スチュワードシップ・コードに関する有識者検討会(第1回)

1.日時:

平成29年1月31日(火)15時30分~17時30分

2.場所:

中央合同庁舎第7号館13階 共用第1特別会議室

【田原企業開示課長】

それでは、時間になりましたので始めさせていただきたいと思います。

本日は冒頭、メディアの方々のカメラ撮影がございますことをお断りさせていただきます。

それでは、座長、よろしくお願いいたします。

【神作座長】

ただいまより、スチュワードシップ・コードに関する有識者検討会を開催いたします。皆様、ご多忙のところをご参集いただきまして、まことにありがとうございます。

このたび、検討会の座長を務めることになりました東京大学の神作でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

まず初めに、金融庁の池田総務企画局長より、ご挨拶をいただきたいと存じます。

池田総務企画局長、どうぞよろしくお願いいたします。

【池田総務企画局長】

紹介いただきました、金融庁の総務企画局長の池田でございます。事務局を代表しまして、一言ご挨拶を申し上げさせていただきたいと思います。

ご案内のとおり、政府の成長戦略の一環といたしまして平成26年にスチュワードシップ・コードが、そして翌年の平成27年にコーポレートガバナンス・コードが策定されました。この2つのコードのもとで企業のガバナンス改革には一定の進捗が見られ、機関投資家と企業との間の対話も活発化しつつあるとの評価が聞かれるところであります。

他方、企業などの対応にはなお形式的な対応が見られるとの指摘もあり、また機関投資家の対応についても各機関投資家ごとに対話への取組み方、あるいはその実効性にはさまざまな違いがある、あるいは運用機関における利益相反を管理するための措置が必ずしも十分ではないといった指摘も耳にするところであります。

こうした状況のもとで、金融庁に設置しておりますスチュワードシップ・コード及びコーポレートガバナンス・コードのフォローアップ会議におきまして、昨年11月に「機関投資家による実効的なスチュワードシップ活動のあり方」と題します意見書が取りまとめられたところでございます。そこでは、コーポレートガバナンス改革を形式から実質へと深化させるためには、機関投資家から上場企業に対する働きかけの実効性を高めていくことなどが有効であるとされ、そのためにスチュワードシップ・コードの改訂というものが提言されたところであります。

この本有識者検討会はこの提言を受け、開催させていただく運びとなったものであります。メンバーの皆様には実効的なスチュワードシップ・コードの改訂に向けまして、ぜひとも積極的なご議論をいただくようお願いしたいと考えております。大変ご多忙の中、審議におつき合いいただくこととなりますけれども、どうかよろしくお願いいたします。

以上、私からのご挨拶とさせていただきます。よろしくお願いいたします。

【神作座長】

どうもありがとうございました。

続きまして、事務局からメンバーのご紹介と運営要領案のご説明をお願いいたします。

【田原企業開示課長】

事務局を務めさせていただきます、金融庁企業開示課長の田原でございます。よろしくお願いいたします。

まずは事務局から検討会のメンバーの皆様をご紹介させていただきます。座席順にご紹介させていただきます。お手元に配席図をお配りしておりますが、メンバーの皆様の右側から、上田亮子様です。

【上田メンバー】

上田でございます。よろしくお願いいたします。

【田原企業開示課長】

上柳敏郎様です。

【上柳メンバー】

どうぞよろしくお願いします。

【田原企業開示課長】

大場昭義様です。

【大場メンバー】

よろしくお願いします。

【田原企業開示課長】

小口俊朗様です。

【小口メンバー】

よろしくお願いします。

【田原企業開示課長】

加藤貴仁様です。

【加藤メンバー】

よろしくお願いします。

【田原企業開示課長】

川田順一様です。

【川田メンバー】

よろしくお願いいたします。

【田原企業開示課長】

ケリー・ワリング様です。

【ワリングメンバー】

どうぞよろしくお願いします。

【田原企業開示課長】

島田知保様です。

【島田メンバー】

よろしくお願いいたします。

【田原企業開示課長】

清水博様です。

【清水メンバー】

どうぞよろしくお願いします。

【田原企業開示課長】

スコット・キャロン様です。

【キャロンメンバー】

よろしくお願いいたします。

【田原企業開示課長】

高山与志子様です。

【高山メンバー】

よろしくお願いいたします。

【田原企業開示課長】

田中正明様です。

【田中(正)メンバー】

よろしくお願いいたします。

【田原企業開示課長】

田中亘様です。

【田中(亘)メンバー】

よろしくお願いいたします。

【田原企業開示課長】

長島巌様です。

【長島メンバー】

よろしくお願いします。

【田原企業開示課長】

濱口大輔様です。

【濱口メンバー】

よろしくお願いいたします。

【田原企業開示課長】

堀江貞之様です。

【堀江メンバー】

よろしくお願いします。

【田原企業開示課長】

桝田明敏様です。

【桝田メンバー】

よろしくお願いいたします。

【田原企業開示課長】

松島俊直様です。

【松島メンバー】

よろしくお願いします。

【田原企業開示課長】

本日はご欠席ですけれども、資料1のメンバー表にございますように佃秀昭様と冨山和彦様にもご参加いただくこととなっております。

次にオブザーバーをご紹介申し上げます。東京証券取引所上場部の青部長です。

【青オブザーバー】

青と申します。よろしくお願いします。

【田原企業開示課長】

厚生労働省企業年金・個人年金課の青山課長です。

【青山オブザーバー】

青山です。よろしくお願いいたします。

【田原企業開示課長】

このほか、少し遅れられているようですが、経済産業省産業資金課の福本課長と、本日はご欠席ですが、法務省民事局の竹林参事官にも、オブザーバーとしての参加をお願いいたしております。

なお、事務局につきましては金融庁が務めさせていただきますが、時間の都合もございますので、お手元の配席表をもってご紹介にかえさせていただきます。

それでは続けて、運営要領につきましてご説明を申し上げます。資料2をごらんいただければと存じます。資料2の運営要領に従いまして、本検討会につきましては運営をさせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

それでは、座長、お願いいたします。

【神作座長】

どうもありがとうございました。

このような進め方でよろしゅうございますでしょうか。

(「異議なし」との声あり)

【神作座長】

ありがとうございます。それでは、そのように進めさせていただきます。

早速議事に移らせていただきます。本有識者検討会は、資料1にありますとおりスチュワードシップ・コードを改訂することを目的として開催させていただくものでございます。スチュワードシップ・コードについては、金融庁、東京証券取引所を共同事務局とするスチュワードシップ・コード及びコーポレートガバナンス・コードのフォローアップ会議が昨年11月に意見書を取りまとめており、意見書の内容を踏まえたコードの見直しが提言されております。

このため、コード改訂に向けた本検討会を開始するに当たり、まずは事務局より、スチュワードシップ・コードをめぐる状況についてご説明いただくとともに、フォローアップ会議の意見書についてご説明をお願いしたく存じます。よろしくお願いします。

【田原企業開示課長】

それでは、お手元の資料3に従いまして、スチュワードシップ・コードをめぐる状況と、フォローアップ会議の意見書について、簡単にご説明させていただければと存じます。

1枚おめくりいただきまして、最初のパーツでございますけれども、スチュワードシップ・コードをめぐる状況ということで、こちらについてご説明させていただいた後に、意見書の内容についてご説明させていただければと存じます。

3ページまでおめくりいただけますでしょうか。I-1とございますけれども、現在の日本国内における機関投資家による国内株式の運用状況について概観させていただく資料をまとめさせていただいております。入手可能な統計に基づいて作成いたしましたので、必ずしも数字自体は整合的ではないところもございまして、あくまで全体像を見るためのものであることについて、お断りをさせていただければと存じます。

まず右側からごらんいただきますと、日本の上場株式の時価総額が昨年3月末時点で520兆円ぐらいということになってございます。このうち、投資信託・投資顧問・信託銀行等が90兆円ございまして、内訳といたしましては、公募の投資信託が25兆円、投資顧問が50兆円ぐらいとなってございます。また、生命保険会社で持たれている株式が大体20兆円ぐらいあると、損害保険会社で大体7兆円ぐらいという状況でございまして、これらがかなり大きなウェートを占めているということでございます。

その下にございますけれども、この10年、20年の傾向といたしましては、外国法人等の持ち分が非常に増えてきているということでございまして、この数字には、事業法人も含む外国法人等で150兆円保有されているということでございます。国内株式の運用残高が5兆円を超えるような海外機関投資家というのもかなり増えてきておりまして、下に列挙させていただいています。

これらの投資家の後ろ側、より最終受益者の方に近い位置には、アセットオーナーの方々がいらっしゃるわけでございまして、公的年金、企業年金をあわせまして、株式への投資ということでほぼ50兆円ぐらいの金額を保有されているということでございます。

4ページでございますけれども、スチュワードシップ・コードの受入れ機関数につきましては、この3年間で214社になったということで、着実に増加しているところでございます。

1ページおめくりいただきますとその内訳でございますけれども、左側に属性別ということでございまして、投資顧問からその他まで5つのカテゴリーに分けてございますけれども、ほぼ構成比としては先ほどの運用残高に比例するような形になっているのではないかと考えているところでございます。また内外につきましてもほぼ半々ということで、先ほどの運用残高とかなり近い形になっているんじゃないかということでございます。

次のページでございますけれども、スチュワードシップ・コードの受入れ状況ということで一応まとめさせていただいていますが、実際にはコンプライ・エクスプレインというのは運用されている方や、オーナーの方が必ずしも書かれているわけではございませんで、私どもで確認させていただきまして明らかにエクスプレインというものを黄色で書かせていただいているということでございます。コードの遵守は受入れた方のご判断でやられているということでございますけれども、受入れ状況が実質的かどうかというところで、こういった状況も議論の対象になるのではないかということで、掲げさせていただいたものでございます。

それでは、意見書の方に移らせていただきたいと思います。2ページおめくりいただきまして、もう皆様はご存じだと思いますのでご説明は割愛させていただきますが、フォローアップ会議の概要につきましてご説明を挟ませていただいております。

1ページおめくりいただきまして9ページでございますけれども、11月30日に、フォローアップ会議でまとめていただきました「機関投資家による実効的なスチュワードシップ活動のあり方」につきましてのポイントをまとめさせていただいております。お手元に全文も配付させていただいておりますけれども、コーポレートガバナンス改革の枠組みにつきましては、スチュワードシップ・コード、コーポレートガバナンス・コードの策定をもちまして枠組みは整ってまいったわけでございますけれども、先ほど局長からもご説明させていただきましたとおり、形式的な受入れが目立つのではないかというご指摘をいただいておりまして、これを実質に深化させていくことが必要でございます。そうすることによってインベストメント・チェーン、時計回りに回るような形になっておりますけれども、これを機能させて経済の好循環につなげていくということが重要であると考えておるわけでございます。その中にありまして、機関投資家の役割というのは非常に重要なものであるということでございまして、ご議論をいただき、今回の真ん中の吹き出し2カ所にありますようなご提言をおまとめいただいたということでございます。

10ページ以降では、フォローアップ会議におきましていただきました意見書の内容と関連する原則につきまして、5つご説明させていただければと存じます。

最初はアセットオーナーによる実効的なチェックということでございまして、先ほどご説明いたしましたアセットオーナーがどういう役割を果たすべきかということで、3点ご指摘を頂戴したわけでございます。1つ目は、アセットオーナーは、可能な限り自らスチュワードシップ活動に取組み、行わない場合につきましては運用機関に実効的なスチュワードシップ活動を行うよう求めるべきである。2点目は、アセットオーナーは、実効的なスチュワードシップ活動が行われるよう、運用機関の選定や運用委託契約の締結に際して、議決権行使を含めましてスチュワードシップ活動に関して求める事項や原則を明示すべきである。3点目は、アセットオーナーにおかれましては、運用機関のスチュワードシップ活動が自らの方針と整合的かどうかということについて、運用機関の自己評価なども活用しながら、実効的に運用機関に対するモニタリングを行うべきであるということでございます。

今後、スチュワードシップ・コードの原則・指針の見直しにつきましてご議論いただくわけですが、一番関連する原則といたしましてはスチュワードシップ責任を果たすための明確な方針を策定すべきとする原則1と、これについております指針が関連するのではないかと考えているところでございます。

1ページおめくりいただきまして、この後も全部同じ構成になっておりますが、フォローアップ会議における議論にあたりまして、海外機関投資家の方々から意見をお寄せいただいております。その意見につきましてはフォローアップ会議でもご披露いたしましたが、この場でも再度ご披露させていただければと思います。

ポイントのところに書いてございますが、アセットオーナーにつきましては、こういった海外機関投資家の方々からは、運用機関の活動をモニターする責任があり、委託契約にはスチュワードシップ活動に関する規定を設けるべきである、対話の方針を明確に指示し、定期的に結果をフォローすべきであるといったご指摘を頂戴したということでございます。

12ページは2つ目の論点であります運用機関による実効的なスチュワードシップ活動、それから運用機関のガバナンス、利益相反管理等についての指摘につきましてまとめさせていただいております。運用機関による実効的なスチュワードシップ活動につきましては、機関投資家、特に運用機関におかれては、中長期的な視点から、深度ある企業評価に基づいて実効的なスチュワードシップ活動を行うことが求められる、その際に、形式的な基準や助言会社のサービスを機械的に適用するのではなく、企業の状況に着目したきめ細かな判断を行っていくことが重要だというご指摘をいただいたところでございます。

また、ガバナンスの強化や利益相反管理につきましては、最終受益者の利益の確保や利益相反防止のために、独立した取締役会や、議決権行使の意思決定や監督のための第三者委員会などのガバナンス体制を整備する、それから、利益相反が生じ得る局面を具体的に特定した上で、そういった具体的な局面における利益相反をどうやったら回避できるかということについて具体的な方針を定め、公表すべきであるというご指摘を頂戴したところでございます。

また、運用機関の経営陣の能力・経験と責務という観点からは、運用機関の経営陣につきましては、スチュワードシップ責任を実効的に果たすための適切な能力・経験を備えているべきであり、系列の金融グループ内部の論理などに基づいて構成されるべきではない、経営陣には自らが企業との間の対話の充実、運用機関のガバナンス強化・利益相反管理といったものに責務を負っているということを認識いただいて、これらに関する課題に対する取組みを推進すべきであるというようなご指摘を頂戴したところでございます。

これらのご指摘に関連するスチュワードシップ・コードの原則としては、原則2の利益相反に関する方針の策定、それから原則5の議決権行使と行使結果の公表についての明確な方針の保持といったところが関係するのではないかと考えているところでございます。

13ページに現在のコードに沿って運用機関で定められております利益相反管理方針の公表状況についてまとめさせていただいておりますけれども、ここでお示ししたいのは、その中でも議決権行使への言及があるものが半分強にとどまっているということでございまして、その具体性というものについてはまだまだ課題があるということではないかということでございます。また、議決権行使についての言及がある場合でも、必ずしもそれが具体的な局面でこうすべきということまでブレークダウンしたものというのは、なかなか少ないというのが現状であろうかと考えているところでございます。

14ページには、フォローアップ会議や金融審議会の市場ワーキング・グループにおきましてご紹介させていただき、ご議論いただきました利益相反が懸念されるケースというものについて再掲させていただいておりまして、左側は金融グループにおける利益相反が生じ得るケース、右側は同一主体で事業部門と運用部門を有しているケースについて懸念される事態ということでございまして、お目通しいただければと存じます。

15ページでございますけれども、こちらにつきましても海外機関投資家の方々から意見を頂戴いたしておりまして、実効的なスチュワードシップ活動のためには堅固なガバナンス体制や利益相反管理が重要であるという意見、明確な議決権行使基準を設定し、議決権行使判断を行う独立委員会を設置すべきなどというご意見を頂戴したということについて、フォローアップ会議の場で披露させていただきました。

3点目につきましては16ページからご説明をさせていただきます。3点目の論点はパッシブ運用におけるエンゲージメントということでございまして、パッシブ運用におきましては、投資先企業の株式を売却するという選択肢が限られるということから、より積極的にエンゲージメントや議決権行使に取り組むべきであるというご指摘を頂戴したところでございます。関連するスチュワードシップ・コードの原則といたしましては、原則4の建設的な「目的を持った対話」を通じて問題の改善に努めるというところが該当するのではないかと考えているところでございます。

1ページおめくりいただきまして、こちらにつきまして海外機関投資家の方からは、日本のパッシブファンドはこれまで対話に積極的ではなかったのではないかというご指摘を頂戴したところでございます。

18ページでございますけれども、4つ目の論点でございまして、議決権行使結果の公表の充実ということでございます。最終受益者の方々の利益を確保する、それから利益相反などを防止するという観点から、運用機関等におかれては、少なくとも「コンプライ・オア・エクスプレイン」ベースでの対応としては、アセットオーナーへの開示にとどまらず、個別の投資先企業ごとに、議案ごとの議決権行使結果を一般に公表することを原則とし、それぞれの運用機関等の置かれた状況により、それが必ずしも適切でないと考えられる場合には、その理由を積極的に説明すべきであると考えられるというご指摘を頂戴したわけでございます。

関連するスチュワードシップ・コードの原則といたしましては原則5と指針の5-3というのがございまして、こちらで議決権行使結果の公表について定めておりますので、こちらについて見直していくということかと存じます。

19ページでございますけれども、現在スチュワードシップ・コードを受け入れていただいている214の機関につきまして、議決権行使結果の公表状況について調査させていただきました。この中で、個別の結果を公表されているのは投信投資顧問152機関のうちの9%、それから年金26機関のうちの8%ということでございまして、ほぼ全て外国の機関ということでございました。薄緑のところが主な議案ごと、例えば取締役選任とかそういう議案ごとに集計結果を公表されているというものでございます。それから黄色のところが会社提案と株主提案の別で集計結果を公表されているという投資家の方々、橙色のところがエクスプレインということで、赤は公表、説明なしという状況で、かなりまだ受入れ状況や公表状況に差があるということでございまして、透明性を高めていくということが課題ではないかと考えているところでございます。

この点につきましても、20ページにございますように海外機関投資家の方々から意見を頂戴したところでございまして、受託者責任を果たす観点から、透明性を確保すべき、それから、利益相反を回避するという観点からは、集計結果のみの開示では十分ではないのではないかというようなご指摘を頂戴したということでございます。

21ページ、5つ目の、運用機関の自己評価ということで、今まで申し上げたようなさまざまな点も含めまして、スチュワードシップ・コードの実施状況というものを定期的に自己評価し、公表すべきということが課題ではないかというご指摘を頂戴したということでございまして、冒頭にも指摘として申し上げましたように、こうした自己評価というのはオーナーの方々が運用機関の選定や評価を行う上でも役に立つということではないかというご指摘を頂戴したわけでございます。

関連するスチュワードシップ・コードの原則としては、原則7に機関投資家の実力の具備に関連するのではないかと考えているところでございます。

以上、大変駆け足で恐縮でございますけれども、スチュワードシップ・コードをめぐる状況とフォローアップ会議の意見書についてご説明申し上げました。ありがとうございました。

【神作座長】

どうもありがとうございました。

それでは、引き続き、国際的な機関投資家団体でありますICGNのケリー・ワリングメンバーからプレゼンテーションを行っていただきます。

スチュワードシップ・コードをめぐっては、昨年、ICGN総会において投資家のスチュワードシップ活動方針等のベストプラクティスに対するICGNの考え方を明らかにするものとして、ICGNグローバル・スチュワードシップ原則が採択されました。この原則はフォローアップ会議においても紹介され、意見書の取りまとめに際して参考にされたところでございます。本日も、メンバーの皆様にフォローアップ会議の意見書の内容をより深くご理解いただくという観点から、ICGN原則や関連する国際的な動きについてご紹介をいただきたいと思っております。

なお、ケリーメンバーからは英語でご説明をいただきますので、逐次通訳を行います。

それでは、ケリー様、どうかよろしくお願いいたします。

【ワリングメンバー】

よろしくお願いします。

座長、ご紹介ありがとうございます。まず、この検討会並びに金融庁の皆様には、短期間にこれだけ前向きな改革を数多く日本で取りまとめられたということに心からお祝いを申し上げたいと思います。グローバルな投資家のコミュニティも大変称賛しております。

まず冒頭に申し上げたいのは、参加者の皆様の中にはICGNのメンバーが多く出席されておられまして、高山さんはICGNの以前の理事でいらっしゃいますし、上田さんは現在の会員、そして後ろに着席されておられる井口さんも現在の理事でいらっしゃいます。

このような発言の機会を与えていただいて感謝いたします。私のほうからはICGN原則、ヨーロッパの最新動向とICGNメンバーの事例について本日お話しいたします。田原さんのほうからも特に皆様のご関心が高いと指摘があった4つの分野に焦点を当てます。機関投資家のガバナンス、議決権行使の開示、企業のエンゲージメント、それからアセットオーナーが果たすべき役割です。

背景のご紹介をさせていただきますけれども、ICGNは資本のグローバリゼーションに対応するために20年以上前に設立されました。主にアメリカの投資家がいろいろ資金を投資している世界各国のコーポレートガバナンスのプラクティスについての理解を深めたい、経験を共有したいということであったわけです。そのためにICGNを通じてコーポレートガバナンスのネットワークを形成しました。今日、ICGNのメンバーは47カ国にまたがって26兆米ドル以上の運用資産を持っています。よって私たちは、かなりの発言力を持ち、世界中で政策課題について対話を行っています。ICGNのメンバーは企業にオープンですので、コカ・コーラ、BP、ファイザーとか、最近では日本からエーザイも入られました。社会全体のために、企業も投資家も同様に、まさに企業価値を長期的に成功に導くための相互の責任を負っていると考えております。

スライドの1枚目、機関投資家のガバナンスをごらんください。現在、イギリスではこれは大変注目されているテーマです。イギリスの新任のテリーザ・メイ首相は、イギリスのコーポレートガバナンスシステムを見直すと宣言しています。これは非公開企業ではありますがBHSという大いに注目された企業の倒産が最近あったこともありますけれども、社会全体で富の格差が広まっているという意識があるということで、これがまさにBrexitの投票結果に結びついたと思っています。

私は昨年の後半にイギリスの議会で証言を行いました。これは取締役が私たちのメンバー、すなわち株主の利益のために企業の成功を効果的に促進できているのかどうか、同時にほかのステークホルダーの利害も十分考慮できているのかどうか、ICGNはどういうパーセプションを持っているのかということについて証言いたしました。

しかし、議会に到着してみますと、実際私が受けた質問というのは取締役会、取締役についてではなく、むしろ投資家が取締役の説明責任を効果的に問えているかどうかということに終始したわけであります。つまり、私もとっさにすぐ考えをまとめなければいけなかったんですけれども、運用機関のガバナンスの問題だなということで、運用機関がスチュワードシップの義務を全うするだけの能力を備えているかという問題だと捉えました。

これは決してイギリスに限られたテーマはありません。ヨーロッパでも株主権利に関する改訂指令、これは3月に署名されるだろうもので、2年以内に実施されなければいけないとされていますけれども、アセットオーナーが、運用戦略がその資産の長期的なパフォーマンスに貢献できているのかどうかということを公に報告することを義務づけています。そして同様にアセットマネジャーがクライアントに対して同じことを報告することを義務づけています。だからこそスチュワードシップ・コードというのが重要です。というのは、スチュワードシップを効果的にどう実行していったらいいのかという1つのフレームワーク、ロードマップを提供しているからです。

だからこそICGNグローバル・スチュワードシップ原則というのは、真に効果的なスチュワードの役割を果たすために冒頭から、投資家は適切な社内ガバナンスの仕組みを持たなければいけないという観点から出発しているわけであります。スライドの1をごらんいただきたいのですが、3つのテーマ、独立した監督、能力、それからもう一点、利益相反について着目していただきたいと思います。

スライド1.1は独立した監督についてのICGNの立場です。まず、ガバナンスのストラクチャーでありますけれども、独立して行動できてバイアスがないということが重要であります。特にICGNといたしましては政府の代表者ないしは雇用主が意思決定を支配することに反対しています。つまり、受益者の利益よりも公共の政策目標のための運用戦略がとられることを回避したいからであります。

ガバナンスのストラクチャーというのは評価の対象とされるべきであり、定例の自己評価に加えて、おそらく3年ごとの定期的な外部による評価が必要だと考えています。そしてまた任命のプロセスと基準も明確に定義される必要があります。

次にスライド1.2でありますけれども、これはまさに投資家のガバナンスということでの能力と経験についてのICGNの立場ですが、スチュワードシップ、特に投資先企業への議決権行使とエンゲージメントに関して、これを行えるだけの適切な能力と経験が投資家には必要であります。また、ファンドマネジャー間のコーディネーションと統一性もこの中に含まれています。

例えば多くのICGNメンバーの場合には、議決権行使に関する責任というのは、ファンドマネジャーと定期的な対話を持っているガバナンスチームが責任を負っています。これはしばしば分析の段階で開始され、この結果、ガバナンスについての欠陥、リスク、あるいはビジネス・チャンスについてエンゲージメントの戦略の一環としてお互いが明確にし、優先順位づけることができます。

しかし運用ポートフォリオの銘柄数が多いので、スチュワードシップのリソースを効率的に使うことは課題であります。多くのICGNメンバーはこの数年間、特に直近の6カ月間でスチュワードシップのリソースをふやしています。今週のニュースでもバンガード、ブラックロック、ステートストリートのケースが出ていました。

1.2のスライドはフロリダSBAの実例ということで、アメリカのフロリダ州ボード・オブ・アドミニストレーションのガバナンス部門長のマイケル・マコーリの言葉を引用しています。このフロリダ州ボード・オブ・アドミニストレーションは運用資産が1,900億ドルで、株式のポートフォリオは1万企業以上の規模となっています。それでマイクは実際にグローバルマーケットをSBAの投資規模、個別の企業のパフォーマンス並びにガバナンス要素によってランクづけし選別してスチュワードシップ活動を行っています。

スライド1.2(b)ですけれども、限られたリソースに対処する別の方法は、投資家同士が協力することであります。これは世界各地のスチュワードシップ・コードの共通の推奨事項となっています。日本版コードでこのことの言及がないことは、率直に申し上げて、グローバル投資家にとっての懸念材料となっています。

彼らは、取締役会の選任など会社の支配・監督に関連した事項に対する議決権行使の合意を行わない限りにおいては、集団的エンゲージメントの取組みは金融庁に対して報告義務が生じる共同保有の閾値に関するルールに違反しないことを理解したがっています。

ESMA(欧州証券市場監督局)ないしはイギリスのファイナンシャル・コンダクト・オーソリティ(金融行為規制機構、当時のFSA)の立場がご参考になるかもしれませんので、アネックスに添付しておいたのでごらんください。

投資家の協働についてのICGNの立場は、投資先企業に必要に応じて影響力を行使するためには少数株主の意見を活用することが重要だということを強調しています。

スライド1.3は利益相反に関するICGNの立場を説明しています。ICGNのガイダンスでは利益相反を最小限に抑えるか、または回避するための堅固な方針を持つことを投資家に呼びかけています。投資家は現実のあるいは潜在的な利益相反を特定し、これを管理するため、自らの投資活動とクライアントとの利害を検証すべきであります。そして利益相反が見つかった場合には、それを軽減するための是正措置とともに開示されるべきであります。

イギリスのスチュワードシップ・コードを監督しているイギリスのファイナンシャル・レポーティング・カウンシル(FRC)は、イギリスのスチュワードシップ・コードに関しては利益相反の開示の分野でもっと取組みが必要だとしています。

それでは、我々から見てどのようなものが良いプラクティスで、どのようなものがあまり良くないプラクティスかという事例を示したいと思います。

スライド1.3(a)につきましては、ご紹介する事例としてはLegal & General Investment Management(LGIM)社を選びました。インデックスファンドではありますけども、イギリスでは最もアクティブなファンドの1つでありまして、興味深いのは、どのような場合に利益相反が潜在的に生じうるかということについてかなり詳細に示している点です。LGIMは、自社の顧客の多くが投資先企業の年金基金であることや、Legal & Generalグループが投資運用活動に影響を及ぼそうとするかもしれないことを例に挙げています。LGIMは、利益相反を、顧客との利益相反、親会社またはグループとの利益相反、例えばポートフォリオマネージャーとコーポレートガバナンスチームの間といった社内における利益相反の3種類に分類しています。こうした3種類の利益相反の分類は有用ですが、各ファンドは異なっており、それぞれのファンドの利益相反に関する開示は、ファンドごとに独自のものであることが重要であると考えます。

次のスライド1.3(b)は利益相反の軽減策を示しています。利益相反を最小限に抑えるためにチームが構成され、サポートされています。四半期ごとに会合を開いているコーポレートガバナンス委員会のメンバーである2人の非執行役員が活動のモニタリングとサポートを行っています。そしてまた機密資料について適切に扱い、スタッフの教育を行い、また利益相反の管理簿を備えることなどを行っています。

これに対して、次のスライドはかなり改善の余地がある事例でありまして、説明が短過ぎて、どういう形で利益相反に対応するかが全くわかりません。

次に議決権行使結果の公表についてお話したいと思います。ICGNとしては集計公表なのか、企業ごとの個別公表なのかということの立場が問われておりますが、ICGNとしては、実際の議決権行使の記録、すなわち、集計とともに個別の企業レベルでの公表を支持しています。というのは、個別企業のレベルでの開示が透明性を確保する上で役立ち、利益相反の回避にもつながるということで、ICGNの立場は2.1にも書いております。

それでは、スライド2.2ですけれども、1つの事例としてシュローダーの株主総会におけるBMOアセットマネジメントの議決権行使を取り上げてみたいと思います。これはかなり総会で物議を醸したものとなっています。

まず第1に、報酬に対して反対の議決権行使がありました。これは年間でのボーナスの総額が大きかったということです。2番目には退任するCEOで取締役会議長になりたかったマイケル・ドブソンに対して反対行使がありました。退任するCEOが取締役会議長に就任することはコーポレートガバナンス上、やってはいけないことであります。それから3番目に、これは反対の議決権行使ではなかったのですが注記という形で、監査人としてのPwCの再任に対して任期の上限がある事、そしてまた報酬額についての注記も添付されました。

では、スライド3.1はパッシブファンドと企業のエンゲージメントについてですが、私は、長期的な運用をパッシブと呼ぶことはあまり有用ではないと考えていることを最初に申し上げておきます。まずネガティブな響きがあり、これらのファンドが企業とエンゲージメントを行っていないことを推定させますが、しかし実際インデックスファンドは全部ではないですけれどもスチュワードシップについて、かなり積極的にやっているところもあります。LGIM、ブラックロック、ステートストリートなど、インデックス投資家ではありますが、スチュワードシップについて最も活発な推進者です。それは、こうした投資家は簡単に撤退できないことが1つの理由になっているかと思います。

エンゲージメントには2つのアプローチ、プロアクティブとリアクティブなアプローチがありまして、プロアクティブなものに関しては確立した計画プロセスがあり、保有額とか地理的な位置とか投資額ランキング、先ほどのフロリダのマイクの説明に出ていた議決権行使上の要素等を含む、かなり洗練されたスプレッドシートにより計画します。

しかし、リアクティブなエンゲージメントは、もっと大きなチャレンジであります。例えば会社で急な変化があった場合、例えば取締役会議長が辞任するとか、あるいは戦略に完全に沿わないような大きな買収を行うとか、あるいは会計上、経理上の問題が生じるなど、投資家としては即座にこの問題と向き合い、そして会社と対話することによって何が起きているかということを理解しなければなりません。

イギリスではインベスターフォーラムが設立され、このようなリアクティブな状況のもとでの企業とのエンゲージメントに役立っています。これは協働的な投資家グループ、国内外からの投資家が企業と対話するために1つのフォーラムにまとまるということで、日本でもそういうネットワークがあっても良いと感じます。

では、スライド4.1のアセットオーナーの役割をごらんください。これはアセットオーナーが受益者の価値を保護するための受託者責任を委譲することはできないという原則をうたっています。また2012年、ケイ・レポートの受託者責任に関する文書も引用しておきました。これはまさに利益相反管理の重要性にも言及があって、非常に適切な文書だと思ったからです。

では、次にスライド4.2でありますけれども、受託者責任を認識した上で、アセットオーナーとしては運用委託契約を結ぶとき、そしてアセットマネジャーを選任する際にはスチュワードシップのプラクティスについての期待も織り込むべきです。

スライド4.2(a)はICGNガイダンスの中でも最も人気のある委託契約のひな形でありますけれども、これはアセットオーナーとアセットマネジャーの間の契約条件をうたっており、アセットオーナーの運用戦略が受益者への特に長期にわたる責務の期間と内容と一致する重要性に言及しています。

アセットオーナーはリスク管理、そして環境、社会、ガバナンスの要素の投資過程への統合、そしてスチュワードシップの最高の水準の維持も考慮すべきです。

スライド4.3ですけれども、これは適切な説明責任と監督が重要だということをうたっています。イギリスでは多くのアセットオーナーがその選任の基準としてスチュワードシップを含めています。しかしアセットマネジャーのパフォーマンスのモニタリングということでは、もっとやるべきことがあります。但しリソースは限られているということも認識しています。

日本で定期的にスチュワードシップ・コードの報告をレビューする場合、署名者の報告の質だけではなく、行われているスチュワードシップ活動の質を確認することが有益だと思っています。

イギリスの場合は開示の分野で問題があり、イギリスのFRCは、その開示の観点でレビューを行った結果、プレミア・リーグ制を導入し、その目的のために情報開示に関する格付システムを新たにつくりました。

私からのプレゼンテーションは以上とさせていただきまして、皆様からのご質問があれば喜んでお受けいたします。

【神作座長】

ケリーメンバー、どうもありがとうございました。

それでは、これより、事務局説明及びケリーメンバーによるただいまのご説明につきまして、皆様からご意見等をお伺いする討議の時間とさせていただきます。

また、本日は初回ということもございますので、これらに限らず本検討会の進め方も含めまして何がございましたらご発言をお願いいたしたく存じます。

なお、メンバーの方におかれましては、ケリーメンバーへご質問等をされる場合には、日本語、英語いずれでも構いません。日本語でのご質問の場合は通訳者にて英語訳していただきます。また、英語でのご質問の場合は議論の内容を全体で共有するため、質問内容を日本語に会場全体に逐次通訳させていただきたいと思いますので、その点をご了承ください。

それでは、どうかご議論いただきますようお願いいたします。

上柳メンバー。

【上柳メンバー】

ケリーさん、ありがとうございました。日本語で質問させてください。

私は議決権行使結果の開示が一般公衆に対するものも含めて大変大事だと考えているんですが、イギリスで、あるいは世界で議決権行使の個別開示を公衆にしなくてもクライアント、顧客にだけすれば十分じゃないか、あるいは顧客への開示を優先すべきであるという議論があると聞いているんですが、どの程度あるんですか。それから、それについてケリーさんはどのようにお考えでしょうか。

【ワリングメンバー】

英国ではほとんど全ての投資家は、企業レベルで開示を行っています。現在、政府ではこれを法律にして義務化しようという検討がされておりますが、ICGNは義務化する必要はないと考えております。なぜなら、もうマーケットがそういう開示をしているからです。また欧州の株主権利指令も、議決権行使の開示を求める方向です。とても普通のことであり、全く論点ではありません。

【神作座長】

上柳メンバー。

【上柳メンバー】

ちょっと私の質問が不十分だったのかもわかりませんが、開示の中でも一般公衆に対する公表と、自分のクライアントに対する説明というか開示と区別して、どちらか片方でいいんじゃないかと、あるいはどちらかを優先すべきでないかというような議論はあるんでしょうか。

【ワリングメンバー】

このクライアントへの開示というのは、所与のものとして、その責任があるとされております。マーケットに対する開示も、既に通例として行われているので、これに対して何らかの議論があるわけではありません。ただ問題は、誰もその内容を見ていないということです。英国では特に、例えばCEOの報酬に関しては多くの人が憤慨しており、また投資家もこの報酬に関してはその議決権行使に関心を持っておりますので、その視点から内容を見る人が増えてくるのではないかと思います。ただ英国では今スチュワードシップ・コードをもっと強化しようという議論がされておりますし、私たちもそうすることを推奨しております。

【神作座長】

ほかに。濱口メンバー、お願いします。

【濱口メンバー】

それでは、今の点も含めて、私自身はフォローアップ会議に出ておりませんでしたので、この意見書全般について意見を申し上げたいと思います。用意したプレゼンがございますので、それに沿ってお話をしたいと思います。

意見書の多くの部分は私も賛同、同意しますが、その一部の点についてご意見を申し上げたいということで、今話題になりましたので、紙の右上にマル3と書いてある議決権行使の開示についてまず最初に、申し上げたいと思います。

いわゆるクライアントへの開示というのは当然で、我々企業年金連合会も全ての運用機関からそれを聞いておりますし、会社から問い合わせがあれば当然お答えしているという状況です。ただ個別のレベルで一般公表ということについては少し異論がございまして、結論から言いますと日本ではまだ時期尚早で、それが必ずしも投資家と企業の建設的な対話につながらないのではないかと考えています。

といいますのは、まず日本の株主総会開催日はご存じのようにいまだに一定の時期に集中しておりまして、我々機関投資家の議決権行使業務は、あえて言いますとその精度をある程度犠牲にしてでも機械的に実行せざるを得ないという実務の実態を考慮する必要があるだろうということ。

それから、国内の機関投資家の、後ほど数字をお見せしますが2倍から3倍近い議決権を支配している政策保有株主の行使状況が開示されず不透明な中で、一般機関投資家にのみ多大なコストがかかる過剰な開示を求め、その妥当性を問う意義は少ないのではないかということ。

それから最後に、投資家にとって議決権による影響力の行使とは最終的な手段であって、それ以前に企業と建設的な対話によって問題を解決していくのが本来とるべき行動であると考えますが、個別の開示・公表を求めて議決権行使を殊更に重視することで形式主義を助長し、かえってスチュワードシップ活動の質を低下させる懸念がないか、慎重に考える必要があると思っております。

それでは、この問題以外の点で、1枚戻りまして2ページ目をあけていただけますでしょうか。先ほどケリーさんからもお話がありましたが、共同エンゲージメントについてはフォローアップ会議では議論されなかったようですが、今回のコードの見直しの機会にぜひ取り上げていただく必要があると思いますので、説明させていただきます。

そもそも多くの投資家が別々に企業と対話するというのは、企業側の対応の面でも効率がよくないわけですが、特に投資先が多いパッシブ運用では、機関投資家側でも共同で対話に取り組むことが合理的だと思われます。また、日本では先ほど申し上げました政策保有株主の比率が大きいので、機関投資家の影響力を確保するという意味でも共同での体制をつくることが特に必要だと考えます。これは機関投資家各社の個別のエンゲージメント活動を補完、補強する役割を負うものですが、スチュワードシップ活動の実効性を高めるために必要不可欠であるということで、先ほどケリーさんからもご紹介がありましたが国際的に広く採用されています。

繰り返しになりますが、英国版コードでも、先ほどご紹介があったICGNのスチュワードシップ原則でも、それから国連責任投資原則でも、その他ほとんどの関連するコードでも、重要な行動原則の1つとして「投資家は共同して取り組むべきである」と明記されています。よって、今回の見直しに際して日本版コードにも同様の原則を取り入れていただくことが重要ではないかと考えますので、ぜひご検討いただきたいと思います。

なお、何らかの事情で今回取り上げられないということになった場合でも、既に海外の運用機関は日本でそのような共同対話に取り組んでいることでもあり、また金融庁でもそのような共同対話を進めることに特に異存があるわけではないと理解しておりますので、これもケリーさんから示唆がございましたが、日本の機関投資家の間で同様な取組みができないか、今後相談していきたいと考えております。

それでは、次は4ページ目に移っていただきまして、意見書の中で企業年金について触れられておりますので、少し状況をご説明したいと思います。

日本の企業年金は、先ほどご紹介がありましたが数はすごく多いです。数こそ多いですが、大半は小規模でリソースも限定されている中で、運用機関の活動を適切に把握し、監督していくというのはかなりの負担になり、事務コストも相当に増大します。

その中で、企業年金に幅広くコードの受入れを求めていくことは形式だけの受入れ表明になってしまうおそれがあるので、当初は組織・人員や費用負担の体制が整っている一定規模の企業年金から受入れを推進していくというのが現実的だと考えています。ということで、企業年金連合会と厚生労働省は企業年金の受入れを推進するためにただいま検討会やセミナーを開催して、受入れ環境の整備に努めているところでございます。

次に5ページ目をあけていただきます。これは直接スチュワードシップ・コードの内容に関係することではありませんが、その実効性の観点から非常に大事なことだと考えますので、最後につけ加えさせていただきます。

先ほどから何回か言及させていただきましたが、日本の株式市場は最後のページにあらわしますとおりいまだに政策保有株主の比率が大きく、一般機関投資家の影響力は限定されていますので、スチュワードシップ活動が有効に機能する環境が必ずしも整っていないのではないかと考えております。したがって、このコードが実効性を発揮するためには政策保有株式の大規模な削減が必要で、今後、コーポレートガバナンス・コードの見直しを含めた政策的な取組みについて、政府はより一層積極的に対応していただく必要があるのではないかと考えております。

最後のページをごらんいただきますと、これは今申し上げた政策保有株主比率の推計です。この会議のメンバーでもある日本投資環境研究所の上田さんに有報などの公表データから推計してもらったものでして、取引所や日銀のデータとも整合しています。詳しい説明は時間がございませんので省略しますが、東証一部全体の各企業ごとの比率の平均で少なくとも35%。平均ですから半数の企業はこれ以上なわけで、いまだに政策保有株主が集団として相当の議決権を実質的に支配している状況だと思います。政策保有株主は我々機関投資家の純投資と違い、さまざまな取引関係の維持、拡大を目的としていますが、近年は発行企業側が取引継続の条件として保有を要請しているケースも多くなっていると聞いております。これは企業自身がその議決権をコントロールしているような状況にもつながるわけで、株式市場の機能の根幹にもかかわる問題だと思っております。一方で、各企業は厳しい取引競争の中におられますので、これを我々のスチュワードシップ活動での個別の対話で解決していくのはなかなか難しい状況です。ということで、他国の例でもありますように政府の政策的な対応が必要ではないかと考えております。

以上です。

【神作座長】

どうもありがとうございました。

ほかにご意見はございますでしょうか。

小口メンバー。

【小口メンバー】

ありがとうございます。私はフォローアップ会議から連続して出させていただいているので、そのときの議論も含めて、議題になっています議決権行使結果の個別開示についての考え方を述べさせていただきます。資料3の中にいろいろフォローアップ会議で出された意見が出ていたのですけれども、20ページのところの一番下から2つ目の北米大手基金の考え方が、ある意味全体像をあらわしているのかなと思っています。ここに書いてあるとおり、透明性が利益相反の懸念に対する最大の解決策であって、議決権行使結果の開示は可能な限り透明であるべきで、集計開示では不十分であるということで、要するに議決権行使結果の開示の問題は利益相反の問題とセットで議論されるべき表裏一体の関係にあると思っています。

これは12ページにも、たしかご説明を聞いていましたら原則2と5が一緒に書いてありまして、議決権行使が利益相反の話と同じページに載っているというのは象徴的だと思うのです。利益相反があるかもしれない、あるかどうか外からは判断できないが実際にはあるかもしれないという前提で、その懸念を払拭するためには透明性が必要で、その中で議決権行使の個別開示というのは有力なツールだと、ある意味では物証になるんだということが海外でも経験則上証明されているということで、さきほどケリーが言っていたように、その是非についてもう議論がないというのは、おそらく議決権行使結果の個別開示が利益相反を解決するための一番いい方法だという、唯一かどうかわかりませんけれども、少なくとも有効な方法だとされていることの証左かなと理解しています。

私どもは実はケリーのいるイギリスの年金基金のお客さんに対してサービスを提供していて、その年金基金はずっと個別開示をしているので、これは多分19ページの年金基金の中の個別開示しているところに含まれていると思うのですけれども、個別開示することによってこの10年間私どもが担当する対話において障害になったという経験は正直言ってないのです。議決権行使結果を個別開示すると対話が阻害されるとか、対話を促進するためには個別開示はすべきではないという議論があるのですが、私どもの経験からは、ほんとうにこの両方がトレードオフの関係にあると言うのであれば、それは議決権行使が対話との持ち合い関係になっているということを自ら言うことになってしまうのではないかと考えています。利益相反はないんだ、痛くもない腹も探られたくないんだということであれば議決権行使個別開示の原則というのはむしろチャンス、原則2の利益相反をしっかり考えたいところについては、議決権行使に正面から向き合ういいチャンスであり、そして個別開示は自然な帰結じゃないかなと思っています。

それで、時期尚早という議論はフォローアップ会議でも出たのですけども、コーポレートガバナンス・コードの有識者会議に出られた方は覚えていると思いますが、コーポレートガバナンス・コードについては、ほとんど全ての項目が時期尚早と言われたのですけども、それを乗り越えさせたのはコンプライ・オア・エクスプレインの原則だと思うのです。コンプライよりもエクスプレインしたほうがいいと思えばエクスプレインする枠組みで乗り切ったことで、今の進展があるということなので、スチュワードシップ・コードにおいても、機関投資家もここはコンプライ・オア・エクスプレインの中で1歩踏み出すべきじゃないかなと思っています。

それからさきほどのケリーの話にも出ていましたし、今もご意見のあった集団的エンゲージメントについてです。ケリーはスチュワードシップ・コードが集団的エンゲージメントに言及してないということを言われていたのですが、実はスチュワードシップ・コード策定時の海外からのパブリック・コメントに対し、本コードには集団的エンゲージメントに関する原則は盛りこまれていないが、指針7-3において必要に応じて機関投資家が他の投資家との意見交換を行うことやそのための場を設けることも有効であると考えられる旨記載していると回答しているんですね。確かに集団的エンゲージメントを推薦はしてないけれども、決して妨げているものではないと思うので、もし海外の方々が日本では集団的エンゲージメントが妨げてられているという誤解があるのであれば、パブリック・コメントへの回答に書いてあるような内容でいいと思うのですけども、もう少し説明を加えたらいいと思っています。

それを超えて、じゃあ、集団的エンゲージメントを推奨するかどうかということについては、具体的にどういうケースがあるのかを考えるべきだと思っています。ケリーの説明を聞いていて思ったのですが、ICGN資料の3.1のところのプロアクティブ、リアクティブで言うとリアクティブのところ、つまり何かあって、なかなかすぐに対応できない問題があったときに力をあわせて頑張ると、それであれば集団的エンゲージメントは必要かなと思うのですが、もしそうであれば、具体的に前回設定時からこの3年間でどういうケースがあったのかという事例を共有化した上で議論を進めたらいいのかなと思っています。

一方、集団的エンゲージメントについてはさきほども出ていましたが国連責任投資原則でも確かに勧めていまして、ちょうどここに「Introductory Guide to Collaborative Engagement」という彼らがつくった冊子を持ってきたのですが、私も勉強のために読んでみました。集団的エンゲージメントは、確かにメリットはあるわけですが、全てメリットばかりというわけじゃなくて、この冊子の中でも、対象企業の上層部と良好な関係を築いている場合や、自社の競争優位にかかわる知識や情報を共有したくない場合は、投資家は集団的エンゲージメントより単独的エンゲージメントを選考する傾向があるという話とか、あるいは集団的エンゲージメントは詳細に深く切り込まず、より形式的な話し合いに終始してしまう可能性があるといった懸念点も指摘しているのです。実際に私も何度か他の機関投資家がリードした話し合いに参加したことがあるのですが、やはり指摘された懸念点のイメージが近いかなと思っています。それで疑問に思うのは、スチュワードシップ責任が投資先企業やその事業環境等に関する深い理解に基づく建設的な目的を持った対話をエンゲージメントと定義付ける中で、やはり深い理解とか建設的な対話という世界においては、企業に精通した機関投資家が単独で行うエンゲージメントというのがまずは前提になるのではないかということです。

その一方で、もし集団的エンゲージメントなるものが他社に依存して、そこに乗っていけばいいということになってしまうとなると、スチュワードシップ責任の趣旨に反することになり、これまでの議論で一貫してメッセージになっている形式から実質ということの逆行、実質から形式を助長して、形式的に「エンゲージメントしてますよ」という免罪符として使われるおそれがないのかなと懸念しています。したがって、集団的エンゲージメントのメリットはよくわかっているつもりなので、それを否定するものではないのですけれども、もし利用するということであれば、やはり集団的エンゲージメントの形式主義を助長しないように集団的エンゲージメントのガバナンスということもセットで規定すべき、書くべきではないかと思っています。

スチュワードシップ・コードの原則5の指針5-4に、機関投資家と議決権行使助言会社の関係が書いてあるのですが、これは集団的エンゲージメントに参加する機関投資家にとってみれば、集団的エンゲージメントを主導する機関投資家やサービス提供者との関係に近いかなと思っています。例えば指針5-4の表現を借りれば、集団的エンゲージメントの主導機関に機械的に依拠するのではなくて、さきほども受託者責任はデリゲーションできないという説明があったのですけども、投資先企業の状況とか当該企業との対話の内容等を踏まえ、自らの責任と判断の下で集団的エンゲージメントに参加すべきであるとの指針があるべきと思っていますし、仮にそういったエンゲージメントに関するサービスを利用する場合は、その旨及び当該サービスをどのように活用したかということを公表すべきと、これは指針5-4の議決権助言会社という言葉をそのまま読み替えただけですが、そういった集団的エンゲージメントのガバナンスがセットで規定され、そしてどういうケースで使われるかということがはっきり共有化されれば、集団的エンゲージメントはメリットがあるわけですから、それは一考する価値はあるのではないかと思っています。

以上です。

【神作座長】

どうもありがとうございました。

それでは、高山メンバー、それから福本オブザーバー、それから上田メンバーの順でお願いいたします。

【高山メンバー】

今話題に出ました議決権行使の個別開示について意見を述べさせていただきます。

フォローアップ会議でも、個別開示については、プラス面、マイナス面、いろいろな側面からの議論がありました。そういうマイナス面を最低限にする、ミニマイズするためには、体制づくりが必要だと思います。1つは投資家側におけるガバナンス体制、利益相反管理の強化というところが挙げられると思います。この点に関しては、今回のスチュワードシップ・コードで十分議論されることになると思いますので、今後個別開示に向けた体制が整っていくんだろうと思います。

それからもう一つ、先ほど濱口メンバーから出ました日本の企業の株主総会が集中していることに関してです。総会日が集中しているために、投資家が議決権行使に関して判断する十分な時間がないということは事実だと思います。日本株に投資している投資家にとって、国内外を問わずこれは大きな問題です。このような状況に対して、グローバルな投資家、多くはICGNのメンバーでもありますけど、そういった投資家から懸念が表明されています。あるいはACGAという別の投資家の団体がございますが、そこからも懸念が表明されています。ただ、それについては、企業側であるとか、あるいは金融庁や経産省などの省庁などにおいて、現在いろいろな動き、試みがなされていると理解しています。例えば総会の分散化に関しては基準日の考え方の整理をするとか、法人税制の見直しをするとか、それから議決権行使のための判断の十分な時間をとるために議決権行使の電子化を促進するとか、そういったさまざまな動きがなされています。それらは一朝一夕に効果を上げるというものではないですが、個別開示を可能とする体制は徐々に整備されていくのだろうと思います。

このような状況を踏まえ、個別開示を考えるときには、今これだけ大きな課題があるから開示はできないというよりは、その課題をなくす、個別開示のプラス面を最大限に享受できるような環境をつくるということに努力しつつ、その次のステージとして個別開示を実現させるといいのではないかと思っております。

【神作座長】

どうもありがとうございました。

それでは、福本オブザーバー、お願いします。

【福本オブザーバー】

オブザーバーという立場ですので手短に2点、今の議論に関係するところをご紹介といいますか、論点提起だけさせていただければと思います。

1点目は、先ほどワリングさんのプレゼンテーションでもありましたESGあるいは長期投資のときに投資家はどういうことを見ているのか、あるいは企業側はそれをどう捉えたらいいのかということで、今こちらのほうを経済産業省でも、金融庁にもオブザーバーで入ってもらいながら議論しているところです。これもこちらの議論、スチュワードシップ・コードをどうするかということと直接関係するかどうかわかりませんけれども、非常に関連する議論ですので、機会がいただければ、また後ほどこちらの進捗もご紹介できればと思っております。

2点目は、今高山委員からもございましたように議決権行使の開示でありますとか効率的な部分であるということで、こちらも法務省、金融庁と一緒になって議決権行使にかかわる書面の原則電子化、それから議決権行使そのものの電子化というのがもっと進まないかという議論をしておりまして、この議論も念頭に少し置いていただけるとありがたいかなと思っております。こちらについても適宜紹介できればと思っております。

【神作座長】

どうもありがとうございました。

それでは、上田メンバー。

【上田メンバー】

ありがとうございます。幾つか論点はあるかと思うんですが、この1年間いろいろフォローアップ会議であるとか、あるいは市場ワーキング・グループ等の議論に参加させていただいて、機関投資家のガバナンス、利益相反の問題、これが全ての根幹にあるように感じております。特に我が国の場合はアセットマネジャーの多くが金融機関の系列グループであるということもあって、特にこの問題も大きくクローズアップされているのかなと思っています。個人的にはこの利益相反の管理というのができていないとは思わないんです。それは金融庁様のご指導力もあり、各金融機関のコンプライ対策としてしっかりやっていたということもあって、できていないとは思えません。そうはいっても、そこの懸念があるということであれば、ある程度これを対外的に強く発信していく必要があるのかなと思っています。

その手段として、これは前に別の会議でも申し上げた記憶があるんですが、1つにはガバナンスの体制をしっかりと見える形でつくっていくということ、これはフォローアップ会議の意見書にもありますが、第三者委員会のようなものをつくるということ、あるいは社外取締役のようなものを置くということです。2つ目は、利益相反は存在しないということ、存在しても利益相反は実効性を持っていないということ、仮に利益相反関係が金融グループ内、法人部門との利益相反があったとしても、これが運用部門には影響を与えていないということ、を示すための見える化、透明性を高めるための、個別開示という手段です。このガバナンスと個別開示というのは重要な主張する手段になっているのかなと思っています。

また、今後このスチュワードシップ・コード改訂の中でも議論することになると思っていますが、各金融機関の利益相反に関するポリシー等を拝見していると、さっきケリーからの資料にありましたけれども、例えばLegal & General Investment Managementの場合には相当詳細な3パターンが書かれています。これに対して、日本の場合には基本的にグループ内、金融グループ内で親会社、兄弟会社というものを特定してあって、こことの利益相反について明記してあるケースが少なくないようです。そうではなくて、むしろ少し定義を曖昧化して、先ほどの資料3の12ページにも書いてありましたけれども、どういう場合に利益相反が生じるおそれがあるかということで明確な場合に限定して範囲を決めるのではなくて、少しグレーのところも含めて懸念先というようなことで例示というか、具体的に指定しなくてもいいですし、曖昧なところでもいいので、少し広い定義をつくっていくというのも必要なのかなと思っています。

その場合は多分2つぐらいあって、1つには法人部門の取引先と受託者責任を負っている投資先企業という関係での利益衝突が生じる場合、あともう一つは受託者責任を負っている顧客間同士での利益衝突が生じる場合かなと思っています。これは特に企業年金が今後コードにサインするであろうという場合の企業年金の独立性、利益相反にも絡んでくるんですが、そういった点も含めて少し幾つかのパターンで見ていく必要があるのかなと思っています。

この利益相反の取組みというのはグローバルに見ても、先ほどケリーが紹介してくれましたICGNの原則もそうですし、あるいはG20/OECDガバナンス原則においてもこういった利益相反のところはしっかりするべきであると書かれておりますし、これはグローバルな流れであると思います。一方で、顧客本位の業務運営のプリンシプルにも同じ流れでございますので、そういったところでここは相当重要な肝になるポイントなのかなと思っているところでございます。

以上です。ありがとうございました。

【神作座長】

ありがとうございました。

それでは、松島メンバー、川田メンバー、島田メンバーの順序でお願いいたします。

松島メンバー。

【松島メンバー】

まず、このたびのいわゆるフォローアップ会議のご意見を受けてこのコードの改訂をしていこうということにつきましては、もちろんスチュワードシップ・コード原則の適用の仕方というのは運用機関が自らの置かれた状況に応じて工夫した上で、コンプライ・オア・エクスプレインによって行われるということではあるんですけれども、投資信託の信頼向上に向けた取組みにはまさに当てはまるものでございますので、こうした内容で原則の見直しが進むことについては歓迎すべきものだと考えております。

そうした文脈からご報告させていただきますけれども、今投資信託協会では投資信託の信頼を高めて、投資家の視点を商品設計とかその運営に一層反映していきたいということで、投資信託のガバナンスについても議論をしております。その中の1つとして、今のところはそれぞれの会社が例えば独立取締役だとか、アドバイザリーボードですとか、ファンド監視監督委員会だとかというものを設置するなどの取組みを行っておりますけれども、これらも含めた取組みを投資信託の信頼を高める取組みとして業界全体として投資家に明確に示していくことについても議論を重ねております。特にアセットオーナーが一般投資家であって、またその数も大変多い公募の投資信託の場合は、こうした考え方を取り入れて運営していくことはとても大切だと考えています。

次に、この議決権行使結果の公表の充実について簡単に申し上げます。これももちろんそれぞれの会社が自社の状況に応じて、照らして判断していくことだと思いますけれども、自らの取組みの透明性を高めていくということは投資信託運用会社の信認向上に大きく寄与することだと思っております。同時に、運用会社は受益者の利益を考えてできるだけ効率的な運営にも努めるべきだということですので、この個別議案ごとの開示結果の公表については、適切なコストを管理しながら行っていく必要はあろうかと思います。その実現可能な形の1つとしては、ホームページなどで開示するというようなことを例示的に盛り込んでいただいたらよろしいんじゃないかと考えます。

ご存じのように投資信託の場合は、いろいろなファンドが各社にございます。数が多いということもあり、ファンド単位で開示していこうといたしますと、それは大変なことになります。むしろ各運用会社がその会社ごとに議決権の行使方針を定めて、それに基づいて行使しており、ファンドによって行使判断が分かれるというのがあったとしても大変まれなことだと思いますので、公表については各運用会社のホームページに投資先企業の議案ごとに開示を行うような形を1つの例としてあげていただければ、比較的業界としての支持は得られやすいんではないかと考えております。

以上です。

【神作座長】

ありがとうございました。

それでは、川田メンバー、お願いします。

【川田メンバー】

ありがとうございます。企業側のメンバーとして、また私は実際にIR、SRをやっている立場から意見を二、三申し上げたいと思います。

まず1点目でございますけども、議決権行使結果の公表の充実という点について申し上げます。私は、去年の暮れに国内外の機関投資家に対するSR活動を実際に行いました。その際に印象的だったのは、我々企業としては一所懸命建設的な対話をしようとするわけですが、機関投資家はどうしても彼らがもつ議決権行使基準にとらわれ、それから離れた議決権行使というものを非常に嫌がる傾向があるということです。我々としては対話によりこちらの考え方、ガバナンスの思いであるとか将来の設計であるとかそういうことも話すわけですが、会社側の提案が議決権行使基準から少しでも離れると、機関投資家としてはなかなかイエスと言えないというような現実があります。

何を言いたいかと申し上げますと、建設的な対話により機関投資家が納得し、議決権行使基準を形式的に当てはめた場合とは異なる形で議決権行使を行った場合に、その結果を公表すると、どうしてこの機関投資家は議決権行使基準とは違う議決権行使を行ったのかということへの説明を求められることになり、対話を踏まえた議決権行使を行うことを機関投資家が嫌がるようになるのではないかと思います。その結果、機関投資家が形式的な基準、形式にとらわれた行動をとっていくのではないか、建設的な対話が阻害されるのではないかという懸念を私自身は持っています。建設的な対話を踏まえ機関投資家が自ら判断し、議決権を行使すればいいわけですが、議決権行使基準との兼ね合いが微妙になってくるという印象をもちました。

それからもう一点申し上げたいのは、議決権行使助言機関についてです。先ほど濱口メンバーから言及がありましたが、議決権行使、特に定時株主総会に関する議決権行使につきましては、株主総会までの期間が非常に短いということで、機関投資家の皆様は議決権行使助言機関のサービスを利用するというケースが非常に多いと思います。当社では去年は臨時株主総会を開催し、議案に関して機関投資家に対し個別に説明することができたわけですが、一部の機関投資家は、これは国内外の機関投資家でありますけども、やはり議決権行使助言機関の意見を参考にする、あるいは議決権行使助言機関の行使基準通りに議決権を行使することを通例としているという説明をする機関投資家もございました。資料3の12ページに記載されている通り、「運用機関による実効的なスチュワードシップ活動」の中の上から2行目において、「機関投資家においては、形式的な基準や助言会社のサービスを機械的に適用するのではなく、各企業の状況に着目したきめ細かな判断を行っていくことが重要である」という指摘があります。しかし、それとは逆に機関投資家において助言機関のサービスを機械的に適用するような傾向があるとすれば、議決権行使助言機関のガバナンス、適切な議決権行使基準等が策定されるためのプロセスの確保という点もまた重要な課題ではないかと思います。当社の臨時株主総会に関しても、先ほど申し上げたように議決権行使助言機関の意見等を参考にしている、あるいはそれを根拠にしたほうが対外的には説明しやすいということをおっしゃる投資家もいるわけであり、それが現実的な姿なのかなという思いがいたしましたので、ひとこと意見を申し上げました。

以上でございます。

【神作座長】

どうもありがとうございました。

それでは、島田メンバー、お願いいたします。

【島田メンバー】

私は投資信託の専門書を発行しておりますので、公募投信という特定の金融商品にかかわる立場から、長期的な視点で投資信託を使って資産形成あるいは資産管理を行っている個人投資家に軸足を置いてお話をさせていただきます。フォローアップ会議に出ておりませんので、自明のことを繰り返すかもしれませんがご容赦ください。

まず、公募投資信託は不特定多数の個人から資金を集めて運用する集団投資スキームですので、年金基金などのように顔の見えるアセットオーナーがおらず、いうなれば個人投資家それぞれが最終受益者であり、かつアセットオーナーであるという仕組みです。そのため、投資信託運用会社は機関投資家としてこの最終受益者に資金だけではなく、保有資産に付随する議決権や企業との対話等についても委託されていると考えられます。最終投資家にかわって適切な議決権行使を行うことは、あるいは対話をしていくことは投資信託運用会社の義務と言えると思います。

投資信託においては、先ほども申し上げましたとおり顕在する専門家としてのアセットオーナーによるスチュワードシップ履行の働きかけがございません。ということは、運用会社は自らのスチュワードシップ責任について、年金基金などに対するのと同等またはより強く認識して活動していくことが求められていると思います。個人投資家は運用会社に対して実効的なモニタリングを行うことは現状では困難です。そこで、個人投資家にかわって、例えば運用会社のスチュワードシップ責任についてモニタリングを行う第三者機関、例えば投資信託の評価会社や議決権行使助言会社などが機能することが望まれるのではないかと考えております。そのためにはさまざまな情報が公開されている必要があると思います。

ガバナンス、利益相反管理の強化について申し上げますと、II-4-マル3で利益相反が生じる可能性を図解していただいておりますけれども、マル4でも指摘のあるとおり、投資信託の場合には投資信託運用会社と親会社である金融機関や販売金融機関との関係もガバナンスにおいて大きな影響を及ぼす関係があると考えられております。また、確定拠出年金における投資信託の場合には、運営管理機関とその母体である金融機関の存在も利益相反の可能性を生じると考えることも可能です。

このような背景も勘案しますと、上田メンバーのご発言にもございましたが、利益相反に対してしっかりと抑制され、あるいは回避に取り組んでいるということを個人投資家がきちんと納得できるような、実効的なガバナンスのあり方について検討を進めていかなければならないのではないかと考えております。

パッシブ運用における議決権行使については、これは個人投資家の中でもさまざまな意見が聞かれ、非常におもしろいのですが、例えばパッシブ運用という特性上、買収防衛策などごく特定の議案以外は会社議案には全部賛成でもいいのではないかという意見もありますし、個別の開示を行うなどについてコストがかかっていくというのであれば、パッシブについてはコストを下げることのほうに専念してほしいという個人投資家も現実にいます。一方で、売却ができないというパッシブ運用でございますので、むしろエンゲージメントや議決権行使を通じて中長期的な企業価値向上に努めるべきという意見もございます。

私個人はパッシブ運用においても適切な議決権行使が行われることが望ましいと考えておりますが、銘柄数が非常に多いケースも多々ありますので、時価総額が大きく、かつ特に問題のある企業に対する中長期的な視点でのエンゲージメントをまずは優先させるべきではないかと考えております。

パッシブファンドの議決権行使においては、少し乱暴な言い方をすると、助言会社の助言のままに議決権を行使するだけであれば意味があまりないと考えております。行使せよ、しなくてよいという議論ではなく、スチュワードシップ責任においてどのような行動をするかによって同じパッシブ投資でも運用会社の特徴があらわれ、投資家はその特徴をも鑑みて商品選択ができる環境になるような情報開示をされることが望ましいと考えております。

続いて議決権行使の公表についてですが、まずは議決権行使の方針について、目論見書等で方針を明示していただけたらよいと考えております。公募投信においては、議決権行使の方針や結果の公表について現状を見ておりますと、ほとんどの運用会社が多少の温度差はあるものの非常に一般的な方針の記載と、議案ごとの賛成・反対などの数をホームページで開示するにとどまっております。これは投資家から見ると甚だ不十分な形式的な対応です。中には投票についての説明が書かれている場合もありますが、これも往々にして一般的なものです。一方で、ある運用会社はもう少し踏み込んで具体的な議決権行使方針を明示しており、またエンゲージメントの実例などを、個社名を挙げずに説明しています。ただ対話をしましたという開示ではなく、その結果こうなりましたという説明です。

コンプライ・オア・エクスプレインベースでの公表については、類型的あるいは形式的な開示にとどまっているのであれば、ほとんど意味がないのではないかと思います。一般の投資家にわかりやすい形でエクスプレインすることが求められています。ただし、米国のように会社型投信であれば個別開示の対応も非常に自然なのですけれども、日本の契約型投信では個別開示を求めるのは、現状ではなかなか難しい部分もあるかとは考えております。

また、個人投資家が最も興味を持っているのは実は運用会社のエンゲージメントの部分でございまして、そういった部分についてもっと現在よりも具体的な形で方針を表明したり、あるいは何を行っているか、議決権行使結果についてもただ賛成した、反対したということではなくて、どのように考えて行動したか、例えば議案において反対した理由などを説明するなど、開示におけるより一層のわかりやすく伝える工夫が求められていると思います。

個人投資家は形式的な賛否の数ではなくて、自分の資産を託した運用会社が自分のかわりに何についてどのように考え、どう行動して責任を果たしてくれたかを知りたいのです。その点ではファンドごとにどのようなスチュワードシップ責任を果たしたのか、エンゲージメントや議決権行使でどのような行動をとったのかを運用報告書で開示することが本来の姿であるとは思います。しかし紙幅の関係、あるいはコストの関係で現状ではそのような開示が困難であるならば、ホームページで開示を行うといったことも考えられると思いますし、その開示へのリンクを運用報告書に記載するなど工夫して対応することが可能ではないかと思います。

個社名を挙げずともエンゲージメントの実例、どのような目的で対話を行い、その結果どのような回答や行動を企業側から得たかなどを、それぞれの運用会社が自分の言葉で自分たちの投資家に対して伝えていっていただければと思います。各運用会社の情報開示を通じて、投資家は誰に自分のお金を託すかを選択する1つの目安とすることができるからです。

一方で、例えばESG、CSR、SRI、スチュワードシップ・コードなどを標榜する投資信託においては、さらに個別の開示の方向に進んで踏み込んだ開示をすることが望ましいと考えています。目的を持った対話を責任を持って投資家のために行うことが重要であって、その実質を投資家に伝えること、投資家の目に見えるようにすることが投資信託におけるスチュワードシップ責任のあり方であると考えております。

【神作座長】

ありがとうございました。

それでは、清水メンバー、長島メンバー、加藤メンバーの順でお願いいたします。

それでは、まず清水メンバー。

【清水メンバー】

長期の視点から運用を行っております生命保険会社の立場から考えを申し上げたいと思います。

まず、生命保険会社各社でございますが、企業との対話を軸に各社ごとに創意工夫を凝らしたスチュワードシップ活動に励んでございます。そして今回のコードの改訂の目的であります、対話を深め、スチュワードシップ活動を一層効果的なものにしていくというこの方向性については賛同しております。その上で、今回のコードに改訂に当たりまして3つの視点からの検討をお願いしたいと存じます。

1点目は、議決権の行使のみに焦点を当てることなく、スチュワードシップ活動全体を深める改訂にしていただきたいということでございます。

2点目は、スチュワードシップ活動が形式に陥らず、実効的でかつ豊かな内容のものとなるよう、コンプライの範囲を限定的にせず幅広い選択肢を設けていただきたいということでございます。

3点目は実務への配慮ということでございます。

その上で具体的に個別開示とガバナンス強化に関して2点、考えを申し上げたいと思います。

まず開示でございます。意見書におきましては、議決権行使につきまして原則個別開示とされておりますが、個別開示のみをコンプライとするのではなく、個別開示以外の方法もコンプライの選択肢に加えていただきたいと存じます。理由は2つでございます。1つは利益相反管理の観点からは、個別開示以外の方法によりましてもその目的を達することができるのではないかと考えております。例えばガバナンスの強化のために今回新たに設ける社外メンバーが入った会議体でございますが、この会議での議論の内容を公表することによりまして、つまり個別開示以外の方法によりましても利益相反管理についての十分な説明と的確な理解が得られるのではないかと考えております。

2つ目の理由でございます。個別開示のみがコンプライとなった場合、スチュワードシップ活動のウエイト並びに関係者の関心が議決権行使に傾斜することを懸念しております。スチュワードシップ活動において議決権の行使は重要な要素ではございますが、それのみではないと。企業との建設的な対話を含む幅広い活動を指すと現行のコードでもうたわれております。その趣旨に立ちますと、例えば対話のプロセス、対話の内容、議決権行使結果、対話の成果、こういったスチュワードシップ活動全体を説明するほうがより理解を得られやすいと考えられる場合には、例えば今申し上げましたスチュワードシップ活動全体にわたる包括的な説明も、個別開示にかわるコンプライの選択肢として加えていただくことが可能ではないかと考える次第でございます。

2点目はガバナンス強化でございます。ガバナンスの強化につきましては、意見書で社外の視点を意識した体制整備を求めております。これは各社の信頼性を向上させることにつながると思います。ただし、各社ごとにガバナンス体制は異なりますため、各社が最適と考える体制整備を行うことができますよう、例えば社外だけでなく社内も含めたメンバーの構成、また付議する議案の内容、その数などにつきまして、各社の自主性と多様性を認める枠組みにしていただければと考えてございます。

意見は以上でございます。

【神作座長】

ありがとうございます。

それでは、続きまして長島メンバー、お願いします。

【長島メンバー】

では、すごく簡単に何点かお話しさせてください。

全体像としては今のこのコードというのは非常によくできていて、ICGNさんのお話を聞いていても、その骨子自体を変える必要はないんじゃないかなと思っていますので、それにいろいろご議論があった点を加えて、時代の要請に合った形でアップデートする、特に指針とかをアップデートしていくのかなと思っています。

それからガバナンスですけれども、信託銀行は一生懸命やっているつもりなんですけど、多分まだまだ足りないところがあると思われるので、多分そういうように見えるだろうなと思いますので、ガバナンスの強化とか一連のプロセスとか審議結果の透明性の確保、見える化にはより一層きちんと取り組んでいきたいと思っています。

それから議決権の行使ですけれども、個別の開示はなかなかやっぱり論点はいろいろあると思うんですけれども、結論から言うと日本の市場の透明性の確保、透明性の向上、あるいはこれをきっかけに対話も進むことがあり得るという現場の意見なんかもありましたので、やっていく方向なのかなと私自身は考えています。

それから最後ですけど、集団的なエンゲージメントの件でございますけれども、これはファンドのタイプによってもちょっと違うんじゃないかなと私は思っていまして、特にアクティブファンドの場合は対話そのものがバリューの源泉になっているんで、ここを一緒にやってしまうとその独自性がなくなる、あるいは運用機関の独自性がなくなる部分があるので、コードにこれを書くのはちょっと厳しいんじゃないかなと私は思っています。

以上です。

【神作座長】

ありがとうございました。

それでは加藤メンバー、お願いします。

【加藤メンバー】

ありがとうございます。ほかの委員の方の発言と重なるところもありますが、発言させていただきます。

まず、スチュワードシップ・コードの改訂を考える際には、スチュワードシップ責任の内容と、その責任を果たさせる仕組みを分けて考える必要があると思います。

なぜそう思いましたかというと、ワリングメンバーの報告で非常に印象的だったのは、アセットオーナーの重要性ということであります。つまりアセットオーナーが運用機関を選択するわけですから、アセットオーナーが運用機関を選択する際にスチュワードシップ責任というものを意識して選択するようにアセットオーナーは行動するということが確保されているか否かが非常に重要であるということです。その一方で、先ほど投資信託の例がありましたけれども、アセットオーナーが分散している場合、アセットオーナー自身に、運用機関がスチュワードシップ責任を果たしているか否かをチェックすることはあまり期待できません。そのため、運用機関にスチュワードシップ責任を果たさせる仕組みを工夫する必要があると思います。つまり、インベストメントチェーンの繋がり方によってアセットオーナーや運用機関にスチュワードシップ責任を果たさせる仕組みは異なっているということを意識しながら議論を進めていく必要があると思いました。

この点に関連しますが、2点目としてコンプライ・オア・エクスプレインとしての開示の仕方についてコメントします。コンプライ・オア・エクスプレインという手法自体は既に我が国でも定着したと言っていいような気はしますが、意味のある開示がなされているかどうかが問題とされるべきだと思います。今回の事務局からのご説明でも開示の仕方に関する問題の存在が示唆されていましたが、先ほどワリングメンバーの報告のようにいい開示の例と悪い開示の例を提示することができるかどうかわかりませんけれども、何か具体的な例を念頭に置いた検討、つまりベストプラクティスとしての開示の仕方というものも具体的に検討してみる必要があると思いました。

3点目ですが、ワリングメンバーのプレゼン資料の5のFRCの対応というものが非常におもしろいと思いました。なぜかといいますと、イギリスはまさにコンプライ・オア・エクスプレインの先進国であったわけであります。コンプライ・オア・エクスプレインの建前は、市場メカニズムを通じて実務にベストプラクティスを浸透させるということだったと思います。しかしご紹介いただいたスライドによれば、FRC自体が、少なくともスチュワードシップ責任に関しては市場メカニズムだけに任せておくことできないと考え、望ましくない開示の仕方を是正するために積極的に介入しようとしているようです。

イギリスと日本では、そもそもスチュワードシップ・コードの法的位置づけや枠組みが異なるので、金融庁がFRCのような対応をすることはできないかもしれません。しかし、スチュワードシップ・コードに関して望ましい開示をさせるための仕組みとして、我が国のさまざまな法的な制約の中でどういった方策を金融庁ができるかということもあわせて考えていく必要があると思いました。

以上です。

【神作座長】

ありがとうございました。

ほかにご意見はございませんでしょうか。本日は1回目でございますので――お願いします、桝田メンバー。

【桝田メンバー】

それでは、皆さんから意見がかなり出ておりますが、スチュワードシップ・コードを推進して実効性をどう高めるかと、形式から実質へという観点から論点を整理させていただきます。

まず、既に論点で挙がっていることについて、基本的には賛成でございます。賛成した上で、どう実効性を高めるかということについて運用会社の立場から申し上げます。

1つの論点の運用機関のガバナンス、利益相反。これは私ども運用会社は一生懸命やっていますが、市場の懸念、お客様の懸念は当然残るわけでございまして、しっかり取り組んでいくと同時に懸念を払拭するという論点からは、議決権行使の個別開示というのをしっかりやるというのは、上田メンバーもおっしゃっていましたけれども、これはもうマストであろうと考えてございます。

ただこのやり方でございますけれども、やはりアセットオーナーの議決権行使の基準を踏まえて運用会社が議決権行使をするというお客様はございますので、不統一行使の問題というのはしっかり慎重に扱い、ただ一方、公募投信等でありますと運用会社の行使基準にのっとってやりますので、これは一斉開示するということで何ら問題はないと考えます。

次にパッシブのエンゲージメントがございますが、私どもの会社も10月にスタートしてアクティブ、パッシブ両方のエンゲージメント、それぞれ論点が違うのですが試行錯誤しながら実施しております。当然パッシブのエンゲージメントですと市場に共通する企業価値の向上に資するようなエンゲージメントになりますので、これはESGも含みますけれども、論点の設定の仕方によっては、本日濱口メンバーがおっしゃっていました通り、共同エンゲージメントという方法も十分あり得るのではないかと考えます。

例えば単独でエンゲージメントするよりも実効性がある例としましては、企業、投資家双方が対話で留意しており、コーポレートガバナンス・コード上、企業側に十分説明をしていただき、あるいは運用会社もしっかりそれを問うていくテーマは、共通の課題でございますので、これを共同エンゲージメントの1つの切り口として進めるという論点は実効性を高めるという観点ではあるのではないかと思います。

更にパッシブのエンゲージメントの問題で、フォローアップ会議でも触れておられましたけれども、コスト問題というのがございます。当然従来パッシブのエンゲージメントをしていなかった運用会社がこれから開始するというところも多く出てくると思います。そのときに、しっかりやるということは前提でございますが、そのコストをアセットオーナーと運用機関がどうシェアリングして株式の企業価値を上げていくのかというところは、これはしっかり我々も議論していくべき論点だろうと思っております。

最後に、これも濱口メンバーがおっしゃっていましたが、企業年金の方々が、コスト問題や、いろいろなバランスの面からも率先してスチュワードシップ・コードの受入れをするにはまだ時期尚早ではないかという論点は、ごもっともなご意見だと聞いておりました。ただ、運用機関にいる側としましては、これはできるだけ幅広く中小企業の企業年金の方がスチュワードシップ・コードを受入れ表明するにはどうしたら良いのだろうかと我々も議論をしております。企業年金の方と運用機関がどのようなコミュニケーションをして、逆にアセットオーナーの側から実効的なチェックを運用機関にかけられるのかという論点です。運用会社と企業年金の間で、こういう対話が望ましいといった何らかの論点整理をしてある程度統一のガイドラインを作ると、これは中身によってはやり方を間違えると形式主義に陥りますが、コストも下げられますし、実効性を高める可能性も出るのではないかと考えております。

以上でございます。

【神作座長】

ありがとうございました。

それでは、田中メンバー。

【田中(亘)メンバー】

皆様から大変示唆的なご意見をいただいて、勉強させていただきました。

2点ほど申し上げたいことがあります。1点目は、コンプライ・オア・エクスプレインという考え方についてでありまして、コンプライとエクスプレインというのは、コンプライをするか、さもなければエクスプレインをするということであって、必ずしもエクスプレインを選択したことそれ自体がマイナスの評価を与えられるものではない、元来そういうルールであると認識しております。これは建前ではなく、ちょっとスチュワードシップ・コードから離れますが、カナダのある研究では、カナダのコーポレートガバナンス・コードについて、コンプライしているという対応企業よりも、説得的な理由を挙げてエクスプレインをするという対応のほうが、むしろ株式の市場価値に対してポジティブな影響を与えているという研究があります(Luo, Y., and S. E. Salterio, 2014, Governance Quality in a “Comply or Explain” Governance Disclosure Regime, Corporate Governance-an International Review 22(6), 460-481)。これは、企業がある意味で「めり張り」のついた対応をすることを投資家は評価しているということではないかと思います。全ての関係者がコンプライするようなルールをつくると情報が総花的になってあまり有用性がないので、ある原則について、他の企業とは立場を異にしている企業は、堂々とエクスプレインをするというようなルールも意味があるのではないかということです。

それから2番目は、議決権行使結果の個別開示についてです。これは、先ほど上田メンバーがおっしゃったことに私は賛成でして、日本は支配株主のような明々な利益相反よりも、さまざまな取引関係があるという、いわば緩い利益相反というか、あるいは利益相反が時に深刻になるのではないかという疑いがある、という部分が大きいのではないかと思いまして、それに対処するには、もちろんガバナンス体制の充実というのも1つの方法ですが、透明性を確保するという観点も有力な選択肢であると考えております。

コンプライ・オア・エクスプレインは、全ての関係者に特定のルールを強制しないがゆえに、強制をするとすれば時期尚早であるようなルールも盛り込むことができるというところにメリットがあると考えておりますので、個別開示をコンプライ・オア・エクスプレインベースで取り入れていただくというのがいいと考えております。

以上であります。

【神作座長】

どうもありがとうございました。

ほかにご意見はございますでしょうか。

それでは、青山オブザーバー。

【青山オブザーバー】

それでは、簡単に。申しわけございません、オブザーバーの立場で、厚生労働省の企業年金・個人年金課長でございます。

前に桝田委員に言っていただいたんですが、ありがたい話でございまして、まさに運用、今回の意見書の中にもアセットオーナーは運用機関に対する実効的なチェックをと話があったように、そのとおりだと思うんですけども、実効的にチェックをするか、コンプライ、エクスプレインをするべきというだけであとはやって下さいと言われても、なかなかどうしたらいいんだろうっていうのはあるので、その間を埋める取組み、環境整備というのは重要だと思っていまして、厚労省でも、先ほど濱口さんからありましたように検討会でどのように運用機関に向き合えるかという具体的な環境整備を検討していますので、そういうこともご理解いただければと思いまして発言しました。

以上です。

【神作座長】

どうもありがとうございました。

ご意見も尽きないところではございますけれども、定刻を大幅に過ぎてしまっておりますので、本日の討議はこれで終わらせていただきたいと存じます。

最後に、事務局からご連絡等がございましたらお願いいたします。

【田原企業開示課長】

本日はどうもありがとうございました。次回の検討会の日程ですが、改めてご連絡させていただきますが2月中に行わせていただきたいと考えております。ありがとうございます。

【神作座長】

本日はどうもありがとうございました。私の不手際で時間を延長したことをお詫び申し上げます。

それでは、以上をもちまして本日の検討会を終了させていただきます。どうもありがとうございました。

── 了 ──

※ワリングメンバーの発言は英語で行われたが、本議事録には仮訳を掲載している。

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