第2回総合的な取引所検討チーム(議事概要)

金融庁

農林水産省

経済産業省

1.日時

平成22年11月9日(火)16時30分~18時00分

2.場所

経済産業省本館2階東6共用会議室

3.出席者

金融庁:東副大臣、和田大臣政務官

農林水産省:田名部大臣政務官

経済産業省:松下副大臣

東京証券取引所:齋藤社長

大阪証券取引所:米田社長

東京金融取引所:太田社長

東京工業品取引所:江崎社長

東京穀物商品取引所:渡辺社長

早稲田大学 尾崎教授

早稲田大学 黒沼教授

上柳弁護士

4.議事内容

○ 取引所からの主な発言要旨

(総合的な取引所を創設するメリット)

総合的な取引所を作ることによって、取引が活性化するならば、総合的な取引所を作ることに賛成。

総合化のメリットが大きいデリバティブの総合取引所を作ることには賛成。

総合的な取引所の創設は何のためなのか、誰のためなのかを議論しないといけない。例えば投資家のためというならば、取引所という組織だけを統合しても取引が活性化するとは思えない。

組織(ハコ)を統合するのか、機能を統合するのか混ぜて議論してはいけない。ハコだけが先行するのは最悪。

組織(ハコ)だけを統合することを優先に考えても無意味。どのような組織(ハコ)を作るのではなく、投資家にとって魅力ある投資商品を上場することが大事。

どのような形で進めていくかは、経営上の観点から各取引所が独自に判断していくべきである。

アジアのメインマーケットとしての地位を確立するためには、シンガポール・香港・韓国とどのように違った形で競争力を担保できるかであり、魅力的な投資商品が上場されているかどうかである。

(総合的な取引所が創設されていない現状の問題点)

法律上、証券・金融と商品の相互乗入れが可能となったが、具体化していない理由は、取引所に対する監督が一元化されていないから。

取引所へつなぐ仲介業者(たとえば証券会社や商品取引員)に対する規制も一元化されていない。

既にそれぞれの専門性を活かし事業を行っている。相互乗り入れが具体化してこないのは、単に魅力ある上場商品ではないから、または後発企業として参入するメリットを見いだせないから。

(具体的な施策など)

仲介業者に対する規制の一元化や取引所に対する規制の一元化を行うこと。

証券取引に係る税制と商品先物取引に係る税制の一元化。

ヘッジ税制や海外投資家が日本で投資する際の税制など、海外税制と比較し、投資家から受け入れられない税制の見直し。

一つの証拠金・口座で色々な商品に投資できるようにすることにより、投資家の資金効率が改善される。

証拠金軽減のためにクリアリングを一元化し、リスクが大きく異なる証券と商品の決済を一元化する。その際、決済業者をバックアップする仕組みが必要。

魅力ある投資商品を上場するために、新規商品を上場する際に柔軟な対応を御願いしたい。

いかに魅力ある投資商品を上場し、投資家の投資環境を整えるか。

グローバルな取引ルールとすること。

投資家保護を図りつつ、規制緩和を行うこと。

総合的な取引所を作ることとなった場合であっても、競争維持の観点から、一つの取引所だけしか残さないという施策は避けてほしい。

海外ではメインプレーヤーとなっている銀行や年金基金などが、日本では各業法などにより投資等が制限されていることを改善する。

○ 有識者からの発言要旨

(総合的な取引所のメリット)

投資家にとって、金融商品だけでないオルタナティブな投資の機会が提供されることになる。

総合的な取引所を創設できれば、国内で商品市場を存続させることができる。

例えば東京証券取引所と東京工業品取引所はそれぞれ最新鋭のシステムを導入しているが、総合的な取引所が創設されることによって、そういったシステム投資の負担が減るであろう。

総合取引所は誰のために何をするものか、政策目的を明確にするべき。

取引システムの統合はコスト削減にはなるが、取引所の組織と機能の問題を混同すべきではない。

(現状の問題点)

総合的な取引所が具体化していない理由は、市場を規制する法律の体系が異なるから。

二重監督規制の問題は技術的に解決可能であり、同じスタンダードにすることが重要。他方、金融と商品の規制の差は縮まっている一方で、来年1月からの商品先物取引法施行により、商品の世界で不招請勧誘禁止が入り、規制の差が広がっている面もある。果たしてそういった差を元に戻すことはできるのか。

日本に商品市場がなくなってもよいのか、その存続が必要との視点が重要であり、そのためには魅力的な商品を上場することが重要。

(具体的な施策)

総合的な取引所が実現したとしても、仲介業者が一元化していなければ、投資家にとってワンストップでのサービスが提供されない。市場の統合だけでなく、業者の統合を促すために、金融商品取引法と商品先物取引法を統合するべき。平成18年に証券取引法と金融先物取引法の統合により包括的な業規制が導入されたので、この範囲を拡大すれば、商品もカバーできる。

産業インフラの観点から商品先物の所管は経産省と農水省とされているが、金融庁が所管する金融商品も商品先物と同様にリスクヘッジの機能を持ち、産業インフラである。日本のように先物の原資産ごとに規制官庁が別れている例を知らない。

現物を所管しているから商品先物の所管は経産省と農水省とされているが、金融庁が商品先物を所管したとしても、行政機関の連絡協議で足りるのではないか。

商品市場には事業者のリスクヘッジのほかに、在庫調整や現受けといった機能を持ち現物市場とリンクしている。商品先物のうち指数などの現金決済であれば、金融商品に極めて性質が近いが、現物決済の場合、現受渡しが発生することから、物流政策の観点が必要。

商品先物は現物とリンクした事業者がメインプレーヤーであり、現物受渡しがあるので、現金決済のみの金融商品とは大きく異なる。金融庁が監督できるのか。行政機関の連絡協議のみで足りるのか。商品先物は市場管理と現物決済という独自性から、農水政策、産業経済政策のコミットメントが必要。

投資家保護を図ることと、市場の振興は矛盾しない。投資家が安心できる市場をつくることで、貯蓄に回っている資産が市場に流入しやすくなる。

例えばTOKYO AIMを始めたのに、東京市場の国際化は進んでいない。分かりやすい制度設計が大事。

○ 自由討議

金融商品取引所が商品先物へ進出するメリットはなにか。

  • 証券・商品のデリバティブについては一体でやることにメリットはある。
  • 一つの証拠金で証券から先物のすべての商品を扱うことができれば資金効率と投資家の利便性が向上し、内外からの資金が流入する。
  • 現物株式と先物を同時決済しているのは韓国のみ。現金決済まではできるが、商品のデリバリーは非常に難しい。

規制を一つにすれば証券会社は商品先物をやるのか。それとも単に規制を一元化するだけでは進まないのか。

  • 海外でできて、日本でできないという事象をなくすことが重要。海外の証券会社は商品先物の取扱は大きい。
  • 商品先物に対する潜在的なニーズはあり、投資家に対し、分散投資の対象を提供できる。
  • 相互乗り入れが進まないのは有望な商品がないため。商品先物は現在の品揃えでは興味がなく参入しない。

商品取引所は産業インフラとしての機能があることを理由として日本では監督官庁が分かれているが、海外では物の流通の観点からどのような規制を行っているか。

  • アメリカではCFTCによる上場審査の際に、経済的な影響や意義があるか否かを政策的に判断しなければならない。
  • アメリカではCFTCが上場を認めたオプション取引について、農務省が農家にやり方を教え、補助金を出して勧めた例がある。
  • 明治20年に証券取引所と商品取引所の法制を一元化する「ブールス条例」が施行されたが世の中に相手にされず同26年に廃止された経緯あり。

過度な販売規制が商品先物の取引高を減少させたか。

  • 必ずしも販売規制が取引高の減少を導いたわけではないと思う。
  • 商品先物のこれまでの規制は、適合性のような世界のスタンダードになっている規制が入ってきただけのことである。
  • 販売規制によるものもあるが、それは当然の効果がでたもの。投資をする気がない人まで勧誘し、販売していたことを規制により制限した。他方、各商品の特殊性を踏まえて規制を導入しており、規制の横断化により緩和することは有り得ない。

システム投資がどのくらい行われていて、今後どのくらい行う予定か。

  • デリバティブ取引において、システム投資は重要であり、システム費用は全費用の6割から7割を占める。特に取引スピードは大事。
  • システム投資は高額なので、同一システムを使うことになればかなりのコスト削減にはなると思う。
  • 海外の業者が日本にサーバを設置し取引を行おうとすると、そのサーバが恒久的施設と認定され税金がかかる制度となっている。そのような課税をしているのは日本のみ。早期に見直すべき。
  • 日本のシステムは既にかなり優秀。システムをどうするかより、投資商品をどうするかの方が大事。
  • システムは4~5年ごとにバージョンアップする必要があるが、次のバージョンアップの際、昨年の新システム導入に近い額がかかるなら、かなりの負担。もし共同でシステム投資できるならば、検討に値する選択肢。

石油の商品先物の取引高が急激に減少した理由は何か。

  • 石油の価格が乱高下して、大きく損をした投資家が市場を離れてしまったことが要因であると思われる。

(以上)

お問い合わせ先

金融庁 Tel 03-3506-6000(代表)
総務企画局市場課(内線3562、3601)
本議事要旨は暫定版であるため、今後変更があり得ます。

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