠責保険・共済の支払保険金の総額の推移でございまして、前の5ページの死亡、後遺障害及び傷害別の支払件数と、平均支払保険金を掛け合わせて求めたもので、一番右の欄が合計となっております。この合計欄の28年度の8,154億円、29年度の8,059億円という値が、冒頭の1ページの収支表でご説明いたしました支払保険金の値となっております。

続きまして、7ページをご覧いただきたいと思います。7ページは、ご参考として、重度後遺障害の支払件数の推移をまとめたものでございます。表のタイトルに支払年度とありますが、こちらの表の件数は、当該年度に保険金が支払われた事案の件数ということでございます。

集計の対象は、注1にございますように、現行の後遺障害等級表の別表第一に該当する介護を要する後遺障害、それと別表第二の1級から3級までに該当する後遺障害でございまして、これらが労働能力喪失率100%とされる後遺障害でございます。それぞれの等級の支払件数の合計が一番右の欄にございますが、重度後遺障害の支払件数として、最近は約1,800人の方が被害に遭われている状況となっております。

続きまして、8ページをご覧いただきたいと思います。8ページは自賠責保険・共済の運用益の発生と積立状況でございます。一番右の欄に保険料の引下げ財源等に活用される際の実質的な金額となる法人税等相当額を加味した運用益積立金残高を集計しており、一番下の27年度末では損保会社、共済事業者合計で2,200億円となっております。

この点について簡単に補足いたしますと、H欄のとおり、収支の赤字補填の取崩額が27年度は1,469億円と多額になっております。これは20年4月の基準料率改定時の大幅料率引下げの際に、当時の累計収支残の黒字及び運用益積立金の活用により、純保険料率を大幅な赤字水準で設定したことによるものでございます。

続きまして、9ページをご覧いただきたいと思います。9ページは自賠責保険の社費、共済経費の収支表でございまして、全事業者の社費の収支につきまして、ご参考までに過去の実績を示したものでございます。一番下の行の27年度をご覧いただきますと、当年度収支残が152億  円の赤字となっております。その要因といたしましては、現行料率である25年4月の改定料率が、24年度末の累計収支の黒字、約300億円の活用を前提とした赤字水準の設定となっていることに加えまして、26年4月の消費税率の引上げによる物件費の増加、及び第133回の本審議会でご説明がございましたとおり、代理店手数料の増税負担分を当面は保険会社等の社費で負担している影響が挙げられます。この状況により、25年度以降、社費の赤字が続いた結果、27年度の累計収支残は125億円の赤字に転じているところでございます。

続きまして、10ページをご覧いただきたいと思います。10ページは、今までご説明させていただきました内容のポイントをまとめたものとなっております。(1)にございますように、25年4月の基準料率改定における予定損害率は100.2%でございましたが、(2)の表にございますとおり、本年度検証結果である28年度、29年度の損害率はそれぞれ94.7%、94.3%ということで、予定損害率と比較すると、改善が見られるところでございます。

また、実績が把握できている直近の27年度までにおきまして、運用益積立金による補填を踏まえました実質的な累計収支残を計算したものが右側の表になっております。27年度末時点では、まず累計収支残が4,410億円の赤字となっておりますが、このうちF欄の運用益積立金による収支赤字の補填累計額にございますとおり、3,692億円が会計上、既に補填がなされております。一方、今後の補填の財源として運用益積立金残高が、G欄の2,200億円となっております。これらを考慮した実質的な累計収支残は、H欄のとおり、27年度末時点で1,482億円となっております。

なお、29年4月に基準料率を改定する場合には、1年分更新した28年度時点のものが保険料の引下げ財源等に活用される際の実質的な金額となり、その額は2,200億円を超える見通しとなっております。

続きまして、11ページをご覧いただきたいと思います。こちらは27年度における自賠責保険の収入と支出の構成割合を円グラフで表示したものとなっておりまして、ご参考ということで添付しております。

私の説明は以上でございます。

【岡田課長】

それでは引き続きまして、私から、ただいまの資料1の10ページに沿いまして、補足説明をさせていただきます。

現行料率の予定損害率と損害率等を比較しますと、その乖離率は、この資料の注2のところにもございますが、平成28年度、当年度でございますが▲5.5%、平成29年度、これは翌年度でございますが、▲5.9%となっております。この乖離率、昨年の料率検証結果ではどうだったかと申し上げますと、平成27年度、これは当時の当年度でございますが、これが▲4.3%。平成28年度、これは当時の翌年度でございますが、▲4.8%ということでございました。

このように、予定損害率と損害率との乖離率は2年連続でマイナスとなっております結果、保険収支が黒字となっているほか、昨年よりも乖離幅、黒字幅が拡大していることがわかります。

また、運用益積立金を考慮した累計収支残、資料の表でいいますと一番右側のH列でございますが、こちらは平成28年度末、すなわち29年3月、この3月末の累計収支残でございますが、資料には記載がございませんが、先ほど堀本委員からご説明がございましたとおり、残高は2,200億円を超える見込みとなっており、この金額は平成28年度の見込支払保険金8,154億円と比較しますと、その26.9%を超える水準となっております。

先ほど申し上げましたとおり、保険収支の黒字が継続しているということ、今後もこうした傾向の継続が見込まれるということから、累計収支残についてはさらに拡大していくことが見込まれる状況にございます。

以上の点に加えまして、料率の安定性、社費の収支状況等も踏まえまして、平成29年4月以降の基準料率改定の必要性につきまして、委員の皆様にご議論をお願いできればと存じます。

なお、基準料率の改定を仮に行うとする場合には、累計収支残の還元期間を設ける必要がございます。すなわち、この累計収支残を向こう何年かけて契約者にお返しする、還元するかということでございます。前回平成25年に料率改定を行った際には、この還元期間を5年と設定しております。これは自賠責保険の契約期間の最長期間が5年ということでございますので、契約者間の公平性等を考慮して5年としたものでございます。

基準料率の改定を行うとする場合には、この点につきましても議論をお願いできればと存じます。

私からは以上でございます。

【落合会長】

ありがとうございました。それでは、ただいまの料率検証結果の報告と補足説明に関しましてご質問、ご意見ございましたらお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。どうぞ。

【秋田委員】

日本自動車会議所の秋田でございます。ただいま保険料率の改定等も視野に入れたご説明がございました。保険料率の引下げについて、もしまた議論の結果なされるのであれば、これは全く異論はございません。

ただし、従来より繰り返されてきました保険料の値上げや消費税アップなど、これまでの自動車ユーザーの負担感は増大したままというところはぬぐえないと思います。さらに平成31年10月には、ご承知のとおり2%の消費税の引上げというものも予定をされているという状況でございます。自賠責保険についても大きな負担を背負う自動車ユーザーが、真に納得する環境整備というのは、今後も必要だろうというふうに強く思っているところでございます。

具体的なお話を申し上げますと、従前からの積み残しでございます、特会からの一般会計繰入金の問題がいまだに未解決のままというところは、皆様ご承知のところだと思います。約定上の返済期限につきましては、平成30年度末ということになっております。この返済期限も今回で4回目という期限でございまして、これが刻々と近づいてきているという状況にもありながら、依然としてこれについては何の措置もとられていないというのが実態でございます。

万が一、この覚書が今回も書き換えられ、返済期限が先送りになるというようなことになれば、次の返済機会などが全く見通せない状態になるのではないかと危惧をしております。国民の自賠責保険制度への信頼、これも大きく失墜し、損なわれてしまうと。取り返しのつかないことになるのではないかと危惧しているところでございます。

この認識に立ちまして、今日この場にいらっしゃいます国交省の皆様、あるいは当審議会の委員の皆様が中心となって、関係先を巻き込み、大きな力として期限内の確実な返済をぜひとも実現をしていかなければならないと強く思うところでございます。

平成30年度予算の編成は平成29年度、つまり本年行われるというところでございますので、本年が返済の実現の鍵を握る実質的な、我々としては勝負の年ではなかろうかというところでございます。

以上、意見として申し上げました。よろしくお願い申し上げます。

【落合会長】

秋田委員、どうもありがとうございました。ほかにどのポイントでも結構でございますが、いかがでしょうか。

恐縮ですけど、医師会の松本常任理事、いかがでしょうか。ご意見何かございましたらお願いしたいと思いますが。

【松本常任理事】

特別会計の?

【落合会長】

この料率含めてですね。どのポイントでも。

【松本常任理事】

料率ですか。運用益積立金が、これからも増えることが見込まれるというのであれば、それはやはり還元する方向にいくということについては賛成いたします。

【落合会長】

ありがとうございました。ほかにご意見、ご質問ございましたらどうぞ。

特に料率のご報告に対して、これをどういうふうに評価するかというポイントにつきまして、ご意見お願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。どうぞ。

【矢代委員】

JAFの矢代でございます。現在、ご報告、ご説明いただきましたように、運用益積立金による補填を考慮しましても、累計収支残が積み上がっていくという状況のようでございますから、したがってこれは、基準料率改定の形でユーザーに還元するという方向での設計を検討していただければと思います。

【落合会長】

ありがとうございました。ほかに、どの点でも結構でございますが、いかがでしょう。

【松本常任理事】

先ほどの堀本委員の報告に関連しまして、昨年も要望させていただきましたが、物件事故における自賠責保険の支払いが増加傾向にあるということを踏まえて、何らかの検証の場が必要であると考えておりますので、引き続き要望させていただきます。

もう1点ですが、自賠責保険における柔道整復施術費の適正化に関しまして、要望いたしますが、自賠責保険におきまして、柔道整復師の長期にわたる施術や、多くの部位への過剰な施術が行われる施術費用の傾向を踏まえまして、適正化を議論する時期にきているのではないかと考えております。

健康保険の療養費の分野では、柔道整復の多部位、長期、頻回請求などの不正な請求や、反社会的勢力と結託した療養費詐取事件などの現状を踏まえ、厚労省におきまして、柔道整復療養費検討専門委員会が設置されております。審査会の強化や施術費範囲の明確化など、具体的な適正化の方向が示されているところでございます。

この自賠責保険におきましても、交通事故被害者救済を第一目的とした保険制度でありますので、限られた財源で多くの被害者を手厚く救済するためにも、施術費の適正化の議論が別途必要であると考えております。どうぞよろしくお願いしたいと思います。

【落合会長】

ありがとうございました。恐縮ですけれども、鈴木委員、いかがでしょうか。何かご意見もしあれば、お願いしたいと思います。

【鈴木委員】

今、正直申し上げまして、いろいろなお話を聞きながらちょっと理解をさせていただいているという状況です。

【落合会長】

ほかにご意見、唯根特別委員はいかがでしょうか。

【唯根委員】

ありがとうございます。初めて今日出席させていただきまして、事故の減少については、今、高齢者の交通事故というか、事故を起こすというのが非常にクローズアップされていて、国交省や何かでその対策をとられ始めるというのを伺っているので、それも減少する見込みも含まれて出されているのかどうかというところが、ちょっと関心を持ちました。

具体的には、数字や何かについては専門外でございますので、ご説明をいただいたので理解したつもりでございます。ありがとうございます。

【落合会長】

ありがとうございます。ほかにございますでしょうか。古笛委員はいかがでしょうか。料率の点も含めまして。

【古笛委員】

今回の料率の検証の結果からすると、保険料の引下げということを前向きに検討してもいいのではないかなというふうには思っています。

ただ、長期に考えると、自賠責保険でできること、できないことというのはあるかと思うんですけれども、今の自賠責保険の枠組みがずっと維持されたままでいいのかどうなのかと。自動車も、自動運転の問題もありますし、それから高齢者の事故、昨今、毎日のように報道されている問題もありますので、大きな自賠責保険の枠組み自体をどこかで、すぐというわけではないんですけれども、検討していただく機会をまた設けていただけたらというふうに希望いたします。

【落合会長】

ありがとうございました。ほかにご発言いかがでしょう。甘利委員、いかがですか。

【甘利委員】

このレジュメの1ページの損害率なんですけれども、これは24年度が119で、その後減少に転じています。これは自動車の、今、古笛先生からもご指摘がありましたけれども、完全な自動運転というのは来年というわけにはいかないだろうと思いますけれども、将来的には自動運転も含めて損害率がかなり減少していくという傾向がありますので、この料率を下げるということについては、私は賛成だと思いますけれども。将来的にそういう自動車そのもの、あるいは交通システムそのものの変革を見据えて、自賠責がどうあるべきかということをさらに検討していただきたいというふうに思います。以上です。

【落合会長】

ありがとうございました。中林委員はいかがでしょう。

【中林委員】

ご説明ありがとうございます。現時点でこの数字を見る限りでは、やはり料率を下げるという、そちらの傾向になるということに関しては、私も賛成いたします。そして、皆様からの発言でもありますように、今後、自動車というもの自体がどうなっていくのか。自動運転なども含めまして、どう変わって、また高齢化が進む中でどのようなこれから事故が起こってくるかといったことを踏まえながら、自賠責保険のスキームそのものをどういうふうに今後考えていくのかという点についての議論は必要というふうに考えております。以上です。

【落合会長】

ありがとうございました。ほかにご発言等は。大体よろしいでしょうか。特にご発言がないということだとすると、まとめに入ってよろしいでしょうか。

それでは、今、委員のご発言、一通り伺ったというところですけれども、まとめとしては、今後の料率のあり方でありますが、保険収支に見合う料率水準とすることがよかろうというご意見がたくさん出されたというふうに認識をしております。

それらも踏まえまして、保険収支の状況を見た場合に、現行料率の予定損害率と損害率との乖離率というものは2年連続マイナスの検証結果になっていると。収支が黒字傾向であるほか、昨年度よりも乖離幅、黒字幅というものが拡大していると。このことから、運用益積立金を考慮した累計収支残のさらなる拡大が今後見込まれると。これらを踏まえますと、平成29年度より、自賠責保険の収入と支出が見合う料率水準とすることが適当であるというふうに考えますけれども、この点につきましていかがでしょうか。よろしいでしょうか。

(「異議なし」の声あり)

【落合会長】

では、そのようにさせていただいて、ご了承いただいたということで取り扱わせていただきます。

併せて、累計収支残の還元期間をどうするかという問題がございまして、還元期間というものを決める必要があると。還元期間につきましては、先ほどの保険課長からの補足説明にもありましたように、契約者の公平性等を考慮して、今回も還元期間は5年ということで決定したいというふうに考えますが、この点につきましても何かご異論があればと思いますが、よろしいでしょうか、そういうふうに決めることで。

(「異議なし」の声あり)

【落合会長】

それでは、そのようにさせていただきます。

ありがとうございました。そうしますと、今後、以上の議論を踏まえまして、損害保険料率算出機構におかれましては、速やかに新たな基準料率の案を作成いただき、今後開催される自賠責保険審議会におきまして、ご説明をお願いしたいと思います。

それでは、引き続きまして、平成29年度の運用益の使途についてのご報告をいただきたいと思います。自動車安全特別会計、それから民間保険会社、JA共済の順にご説明をいただきまして、その後まとめてご議論をいただくということにしたいと思います。

それでは、まず平成29年度自動車安全特別会計の運用益の使途につきまして、これにつきまして、国土交通省の増田保障制度参事官よりご報告をお願いいたします。

【増田参事官】

では1枚おめくりいただきまして、自動車安全特別会計運用益活用事業の、まず実績についてご報告をさせていただきます。平成27年度の実績でございます。

1番が、まず被害者保護増進対策ということで、介護料支給の充実と、介護料の支給につきまして、平成27年度、要望が特に大きかった支給対象品目を拡大いたしました。それによりまして、介護料受給者やその家族が日常生活において抱える経済的負担を軽減したということでございます。支給対象品目につきましては、横に写真を載せてございます。

それからもう1点、訪問支援業務実施体制の充実・強化でございます。介護料の受給者を対象としました訪問支援ということでございますが、平成26年10月から、独立行政法人自動車事故対策機構におきまして、被害者援護促進の日ということで、毎週木曜日を、原則として適性診断をしない日という形にいたしまして、従来の安全指導業務から、被害者援護業務への経営資源のシフトを図るということで取り組みを進めたところでございます。27年度におきましても、さらに訪問支援システムを利用しまして、訪問支援結果の整理分析、情報共有などを効率的に実施しまして、在宅の介護料の受給者やその家族の精神的な支援を強化したところでございます。

2番で、自動車事故発生防止対策でございます。1つは、先進安全自動車(ASV)に対する支援の拡充ということで、政府目標、交通安全基本計画で定められておりますけれども、こちらの達成に向けまして、自動車運送事業者に対しまして、ASVの導入に対する支援ということで、27年度におきましては補助対象車種を拡大いたしまして、さらにドライブレコーダーなどの運行記録の高度化に資する機器等の普及を促進したところでございます。

ちなみに、左に書いてございます交通事故の死者数の推移につきましては、先ほどもお話がございましたが、平成28年が3,904人ということでございますが、政府目標につきましては、平成32年までに2,500人以下というものが定められているところでございます。

それから、もう一つ、自動車アセスメント事業の充実ということでございます。自動車アセスメントに関しましては、これまで衝突安全の安全性の評価を行ってきたわけでございますが、26年度から予防安全性能評価ということに取り組んでおります。27年度に関しましては、衝突被害軽減ブレーキ(対車両)、それから車線逸脱警報装置などの評価を本格実施したところでございます。また、新たに後方視界情報提供装置の評価を試行したということでございまして、これらを通じまして、自動車のユーザーの方々に、より安全な自動車の選択と、自動車メーカー等による安全な製品開発の促進を強化したところでございます。

1枚おめくりいただきまして、29年度の予算案でございます。まず最初に、被害者保護の関係でございますが、療護施設機能委託病床の設置・運営ということで、関東西部と書いてございますが、独立行政法人自動車事故対策機構のほうで、療護施設、具体的には療護センターと委託病床ということで、今、全国8カ所ございます。こちらにつきまして、遷延性意識障害者に対する公平な治療の機会の確保と、効果的な治療の提供のために、関東西部につきまして、湘南東部総合病院、茅ヶ崎市にございますが、こちらのほうが28年5月から委託病床の受け入れを開始したところでございますけれども、今後12床に拡大しまして、全国で290床の療護施設の設置・運営を行うということにしております。

それから、右にまいりまして、被害者保護の関係でございますが、一貫症例研究型委託病床の設置・運営ということでございます。従来、全国8カ所の療護施設に加えまして、今回新たに独立行政法人自動車事故対策機構のほうで、もう一つ新しい形の委託病床を検討しております。

こちらのほうは、従来ですと慢性期において受け入れをしておったんですけれども、こちらは急性期から亜急性期、慢性期にかけて、連続した治療・リハビリの臨床研究を行って、ガイドライン、プログラムなどを策定するということが非常に重要じゃないかということでございますので、例えば大学病院とか総合病院などを念頭に置いておりますが、こちらのほうを新しく委託病床としてお願いをしまして、こちらのほうの治療、リハビリの検討、改善、成果の普及というものを図ると。併せてそういった大学病院、総合病院ということでございますので、研究及び人材育成をするための必要な体制を確保して、遷延性意識障害者に精通する脳外科医等の育成も併せて行っていただくというような、新しい形の委託病床の設置・運営を行いたいと考えております。

それから、下のほうにまいりまして、療護センターにおけるメディカルソーシャルワーカー機能の強化ということでございます。療護センター、それから委託病床とも、3年を一応限度に入院していただくことになっておりますので、その後、在宅に移られたり、ほかの病院に移られるにしましても、非常にメディカルソーシャルワーカーによる相談というのが非常に重要だということでございますので、退院後の行き先などを含めた在宅介護への移行に関する相談など、入院患者・家族の支援体制の充実を図るために、メディカルソーシャルワーカーの複数配置を行うということでございます。

それからもう一つ、事故防止の観点で、自動車アセスメント事業の充実ということで、先ほど申し上げました、26年度から衝突時の安全性能評価に加えまして、事故を未然に防止する予防安全性能評価を開始したところでございます。29年度に関しましては、夜間(対歩行者)の衝突被害軽減ブレーキの調査研究、それから、こちらの調査研究を行うとともに、衝突被害軽減ブレーキ、昼間(対歩行者)及び車線維持支援制御装置について評価を本格実施するなど、一層充実した取り組みを推進することとしております。

国土交通省のほうからの報告は以上でございます。

【落合会長】

ありがとうございました。それでは、引き続きまして、平成29年度民間保険会社の運用益の使途について、森委員からご報告をいただきたいと思います。よろしくお願いします。

【森委員】

日本損害保険協会の森でございます。私からは、平成29年度の民間保険会社の運用益の使途につきましてご報告申し上げます。お手元の資料3をご覧ください。

この運用益拠出事業案は、第三者委員で構成される損保協会長の諮問機関、自賠責運用益使途選定委員会にてご審議・ご了承いただいているものであり、2月16日開催の日本損害保険協会理事会で、最終決定する予定であります。

平成29年度事業案の策定に当たりましては、これまでの自賠責保険審議会の答申や、「今後の自動車損害賠償保障制度のあり方に係る懇談会」で示された方向性なども踏まえ、自動車事故の被害者対策を充実させていくこと、並びに交通事故被害者を生まないための事故防止対策に注力することを基本方針としております。

それでは、運用益拠出事業案のポイントをご説明させていただきます。資料1ページをご覧ください。平成29年度の拠出予定合計額は、必要な事業を積み上げた結果、資料右上に記載のとおり、19億1,116万円、前年度対比約5,600万円の減額となっております。

まず、拡充案件についてご説明いたします。自動車事故防止対策分野では、飲酒運転防止のための啓発事業支援や、高齢者の事故防止対策について拡充を図ります。新規事業としては、医学的・工学的な観点からの、「高齢運転者の事故予防に向けた運転能力の適性評価と早期介入に関する研究」や、歩行者に着目した、「高齢歩行者の視力と交通事故に関する研究」を実施いたします。

次に、自動車事故被害者対策分野では、新規事業として、高次脳機能障害者のご家族に対する支援拡大を目的とした、「高次脳機能障害者家族による家族支援サポートシステム構築に向けたプログラム作りへの支援」を実施いたします。こうした事業は、昨今の社会環境や、自動車事故被害者の皆様、関係者の皆様のお声をお聞きする中で事業化したものでございます。

次に、減額案件についてご説明いたします。事業運営の効率化や、これまでに示された運用益事業の方向性などを踏まえ、ご覧のとおり「公的病院への救急医療機器の購入費補助」や、「交通事故無料相談事業支援」などの事業で減額しております。

平成29年度の事業案の概要は以下のとおりであり、総額としては前年度対比で減少となっておりますが、これは必要な事業を充実させる一方、個々の事業内容の精査・見直しなどを行うなどして、各事業を積み上げた結果でございます。

なお、資料2ページ以降に、平成29年度の個々の拠出事業内容、それから直近5カ年間の拠出額の推移、平成27年度の運用益拠出事業の報告書を添付しておりますが、時間の関係上、説明は割愛させていただきます。

民間損保といたしましては、本拠出が自動車事故の被害者の皆様への支援並びに事故防止対策に資するよう、今後とも自賠責保険運用益の有効かつ適正な拠出に努めてまいりたいと考えております。

以上、ご報告申し上げます。

【落合会長】

ありがとうございました。

それでは引き続きまして、平成29年度JA共済の運用益の使途につきまして、髙荒委員よりご報告をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。

【髙荒委員】

JA共済連の髙荒でございます。

それでは、後でお配りいたしました、お手元の資料4に基づきまして、平成29年度のJA共済の運用益の使途についてご報告を申し上げます。

なお、毎年度の運用益拠出事業の計画策定に当たりましては、先ほどご説明のありました損保協会様と同様に、第三者委員からなる使途選定委員会においてご審議の上、ご了承をいただいているところでございますけれども、各施策の実施状況を踏まえ、その効果や課題などを検証し、各施策の継続、あるいは新規取り組み、減額の方向性を整理しながら、より効果的、効率的な活用に努めているところでございます。また、これまでの当審議会におけるご意見も参考としております。

早速ではございますけれども、資料の1ページをお開き願います。1ページ目の上段に記載しておりますとおり、平成29年度の計画の合計は、平成28年度より1,116万8,000円減額の13億7,633万1,000円を予定しております。

次に、平成28年度からの主な変更点についてご説明をいたします。まず、新規施策といたしましては、適正な後遺障害認定に資する医療研究に対する支援の実施を計画しております。こちらは公募形式で研究テーマを募集し、交通事故被害者に対する適正な後遺障害認定に資する医療研究に関する研究費用の一部を助成するという内容でございます。なお、平成29年度につきましては、「外傷後の慢性疼痛の臨床に関する研究」をテーマに、2件の研究に対してそれぞれ300万円、合計600万円の助成を行うこととしております。

続きまして、ページ中段の減額となる施策でございます。救急医療機器等購入費補助と、交通事故無料法律相談事業の支援の2点でございます。1つ目の救急医療機器等購入補助につきましては、救急医療機器の整備が一定進んだことから、減額としております。また、2つ目の交通事故無料法律相談事業の支援につきましては、公益財団法人交通事故紛争処理センターにおける平成29年度の全体予算が下がったこと及びJA共済の相談件数割合が低下したことにより減額となっております。

最後に、予算の推移につきまして、ページの下段に記載しておりますけれども、平成28年度と比較いたしまして、0.8%の減少という記述となっております。

なお、2ページ以降に、平成29年度の本運用益拠出事業の詳細と、平成27年度の実施状況を取りまとめて記載しておりますので、本日は説明は割愛させていただきますので、後ほどご覧おきいただければと思います。

報告については、以上でございます。

【落合会長】

ありがとうございました。

それでは、ただいまの3者のご報告に関しまして、ご質問、ご意見等ございましたらお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。どの点からでも結構でございますが。特段ご報告、それぞれ承るということで、特に注文は必ずしもないという理解でよろしいでしょうか。

それでは、今の3者の報告についてのご議論は、この辺りということにいたしまして、そういたしますと、本日予定しておりました議事は全て終了ということになります。

本日の予定しております議事とかかわりなく、全体につきましてご意見があれば承りたいというふうに思いますが、何かございますでしょうか。どうぞ。

【桑山委員】

全国遷延性意識障害者・家族の会の桑山といいます。冒頭にありました、例の財務省に貸し出している6,000億円の件につきまして、昨年の11月に、また被害者団体として、財務省への要望に行ってきました。これで3年連続行ったことになります。そこで、今年度実行要求はされなかったんですが、この間、自動車事故の被害者対策が、現状のレベルでよいかどうかという根本的な議論がやや不十分のように、私は思っています。というのも、被害者を支えるべき医療と福祉が、かなり大きな欠落点があるような感じがしています。

現在の医療体制では、重症事例の場合に、2か月以内に顕著な回復がなければ、リハビリに特化した、いわゆる回復期病棟には入院できないという仕組みがあって、またそこに入院したとしても、一応180日でリハビリが終了になります。重症事例の人がなぜリハビリ病棟に入院できないかというと、看護師の配置数ががたっと下がるというのが実態としてありまして、回復期病棟の場合は、いわゆるPTとかOTという療法士の数は増えるんですが、看護師の配置数が下がるというのがあって、なかなか看護師さんの数が減っちゃうと、生活を支えるというか、病棟の中での生活を支えられないという問題点があるからです。

それに対して、非常に自動車事故対策機構の病棟というのは3年間、とりあえずみっちりとリハビリと看護をしてくれるわけです。通常3か月以上、意識が定かでない場合には、回復率といいますか、脱却できる割合というのは10%とか5%とか言われているわけですけれども、それがこのNASVAの病棟の場合は回復率は25%もあって、だから非常に我々、被害者団体としてみたら、NASVAのやっている委託病床、あるいは療護センターの仕組みというのはすごく大事なものだと思っています。

そうなった場合に、じゃあ今の通常の交通事故以外で脳卒中になったような方々の場合の医療体制というのが、すごくそこで差があって、本来やっぱり今現在の保険医療体制が、重症事例の回復を阻んでいるという面もあると思います。だから、十分な看護、あるいはリハビリがあれば、やっぱりもっと回復できる人は多いというふうに私は思っていまして、この辺の議論が、保険医療点数を決める中医協なんかでもあまり議論されていないと聞いています。

私たち家族会の中には、酔っ払い運転の被害者もおりまして、そういった中で第三者行為で障害を負わされて、なおかつ現在の医療からも見捨てられてしまっているというようなことはあってはならないというふうに私は思っています。やっぱりそのためには、多くの地域にNASVAの病棟をつくってもらって、とりあえず家族の者も通えるような、そういったような病棟の整備がすごく大事だと思っています。

国交省からも、毎年繰り戻しの実行要求をしてもらっているんですが、ぜひともこの自賠責審議会としても、財務省に対して繰り戻しの実行要求をしていただけたらなと思っています。

それと、今の損保会社、あるいはJA共済の使用使途につきましても、やっぱり今後、もっと再生医療だとか、そういった慢性期に入ってしまって非常に困っている人々のための研究助成だとか、そういった方面に多くの財源を使ってもらえたらなと思ったりしています。

以上です。

【落合会長】

ありがとうございました。今の桑山委員のご発言で、運用益の使途につきましても貴重なご示唆があったというふうに思いますので、ぜひ留意していただきたいというふうに思います。

ほかに特にご意見ございますでしょうか。どうぞ。

【増田参事官】

いつもご意見ありがとうございます。平成29年度予算要求におきましても、今回ご意見いただいております、一般会計からの繰り戻しについて要求をいたしたところでございます。

それから、法律等で繰り戻しするということで定められておりますので、財務省と国土交通省で協議をしたところでございますが、平成29年度の当初予算案による繰り戻しというのはなされませんでした。一般会計の財政状況等、引き続き極めて厳しい状況にあるということで、繰り戻しがなされなかったということでございますが、大臣間の覚書が、平成30年度までに繰り戻しを行うという期限が定められておりますので、私どもとしましては、引き続き財務省に対して機会をつかまえて、協議をしてまいりたいと思っております。よろしくお願いいたします。

【落合会長】

ほかに特にご発言ございますでしょうか。よろしいでしょうか。

そういたしますと、最後に、事務局から連絡事項がございますので、よろしくお願いいたします。

【岡田課長】

次回の自賠責保険審議会でございますが、事前に委員の皆様に今月中のご都合をお聞きしております。それによりますと、最も多くの方にご参加いただけるのが来週1月19日の午前中ということでございます。

したがいまして、来週19日木曜日の午前10時より、本日と同じこの会議室において、次回の自賠責保険審議会を開催させていただきたいと存じます。

委員の皆様におかれましては、ご多忙とは存じますが、可能な限りご出席賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。ありがとうございました。

【落合会長】

それでは、これで本日の会議を全て終わりにするということになります。どうもお忙しいところご出席いただきまして、貴重な意見もいただき、ありがとうございました。

以上

お問い合わせ先

金融庁Tel 03-3506-6000(代表)

監督局保険課

(内線3375、3342)


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