ソルベンシー・マージン比率の算出基準等に関する検討チーム(第7回)議事要旨

1.日時:

平成19年2月22日(木)13時00分~15時55分

2.場所:

中央合同庁舎第4号館9階 金融庁特別会議室

3.議題:

「ソルベンシー・マージン比率等に関する検討課題について」

4.議事内容:

  • 第七回検討会が開催された。
  • 事務局より、資料7-1「IAIS ストラクチャー・ペーパーの概要」に沿って説明が行われた。
  • 事務局より、資料7-2「主な論点(第四稿)」に沿って説明が行われた。
  • 儀賀委員、庄子委員、猪野委員より、それぞれ資料7-3「予定利率リスと価格変動等リスクの計量化について」、資料7-4「ALMリスクの論点と資産運用リスクの精緻化について」、資料7-5「予定利率リスクと価格変動等リスクについてのコメント」に沿って説明が行われた。
  • 藤倉委員、田口委員より、それぞれ、資料7-6「巨大災害リスクの見直しについて(論点整理と意見)」、資料7-7「損保における巨大災害リスクの考え方について」に沿って説明が行われた。
  • 事務局より、資料7-8「ソルベンシー・マージン比率の算出におけるリスク係数算出方法の概要(巨大災害リスク及びその他リスク)」に沿って説明が行われた。

上記説明に対して、テーマごと自由討論が行われた。主な内容は以下のとおり。

「ALMリスク」について

(意見)

  • リスクを計算する式を無理に単純化しようとすると問題が生じる。為替、金利、株価などのリスクファクターの分散共分散行列を用いて計算することにより、大抵の問題は解決するのではないか。

  • β値(マーケットポートフォリオとその会社のポートフォリオの相関係数)を用いる提案があったが、市場と連動しない株式のβ値はゼロだが、リスクはゼロではないことに留意する必要がある。

(意見)

解約のリスク、負債の特性は、単純に債券と方向が逆だと見てよいかという問題を含んでいる。

(意見)

リスクの種類のどこまでをみるかは難しいが、資産間の共分散をみて分散投資効果をみるのは賛成である。

β値に関しては、保有している株の大部分は市場で取引のある株式であり、β値を使用することにも意味があるのではないか。

(意見)

β値は、本来リスクではなく期待収益率を計算する場合に用いる。株は市場と関係する部分と、無関係の部分があるが、無関係の部分まで通常リターンを想定していない。

リスク特性を反映させるという観点からは、将来的には内部モデルを用い個別銘柄のヒストリカルデータ、所有するポートフォリオなどを利用して評価することが必要である。

(意見)

バランスよく保有していれば、株式によるリスクのうち固有のものは、分散投資によりキャンセルされる。保有資産の状況をきめ細かく見た上で考える必要がある。

(意見)

ほとんどの保険会社は、ポートフォリオを分散化しており、簡便な方法としてβ値を使用することにも一定の意味がある。特定の業種に偏っているケースも考えられることから集中リスクを考慮する方法もある。

(意見)

β値は銘柄ごと分散投資している効果をみるものとして提案した。上下限を設けるなど何らかの工夫の余地はある。

(質問)

銀行はBIS規制でマーケットリスクが決まっており、マーケットリスクは管理可能である。また、解約リスクに関しても、銀行では住宅ローンなどでも借り換えリスクを評価している。保険会社で難しい理由は何か。

(回答)

リターンを追及すれば高度なリスク管理が必要。その時点で最善の方法をおいて、ファイン・チューニングしながら管理している。

実務的に考えて、リスク管理のプラットフォームが準備できるか、負債のキャッシュフローを生成できるシステムがあるか、という問題である。日本の保険会社が、全社対応できるかという観点から見ると、そこまで到達していないということではないか。

(意見)

全社共通に簡易的な方法で短期的に見直しを行うと、リスクを適切に反映できない可能性があると考えている。

(意見)

ALMを行っていくと債券市場、長期金利に影響がでるのではないかとの指摘があったが、実際に影響が懸念される。したがって、全面的な負債の時価評価が適当かどうかということには疑問を持っている。分子に関しては、将来収支分析の期間を徐々に伸ばしながら、金利が上がったときに行えばよい。リスク量はキャッシュフローから時価ベースで計算する。低金利で負債の全面時価評価を行うと低利の運用をロックインしてしまう危険がある。

株が下がった場合に株を売るようなリスク管理は、問題がある。ブラックマンデー時には、ポートフォリオ・インシュアランス運用が株価を引き下げてしまった一因であったと認識している。

(意見)

各社で対応することは難しいとのことであるが、リスク管理のモデルについて、地銀がデータをプールし、地銀協モデルを作成したといった経緯もあった。保険業界でもインフラはあるので、データをプールして利用することにより比較的短期間で実現可能ではないか。

(意見)

現時点ではIFRS(国際財務報告基準)で検討を行っている最中であり、客観的な測定ができるかというと難しいのではないか。今年から来年にかけて、まさにまとめようとしているところであり、現時点では、各社で計算はできても、比較可能な客観的な基準がなく、行政も統一できるような状況ではない。システムそのものに対応できていない会社もある。

(意見)

早期解約の推計が困難とのことであるが、合理的な個人を想定し、顧客が最も有利な時点で解約するという仮定を置いてキャッシュフローを計算するという想定をおけば、計算可能と考えるがどうか。

(意見)

個社ベースで、計算ができないということではなく、客観性をもったものが作れるのか、簡易なモデルを利用して評価することが可能かという視点である。

(意見)

金利リスクを資本にチャージしていれば、金利が上昇したときのリスクにも耐えられる。解約率をどう織り込むのか等に関しては、難しい面もある。「十分な試行期間が必要」との意見もあったが、2年間くらいテストを行った上で実施することは可能ではないか。

(意見)

銀行の場合、経産省が作ったデータベースで倒産確率を算出し、リスク管理を行っている。アメリカでは、アクチュアリー会がデータをプールさせて実施している。日本アクチュアリー会では、会社に属しているから困難である。行政が旗振りをしてはどうか。

(意見)

保険会社は、男女、期間、保険料の払い方などに違いがある。また、企業年金、団体年金などもあり、特約まで含めて考えるとヴァリエーションが何千、何万となってしまうため、単純にはできない。

保険収益の利益の確定は、保険集団が終わるまでは確定しないところに困難性がある。基準を定めることは難しい状況であることは理解いただきたい。

(意見)

  • 貸付金は保険負債と同様で経済価値ベースでの測定は難しいがリスク量の測定であれば、保険負債と同じレベルの測定は可能ではないか。

  • 決算期末をまたいで、その他有価証券を売買することによりソルベンシー比率対策を行う懸念があるとのことだが、実際には考えにくい。仮に、このような取引が行われるのであれば、月別の状況を報告するなど別の方法で対処すべきと考える。

「巨大災害リスク」について

(意見)

  • 地震に関してもシミュレーションによりリスクを計測することについては賛成。再現期間については、70年に一回が妥当かどうかは別として、統一する方向が望ましい。個別のシナリオテストに関しては、関東大震災だけでなく、複数の台風が上陸することも意識して、ガイドラインなどで考慮してはどうか。

  • 地震と風水災が同時に顕在化する可能性に関しては、相互分散効果を見ても良いと思う。ただし、地震と資産運用との間には正相関があると考えられることから、計算式の平方根の中に入れるのではなく、現状と同様に処理したほうがよいのではないか。

  • 地震に関して、関東地域のみリスクを考慮しているとすれば、リスク管理になっていない会社があるのではないか。

  • ハイレイヤーについては、リスク量を上限として、再保険でカバーしている部分を除けばよい。再保険を差し引くことにより、ソルベンシー対策に用いられるリスクがあるのではないか。

(質問)

  • 標準的なモデルとして具体的に何を想定しているのか。

  • 地震については、関東についてのみ考慮している状況であり、関東以外の引受を行った場合考慮されない状況となっているがどう考えるか。

(回答)

  • 標準的なモデルとして想定しているのは、現在地域特性を踏まえた上で各社が用いているものを想定している。

  • リスクを合算する際の相関の考慮の仕方に関しては、関東大震災などの例外的なものを想定しなければ、地震と資産運用の間に強い正相関はないと考えられる。

(回答)

  • 工学的モデルを応用することにより各社の特徴が反映されることになる。

  • ハイレイヤーをどう捉えるかという問題である。そこまで問題とする必要はないのではないかと考えている。

(質問)

損害保険の破綻を考えると、再保険をどう捉えるかは極めて重要。保険会社のリスク管理を正しく反映しているのか。問題点、改善しなければならない点があるのではないか。

(回答)

関東大震災はリスクカーブ薄いところにある。再保険を充てればリスクは減るということだがリスクの尺度を例えば70年に一回に統一すれば、(リスクカーブの薄いところに再保険が集中するという意味での)ハイレイヤーの問題は解消するのではないか。

ストレステストでは、ハイレイヤーの再保険も考慮して行う必要がある。そこでは再保険回収リスクを考慮する必要がある。この予測は統一的な算式というものではなく、ストレステストにより評価を行うことがなじむのではないか。

(回答)

自然災害リスク以外にもある。再保険は重要な役割を担っている。出再・受再のリスクに関しては、どこまでソルベンシー・マージン比率に反映させるかは難しい。それらを考えると再保険リスクの見直しも考えなければならない。

「その他のリスク」について

(意見)

信用リスクの計算方法については、BIS規制の考え方が変わっており、予想される倒産リスクに関しては貸し出し利ざやでカバーし、予想外の貸倒れが起きた場合は資本でカバーするという考え方となっていることから、そのような観点からの見直しが必要。大口信用供与規制については、銀行の場合は、自己資本に対する比率であるが、保険の場合は、資産に対する比率であって甘くなっている。予想外の貸倒れが起きた場合のバッファー、移行期間を設けてソルベンシーに対する比率で大口信用供与規制をかけていくべき。

(意見)

出再のリスク係数が1%となっているが、再保険料の安いところに掛けた方が小さくなることになる。格付けに応じて段階的に考えたほうがよい。

(意見)

  • 信用リスク、再保険リスクに関しては、格付けをもう少し細かくみたほうが良い。アイデアとしては、格付けが下がった場合の経済価値の損失をみる必要がある。1%くらいのリスクに関しては、下がった場合4%程度になるものと思われ、内部モデルに移行するインセンティブになりにくい。

  • デリバティブ取引リスクでは、スワップ取引に関して、コラテラル(担保、委託保証金)は考慮されているか。

(事務局)

  • BIS規制(当時)を参考にしており、コラテラルは入っていないのではないか。

(意見)

  • オペレーショナル・リスクは、質的管理が重要である。そこで、リスクの管理のしっかりしているところはリスクを小さくし、そうでないところは大きくするという考え方がある。バーゼルIIでは、オペレーショナル・リスクについて、先進的計測手法を選択する場合、リスク管理等が一定の水準を満たすことを求められている。
     ただし、導入については、重要性を考えれば中期的対応として考えてはどうか。

  • コラテラル・マネージメントいわゆる担保管理は、デリバティブ管理の上で重要であるが、担保管理を推進するのであれば、リスク係数に差をつけてもよい。

(質問)

保険リスクについては、価格変動リスクと比較して、99%と高い水準となっている。どのような考え方に基づくものか。

(事務局)

巨大災害リスクもそうであるが、保険リスクに関しては、できるだけ払いきる前提となっている。普通死亡リスクについては、偶発的に多発するケース、伝染病などを想定してリスクをみている。

(意見)

保険リスクのみ著しく厳しく見える。料率に影響がないか。

(意見)

最低保証リスクに関しては、特別勘定の責任準備金が当該保険契約のリスク対象額の110%を超えている場合はリスク量0とのことだが、110%以上であってもリスク量はカウントすべきではないか。

(質問)

生存保障リスクについては、平均余命の改善度合いとして1%とのことだが、1年分の伸びのみカバーしているのか。

(事務局)

リスクとしては、実現するリスクとして1年分を考えているということ。

(意見)

保守的な死亡表であれば、そもそもかなりリスクはカバーしているということだが、フェアな死亡表であれば1年分としてはリスク量としては少ないのではないか。

(意見)

年金者の死亡表に関しては、毎年の改善を織り込んでいると考えている。

(意見)

年金の種類に因らず一律に1%掛けているのは問題。

(意見)

損害保険会社の破綻は、逆ざやによるケースと再保険によるケースである。そう考えると、様々な再保険があるが、再保険のリスクがソルベンシー・マージン規制に正しく反映しているのか疑問である。

(意見)

特別勘定に偏った保険会社は、ソルベンシー・マージン比率が高い傾向にある。最低保証リスクに関するリスク係数は、2%ということであるが、元本保証は大丈夫なのか。ポートフォリオのバランスもでてこないが、きめ細やかにできないか。

(意見)

変額年金については、積立保険と同様に、ヘッジ効果をどう見るかという問題がある。

以上

お問い合わせ先

金融庁 Tel 03-3506-6000(代表)
監督局保険課 秋田(内線3770)
山村(内線3431)
本議事要旨は暫定版であるため、今後変更があり得ます。

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