日本版スチュワードシップ・コードに関する有識者検討会(第1回)議事録

1.日時:

平成25年8月6日(火曜日)16時00分〜17時00分

2.場所:

中央合同庁舎第7号館13階 共用第一特別会議室

○油布企業開示課長

それでは、お時間になりました。皆さんおそろいでございます。

本日は、議事は公開になっておりますが、もし写真撮影をなさる方がおられましたら、冒頭だけでお願いいたします。

それでは、神作座長、よろしくお願いいたします。

○神作座長

ただいまより「日本版スチュワードシップ・コードに関する有識者検討会」第1回会合を開催いたします。皆様、ご多忙のところご参集いただきましてまことにありがとうございます。

このたび、本研究会の座長を務めることとなりました東京大学の神作でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

まず初めに、桑原総務企画局長よりご挨拶をいただきたいと思います。桑原総務企画局長、よろしくお願いいたします。

○桑原総務企画局長

ただいまご紹介にあずかりました、金融庁で総務企画局長を務めております桑原と申します。なにとぞよろしくお願いいたします。

本日は、大変お忙しい中、お集まりいただきまして本当にありがとうございます。「日本版スチュワードシップ・コードに関する有識者検討会」第1回会合の開催に当たりまして一言ご挨拶申し上げます。

後ほど、事務局からもご説明させていただきますけれども、本年6月に日本再興戦略が閣議決定されました。その中で、ちょっと読ませていただきますと、「機関投資家が、対話を通じて企業の中長期的な成長を促すなど、受託者責任を果たすための原則、いわゆる日本版スチュワードシップ・コードについて検討し、取りまとめる」という旨が明記されております。

また、同じ日本再興戦略でございますが、別なところで、これを敷衍する形で、これもちょっと読ませていただきますと、「企業の持続的な成長を促す観点から、幅広い範囲の機関投資家が企業との建設的な対話を行い、適切に受託者責任を果たすための原則について、我が国の市場経済システムに関する経済財政諮問会議の議論も踏まえながら検討を進め、年内に取りまとめる」という記述も盛り込まれてございます。

ご承知のとおり、スチュワードシップ・コード、これは投資先企業に対する機関投資家の望ましい関与のあり方に関する原則でございまして、2010年に英国において策定されております。このコードの目的は、英国のコードの前文に書かれておりますが、「資本の最終的な提供者も繁栄できるような方法により、会社の長期的な成功を促進することにある」ということとされておりまして、あわせて「実効的なコードは、会社、投資家、ひいては経済全体に恩恵を及ぼすものである」という考え方も、これもまた英国のスチュワードシップ・コードの前文に示されておるわけでございます。

こうした目的や考え方は日本再興戦略の趣旨にも合致するものでございますけれども、今般、「日本版スチュワードシップ・コード」と書かれておりますとおり、我が国のコードを具体的に策定するに当たりましては、単に英国のコードを直輸入すれば足りるというわけではないと私どもは考えております。英国のコードの優れた部分を参考としつつ、我が国経済の飛躍的な成長を促すための「第3本目の矢」にふさわしい、実効的でバランスのとれたコードの策定をぜひとも目指していただけばと考えております。

以上、簡単ではございますけれども、委員の皆様方におかれましては何とぞ自由で活発なご議論を展開されることをお願い申し上げまして、私からの挨拶とさせていただきます。本日は本当にどうもありがとうございました。

○油布企業開示課長

ありがとうございました。

それでは、写真撮影はここまでとさせていただきます。

○神作座長

続きまして、この検討会について事務局からご説明をお願いいたします。

○油布企業開示課長

私、事務局を務めさせていただきます、企業開示課長の油布でございます。よろしくお願いいたします。

お手元の資料の資料1をごらんください。この有識者検討会の開催要領に当たるものでございます。1の趣旨というところに、今、桑原局長の挨拶でも申し上げた趣旨が書かれております。2の構成、この別紙においてメンバーの皆様の名簿を添付させていただいております。座長は神作先生にお願いをするということにしております。これがこの検討会の開催要領でございます。

引き続きまして、私からで恐縮でございますが、初回でございますので、本検討会のメンバーの皆様をご紹介させていただきます。座席順に、メンバーのそちらの端のほうからご紹介させていただきます。お名前を申し上げますので、簡単にご起立だけお願いできればと思います。

まず、石田猛行様でございます。

○石田メンバー

よろしくお願いいたします。

○油布企業開示課長

江口高顕様です。

○江口メンバー

よろしくお願いいたします。

○油布企業開示課長

大場昭義様です。

○大場メンバー

よろしくお願いいたします。

○油布企業開示課長

小口俊朗様です。

○小口メンバー

よろしくお願いいたします。

○油布企業開示課長

川田順一様です。

○川田メンバー

よろしくお願いします。

○油布企業開示課長

橘・フクシマ・咲江様です。

○橘・フクシマメンバー

よろしくお願いいたします。

○油布企業開示課長

田中亘様です。

○田中メンバー

よろしくお願いいたします。

○油布企業開示課長

徳成旨亮様です。

○徳成メンバー

よろしくお願いします。

○油布企業開示課長

野口亨様です。

○野口メンバー

よろしくお願いします。

○油布企業開示課長

濱口大輔様です。

○濱口メンバー

よろしくお願いします。

○油布企業開示課長

古市健様です。

○古市メンバー

よろしくお願いいたします。

○油布企業開示課長

堀江貞之様です。

○堀江メンバー

よろしくお願いします。

○油布企業開示課長

松島俊直様です。

○松島メンバー

よろしくお願いします。

○油布企業開示課長

次に幹事をご紹介申し上げます。

法務省民事局の坂本参事官でございます。

○坂本民事局参事官

よろしくお願いいたします。

○油布企業開示課長

内閣官房日本経済再生総合事務局の白川内閣参事官です。

○白川内閣参事官

よろしくお願いします。

○油布企業開示課長

経済産業省産業組織課の三浦課長です。

○三浦産業組織課長

よろしくお願いいたします。

○油布企業開示課長

東京証券取引所の安井上場部長です。

○安井上場部長

よろしくお願いします。

○油布企業開示課長

事務局につきましては、時間の都合でお手元の配席表をもってご紹介にかえさせていただきます。

以上でございます。

○神作座長

ありがとうございました。

続きまして、本検討会の運営要領(案)について事務局からご説明をお願いいたします。

○油布企業開示課長

 それでは、資料2をごらんいただきたいと存じます。本日、この場で検討会申合せということでご了承いただければと思っている運営要領でございます。第2条、会議は座長が招集する。第3条、座長は、検討会の議長となり、議事を整理する。第4条はヒアリングができるという趣旨の規定。第5条、検討会の会議は公開とする。第6条、議事録についても会議の都度作成し、公表するものとする。第7条、検討会の資料は公表する。第8条、この運営要領に定めるもののほか、検討会に関し必要な事項は、座長が定めるということでございます。

○神作座長

ありがとうございました。

ただいまの事務局のご説明に関しましてご質問、ご意見等がございましたらお願いいたします。

よろしゅうございますか。それでは、ただいまの事務局のご説明、資料2のとおり、本検討会の申合せとさせていただきます。

続きまして、本検討会にかかるこれまでの経緯等につきまして、事務局から資料3に沿ってご説明をお願いいたします。

○油布企業開示課長

それでは、お手元の資料3という横長の資料、11枚ございますが、10分少々お時間をいただく目算で、これまでの経緯などをご説明させていただきます。

まず、1ページをおめくりいただきまして、これまでの経緯等(産業競争力会議の議論を踏まえた総理指示)というのがございます。この英国のスチュワードシップ・コードの日本版導入に関しましては、第4回産業競争力会議で、民間議員からご提案がなされたものでございまして、抜粋を上半分のところに記載させていただいております。

その下が、このご提案を受けまして、4月2日に総理からご指示のあった内容でございます。産業競争力会議での議論を踏まえ、下記の事項について対応されたいということで、幾つか項目がございましたけれども、そのうちの1つに、今、抜粋をつけさせていただいております、「内閣府特命担当大臣(金融)は、関係大臣と連携し、企業の持続的な成長を促す観点から、幅広い範囲の機関投資家が適切に受託者責任を果たすための原則のあり方について検討すること」という指示をいただいております。

もう1枚おめくりいただきまして2ページでございますが、4月の総理指示にさらに重ねてということでございますけれども、6月14日に閣議決定されました日本再興戦略にも本件について記載がございます。総論、上のほうに載せてありますのは、重点項目だけを掲げている箇所でございまして、下に掲げておりますのは、その他の各項目について説明している部分に記載されているものでございます。上のほうからご紹介いたしますが、「機関投資家が、対話を通じて企業の中長期的な成長を促すなど、受託者責任を果たすための原則(日本版スチュワードシップ・コード)について検討し、取りまとめる。(年内に取りまとめ)」ということが閣議決定されております。

それで、今のページの下のほうをごらんいただきますと、下から2行目のところに、この検討を進めるに当たりまして、「我が国の市場経済システムに関する経済財政諮問会議の議論も踏まえながら検討を進め、」というふうに閣議決定に記載がございます。

次の3ページが、経済財政諮問会議の議論の内容でございます。経済財政諮問会議のもとに専門調査会が設置されておりまして、6月6日には中間報告が出ております。追って最終報告が予定されているわけでございますが、概要を図示したものを添付させていただいております。

これは下のほうから見ていただきますと、従来の日本の仕組みという、メーンバンク制等による中長期の資金供給、その他の記載がございますが、これが左のほうの矢印にバツがついておりますが、過去の姿への安易な回帰になってもいけないと。あるいは、右に上がっていく矢印では、実態を伴わない短期利益のマネーゲームになってもいけないということで、すぐ上に太い矢印が出ております。ここでポツが3つございますが、1つご紹介いたしますと、企業と投資家のよりよいコミュニケーションの構築ということが大事であるということが記載されております。この専門調査会の結論につきましては、別途の会で内閣府からご説明いただくことを予定しております。

4ページをごらんください。これは、いわゆる公的年金などについては、このスチュワードシップ・コードの関係はどうなっているのかということをご説明するための資料でございます。同じく6月14日に閣議決定されました日本再興戦略には、公的・準公的資金の課題につきまして、有識者会議において検討を進め、秋までに提言を得るということが別の場所に明記されてございます。その検討会で何を議論するかというのが3つ書かれております。上のほうをごらんになっていただければと思いますが、1つ目は運用、2点目がリスク管理体制などのガバナンス、これは公的資金そのもののガバナンスという意味でございます。それから3点目として、株式への長期投資におけるリターン向上のための方策というのが明記されております。これがいわゆるコーポレート・ガバナンスに関する関与でありますとか、株主との対話でありますとか、いわばスチュワードシップ・コードと同趣旨のことを記載していると理解をしております。別途、こちらの公的・準公的資金の有識者会議でも議論が行われておりますが、こちらのスチュワードシップ・コードの検討会と連携する形で議論が進められるということが想定されております。そういう意味で、今日、幹事のご出席をいただいておりますが、内閣官房日本経済再生総合事務局からも担当参事官にご出席いただいているということでございます。

次、5ページでございますが、これは今までの我が国における取組みの一例をご紹介申し上げるパワーポイントでございます。金融審議会のスタディグループ報告書の公表と書いてございますが、平成21年6月に上場会社などのコーポレート・ガバナンスの強化に関しまして、スタディグループが取りまとめを行っております。この報告書には、@ABと記載しております。ガバナンス機構の問題なども議論をされておりましたけれども、Bの部分にアンダーラインを引いております。投資者による議決権行使を巡る問題などについても提言が行われているということでございます。

この報告書の抜粋は別添に添付させていただいておりまして、直接のご紹介は時間の制約で差し控えますけれども、その目次だけを抜粋したものが、この5ページの下半分でございます。2以下を見ていただきますと、議決権の行使を通じたガバナンスの発揮ということで、(1)受託者責任に基づく適切な議決権行使の徹底、(2)議決権行使に関するガイドラインの作成及び公表、(3)議決権行使結果の公表というのがございまして、さらに3の大きなくくりのところでは、株主・投資者による経営との対話の充実ということが記載されております。

1枚おめくりいただきまして6ページでございます。ここからはしばらく英国のスチュワードシップ・コードについて簡単にご紹介をさせていただきます。英国のスチュワードシップ・コードの経緯がございますが、大きく2つ流れがございます。まず、左上のボックスのところでございますが、英国では1990年代から機関投資家の責任のあり方について議論が盛んになっていたということでございます。ISCと呼ばれます、これは自主規制団体でございますけれども、そこが2002年に原則ステートメントというものを公表しておりまして、その後、2009年にはこれをコード化したということでございます。

他方、右上のボックス、もう一つの流れといたしまして、英国にはコーポレート・ガバナンスに関する有名な規範として、統合規範が98年に策定されてございます。策定主体のFRC、これは下に米印でご説明しておりますけれども、財務報告評議会ということで、コーポレート・ガバナンス、財務報告等々に関する基準を策定するとともに、その遵守状況をモニターする、独立した規制主体でございますが、このFRCが策定した統合規範がございました。この中には会社に対する直接の規律や原則のほかに、機関投資家による投票行動や企業との対話に関する原則も実は記載されていたということでございます。

これが、矢印の下に参りまして、2009年、世界的な金融危機の発生を背景として、いわゆるウォーカー報告書が公表されております。これを受けて、この統合規範は形式上は廃止されたということですが、これはなくなってしまったわけではなく、それぞれ左下と右下の2つに分離・再編成されたということでございます。

まず、左下が、今回のスチュワードシップ・コードに関係いたしますけれども、機関投資家による関与のあり方については、新たにスチュワードシップ・コードという形で2010年に制定されております。これは流れとしては統合規範の流れを受け継いだものでございますが、具体的な内容、7つの原則というのは、冒頭申し上げました、機関投資家責任コード、左上のボックスのほうの内容をほぼ踏襲しているということでございます。

他方、会社に関する規律のほうは右下のボックスでございまして、統合規範から分離する形でコーポレート・ガバナンス・コードが別途策定されております。

次のページ、7ページでございますが、英国のスチュワードシップ・コードの枠組みを簡単にご紹介したものでございます。策定主体は、今、申し上げましたFRCでございます。2つ目の丸のところにありますが、FRCのスチュワードシップ・コードの遵守、これは義務づけではなく、いわゆるソフトローとして“Comply or Explain”アプローチを採用していると。米印のところですが、みずからこのスチュワードシップ・コードを遵守すると宣言した機関を適用対象としておりまして、そうした機関はコードを遵守するか、遵守しないのであれば、その理由を説明するか、そういったいずれかの対応が必要ということになっております。

3つ目の丸ですが、スチュワードシップ・コードは2年ごとの見直しがコード自体の中で予定されております。現に2012年の4月、その手続が始まりまして、2012年の9月には第1回目の改定が実施されております。このときの改正では、機関投資家というくくりになっていた概念を2つに分けまして、アセット・オーナー、それから、そのアセット・オーナーから資金を受託される形でいろいろと運用するアセット・マネジャー、この2つに分けて、その役割・責任を明確化したということが大きな改正点と言われております。

次の8ページでございますが、この英国のスチュワードシップ・コード、原則に入る前に前文というところがございまして、その中の主なポイントをご紹介させていただきます。1つ目の丸でございますが、これは先ほどご挨拶の中でも紹介がございましたけれども、スチュワードシップの目的でございます。最終的な資本提供者も繁栄できるような方法により、会社の長期的成功を促進すること。実効的な「スチュワードシップ」は会社、投資家、経済全体に恩恵を及ぼす。

2つ目の丸ですけれども、上場会社に関する「スチュワードシップ」の責任は、取締役会と投資家が共有すると。第一義的な責任は取締役会にあると。他方、投資家もまた取締役会にその責任を果たさせる上で重要な役割を担うという記載がございます。

3つ目の丸ですが、投資家にとっての「スチュワードシップ」は、単に議決権の行使だけを意味するものではないと。その中には会社に対する企業戦略、業績、リスク、資本構造及びコーポレート・ガバナンスに関するモニタリングやエンゲージメントが含まれる。エンゲージメントとは、こうした項目や株主総会の議題を巡って、会社との間で目的ある対話を行うことを指すという記載がございます。

そして次のページ、9ページでございます。英国のスチュワードシップ・コードにつきましては、次回の会でもう少し詳しく、専門家のお力もかりながらご紹介する機会を想定しておりますが、本日は7つの原則だけ記載させていただいております。この7つの原則には、それぞれについて詳しい解説、解釈指針が7つの原則それぞれにぶらさがっております。お時間が大分なくなってまいりましたので、今、ちょっとご紹介は割愛させていただきますが、仮訳ということで記載させていただいておりますように、7つの原則があるということでございます。

そして、次のページ、10ページをごらんいただきますと、英国以外の主要国、主要地域での取り組みをご説明させていただいております。まず、アメリカでございますが、有名な1974年のエリサ法におきまして、年金基金及び受託機関の受託者責任というものが明記されました。また、1988年、1994年に発出された、いわゆるエイボン・レターにおいて議決権行使は、このエリサ法上の責任の一部であるということが明確化されているということでございます。

それから、欧州委員会につきましては、1つめの矢羽根のところに、「EU事務局が」とございますが、「会社法と企業統治に関するアクションプラン」を作成・公表しております。これは議決権行使・エンゲージメントの方針、それから議決権行使結果、これについての開示義務を明確化すべきであるという提言がされておりまして、本年中にEU株主指令を改正するということが示唆されております。その後、出ましたグリーン・ペーパーでもほぼこれを上書きするようなことが提言されているということでございます。

また、OECDにつきましては、2004年にコーポレート・ガバナンス原則の改訂版が出ておりますが、その中には会社側の規律のほかに、@Aに記載させていただいておりますが、受託者としての機関投資家の規律や機関投資家の利益相反の開示などについても記載がされているということでございます。

最後、11ページでございますが、これが我が国の株主と投資家の間のエンゲージメントの状況でございます。下の出典を見ていただきますと、若干古いデータも含まれておりますけれども、まず、左上の@につきましては、投資家向けの定期的説明会の開催状況。アナリストや機関投資家向けに開催、これは79.5%の会社が実施しておられるということです。他方、右上のAでございますが、じゃあ、総会前に株主と個別に話し合う機会があったかということについては、機会はなかったという会社が79.4%です。左下のBは、ややちょっと中心からはずれるかもしれませんけれども、株主総会の活性化の取組み状況ということで、各発行体がどういうことを取り組んでおられるかというのを調べたデータでございます。

事務局からのご説明は以上でございます。

○神作座長

どうもありがとうございました。

それでは、これより自由討議とさせていただきます。今日は初回ということもございまして、特にテーマを定めず、ご自由にご発言いただきたいと存じます。どうかよろしくお願いいたします。はい、堀江メンバー。

○堀江メンバー

今のお話をお聞きして、感じたことを4点ほどお話をさせていただきたいと思います。

7月に、弊社の大崎貞和と2名でスチュワードシップ・コードの実態の調査を簡単に行いましたが、そのときに感じたことと、先ほど説明された点で感じたことを、整理して申し上げます。第一に、ここでの議論は議決権行使にポイントやフォーカスが当たりがちだと思いますが、議決権行使だけが企業経営者と投資家の間の対話ではないという点が非常に重要なポイントだと考えています。確かに、経営者の取締役の選任等、企業価値に関係する非常に重要な論点が株主総会の中に入っていることは承知していますが、あくまで企業が示した案に対して、どちらかというと受け身で投資家が対応するものです。重要な点はそれだけではなく、非公開の場で企業経営者と投資家の方がもっとフランクに話し合うような対話が促進されることです。その対話促進こそがコードのそもそもの趣旨であり、企業価値を高めるためのポイントであると英国の方は言っていました。この会議の中でも、議決権行使は大きなテーマにはなると思いますが、それ以外の点も含めて幅広く議論をしていただきたいというのが第一点です。

2点目は、先ほど事務局の方からのご説明があったように、イギリスでは強制的なものではなくて、Comply or Explainという形の自主的なものである点です。日本では、日本のカルチャーに沿って強制的にやったほうがいいと言う方もいると思いますが、私は自主的なルール作成が重要ではないかと思っています。強制的なルール適用では、例えば年1回、CEOに必ず会いましょうといった、非常に形式的なものがルール化され、それを守ればやったという気分になり、形式論に陥るリスクがあると思います。企業価値を高めることに関する、実際の対話にまで進まない点も危惧され、本来的には運用会社が自社の投資戦略に沿って、みずからの投資戦力を差別化する道具として使う、そういった形の自主ルールが良いのではないかというのが2点目です。

3点目は、企業サイドに対してものを言う限りは、運用会社もみずからのガバナンスを改革することがこの際必要ではないかという点です。例えば、利益相反は運用会社とお客様の間で必ず起こり得るものです。英国スチュワードシップ・コードには、利益相反が起こる場合、その処置についての対応を述べるべきであると書かれています。運用会社も、例えばお客様の意向に沿い、本来的には取引先企業の価値を高めるためにはある議案に反対したいが、その議案に関係するお客様の意向に従って、本来的な投資価値の向上には反する議案に賛成することは、当然あり得ます。従って、このような内容をみずから運用会社の立場でディスクローズするということが重要ではないかと思っています。

最後の点は、先ほど油布さんからご説明がありましたが、アセット・オーナー自体の意識改革も必要ではないかという点です。どういうことかといいますと、アセット・オーナーは大きな年金ファンド等では議決権行使の基準を示しておられますが、それ以外の部分で、運用会社に対して長期的な企業価値を見て、企業と対話するように促すといったことを、ガイドライン等で示すことも重要だと思います。運用会社がみずから変わることも重要ですが、お金の出し手であるアセット・オーナーから投資ガイドラインの形で運用会社にその意図を提示してもらう方が、運用会社も行動しやすいと思います。アセット・オーナー自身の議決権行使だけではなく、それ以外の企業価値を上げる活動を運用会社に意識して行ってもらうため、もう少し長期で見たガイドラインを示すこともぜひやっていただきたいと思います。

以上でございます。

○神作座長

どうもありがとうございました。

古市メンバー。

○古市メンバー

すみません、ありがとうございます。

日本再興戦略に記載された大きな部分である、「機関投資家が対話を通じて企業の中長期的な成長を促す」という点については、深く賛同しております。

ただ、その具体的な対応方法については、それぞれの機関投資家の特性がありますので、それによって対話の在り方は異なるものと考えております。

例えば、生命保険会社については、企業の中長期的な成長を促すという観点から、議決権行使の場だけではなく、年間を通じて企業とのコミュニケーションを図っております。また、議決権行使についても基本的なポリシーを明確に策定し、それを公開・公表しております。

業界全体という意味では、生命保険協会では、約40年前、昭和49年から、39年間にも亘って株主利益還元調査をコンスタントに毎年実施、結果を公開し、企業と投資家とのコミュニケーションを図り、株主利益、そして企業価値を最大化しようということに努めているところでございます。

生命保険の場合、とりわけ日本の場合、契約者と終身保険など長い負債を約束するということでありますので、資産運用は大変長期の視点で実施しておりまして、株式投資も同様であります。

したがって、今述べましたような企業との建設的な対話、英語で言うとエンゲージメントということですが、これを通じて企業の発展に関与・貢献し、中長期的な成長の果実である安定的な配当という形で享受することにつながり、ひいては、最大の使命である、契約者への保険金のお支払い等を確実なものにするということに結びつきますし、企業を育てるという形にもなると考えております。

スチュワードシップ・コードについては、英国における背景やその根底にある考え方については、理解する部分は当然ございますが、成果といった点では英国も含めてまだ出てきておりません。

したがって、英国のスチュワードシップ・コードを決して形式的に日本に導入するのではなく、日本の各機関投資家の取り組みを踏まえ、企業の持続的な成長を促すために、何のためにやっていくのか、議決権行使にしろ、その開示にしろ、そういった効果は本当にあるのか、真にゴールである企業の中長期的な成長を促すのかといった原点を常に問いながら議論を進めていきたいと思いますし、是非ともお願いしたいと思います。

○神作座長

どうもありがとうございました。

川田メンバー。

○川田メンバー

JXホールディングスの川田でございます。企業側のメンバーといたしまして一言申し上げたいと思います。私は長い間、会社の中で株主総会あるいは株主対応を担当しておりまして、その経験を踏まえまして若干意見を述べさせていただきたいと思います。

まず、企業と投資家、特に機関投資家と対話を行うことにつきましては、お互いに理解を深めるという意味で非常に有用であり、また、意義があると認識をしております。ただ、懸念が1つございまして、特定の株主に対しまして、理解を深めるため、内部の情報を提供することで、インサイダーの問題が生じうることを非常に懸念しており、そのようなことのないよう意識しながら注意深く対話を促進している状況があるということをまずお伝えしたいと思います。

次に、機関投資家に対しまして、投資活動、特に議決権の行使に関しまして一定の基準、あるいは一定の原則を強制することになりますと、これは会社の経営の自由度が極端に抑えられることになるという懸念がございまして、好ましくないのではないかと考えております。大部分の経営者は、当然ながら、自社の繁栄、あるいは企業価値の増大、健全な企業経営というものを目指しているわけでございまして、しかしながら、それぞれの業態あるいは業界により事業環境が異なりますので、その経営スタイルや経営体制に違いがあるというのは、当然あるわけでございます。それを一律的、形式的によしあしを判断するということになりますと、逆に健全な経営判断の妨げになるのではないかという懸念を持っているということでございます。

既に機関投資家の皆様は、それぞれ独自に、あるいは生命保険協会などの協会等において、企業の分析あるいは議決権行使の原則をお持ちになっていると思います。今回、その原則をさらに何らかの形で設定するということにつきましては、屋上屋を重ねる、あるいは自由な議決権行使、投資活動を逆に抑えることになってしまうのではないかという懸念があるということを申し上げたいと思います。

以上でございます。

○神作座長

どうもありがとうございました。

それでは、小口メンバー。

○小口メンバー

私は仕事柄、海外の機関投資家と話す機会が多いのですが、私自身は海外投資家という言い方は好きではなくて、グローバル投資家と言っているのですが、日本も含めて世界中どこにでも投資家というのは投資をするわけで、ここにいらっしゃる投資家、日本の機関投資家の方も、日本だけではなくて、当然、海外の企業さんにも投資をしているという意味で、投資の世界というのは極めてボーダーの低い世界なんだと思います。その一方で、各地域ごとに文化の違いとか制度の違いがありますので、そこは十分配慮しながら、しかし、一方で機関投資家は、自分たちのお金、実際には、自分たちにお金を預けてくれた国民、グローバル市民のためにいい企業に投資をして、そのリターンで長期的な形で年金等の資産を形成していくという共通の役割を担っているということは忘れてはならないと思います。

そういったグローバル機関投資家を相手に、5年ぐらい前から今の仕事をしていますが、まずは企業サイドがグローバルな輪の中で、どうも日本だけちょっと違うんじゃないかと、異質じゃないかという議論があって、そこは、企業さんのほうもそうですし、皆様のご尽力にもよって、一律に外のものを入れたらいいということではないと思いますが、外の考えを十分理解した上で、日本の中でどうやったらいいかということが議論されるようになってきたのかなと思います。同じように、投資家サイドも自分たちのやっていることが、今回の「グローバル競争へ対応する為」という趣旨に照らし合わせて、やはりグローバルな競争ということを考えたときに、じゃあ、自分たちの投資が本当にグローバル投資家に対して説明できるものなんだろうかという視点も重要じゃないかなと思っています。

ですから、自分たちのやり方があるというのはもちろんそうなんですが、じゃあ、それはグローバル投資家に対して合理的なものとして説明できるのかどうなのか、ちょっと話がはずれますが、そういった意味で、実はこの議事録もできたら英語にして、グローバルに共有化するというのがいいと思うのですが、そういった文脈で考えたときに、過去5年を振り返って、私がグローバル投資家から言われて説明できなかった事象の一つとして、不祥事が起こった時の機関投資家の対応をあげたいと思います。

通常、不祥事に対して大きな株主がやはり声を上げないといけない、自分たちのお客さんの大切なお金が失われたわけですから、そこに対して行動を起こすのがグローバルには当たり前で、それに対して当然、世間からプレッシャーがかかるのですが、日本の場合は、個別名は避けますが、幾つか不祥事が起こった際、グローバル機関投資家はそれについてそれなりの声を上げたと思いますが、日本の機関投資家は自分たちのお客さんのお金を失った企業さんに対して、それなりのボイスを上げたのかということについては、やはり十分考えなければいけない、外に対して、なぜそうだったのかということを説明できるかどうかというのも考えなければいけないと思っています。

ですから、繰り返しになりますけど、何か型にはめて、それだけやればいいということだと意味がないことはもちろんですが、ここであげた一例のように、機関投資家というのは、あくまでも自分のお金ではなくて人様のお金を運用するのだという原点に立ち返ったときに、じゃあ、その人たちに対して自分のやっていること、これは議決権行使もそうだと思いますし、対話もそうだと思いますが、きちんと説明できるのだろうかと、そういった視点がちゃんと担保されるような形のコードにして発信をしないといけないと思います。

またここで日本の発信がグローバル社会の中で理解されないものになってしまうと、グローバル競争の観点から大きなマイナスだと思いますし、グローバル機関投資家からすると、グローバル投資の中で日本をむしろ外すというふうな話になりかねないので、そこは十分目配りをしながら議論を進めていくべきだと思っています。

○神作座長

どうもありがとうございました。

江口メンバー、お願いいたします。

○江口メンバー

私は、ちょっと変わった肩書になっていますけれども、ブラックロックという会社で、その前身であります、バークレイズ・グローバル・インベスターズを含めますと10年以上にわたりまして議決権行使に携わってきたということでございます。現在は会社からかなり離れた立ち位置にいますので、ここに記載されておりますような所属にさせていただいております。でありますから、私の申し上げることはブラックロックから離れた、自由な立場での発言というふうに受けとめていただければと思います。

過去10年間にわたって議決権行使を行いまして感じてきたことは、10年前、始めたころに比べて、先ほど川田さんのお話にありましたけれども、会社の方々の対応も変わっているということでございます。10年前であれば、我々が電話をかけても総会屋ではないかというような扱いが多かったわけでございますけれども、現在ではそういった扱いを受けることは全くないということでございます。大きく変化しているということです。この間の変化というものを十分に踏まえるということが重要だと思います。

議決権行使だけではないというお話が先ほどございました。もちろんそうでございまして、私どもも、私自身は会社を手助けするという立場でございますけれども、いわゆるエンゲージメント、この真っただ中におります。先ほどおっしゃっていましたように、まさに投資家側と、それから会社の皆様が非公開の場で、非常にフランクな立場でもって、自由に意見交換するというのがエンゲージメントの一番重要な部分であろうかと思うのですけれども、それをまさに実践している。といいますか、それをどんなような形でやっていったらいいのかというのを今、試行錯誤しながら構築しようとしているところでございます。

これに関しましては、経産省でそういった活動を後押ししようというようなことをしていただきまして、そういった場でいかにして日本におけるエンゲージメントを実り多くできるのか、こういったことをいろいろ試行錯誤しながらやっているということであります。

私が申し上げたいことは、こういった取り組みというのは既に始まっているわけでございますね。ですから、スチュワードシップ・コードで意図している活動を盛んにするという意味では、既に萌芽的な形は少なくともあるし、これをさらにどうやって盛り立てていくのか、どうやって後押ししていったらいいのかというのが一番大事なところですね。つまり、何らかの形でこれを義務化するとか、規制をかけるとか、そういうことよりも、このように既に自主的に始まっている活動をいかに盛り立てていくかということが一番大事だと思います。

盛り立てていくに際しては、非常に重要なポイントが幾つかあると思います。イギリスにおいてエンゲージメントというのが世界でも最初に始まったわけですね。エンゲージメントがいつ始まったかという起源は難しいわけですけれども、80年代には既に始まっています。とすると、なぜイギリスで始まったのかという理由を明らかにしなければいけないわけですね。それと同時に、イギリスと日本はどう違うのか、こういったことも十分考慮しなければいけない。イギリスでやったから日本でいいということは全くあり得ないわけでありまして、イギリスで行われたことを日本で同じような形、あるいは内容は違っても形は似ているようなものを、先ほど申し上げましたように構築していくためにはどういった条件を整えなければいけないかという発想を持たなければいけないと思います。

その際、1つの重要な条件と私が考えますのは法制面ですね。イギリスにおいては大量報告の開示義務とか、TOBの規制なんかで、要するに何%か共同で持っている部分については開示しなければいけないという、これは日本にもある開示規制でございますけれども、その開示規制に関してイギリスでは扱いが緩いんですね。エンゲージメントとか、それから議決権行使というようなことに関しましては、これは会社のガバナンス行動であって、コントロール権を伴う取引にかかわるものではないという観点から、これは緩くなっている。一方、日本では、我々もまさに日々感じることでありますけれども、何か1つのイシューがあって、これを例えば投資運用会社の間で話してみようということになっても、大量保有報告書規制とか、TOB規制に引っかかるんじゃないかというようなことが大きな懸念材料としてあるわけですね。それがあるがために、なかなかお互いに協調して物事を考えたり、進めたりするということができないということがあると思います。

こういった法制面の整備を含めて、今、既に萌芽的に盛り上がっていることをいかに育てていくかということで、この場でさらに議論を深めていければいいと思います。

それから、もう一つ申し上げたいのは、今日のご紹介にありましたところで、このスチュワードシップの流れというのは、ヨーロッパ系統の話なんですね。イギリスで始まって、これがEUに広まったということが実態だと思います。EUにおける、イギリスの影響力は非常に大きいんです。特に議決権に関しての影響力というのは、それからTOBに関する影響力はイギリスが非常に大きいので、EUで行われている議論というのはすべてイギリスの議論というふうに考えるべきかと思います。

そうであると、イギリスの議論だけなのかということがあると思いますね。私が見聞きする限り、主としてアカデミック的な立場からいろいろとものを読んだりしているわけなんでございますけれども、アメリカにおける感覚というのは大分違うというのが私の感じるところであります。したがって、先ほどはヨーロッパではこういう話だということでお話があったと思いますけれども、じゃあアメリカはどうなのかというようなことで、いろいろと多様な視点をこの場で出して、話を進めていけたらいいかなと思っている次第でございます。

以上でございます。

○神作座長

徳成メンバー、お願いいたします。

○徳成メンバー

信託協会を代表させていただいていまして、三菱UFJ信託銀行から参加させていただいております。ありがとうございます。私ども信託銀行でございますので、子会社にアセットマネジメント会社、投信ですね、それから本体で年金の運用をやらせていただいておりますので、その意味では先ほどのお話からいきますと、アセット・オーナーではなくてアセット・マネジャーという立場が大きいかというふうに思います。初回でございますので、これまでの取り組みと、今、足元がどんなふうになっているかという話を少しさせていただければと思います。

先ほどの油布課長のご説明で、5ページにございました4年前のスタディグループに私ども信託協会からも参加させていただいておりましたけれども、その中で、2の(2)にございますガイドライン作成及び公表、それから議決権行使結果の公表というものにつきましては、私ども信託協会といたしまして、信託協会の通達を出しまして業界で自主的に取り組んでおります。それ以降は議決権行使ガイドラインを各社が公表するとともに、その行使結果を集計して公表をさせていただいております。

それから3の株主・投資者による経営との対話の充実、先ほど来、議論に出ておりますエンゲージメントというものは極めて大切だと思っております。それはなぜかといいますと、私どもは機関投資家、アセット・マネジャーでございますので、最終的には受益者のために投資の収益を上げることが求められているわけで、したがって、どういうことをすれば最終投資家の皆様の利益になるのかということが本旨でございます。したがいまして、その意味で、投資先企業様との建設的な対話というのは極めて重要だと思っております。

ちょっとここから先、個社のデータになりますけれども、私どもは今、上場企業様を中心に国内ですけれども、1,000社に行かない企業のカバレッジを私どものファンド・マネジャーなりがさせていただいておりますが、昨年度の年間コンタクト数は約5,600です。したがいまして、1社平均しますと、相応の件数となります。これは会社説明会等もありますけれども、先ほど川田さんのほうからお電話の話もございましたけれども、電話でのお問い合わせとか、それから私どもへ来ていただく、もしくはお邪魔するということも含めて、そのぐらいのコンタクトを年間やっております。

私どもは機関投資家としてあるべきガバナンス像というものを一定程度持っておりますので、投資先企業様とある程度議論を行った結果、実際に過度にどうかなと思われる買収防衛策を見直されたケース、あるいは役員の退職慰労金制度を廃止されたケースというのも年間数件でございますけれども、これは結果的で、私どもが申し上げたからそうなったのではないのかもしれませんけれども、結果的にそういうふうに見直されたケース等もございます。こういった観点から、最終投資家のためには、こういうような対話、エンゲージメントは極めて重要だということで、それが私どもの、個社としての差別化にもつながるというふうに考えておりまして、今後ともしっかり取り組んでまいりたいと思います。

今回の場を与えていただきまして、機関投資家として、コーポレート・ガバナンス向上、ひいては日本国の成長のために何ができるのかということについては議論に加わらせていただくのは大変ありがたいと思っております。

以上でございます。

○神作座長

大変ありがとうございました。

それでは、松島メンバー、その後、野口メンバー、お願いいたします。

○松島メンバー

大和投信の松島でございます。投資信託の業界でも、今、お話がありましたように、協会のルールをもちまして一定程度、このスチュワードシップに書かれているような精神を持って運営しております。とりわけ議決権行使についても、個社ごとにその方針については発表しております。そういう中で私どもが実務として議決権行使をするに当たりまして、常に葛藤を感じる部分があります。これは、日本の株主総会の議決権と、それから、例えば、米国における株主総会の議決の力が大分違うということです。、例えば、よくございますのが、企業の方が会社にお金をため込んで、その結果として株価のパフォーマンスが上がらない。ROEがよろしくない。そういう判断から、私どももそういった剰余金の処分案については、基本的には賛同できないという格好で投票することが非常に多くございます。ただし、それをみんながやった場合、日本の場合はどうなるかというと、対案がないと払われないということになります。

これに対して米国の場合は、そもそも剰余金の処分というのは株主総会の議案ではなく、役員の選任議案についても、定足数内であれば選任されるというような仕組みになっています。日本の場合は個別の方に対する賛否を集計いたしまして、満たなければ選任されないということになります。したがって、不十分だから反対したいというような議案について、皆で反対すると、対案が支持を得ない限りは、もっと悪い状態、例えば配当が全く払われなくなっちゃうとかいうような類いのことがあります。一方対案を示そうとして、みんなで一致団結して、仮にエンゲージしようとした場合は、国毎に違うルールが適用されてくるというようなことがございます。各国の具体的な会社法制のようなものも十分に踏まえて、どのようなコードをつくっていくのかというのが非常に重要じゃないかと思います。

又、基本的に、先ほど、他の委員がおっしゃいましたように、あくまで私どもとしては、運用のパフォーマンスを上げることが運用会社としての第一の受託者責任であるというふうに考えております。その延長の中で議決権やエンゲージを行っていくということであり、言ってみればパフォーマンスが上がらない企業の株を、できるだけ持たないようにするということを、その受託者責任の中で一方では追求をしているということもございます。それら、国の法制度の違い、それぞれの業態の目指す受益者責任の在り方の違いというのを踏まえて、コードというのを積極的に考えていきたいと考えております。

以上です。

○神作座長

どうもありがとうございました。

それでは、野口メンバー。

○野口メンバー

私、投資顧問業界に属しておりますDIAMの野口と申します。

かなりの論点が既にカバーされてございますので、私からは、私どもの会社で実際にどのようなことをやっているのかを簡単にお話しさせてもらいたいと思います。

私どもは、基本的には投資先の企業が企業倫理を遵守して株主利益の最大化に努めること、それから、適切なガバナンスの体制の構築を促すこと、これらを目的にして議決権の行使を行っております。こうした目的に沿った現在の基準での議決権行使を始めて既に十年以上経っております。また、私どもの親会社は銀行と生命保険会社でございますが、委託者及び受益者の利益のみを考慮して議決権の行使を行うことをポリシーとし、こうした考え方を実行し得る体制を構築して議決権の行使を行ってきてございます。

更に、私どもはインハウスに日本株のアナリストを15名擁しており、彼らが600から700程度の銘柄をカバーしてございます。この中で日ごろから、日本の企業といろいろと接点を持って対話をしてございますが、特に議決権の行使に関する目的での対話も、それのみを目的とする場合もあれば、他の目的とあわせてという場合もありますが、年間100件ほど行ってございます。企業へはこうした対話を通じて個別の議案における議決権行使に関する私どもの考え方を打診などしております。加えて、例えば株主総会の取締役の増員といったような議案で、その理由が余り明解に説明されていない企業もあります。場合によっては、私どものアナリストが電話をかけて先方に照会し、理由を明確に確認した上で議決権の行使を行うといったようなことも私どもはやっております。

議決権の行使自体も大事だと思っておりますが、私どもは議決権行使を通じて企業と対話を行っていくことこそが非常に大事なポイントだと思ってございます。先ほどから何名かの方がおっしゃっておりましたように、英国のスチュワードシップ・コードにおいても、議決権の行使結果を単に開示すればよいというものではなく、企業との対話をいかに進めていくのかといったようなことが非常に大事なポイントとして出ていると理解しています。私どもも企業との対話について、これまでいろいろな試みをやってございます。今回、日本版スチュワードシップの検討にあたり、日本の法制度やビジネス慣行に則った形でこれを検討されていくということですから、ぜひ私どものこれまでの試み等を踏まえてその検討に貢献できるようにしていきたいと思っております。

ということで、ぜひ、今回、短い期間でございますけれども、この検討に貢献できればと思っておりますので、一言述べさせていただきます。

○神作座長

どうもありがとうございました。

フクシマメンバー、お願いいたします。

○橘・フクシマメンバー

もう多分お時間もないかと思いますので、簡潔に。

私の視点というのは、過去にアメリカの上場企業の社内取締役を12年と、その間9社の日本の企業の社外取締役を時期は異なりますが、務めさせていただいた独立役員としての経験からです。今回のスチュワードシップということに関しては、もうほとんどのポイントを皆様がおっしゃられましたので、繰り返しになる部分もあるかと思うのですが、簡単に2点だけ、申し上げたいと思います。

1点目は、今、お触れになられたポイントです。こういうコードを策定するということに関しては、私はぜひやるべきだと思っています。その理由としては、対話の重要性です。こういうものに対しては、一つは、内容、つまりどういうことを規定するかということと、それの運用があると思うのですけれども、最初の内容に関しては、先ほどからご指摘のように、今回の案はちょっと議決権行使だけにフォーカスをしているという点が逆作用してしまう可能性があるという不安があります。したがって、むしろ3に挙げていらっしゃる、対話の部分を、もう少し議論をさせていただければいいと思っております。

その理由としては、先日、私が社外役員をしている会社のヨーロッパの投資家から電話がありまして、これは証券会社を通して来たリクエストだったのですが、電話で話をしました。実は、私、これまで9社で勤めておりまして、初めての投資家との直接の対話だったんですね。それも海外の投資家。したがって、私自身にも大変いい勉強になっただけでなく、こういったような機会をもっと欲しいということを感じました。

したがって、常に今回の議論は、グローバルな投資家というものを視点に入れて、どうやって日本が“コンプライor、エクスプレイン”をするかという点をもう少し検討できればと思っています。

私が勤めてきた経験から言えば、多くの日本企業はまじめだと思います。したがって、コンプライという点について大きく外れている企業というのは、多分、ほかの国に比べてさほど多くないという感触があります。したがって、意図的にコンプライしていない場合には目立って大きな問題になる傾向がある。もっとも、コンプライしていないことに気がついていないという企業はあるかもしれませんが。そういう意味ではまじめな企業が一般的に米国企業等々と比べても多いかと思います。

2点目なのですが、したがって、こういう法則をつくるときの運用の問題ですが、ソフトローにするのかハードローにするのかというと、私はソフトローにすべきだろうと思っています。なぜかといいますと、通常こういう規則を策定するときは、約6割から7割がコンプライしていない場合には、これはハードローで縛るべきだと思いますが、2割がコンプライしていない、8割はコンプライしているというときに、それをハードローにしてしまいますと、企業の行動、いわゆる活動に対する縛りになる可能性があります。私はアメリカの企業の社内役員をしていたときに、SECが厳しい制定をしましたので、その際に企業行動に対して影響が出たという経験があります。したがって、多分、ソフトローで自主的にコンプライする、そしてエクスプレインするという方向性で検討させていただければと個人的には思っております。

以上です。

○神作座長

どうもありがとうございました。

それでは、濱口メンバー、お願いいたします。

○濱口メンバー

企業年金連合会の濱口です。企業年金は、このコードに書かれていることは、主にアセット・マネージャーを通じて、議決権の行使等それなりに実行しているのだと思いますが、先ほど堀江さんもおっしゃったように、アセット・オーナーの立場でもう少し追加してできることがないのかどうか、これを機会に考えてみたいと思います。ところで、こういう議論がでてくるのは、このスチュワードシップを実行していくのに、実効性がないというか、いろいろな制約要因があって、現状要はワークしていないということだからでしょう。従ってこのようなコードだけつくっても、意味がないとは言いませんが、それに追加して、そういうことを実行していくのにどういう制約要因があるのか、そういうところまで少し踏み込んで議論をしていく必要があると思います。

具体的には、費用対効果という観点でいうと、費用面では、アセット・オーナー、特に年金基金は日本では、一般的にみんな貧乏で、体制も貧弱です。したがって、こういうことに対応していく体制を整えていくだけの予算もありませんし、人もいないと、必ずこういう議論になってくるわけです。GPIFとか公務員共済の意見もできれば聞かれて、なかなか人も増やせない、費用も出せないというのが実態だと思うので、その辺にどう対応していく必要があるのかということも議論すれば有効だと思います。あと、効果のほうで言いますと、一生懸命に議決権は行使はしているんですが、どうも思うように効果が出ていない。買収防衛策とか、安定株主工作とかも1つの要因だと思います。総会日の集中もまだ問題です。その辺の市場の効率性をどう改善していくかというようなことまで、もう一歩踏み込んだ議論があればいいかなと思います。

○神作座長

どうもありがとうございました。

大場メンバー、お願いいたします。

○大場メンバー

多岐にわたる議論でどのような観点でお話しするのが望ましいか、頭を悩めていたのですが、2点、お話ししたいと思います。まず1点は、いろいろな努力をされて、投資家のほうも発行会社のほうもされてきたということが事実としてあるかと思います。しかしながら、にもかかわらず、この25年間の個々の企業の株価並びに配当から得られるパフォーマンスは大変残念なものであったという事実が歴然としてあるということです。したがって、どのようにしてここを改善しなくてはいけないかという議論が今、起きているのではないかと思うということであります。したがって、このような会議が設置されているのではないかと思います。

具体的に申し上げますと、全部の上場企業について検証ができれば、より説得力があると思うのですが、これはなかなか大変なので、私どもは東証一部の上場している企業だけを対象にして検証してみたのですが、この25年間で投資家にプラスのリターンをもたらした企業は、ざっくり150社しかございません。残りはマイナスのリターンだった。つまり、ファイナンス的な言葉で言いますと、価値創造をしている企業は大変少なくて、結果としては、残念ながら価値破壊が起こっていると、こういうことであります。

なので、スチュワードシップ・コードという議論も踏まえながら、どのようにして価値を向上させていくような仕組みをつくり上げるかというのは、我が国こそ喫緊の課題ではないかと思います。これが第1点であります。

2点目は、私どもは東京海上アセットマネジメントという運用会社でありますが、スチュワードシップ・コードということではないかもわかりませんが、スチュワードシップ・コードにも関連するエンゲージメントファンドというのを昨年度具体的に立ち上げてみました。エンゲージメントを掲げるというのは、私は質の高いエンゲージメントでないと、本当にウイン・ウインの関係をつくるのは大変難しいと思います。そんな簡単ではない。いろいろなことについて経験も知見も蓄積しなくてはいけない。したがいまして、そのファンドを立ち上げたときの投資対象の会社は10社ぐらいに限定してやってみました。しかし、このファンドにつきましては、海外の投資家からご賛同をいただきまして、具体的に言いますと、スウェーデンの公的年金から受託ができたんですね。したがって、そのお金を中心に運営をしているのですが、具体的にそういうファンドを立ち上げて、運営をしているということであります。

結果だけ申し上げますと、パフォーマンス的には、そんな短い期間で評価できるものでは当然ないわけですが、相応の成果が出つつあるという感触を得ているということであります。

以上であります。

○神作座長

ありがとうございました。

ほかにご意見ございませんでしょうか。それでは、石田メンバー、お願いいたします。

○石田メンバー

時間の関係があるので、本当に簡単に。

私たちが海外の投資家とのいろいろなコミュニケーションを通じて感じるのは、今や日本はアジアの一部だということです。これまでは日本株はアジアの中で独立した資産クラスとして存在していましたが、今日、残念ながら日本の存在感が失われつつあるという現実があります。アジア企業の時価総額が増え、ガバナンスや情報開示が改善されるにつれて、近年は日本株の存在感が減少しているのです。そもそもどうして今、このスチュワードシップ・コードを議論するのかと考えると、日本のグローバルな競争力を高めていく要請がその背景にあるはずです。

ということで、内向きの議論ではなく、グローバルな視点を常に持ちながらこの話を進めていくのが大切ではないかと思います。

○神作座長

どうもありがとうございました。

よろしゅうございますか。

それでは、ほかにご発言がございませんようでしたら、自由討議は終わらせていただきたいと存じます。本日いただきましたご意見等は今後の具体的な検討に当たっての参考とさせていただきたく存じます。

次回は関係者をお呼びして、機関投資家が適切に受託者責任を果たすための原則のあり方等についてヒアリングを行ってまいりたいと考えております。

最後に、事務局のほうから何かご連絡がございましたらお願いいたします。

○油布企業開示課長

次回の検討会の日程でございます。皆様のご都合をお伺いした上で、また後日、事務局から調整させていただきたいと存じます。現時点で念頭に置いていますのは、9月の上旬あたりを、ひとつめどにして、いろいろ日程をお伺いさせていただければと思っております。

以上でございます。

○神作座長

どうもありがとうございました。

本日は私の不手際で時間を大幅に超過してしまいましたけれども、以上をもちまして本日の会議を終了させていただきます。どうもありがとうございました。

以上