ソルベンシー・マージン比率の算出基準等に関する検討チーム(第3回)議事要旨

1.日時:

平成18年12月19日(月)10時00分〜13時00分

2.場所:

中央合同庁舎第4号館9階 金融庁特別会議室

3.議題:

「ソルベンシー・マージン比率等に関する検討課題について」

4.議事内容:

  • 第三回検討会が開催された。

  • 事務局より、資料3−1「バーゼル II の概要とIAISにおける流動性リスクの取扱い」に沿って説明が行われた。

  • 森平委員、庄子委員、儀賀委員、住谷委員、田口委員、藤倉委員、御子神委員から、それぞれ資料3−2「ソルベンシー・マージン規制 そのあり方と今後の展望」、資料3−3「ソルベンシー・マージン基準について」、資料3−4「ソルベンシー・マージン比率の算出基準等の見直しについて」、資料3−5「ソルベンシー・マージン基準の見直しについて(生命保険会社の基準に対する)」、資料3−6「ソルベンシー・マージン基準のあるべき姿と短期的対応について」、資料3−7「損害保険会社から見たソルベンシー・マージン規制の見直しについて」、資料3−8「外国損害保険会社の観点から見たソルベンシー・マージン基準について」に沿って、ソルベンシー・マージン比率等に関する検討課題について意見が述べられた。

上記説明に対して自由討論が行われた。主な内容は以下のとおり。

(質問)

企業価値としているのは、負債価値を引く前の概念か。

(回答)

最終的には、自己資本価値を見ようということ。企業がいくらの財産を持っているかということが資産価値、返さなければいけない価値は純資産価値。二つ(自己資本と純資産価値)が必ずしも一致しないことに問題がある。

(質問)

各社の内部モデルを当局が認めていくような方向性を示されたが、現状における各社の内部モデルの方向性や水準感をどう見ているか。

(回答)

  • 海外の保険会社と比べても、日本は平均的にみれば相当なレベルにあると思う。統一的な基準を決めるか、ある程度管理体制と考え方がしっかりしていればその枠内で考えるかであるが、一律的に基準を決めるのではなく、各社の管理体制の中で個別に見ていけばよい。

  • いろいろなモデルが使われているのは事実。十分なものを作れるレベルにはあるが、資産と負債の価値を経済的に把握していくことについてのインセンティブに濃淡がある。つまり、技術力はあるが実践力には、まだ温度差がある。

(質問)

企業価値については、エンベディッド・バリューでも、負債評価でも基本的にはGoing Concernベースで計算されていると思うが、時間価値とか期待なども入っており、恣意性も入りうるという問題点がある。基本的にはソルベンシー・マージンは短期的な支払能力であり、企業価値の算定モデルをそのまま使うとはどういうことか、一定のストレステストをかけるといった方法などと想像するが、ソルベンシー・マージンの議論と企業価値をどのように結びつけるのか。

(回答)

  • 株式会社か、相互会社かによっても異なるが、契約者は、事故が起きたときに保険金を払ってくれるかが重要。株主は、株式に対応するだけの将来の配当があるかということが重要。それらが可能かということとソルベンシー・マージンとの対応がとれているかということである。企業価値を発行済株式数で割ってみて、実際の株価と理論株価がマッチしていれば問題ない。

    企業価値を計算することは、出したお金に対し、いくら担保されているかということであり、トレンドとなっているのはわかりやすさからである。ソルベンシー・マージン比率は、そういったものの代理指標であると考えるが、本当に代理指標となっているかは疑問。いじればいじるほど利害関係が混乱。異論があるかもしれないが、企業価値であれば、一定の基準を満たせば、それほど大きな開きはでないのではないか。

  • ソルベンシー・マージンと企業価値との関係は、ソルベンシー・マージンに使われるリスク計測を利用して、運用のパフォーマンスを最大化し、企業価値の最大化につなげるといった関係にあるのではないか。

(質問)

ALMを反映した手法に関しては中期的見直しとされているが、「保険会社の健全かつ適切な運営を促す基準を目指す」という観点からALMに手をつけないのは違和感があるが、無理なのか。

(回答)

生命保険会社の場合は、超長期の負債を持っていることもありALM的視点は大事だと考えているが、契約の内容にはオプション性がたくさんあり、中身を見ておくことが大事である。拙速に導入することにより、誤った経営行動を導くおそれがある。したがって、実施に当たっては、まだ考えるべきことがあるという認識である。

(質問)

ソルベンシー・マージンについて個社が目標水準を合理的に設定できる仕組みとはどのようなイメージか。

(回答)

ソルベンシー・マージン比率を破産確率と結びつけることまでは難しいかもしれないが、個社が健全性の目標を設定するための目安になるような指標にできないかと考えている。現状では、個社が考える健全性とソルベンシー・マージン比率とがバラバラになっているのではないか。

(質問)

税効果相当額はマージンには算入しないとの意見があるが、繰延税金資産に関してはどう考えるか。

(回答)

繰延税金資産は、内部留保の積立に伴うものであり、経営が完全に破綻に向かう過程の前に取り崩されることを考えると認めてもよい。現行基準でよいと考えている。

(質問)

保険会社のリスクの大半は資産運用リスクであるというが、ALMのリスクすなわち負債側に内在している市場性のリスクも大きなリスクとして認識しているという意味か。

(回答)

保険も含めたリスクとして予定利率リスクを考えると、今でも資産運用リスクには含まれており、解決すべき課題という認識であるが、当面の課題として考えると「価格変動リスクの見直し」、「分散投資効果の見直し」、「現物資産とデリバティブとの整合的なリスク評価基準への見直し」があげられる。

(質問)

責任準備金がマージンを有しているとのことだが、ここでいう責任準備金とは標準責任準備金と考えればよいのか。

(回答)

標準責任準備金であれば、責任準備金の基礎率の中にマージンが考慮されている。また、標準責任準備金以前の純保険料式のものは保険料の中にマージンが含まれていると考えている。ただし、予定利率の高い個人年金などマージンが十分ではない商品もある。

(質問)

会社の目標としてソルベンシー・マージン比率が何%程度あれば適正な水準と考えているのか。高ければ高いほどよいという風潮もあるが、経営の効率から考えて高すぎるのも問題がある。そのような水準があるとすれば、ソルベンシー・マージン比率以外の観点で評価しているのか。あるいは他社との相対感なども影響しているのか。

(回答)

  • ソルベンシー・マージン比率の目標は特段もっていない。オン・バランスの自己資本については、社内管理のリスクなどとの対比で積立てに努力しているという状況である。

  • 現行基準は目標設定ができる仕組みとはなっておらず設定していないが、目標設定できるような仕組みとしておくことが望ましいと考えている。例えば、エンベディッド・バリューの計算をする際には600%といった水準を前提として計算しているが、600%が妥当であることを根拠づけるのは現状では難しい。

  • ターゲットは500%としている。責任準備金のリスク対応力が高いため、500%はかなり高い水準と考えている。明確な根拠があるわけではないが、資本効率をよくするという観点と営業的観点から他社との比較の観点を考慮した水準である。

(質問)

積立保険の予定利率リスクの算出方法に関し、簡便法が提案されているが、生命保険会社にも適用できるのか。

(回答)

算式の適用は可能と考えているが、あくまで簡便法であり、生保の場合、金利と解約の相関、死差・費差の影響がどの程度の誤差をもたらすかについては承知していない。積立保険に関しては比較的金融商品的な性格が強いので、誤差は小さいと考えている。

(質問)

巨大災害リスクに関し共通の尺度で評価すべきとのことだが、風水災リスクはなぜ70年に一回か、なぜ伊勢湾台風となっているのか。

(回答)

ソルベンシー・マージン比率では、当初、台風19号を想定していたが、モデルが発達し、シミュレーションが可能となったことにより、戦後最大の台風である伊勢湾台風を意識して変更されたものと考えられる。

(質問)

「海外支店・海外法人の支払余力に問題が生じた場合、本店・親会社が財政支援を行うと期待するのが合理性」とあるが、その合理性はどこで担保されているか。

(回答)

支店形式の場合、支店の数字は本店所在国のRBC基準あるいはソルベンシー・マージン計算に通常含まれている。本店所在国で問題がなければ支店も含めて大丈夫なものと判断して差し支えないと考えている。

(質問)

見直しに当たり「破綻事例の検証を踏まえる必要がある」とあるが、繰延税金資産などについて継続基準か清算基準かといった是非の判断についても検証結果を活用する目的に含まれているという考え方でよろしいか。

(回答)

その理解でよい。

(質問)

連結ベースのソルベンシー・マージン比率についてどう考えるか。また、グループ経営の観点から海外に法人を出せば、海外の自然災害リスクもしかるべき方法でチェックした上で管理しているという理解でよいか。

(回答)

基本的には単体ベースで支払能力を確保すべきと考えている。また、海外の連結子会社の自然災害リスクをどうモデル化するか、統一的な尺度を作れるかという技術的問題もある。短期的対応でいきなり連結ベースとするのは難しい。

なお、海外に支店をだす場合について、実態として、日本国内の地震なり台風のリスクほどが大きくないため、海外については簡便な手法を用いることが多い。

以上

お問い合わせ先

金融庁 Tel 03-3506-6000(代表)
監督局保険課 秋田(内線3770)
山村(内線3431)
本議事要旨は暫定版であるため、今後変更があり得ます。