「生活設計・資産運用について考えるシンポジウム」(広島開催)の概要

金融庁は、中国財務局との共催により、「生活設計・資産運用について考えるシンポジウム」を平成19年9月8日(土)に、広島YMCAホール(広島市中区)において開催しました。

今回のシンポジウムは、地域の住民の方々を対象に、金融商品が多様化するなかで金融商品の選び方や金融広告の注意点に触れながら、生活設計・資産運用の在り方について考えてもらうことを目的として、以下のプログラムにより開催しました。

主催者挨拶、基調講演の後行われたパネルディスカッションの模様は以下のとおりです。

プログラム

  • 開会挨拶(大久保 和正(中国財務局長))

  • 基調講演「「生活設計と資産運用の基本的な考え方」~ライフプランを実現するためのマネープランの作り方~」(神戸 孝 (FPアソシエイツ&コンサルティング(株) 代表取締役))

  • パネルディスカッション・プレゼンテーション

    • コーディネーター

      高橋 佳良子 ((有)ライフ アンド マネークリニック代表取締役社長、FP)

    • パネリスト(順不同)

      神戸 孝 (FPアソシエイツ&コンサルティング(株) 代表取締役)
      吉本 佳生 (南山大学経済学部准教授)
      楠本 くに代 (金融消費者問題研究所 代表)
      藤村 崇人 ((株)広島銀行金融商品営業部担当部長 兼金融商品推進室長)
    • パネリスト・プレゼンテーター

      花元 孝二 (広島県県民生活部総務管理局 消費生活室長)

パネルディスカッション

髙橋

「髙橋と申します。今日はこれから宜しくお願い致します。今日のパネリストの皆さま方は第一線でご活躍の方々ですので、是非皆さま方の本音をディスカッションの中でお聴きできたらなと思っております。また、会場にお越しの皆さま方も、これだけは是非聞いて帰りたいというふうなことが、たくさんお有りだと思いますので、そのような内容を、是非私のほうからも引き出させていけたらと思っております。

では最初ですけれども、かなりセミナーのほうで盛り上がって皆さま方に聴いていただいたんですが、ライフプランに関して、ゴールを決めて運用しましょうということだったんですけれども、まずは皆さま方それぞれの先生に、ライフプランと資産運用、この取り組みなどについて聞いてみたいと思います。セミナー終了後、まだお疲れのところだとは思うんですが、まず神戸さんのほうから言い足りなかったことなどありましたら、お願い致します。」

神戸

「後ほど資産運用のルールについては、資料の一部を使いながらお話ししたいと思いますが、今日お話しさせていただいた、投機と投資とは全く異なるものということを理解した上で、きちんと投資を行っている方は非常に少ないと思うんですね。リスクをコントロールすることによっても、我々がこれまでに検証して来た中では年数%の運用ならば、当てにいかずに得られたという結果が出ています。年1割以上欲しいとなると、当てにいく必要があるでしょうが、年数%の範囲で自分の金融資産に働いてもらおうというならば、リスクをコントロールすることで実現が可能なんですね。

これから人口が減っていく中で、日本はどうやって収入を得ていくのか。日本人の個人金融資産は1,500兆円以上といわれています。皆でちょっとがんばって1%だけ、運用利回りを上げると、1年間で利息が15兆円増える計算です。15兆円というのは実はGDPを3%押し上げることにつながります。ものすごい力なんです。

だからこそ金融庁さんは「貯蓄から投資へ」というスローガンを掲げているんだと思います。つまりお金に働いてもらえるかどうかで、日本という国の将来が大きく左右されるということです。勤勉な労働力が減っていく中で、かわりに活躍してくれる勤勉な金融資産、これを作りたいということだと思います。それを実現するためにも、一人ひとりがまず、自分はどういう生き方をしたいのか、何のためにお金を使っていきたいのかを考えていただくこと、これがスタート地点になるというように思います。」

髙橋

「はい。じゃあお隣の吉本さんなんですが、大学でも金融に関して、あるいは生活経済学に関しても、教鞭をとられているということで、そのお立場からはいかがでしょうか。」

吉本

「私がここに来てですね、資産運用はどうかという話しをするのは、若干、出てきていいのかという気もするんですが、否定的なことをいう人間も必要だということだと思うんですけれども。私自身、資産運用の前にライフプランを立ててからと言われても、実は私自身名古屋で働いているんですが、妻と子供が広島にいまして、原稿を書いていたんですけれども、子供に邪魔されながらですね、生活設計ねとか思いながら、自分でできないことを言っていいのかという話もあったんですけれども、なかなかできませんね。特に私が名古屋で働いて、妻が広島で働いていて、子供は今幼稚園なんですけれども、この後どうなるのかと。

非常に身近なところを考えただけでも、そもそも、この生活のコストとか、いろんなものに非常に大きな影響を与えるようなものが今後どうなるのか全然わからないと。私なんかまだそれでも、経済を見通せるほうだと思うんですが、しかしやっぱり、生涯でこれくらいお金が足りないから運用して少し増やしたいというのはなかなかできないと思っております。自分ができないことは、あんまり人に言いたくないと思うんですね。できる方はもちろんいらっしゃると思うんですが、私自身は金融資産の一番大切な役割というのは、何が起こるかわからないことはいっぱいあると思うので、そういうものに対して何かわからないけれど対処するためにとっておくということで、これは非常に大事です。とっておいたお金を最後使い残して死んでしまう、これは幸せなことだと思うんですね。それがどうしても全部吐き出さなきゃいけないような何か、身内にトラブルが起きなかったということですので、私自身の考え方としては、何があるかわからないのにとっておくという考え方はまったく問題ないと思っていますし、それとですね、ライフプランを立てて資産運用しましょうよという話は、残念ですけれども現在の日本では金融機関が金融商品を売る為の道具として非常によく使われているものです。

非常に失礼な言い方かもしれないですけれども、要するにお家の地震にどれくらい強いかみてあげますよといって、みてですね、これくらいちょっと地震がきたら怖いですよと、耐震補強したほうがいいんじゃないですかっていう商売とどこが違うのかというのは、申し訳ないですけれど私にはよくわからない。ですからそういった点では…。

すいません、こういう場で私が発言をするのは他の方には緊張感が走るのかもしれませんけれども。ライフプランが必要だとかいうのは全く納得していないし、そもそもかなり悪い意味で使われている論理ではないのかって気がします。」

髙橋

「地場で17年間ファイナンシャルプランナーとして、仕事しております私にとっては、うーん(?)と思ってしまうんですが、ちょっとディスカッションということで神戸さんに戻っていただいて宜しいでしょうか。」

神戸

「先のことはわからない、だからライフプランも立てていないし、必要性も感じていないという方も一部にはおられると思います。しかし、自分はそれでいいと思っていても、自分の家族も行きあたりバッタリの生き方でいいと思っているとは限りません。「何もハッキリしたことはいえないが心配するな、黙ってオレについて来い」というのは少し古い考え方かもしれませんね。我々ファイナンシャルプランナーというのは、こういう人生を送っていきたいという目的を持った、自分の足で立つ意思のある方のサポーターでしかありません。相談に来られるお客さまにもいろいろな方がおられるのですが、ご自分の足で立つ意思の無い方をむりやり立たせる気は我々にはありません。もちろんご自分の進んで行く方向には、不確定要素が多いでしょうし、世の中も変わっていくわけですが、目的を持って自分らしく生きるということを真剣に考えたときに必要となる裏付け、経済的な裏付けをどう作るか、という部分でライフプランとマネープランというのは必須だと思います。」

髙橋
「はい。両方の考え方が必要なのかなってところになってくるかと思います。すいません1人、ちょっと飛ぶんですけれども、実は今日金融機関から起こしになっていらっしゃいます、藤村さんに伺いたいと思うんですが、広島の地場の金融機関を一手に引き受けて、今日こちらに出ていらっしゃるんですが、いかがでしょうか。金融機関サイドとライフプラン。金融機関、金融商品を進めるにあたっていかがでしょうか。」
藤村

「ライフプランというのは神戸先生のセミナー資料に記載されているライフイベント表をご覧になればおわかりのように、結婚資金・入学資金・住宅購入資金等を念頭においた資金運用計画を指すものですが、考えてみればですね、こういうライフイベント表に記載される資金って基本的に元本割れする商品で運用すべきものではなくて、定期預金だとか、積み立ての定期預金だとか、に持っていくと。これはもう当たり前の話ですけれども。結局、そういう資金使途がはっきりしたお金を使途別にあてはめたその後ですね、本当に余裕のある資金がどの程度あるのかという話の中で、徐々に資産運用相談を進めるということが重要となります。

我々が名前をつけたものですが、ファーストノック用のパンフレットとして「バスケットプラン」というものがあります。この中に白いブランクの円グラフがあります。お客さまと対話をして、今後の資金のご予定でこんなのありますかねと、余裕資金どれくらいありますかねとキャッチボールしてグラフを埋めていきます。ファーストノック、最初の段階ですね、必ずセールスのプロセスに織込むようにしていまして。たぶん広島銀行店頭に行ったことがある方はご覧になったことがあるんじゃないかと思います。

そういう意味でライフプランというのは、適合性の原則という、適切な商品を適切に売るためのベースとなっているのだと私は思います。」

髙橋

「そうですね、確かにどういうことに対して、どういうふうなお金の手当てをするのか、目的によって運用していく商品も異なってくる、そう考えれば、ライフプランは重要なことなんだろうなというふうに私は感じます。

では消費者問題に関しましては是非お聞きしたいのですが、楠本さんのほうからお願い致します。」

楠本

「ライフプランとマネープランの作り方ですけれども。将来を見通すことというのは難しいと思うんですね。ただイメージとして、結婚するだろうとか、家を持つだろうとか、どうするとか、本当に漠然と考えていらっしゃると思いますし、その程度でよろしいのではないかなと、20分か30分でできる問題だと思います。

大切なことは何かというと、ライフプランもマネープランも前提となるお金があるのか、ということです。そして実はこれが一番問題でして、お金というのは結局、入ってくるものと出ていくものがあって、出ていくものを少なくして、入ってくるものを多くすること、すなわち一定の枠組みでしかお金がないわけですので、将来のために残すためには、出ていくものを抑えるようにするしかないわけなんですね。どんなに低所得であろうと、どんな貧しい生活をしていようと、それはやはり入ってきたお金は全部使ってはいけない、将来のために残していかなければいけない、これが原則だと思います。

これをするために、やはり例えばですけれども、1日1本100円のコーヒーを倹約した場合、1年でどのくらいになるのか。そういう柱をいくつも立てていく。例えば自動車のガソリンも、これだけ倹約するとか、それから電気や水道代を倹約するとか、そんなふうな生き方で、元となるお金を貯蓄するほかしょうがないと思うんですね。私自身の例ですが、うちは実は自動車も使っていなければ、冷房も使っていなければ、携帯も使っていないという、本当に昔ながらの家族なんですね。そういう中で40年間の結婚生活で、ようやく、たぶん大丈夫だろうなという見通しがたったという状況です。ですからそれぞれの人がそれぞれのやり方で、削るという観点を主体において、そして本当に少しずつ少しずつ努力をしながら、その基本的なお金を貯めていくこと、これが生活設計の基本だと思います。

アメリカでも実はつい最近のことですけれども、預金保険機構のチュアマンさんをしていらした方が子供たちの為に貯蓄がどんなに大切なことかという、こういう本を出しました。これが、幼稚園や小学校で非常に広く教材として使われているようです。それからイギリスでも、つい最近ですけれども、セイビング・ゲイトウェイ運動というものを、イギリスの金融庁が展開しました。これは低所得者、今まで貯蓄などしたことない人たち、こういう人たちに対して、例えば最高月3,000円なんですけれどもね、1年半積み立てる努力をしてください、そしたら、3,000円に対して金融庁が3,000円マッチングしてあげますよ、付けてあげますよ。こういうやり方で、今まで、貯蓄などとは関係がない、そんなことはとってもできないと思っていた人たちに生活の基盤を作らせる、そういう努力を国としてやっているわけなんですね。私はアメリカのこころみと、イギリスの貯蓄の入り口運動と訳します、セイビング・ゲイトウェイ運動、これがやはり生活設計の基礎になければならないんじゃないかなというふうに非常に強く感じております。」

髙橋

「有難うございます。そうですね、やはり月々収入から支出を引いた残り、これをどういうふうに蓄えていくかというのが基本原則ということになってくるかと思います。ただですね、そうして貯めたお金、これを何かの関係でトラブルに巻き込まれて失ってしまうということも、現在多く起こっているようです。

今日は広島県生活センターの花元室長のほうから、最近多い金融商品のトラブル事例に関して伺いたいと思います。宜しいでしょうか、お願い致します。」

広島県県民生活部総務管理局消費生活室長 花元孝ニ氏より、「最近の金融の相談事例」についてプレゼンテーションが行われ、その後パネルディスカッションを再開。

髙橋

「有難うございました。6ページにあります金融被害に遭わない為にというのは、かなり参考になると思います。私の年老いた義父母なんですけれども、電話機のところにですね、これが貼ってありまして、さらには、電話がかかってきましたら必要ありません、いりませんという言葉までしっかり書いてあるんですね。電話の勧誘に備えております。こういうふうな自己防衛というのも今後必要になってくるのかなと思います。

それから、途中出て参りました金融商品取引法に関してなんですが、新しく施行されるものとは若干異なるかもしれませんが、皆さま方の資料の中に平成18年9月に発行されたものではあるんですが、「新しい金融商品取引法について」というパンフレットがはいっておりますので、途中花元さんがお話になりました、広告の文字のポイント数でありますとか、そういうふうなものをどういうふうなことが今後規制されていくのかというようなことが、書かれております。

ではそれを受けまして、非常に興味を持っているんですけれども、これから私たちが金融商品などの広告を見る上で、あるいは金融商品を購入する際にあたって、どういうところをポイントにおいてチェックしていけばいいのか、そのあたりを事例をたくさんもっていらっしゃって、ご自身でもいろいろ分析をしていらっしゃる吉本さんに聞かせていただきたいと思います。」

吉本

「この話をする為に来いということだったと思いますので、少し丁寧にお話したいと思うんですけれども。金融商品の広告というのはですね、見ると非常によく工夫されています。どれ見ても良さそうだなと思うようにできています。ただですね、必ずデメリットというのが潜んでいます。実は、金融商品の広告というのは不親切かというと、これは第一に理解して頂きたいのですが、他の商品の広告よりずっと親切です。ある意味、丁寧に全部きちんと読んでみると、予備知識がかなりないと読めない場合がありますけれども、商品についての基礎的な知識があれば、これが大体どれくらい危ないかとか、どれくらい良くないかという、そういうマイナス面もほとんど見抜けるようになっているんですね。その点でいうと実は、テレビとか自動車とかの広告よりも、実は金融商品の広告のほうが親切に作られている。ただし、広告としては当然なんですけれども、顧客の錯覚をある程度誘うようにできているんですね。

つまり、なるべくいいところに目をやってもらいたい。そこを刺激しようというふうにつくっているんです。これは別に悪いビジネスをしようとしているわけではなくて、誰だってそうやって、学生が就職活動で面接受けているのだってじぶんのいいところばかり主張しようとしますし。我々もどうしてもですね、そういった部分はやるわけです。

したがって金融商品の広告というのはですね、結構まともに作られているんですね。しかし私はその批判をあちこちでしているんですが、広告の工夫のなかには、騙すのにここまでやるかというようなところもいっぱいあるわけです。

それを見抜く方法っていうのは難しいんですけれども、第一にまず、これが一番大事なことなんですけれども、絶対に自分の頭で理解するという覚悟を持ったときだけ読んでください。途中で諦めるとかですね、ある程度わかればいいと思っているのに読み始めるというのが一番危険です。徹底して理解してやるんだと、しかもそれは自分で理解するんだというふうに思った人だけ読むべきものであって、そうでないなら基本的に金融商品の広告というのは無視したほうがいいと、非常に冷たいようですけれどもそう思います。

他人にアドバイスを受けるときにもですね、どちらがいいですかというのはだめですね。この仕組みはどうなっているんですかというのを専門家とかにきくのはいいということです。

2番目に非常に重要なことなんですが、文字のポイント数とかいう話が出てますが、いくら言われても大事なことは必ず細かく書かれています。それは当たり前の話です。アピールしたいところをどうしても大きく書くからですね。リスクとメリットの部分をですね、表記のポイントを同じにしろといってもですね、リスク表記以外にもっと大事なことを、ここを読まないとそもそもリスク表記はわからないということをもっと細かく注意書きで書いてあるということがどうしても起きます。これは不親切ということではなくて、そういう商品です。従って実は、小さな文字からまず読むというのがひとつの読み方です。大きな文字を読まなくても、読み飛ばしても実はほとんど問題ありません。しかし、小さな文字を読み飛ばすと大変なことになるということが非常に多い。ですから細かい文字まで全部読むということがすごく大事ですね。

それから3番目にですね、金融商品にはどうしても数字を使ったトリックというのがかなり含まれています。何%とすごく高い利率を謳っていながら、実際にはそれほどもらえないというものがいっぱいでてきます。一番最初にお話があったと思うんですけれども、年何%で安全確実なんていう商品はありませんという話があったと思うんですが、正にその通りですね。非常に高い利率のもので安全というものを見たらですね、どこかおかしいと、しかもこんなもんで広告するはずがないじゃないかと。広告費非常に高いですから。そういったことを考える。非常に当たり前ですけれどもすごく大事なことです。

そしてもうひとつ大事なことはですね、広告に書いている内容について、例えば複数の解釈ができるというものがあります。ここ数年話題になっているもののひとつが、例えば満期を銀行が決めることができる定期預金があるんですね、非常に話題になっていてたくさん扱っているところがあるのですが。4年か8年か、あるいは5年か10年か銀行が満期を決めますと。銀行が満期を決めるというのは、なんか都合のいいように決めてくれるんですかと一瞬思うわけですが、最近は広告もかなり丁寧に書いてくれていますが、昔はあんまり書いてなかったんですが。当然銀行側が有利になる、客側が満期の決定に関して必ず不利になるように決定されます。それをいいふうに決めてくれるんじゃないのかと安易に思ってしまうとまず駄目です。基本的にいろんな解釈ができる場合には自分にとって一番悪い解釈が当てはまるんだと悲観的に見ることが、いやらしい見方をしろってことですけれども、大事です。

それから広告の複数のメリットが書かれているものがあります。例えば運用できます。何とかに対応できます。例えばこういう機能がありますとか書いてあります。あるいは株式投資信託会社であれば、株価が上がっているときでも下がっているときでも儲かります。あるいはただ単に下がっている時儲かりますというというように書いています。複数のメリットが同時に発揮されることはなかなかないと思います。なぜかというと株が上がっても下がっても儲かるような投資信託は、例えば下がったときに儲かるようになっているときには、上がっているときには損するようにできていたりするんですね、ですからそういう点ではですね、いくつもメリットが同時に発揮されるとういうことはなく、ある場面ではこっちが発揮され、ある場面ではこっちが発揮されることがあります。中には本当に上がっても下がっても儲かるように作られている投資信託があるんです。ところが、これはですね大幅に変動しない限り、株価があまり変動しないときには実はコストが非常に高くて損をするようになっています。ですから、メリットがたくさんあるなと思ったときに、たくさんあるからいいと思うのではなくて、それが同時に発揮されることはなかなかない。それからもし同時に発揮されるんだったらコストは非常に高いはずだから、割に合うのだろうかということですね。

金融商品広告とういのはですね、私が思うには消費者の能力テストです。皆さん金融商品広告読むっていうのは、自ら消費者の能力テストに参加したということですね。参加する意思を表明したということです。途中まで解いてやめちゃうというのは、悪い点数を取って変な金融商品を買ってしまうという点で、落第しちゃうわけですね。受けなきゃいいんですけれども、受ける以上どうしても、読みこなして全部理解して、そうでないとあなたは消費者能力が低い消費者ですねというふうに見られてそういう商品をセールスされてしまう。金融機関がそういうふうに考えているというとちょっと言いすぎかもしれませんが、消費者側としてはそう思って読んだほうがいいものだということです。」

髙橋

「宜しいでしょうか。はい、有難うございました。最後の金融広告は消費者の能力テストだというのは、もっともだなと感心してしまいました。いろいろ途中お話された商品なんですけれども、例えば新型定期預金ですとかEB債ですとか、そういった商品のお話をされていましたので、詳しいことはここではお話できないですが、興味がある方は商品をちょっと調べていただければと思います。

それではですね、今は金融広告を見る側からお話をしていただいたんですが、金融広告を出す側のほうから少しお話をいただきたいと思います。藤村さん宜しくお願いします。」

藤村

「今、先生のほうからご指摘があったような問題点も(金融商品の広告には)確かに多いだろうと思うのですけれども、9月30日に金融商品取引法が施行され、広告等の規制ということで、厳しい罰則も科せられるということになりますので大きく改善されると思います。現状使っている金融商品に係る広告・ちらしの類はですね、すべて今月末までに、我々銀行においては、すべて基本的には廃棄する予定です。今新しい様式に沿った規定・帳票の方を突貫工事で作りつつあるという状況でございます。

この趣旨はですね、先ほどちらっとご紹介があったのですけれども、今まではおいしいところと、リスクがですね、おいしいところが、スペースで言えば7、リスクが3、字の大きさで7対3くらい。広告する側としてはですね、当然そういうところをアピールしたいというところもございましてやってきたんですけれども、今後は基本的にですね、メリットとデメリットが、スペースも文字の大きさも、イコール、ほぼ等しいものにしていくというガイドラインが出ていまして、それに合わせてですね、今試作品を作っているところでございます。どうしてもそうなると、平板なイメージにはなるんですけれども、そういったものを言葉を補うとかですね、わかりやすくお客様にご説明していくことが今後の課題かなと思っています。」

髙橋

「有難うございます。言い残したことはないでしょうか。」

藤村

「そうですねあとですね、広告が、結構広義に解釈されてまして、セミナーやいろんな相談会を我々も広く展開しており、例えば神戸先生にも広島銀行のセミナーでしゃべっていただいたりしているんですけれども、こういうセミナーのご案内あたりも広告に当たるというところもいろいろ出てこようかと思います。

これから金融機関は、新しい法律のもとで、今日のテーマにもなっている金融リテラシー向上ですか、知識を還元していく方法についてですね、少し工夫をせざるを得ない。これをどういうふうに皆さんにお伝えしていくかというのが、今後の課題かなと思います。」

髙橋

「9月30日以降大きく金融機関の広告が変わっていくということで、私たちも楽しみにしておきたいと思います。では今度は消費者の観点から是非お話を聞かせていただきと思います。楠本さん宜しくお願い致します。」

楠本

「先ほど花元さんのお話を伺いまして、6ページに書いてあるこの5つのこと、これは本当に消費者が基本的に守らなくてはいけない大切なことだと思いました。特に本当に注意しなければいけないことは、2番目の電話勧誘や訪問販売には応じない、この点が一番大事だと思います。なぜかといいますと、投資信託にしても変額年金にしても、ものすごく仕組みが複雑で難しいわけですね。私は投資信託をほんの少し理解するのに実は3ヶ月かかりました。いろんな本を何冊も読んで、それでもわからなかったんですね。それなのに今まで全然こうした金融商品について何にも知らない人たちが電話勧誘や訪問販売で、30分や1時間2時間の説明で、理解できるわけがないんですね。これがそもそもの苦情の出発点ですね。

ですからそういう意味で絶対に電話勧誘や訪問販売で金融商品を買わないということ。それからこれをもう少し広く捉えて、例えば郵便局や銀行に行ったときに、振込みに行ったときに、投資信託どうですかと勧められた、これも私は電話勧誘や訪問販売と同じような位置づけにしています。わずか30分、1時間、2時間の誘い、説明で、こんな難しいものがわかるはずがないと思うんですね。ですから皆さんは絶対に電話勧誘や訪問販売では商品を買わない、これはここでひとつ決意していただきたいほど重要な問題だと思います。

私が受けたいろいろな相談の中で、どうしてこんな商品を知るようになったのか聞いたら、100%電話勧誘や訪問販売でした。これが第1点。

それから第2点。先ほどからいろいろな方がお話されていらっしゃいましたが、9月30日に新しい金融商品取引法が施行されます。この施行、ホップ、ステップ、ジャンプのステップにあたるということで、言ってみれば第2金融ビックバンというほど大きな意味を持っている時代に移っていると言うことができます。この法律ができたことによって私たちはどういうメリット、どういう権利が与えられるのか、まだ不足の部分は何なのか、これを基本的にはしっかりと押さえていかなければならないんじゃないかと思います。

メリットとして、いろいろご説明がありましたが、そうしたものを含めて、例えば平成電電とか、海老の養殖とかこういう怪しげな商品、これが規制対象になりました。それによって早期に情報を金融庁がキャッチして、被害の拡大を未然に防ぐことができるんじゃないかということは期待しております。それから、投資性の強い保険や預金、変額年金とか先ほどお話になった特定預金のようなもの、金融商品取引法そのものでは保護されませんけれども、それぞれの業法で保護されるようになりますので、同じように考えてよろしいのではないかと思います。

それからさっきお話がありましたようにロコ・ロンドンであるとか、海外商品先物オプション取引などは、この法律ではないのですが、この法律の施行に一歩先んじて、これは経済産業省の所轄の特定商取引法施行令、昔の訪問販売法、が改正されまして対象になりました。対象になったことによって、クーリング・オフの対象になるわけですね。それから保険業法施行令・施行規則も改正になりまして、今まで例えば銀行に呼び出されて、それで契約したような場合にはこれは、クーリング・オフできなかったんですよね。目的を告げずに呼び出されて、契約したような場合は事業所で契約したのだからクーリング・オフの対象外と言われてきたのですが、こういうものもクーリング・オフの対象になりました。こういう形で保護の枠組みが広げられたということ。

それから何といっても適合性の原則が素晴らしくなりました。これは私は非常に評価致します。今まで証券取引法では適合性の原則がどこにあるのかもわからないようなすみっこに置かれていましたが、はっきりと項目を設置して適合性の原則、誰が見てもすぐわかるような位置に持ってきてあります。それから金融商品の説明の際、個々の消費者がわかるような方法、わかるまで、そこまで説明しなければいけないというふうになりました。これも私たちが求めていた、非常に大切なことです。

あとは、例えばですけれども、金融商品取引法で新たに事前書面の交付義務が定められましたが、その中にただ書面を、渡すだけじゃだめよと、ちゃんとわかる程度の、この人が理解できる程度のわかる方法で説明をしなければならない。書面を渡しただけじゃだめなのよということが、ちゃんと決められたわけですね。ですからこれからは皆さまは、私まだわからないんですと、法律がちゃんと決めていてくれるところまでの説明をしてください、私にわかるような説明をしてくださいと、どこまでもどこまでも事業者の方を促して、ちゃんと説明してもらう、そういう権利が法律の中に位置付けられたということ、これはとても大切なことだと思います。

さらに驚いたことには、監督指針、普通皆さまご覧にならないと思いますが、監督指針等を見ますとね、リスク管理判断能力までをちゃんとカウントしなくてはいけないよということが書いてあります。だから事業者の方はこの消費者はちゃんとリスクを管理できる、判断できる能力があるのかどうなのかまでみて、その商品を勧めなければいけないことになっていますのでね、とてもとても適合性の原則は前進したというふうに私は評価しております。それからもうひとつ、断定的判断の提供の禁止、これはよく使われるんですね、例えば必ず儲かりますよと、必ず円安になりますよと、断定的判断の提供の禁止も非常にいろいろな法律において、幅広く規定されるようになりましたので、これもとても前進だと思います。

こんなふうにいろいろな前進がある反面、問題点もあります。先ほど申しました不招請勧誘です。一応法律上は禁止といわれていますけれども、禁止されたのは、外国為替商品取引等の店頭での取引だけです。現法では店頭での取引も、取引所での取引も同じく不招請勧誘は禁止されているのです。私がとてもとても今懸念していることは、また取引所取引の不招請勧誘が行われて、前に起こったような非常に厳しい、非常に消費者にダメージを与えているような、そういう不招請勧誘がなされて、被害が続出しないかなということ、とても懸念しております。ですから皆さんは、外国為替商品取引等に関して、電話勧誘や訪問販売があっても、それは例え合法だったとしても、取引所取引だよといって不招請勧誘されてもやっぱりそれははっきりと断らなければいけないと。消費者にとってはとても危険な取引であるという、こういう認識が必要であると思います。

それからもうひとつ、クーリング・オフが禁止という規定が書いてあります。ところがこの禁止の対象にされたのが投資顧問契約だけなんですね。非常にリスクの高い投資信託、変額年金などほとんどの金融商品はクーリング・オフの対象になっていません。ですから皆さん安易にクーリングオフが適応されると思わないでください。ほとんどはクーリング・オフが適用されていないな、こういうスタンスで立ち向かわなければいけないと思います。ただし、先ほど申しましたように特商法や保険業法が改正されて、クーリング・オフの枠組みが広がったということは、やはり権利としてしっかりと把握していただきたいと思います。

これまで話したことは事前の規制ですが、この法律はですね、事後に生じた紛争の解決というものについて、ほとんど規定をもっていないというふうに私は思っております。法律では事業者が、今で言いますと証券取引業協会等が、苦情・斡旋を担当するというふうなことが決まっていますけれども、実はこの協会に参加するのは、事業者は任意です。ですから加入していない事業者と取引をして、そして被害があった場合、協会の苦情や斡旋を利用できないようになっているんですね。それからもうひとつ。認定投資者団体というものを任意に金融庁が認定して、苦情・斡旋を行うということを法律で決めています。これは任意団体です。私は市場で利益を得ている事業者はアウトサイダー、加入者と、未加入者の全然区別なく、皆でてお金を出し合って自分たちの苦情を解決するシステムを作るように、金融庁が指導・支援するべきだと思うのですが、そうではなくて、現実はボランタリーな団体に主にそれを委ねようとしているようにみえます。そういう面で私は今の法律に絶対的に欠けているものは、事後に起きた苦情・斡旋システムの不備というように思われます。この点がとても注意を要する点だと思います。

ただし今回これまで難しかった消費生活センターや国民生活センターによる斡旋が可能になったのは高く評価できます。金融関係の苦情は、これまでセンターで交渉して、いいところまでいくと損失補てん禁止に違反するから訴証にしてほしいとかわされてしまったのですが、今度は国民生活センターや、広島の消費生活センターなどで金融関係の苦情・斡旋が可能となりました。ですから皆さんは、他の苦情と同じように、金融関係の苦情が生じたときには、広島の消費生活センターに相談なさって、徹底的にここで斡旋なりやって問題を解決していただくように強く強く要望されるのがいいのじゃないかと思います。というふうに、いろいろ基本的なことをよくよく理解して、これを有効に利用していただきたいというふうに思っております。有難うございます。」

髙橋

「吉本さん、何か補足とかは宜しいですか。

はい、有難うございます。今まで金融機関、私たち一般消費者である人というのは、知識にかなりレベルの差があるんですけれども、プロ対プロというふうな説明がなされていた期間が長かったと。それが、プロと消費者と分けて、消費者にもわかりやすく、説明をしなければならないというふうな事柄が今回大きく変わってきている点じゃないかなと思います。

それではですね、ちょっと観点を変えまして、ここからは資産運用の重要性ということに関してお話を聞いていきたいと思います。最初に基調講演があったんですけれども、ライフプランのところでかなり盛り上がりまして、後の運用のほうのお話が進みませんでしたので、神戸さん宜しいでしょうか。少し途中からお話をさせていただければなと思います。」

神戸

「それでは少し時間を頂戴して、お話ししたいと思います。私が使いました基調講演用資料の8ページを開けていただきたいんですが、基調講演の中では、ルーレットの赤と黒の両方に同時にチップを置くという行為が分散投資の基本コンセプトだという話をしたのですが、ルーレットにおける赤と黒が、運用では何と何にあたるのを知っておく必要があります。値動きが異なるものの組み合わせ方ですね。

例えば8ページにあるグラフは、実線が1980年以降の日本の株価の動きです。トピックスがどういう風に値動きしてきたかがわかります。先ほどお話ししましたが、上昇局面はいいんですが問題は下落局面、この値下がりするときに複利効果がマイナスに働いちゃうわけなんですね。しばらく値上がりした後に大きく下げる傾向が強いですから、そこまでに積み上がっていれば積み上がっているほど、大きな負けにつながってしまいがちです。一方、点線はアメリカの国債の価格の値動きです。多くの場合、値動きがトピックスとは逆方向になっているということに気づいていただけるのではないでしょうか。円とドルは逆に動きますし、債券と株も値動きが違うということで、日本の株と米国債というのは値動きが異なる組み合わせの代表例といえます。ルーレットの赤を日本株だと考えれば、米国債が黒にあたるわけですね。これを同時に持っておくというのが、大きく負けないコツということになります。

意識的にそういう組み合わせを作っていくというのが、分散投資の考え方ですね。分散投資では何を分散すればいいのか。持っている商品の種類、専門用語ではアセットクラスといいますが、資産の種類ですね、これを分けるというのが基本になります。代表的なアセットクラスには8ページの上から3~4行目に書いてある7つがあります。短期金融商品というのは定期預金や個人向け国債ですね。次の国内債券、これは個人向け国債を除く一般的な固定利付きの債券を表しています。それから国内の株、外国の債券、外国の株、他には商品、これは金の地金などですね、商品ファンドというものもあります。先ほどから話に出てきています商品先物は入りません。商品先物は短期売買用、投機用の商品といえるでしょう。途中で決済が必ず絡んできますので、長期運用には馴染みません。それから不動産、これは普通リートという不動産投資信託を考えればいいでしょう。このひとつずつがアセットクラスにあたります。その中で今お話しした国内株と外国債という組み合わせ。もうひとつ外国の株と、国内債券という組み合わせ、このたすき掛けが分散投資の基本です。

4つに分けて、国内外の株と債券を同時に持ちますとさらに負けにくくなります。どれくらい負けにくくなるかという実例が9ページです。9ページにはグラフが3つありますが、左上のグラフ、トピックスと書いてあります。これは株だけに1年間投資した場合のリターンです。1985年の年末にトピックスを買って、1年間保有して86年の年末に売ると、5割近く儲かったという結果を表しています。86年に買ったものを87年に売ると10%ちょっとのリターン、というように見ていって下さい。1年間保有して売ることを繰り返していきます。過去20年間では、11回プラスですね、一方9回はマイナスです。まさに勝ったり負けたりですね。

その右側のグラフは、日本の株と日本の国債に半分ずつ分けた場合です。50%ずつです。プラスが13回、マイナスが7回。13勝7敗と勝率が改善します。左下は、日本とアメリカの株と債券に単純に4分の1ずつ分けた場合です。15勝5敗と勝率はさらに上がります。それだけではなく、問題はマイナスの年の負け方を見ていただきたいのです。

マイナスでも年1割程度までにおさえられているのがわかります。株だけだと4,5割儲かることもありますが、3、4割負けることもありますね。要は大きくブレるということです。このプラスとマイナスのブレ幅を小さくする、これがリスクをコントロールするということなんですが、4つに分散すると確かに負けにくくなっているのがわかると思います。

できれば、この5回の負けを消したいわけです。その方法は次の10ページをご覧ください。4つに分けた上で前のページでは1年間保有したわけですが、左上のグラフは85年の年末に買って、5年間保有して90年の年末に売ると、年7%くらいになったということを表しています。それぞれの棒グラフは86年に買って91年に売る、87年に買って92年に売る、というように5年間保有した場合の投資成果を表しているわけです。これで見ていくと、3回わずかにマイナスというケースがあるだけです。その右は7年保有の場合です。7年保有になると、負けが全くなくなります。左下の10年保有のケースでは、11勝0敗とすべてプラスで終わっているだけでなく、5%~10%の間に集まっているという状況がわかると思います。これが負けにくい運用を実現するための具体策といえます。毎年5%程度の運用を実現する方法といえるわけです。

これは過去こうだったというだけであって、これから先がどうなるかわからないと思う方もいるでしょう。それはおっしゃる通りです。ただ、考えていただきたいんですが、どれだけプラスになるかというのは、たしかにこれから先どれだけ世界経済が発展していくかというところにかかってきますので不確実ですが、どれだけマイナスになりにくいかという点に関しては、円とドルが逆に動くという関係が、これから先変わるかそれとも変わらないのか、これを考えてください。また、株価と債券の価格は異なる値動きをするという関係があったわけですが、これが以前と違って、株と債券が一緒に上がったり下がったりするようになるのか、これらの関係が変わらない限りは全部やられるという状況というのは考えにくいでしょう。かつてそうであったならば、これからもそうであろうという予測が成り立つわけですね。

ただ、昔と違って経済のグローバル化というのが進んできていまして、ウォール街がくしゃみをすると、世界中がカゼをひくという状況も見られるようになってきてはいますが、株と債券、円とドル、この値動きの違いが以前と今後でまるっきり変わってしまうということは考えられません。つまり、どれだけ儲かるかはこれからの経済成長次第ということになるでしょうが、負けにくい状況は同じ仕組みで作れるということ、それをしっかり認識しておきましょう。失ってはいけないお金を運用する場合の基本スタンスを11ページにまとめました。とにかく、まずは負けにくい状況を作っていただきたい。そのためには当てにいかないことです。

先ほどのケースでは、4分の1ずつに単純に分けました。全く当てにいってないですね。4つに分けて、ずっと持っているだけです。年平均で数%の運用をめざすなら、いつ始めてもいいわけです。つまりタイミングを選ぶ必要もありません。まずは負けないことだと。先に負けてしまうといざ追い風が吹いて株価が大きく値上がりするときに、その追い風を受けることができません。追い風が吹く前にゲームに参加できなくなっちゃうわけですね。追い風はいつか必ず吹くんです。ただいつ吹くかがわかりません。その追い風を捉える為にも負けにくい状況を作っておく、これが基本スタンスになります。

先ほどお話ししたとおり分散投資はいつ始めてもいいんですが、買ったとたん値下がりすると腹が立って、精神衛生上よくないといえます。それを考えると3ヶ月とか半年とか間をあけながら、徐々にポートフォリオを組み上げていく方がいいでしょう。これが2番目のポイントです。そして最後に、リターンを上げる上で重要なのがリバランスというメンテナンスを行うことです。運用を続けていると、分散投資している資産の比率が変わっていきます。これを放っておかずに、1年に1回程度元の比率に戻すという作業をリバランスといいます。詳しくお話しすると長くなっちゃうんでこの辺でやめておきますが、リバランスを継続的に行っていくというのが長期運用の基本だと思います。

個別の商品を選ぶ場合には、12ページにあるように、国内外の株と債券の4つにわけて、それぞれについて選んでいくという方法をとります。同じグループの中で、どれが良いのか悪いのかを判断することになります。銀行の窓口やFPなど相談できる人が近くにいればいいのですが、まずは自分で考えてみましょう。おそらく、これまではこの一覧表全体の中で、どれが一番儲かりそうかと考えていたのではないでしょうか。それでは、当てにいくことになりますね。最ももうかりそうな商品を一つ選ぼうとしているわけです。まずは4つとも持っている状況を作る。その上で、日本株の部分は何がいいか、その時にどんな外債と組み合わせればいいのか、そういう手順で選んでいく、これが分散投資の基本です。

個別の商品の選択時の注意ポイントを13ページにまとめてあります。同じタイプの商品ばかり買わないこと。実際おられるんですよ。A銀行、B銀行、C銀行のそれぞれでリートを買った、違う銀行で商品名も違うから分散投資じゃないかと。同じように毎月分配型の外債ファンドばかり4つの銀行で買っているとか、本人は分散投資をしているつもりなのですが、同じグループの商品ばかりですのであまり意味のある分散になっていないんですね。どのグループに属する商品なのかというのを常に意識しておくことが重要です。2番目にありますが、同じグループの商品の中で良いものをさがす場合には、まずはコストに注目します。手取りのリターンを決めるのは、リターンとリスクとコストです。このうち自分の意思と努力次第ですぐに改善できるのがコストです。

今日お話ししたように、リスクはある程度コントロールが可能ですが、リターンはほとんどコントロールできません。にも関わらず、最初にそのほとんどコントロールできないリターンを上げようとするわけです。その前にもっと他にすべきことがあるでしょうということです。まずはコストを意識すると。

その次にリスクとリターンが見合っているかをチェックします。見合っていない商品も多いのです。これが先ほど指摘された問題商品ということになるでしょう。仕組み預金、仕組み債、仕組みファンドなどが代表的ですが、要するにこれらは仕組みがわかりにくい商品です。仕組みがわかりにくい商品というのは往々にしてコストが高めであったり、あるいはリスクとリターンが見合っていない、というケースが多いといえます。一般的には、わかりにくい、何回説明を聞いても正体が不明というような商品は、とりあえずパスしておく方がいいでしょう。自分が理解できる商品を利用するべきだと思います。最終的にまだ納得がいかないというような場合には、セカンド・オピニオンを求めてみるのもいいでしょう。我々の所に相談に来られる方の中にも、銀行さんはこう言っているんだけれども本当かねという方がときどきおられます。自分でまずは判断した上で、第三者にどうかたずねてみるということは、有効な方法の一つといえるでしょう。」

髙橋

「買われた後に来られるケースが多いので、願わくば買われる前に来ていただくとアドバイスができるかなと思っております。こういう私も株も債券も、それから投資信託も、アセットアドケーションをつくって運用しているんですが、藤村さん、金融機関の役割、重要性というところで、ちょっとお話をいただければと思うんですが。」

藤村

「今、神戸先生からお話があったのですが、我々お客さま向けのセミナーがありまして、当行主催のセミナーにおいても先生に同様の内容で話をいただいております。また、先生のご好意でビデオを作っておりまして、店頭で流しております。ボリュームがちっちゃいので、聞き取りにくくて申し訳ないですけれでも、神戸先生のお話の内容をそのままですね流していくという試みを実施しています。また店頭で専ら金融商品を販売する女性を160人ほど養成しておりまして、彼女たちがレベルアップして、お客さまに対する説明責任を全うすることが最高のサービスになるのではないかということで、時間とお金をかけて一生懸命育てています。

この木曜日にですね、私も研修現場に行き、販売員の生の声を聞いたんですけれども、最近株価が18,300円から16,000円を割れるまで急落しているところで、損を被ったお客様から、今までは良い思いをさせてもらったけども、本当にこれからも投資信託での運用は正しい選択なのかどうなのかという根源的な相談を受ける場面があって、結構悩んでるんですよという話を聞くようになりました。

今ですね、先生がおっしゃったように分散投資かつ中長期で運用するということが重要で、分散投資は数学的にも証明されているとおり、リスクとリターンをより効率的なものにし、また、世界経済全体が少しでも成長している限りは、長期投資は報われる。これも間違いないと思っているんですが、さらに販売員に投資信託を自信を持って売ってもらいたという意味で以下のような話をします。

最近、株式の債券化現象といって、株式の配当金の利回りが上昇しています。また、企業が自社株買いをして収益を株式の値上がり益として株主に還元するという傾向が、ここ2,3年強くなってきています。その背景には、ライブドアとか村上ファンドとかM&A・企業買収が盛んになり、企業経営者の方たちが、買収防衛の見地からいろんな手段で株式価値の維持・向上に努力されている事実があります。今までは企業が儲かったらまず、従業員に給料として還元するのが当然だったんですけれども、今は決してそうではなく、従業員に給料として還元する前に、株式配当金とかですね、自社株を買うとかですね、第一に株主に収益を還元している。企業収益が4期連続で過去最高の経常利益を更新したにもかかわらず、私も上場企業に勤務しているんですけれども、どうも自分の給料が上がった実感はない。

皆さんたぶんそんな感じでいらっしゃると思うんですけれども。結果的にこの2,3年で日本の株式市場の性格や企業の収益還元チャネルが変化してきている。たまたま時を同じくして、投資信託の銀行窓販が本格化し、最初から債券、株式、そういった分散型のパッケージ商品が売れていて、隔月であるとか毎月、分配金という形で、お小遣いを出してくれる。

これをお客様に楽しんでいただいているわけなんですけれども、この原資はそういった現象を背景に供給されています。投信を保有するお客様は間接的に株を保有され、これによって知らず知らずのうちに、今のイザナギ景気以来の経済成長の果実を享受していただいているということが言えるのではないかなと思います。

(つまり、持つリスクと同様に持たざるリスクも存在するわけで、)株式を持っていない方たちに、十分に説明し納得していただいたうえで新たに投資信託を買っていただいていくことこそが「貯蓄から投資へ」の流れに資することと思っております。

髙橋

「有難うございます。なぜか、お隣のお2人が下のほうを向いていらっしゃるようなところですが。すいません、そろそろですね、まとめのほうに入っていきたいと思うんですが、私、子供へのマネー教育というのを行っているんですけれども、小さい頃からお金の、株式ゲームの云々ではなく、預金とは、あるいは収入の一部を貯蓄に回すとかですね、そういうふうな基本的なマネーに対する教育っていうのが必要なんじゃないかなと考えております。

最後になりますけれども、こういうふうな金融経済に対する知識、これを普及させるためには、あるいは習得させるためには、今どういう壁があって、どういう方向に持っていけばいいんだろうかというところを、少しそれぞれのお立場からお話をしていただければと思います。まずは神戸さんから宜しいでしょうか。」

神戸

「はい、自己責任が問われる前提としてディスクロージャーがキチンと行われることは必須だと思います。そのディスクロージャーの充実と同時に、その情報を判断する力を生活者一人ひとりが持っていないと意味がありません。最終的には情報を受け取る側が判断しないとならないわけです。その判断力を身につける機会がキチンと提供されないといけません。判断する力がない人は読まなきゃいい、あるいは買わなきゃいい、と言うのは簡単ですが、これではいつまでたっても機会均等が実現できません。やはり学校教育の中でも真剣に学ぶ機会をつくっていくべきだと考えて、金融庁さんは、私も委員を拝命していますが、金融経済教育懇談会という会を運営されているのだと思います。大学、高校、中学の先生も入られていて、学校の授業の中にどういうふうにそれを取り込んでいくべきかという議論を行っています。

今まで日本人は、日本は資源のない国だ、加工貿易立国で、原材料を輸入して一所懸命働いてモノを作り、輸出しないと豊かになれないと刷り込まれ続けてきています。だからこそ、例えばホリエモンや村上氏が捕まるとですね、やっぱり額に汗して働かなきゃいけないという議論になっちゃうのではないでしょうか。彼らはルールを破ったから罰せられるのに、いつの間にか投資そのものが悪いという話にすりかわってしまうのです。額に汗して働くことを、私は否定するつもりは全くないんですが、それだけでは働く人が減っていくとジリ貧になっていってしまいます。額に汗して働くのも美しいが、お金をきちんと働かせるのも美しいということを伝えるのと同時にその働かせ方を身に付ける機会が提供されるべきだと思います。

学校でもキチンと教えるべきです。ただ、これは子供に対してだけやってもしょうがないんですね。日本人の誰もこれまでほとんど学んできていませんから、小学生も中学生も高校生も大学生も、たぶん60歳の方でも投資や運用についての知識レベルはあまり変わらないと思うんですよ。そうすると社会人が学ぶ場をどう作るのかが問題になってきます。

社会人に対しては広島銀行さんなどの金融機関に、きちんと考えてもらって、学ぶ機会を提供していただくのが有力な方法の一つだと考えています。金融機関の今後のあり方として、金融商品を作る側つまり運用会社や保険会社の代理人じゃなく、買う側の代理人になっていただきたいと思うんですね。販売代理人ではなく、購買代理人です。広島県民の代理人が広島銀行という考え方です。だからこそいい商品を仕入れなくちゃいけないし、きちんとした教育も提供すべきだということを、いろいろな金融機関の社員研修などでもお話しし続けています。広島銀行さんの店頭で流されている投資の考え方についてのビデオも、何か少しでもお手伝いできればいいかなと思ってご協力しました。公的機関などが地域の金融機関さんとも協力しながら、社会人向けの教育機会を作っていけるといいと思いますね。」

髙橋

「確かに地域の力と、それからせっかくお子さんに学んでいただいても、親御さんフォローできないという現状もありますので、これからますます重要になっていくんじゃないかとも思っております。

ではお隣の吉本さん、いかがでしょうか。」

吉本

「私自身、金融教育というのはかなりやっているわけですが、もちろん経済学部の教員ですから経済の教育もやっていますが、10年くらい前ですけれど、広島でも教えていたんですけれども、やっぱり経済を教えていまして。最近は生活経済とかっていう科目をたてて、金融の初歩的なことを教えているんですが、正直言って難しいですね。大学生のレベルであっても実際にいろんなことを教えてですね、十分に役にたつレベル、要するに生半可な知識で、下手に身に付けないほうがよかったんじゃないかということにならないように、教えるというのがなかなか難しい。試験もやりますから、どれくらい理解できるのかというのがわかります。ですから金融経済教育というのは、思ったより難しいというのが取り組んでみての率直な印象です。

何でもそうなんですけれども、教育って大事なことはですね、学ぶとこういういいことがあるということがわかった上で、自分がそれがすごくいいと思うから学びたくなる。こういうことがすごく大事なんですね。

ところが株式投資とか、先ほどもちょっと出てましたけれども外国為替証拠金取引とかですね、運が良かったほうが儲かるし、すごい勉強したからといって儲かるってわけではないというふうに、知識をすごく持っていると株式投資で儲かるというふうにはなかなかならない。

ですから根本的に金融経済教育では、学ぶ側に学んだらすごくいいんだというインセンティブを与えにくいというのがまずひとつある。それでも学んでもらおうということはすごく大事だと思うんですけれども、じゃあどう教育したらいいのかっていうことなんですけれども、月並みですけど、やはり新聞、テレビ、こういったものをきちんと見てですね、記事を読んだりしてですね。

残念ですけれども、経済の論理が非常によくわかるようないい記事がいつも載るような新聞とか雑誌というのは日本にはあんまりないんですね。生半可に大手の新聞社の名前を出すと怒られますけれども。もし英語ができる方がいらっしゃれば、ロンドンで編集されているThe Economistという雑誌がございます。非常に優れた記事がたくさん書かれています。これは定評があっていい雑誌なんですが。こんなレベルのものが日本にはなかなかないと。新聞記事も間違った論理が書かれていることが多いということですね。その中で学ぶのにはどうしたらいいのか、本当に難しいと思います。とはいえ必要だというのもわかります。話がうまくないのかもしれませんけれども、まずは新聞を読むところから始めてください。ただし、即効性がなかなかないです。

ひとつだけ、こういう話をしていいかどうかなんですけれども、最近よく思うことは金融機関の人が金融経済についての論理に疎くなっているケースが非常に良く見られます。残念ですが昔の銀行の窓口の女の子のほうがよっぽど金融についてまともな論理を知っていたというケースは、大手のメガバンクの事例を挙げろといえばいくらでも挙げられるくらいでてきます。これはしょうがないんですね。経済は複雑になってきていますし、商品も複雑になってきていますので。ということは社内で一生懸命研修やって教えていてもそのレベルなんですね。

月並みですけど、大事なことはこつこつやる。急に語学でフランス語をしゃべりたいといってすぐしゃべれる方法はないんですね。こつこつと勉強するしかない。実は金融経済教育も、こつこつ勉強するしかないのであって、新聞を一生懸命読んでテレビを見てそれを続けていってどれくらい効果があるかということが本当のところだと思います。」

髙橋

「有難うございます。私いくつか本を読ませていただきました。さすが学生の方に教えられているということだけありまして、非常にわかりやすいです。金融広告の見方もそうですけれども、為替やいろいろな事象が起こったときに、どういう理由で上がったり下がったりするのか、非常にケーススタディを使ってわかりやすく書いてある本をたくさん発行していらっしゃいますので、是非お読みになっていただければかなり勉強ができるんじゃないかと思っております。

ではお隣の楠本さん、お願いします。」

楠本

「本当に金融教育は難しいと思うんです。対象が多様ですし、どこに何をというところからまず考えなくてはいけないと思います。私はやはり、大きく子供、それから社会人と分けて考えています。子供に関しましてはさっきお話した幼稚園児、小学生、中学生、お金を貯めて将来の生活を築いていく為にはこつこつと貯めざるをえないんだと。こういう貯蓄の重要性というのを、しっかりと小さいときから教えていく、そして借金をしないで自分で自立して生きていく、そういうふうな生活、姿勢というものを教えていくことが必要だと思います。

これは長期にわたって、そして気長にやっていけばいいことですが、他方、先ほどお話がございましたように非常にたくさん、消費者苦情や被害が生じている中で、じゃあ社会人の教育をどうするかということ、これが本当に緊急の課題ではないかと思います。まず第一にすることは、今貯蓄から投資へということが言われていますけれども、自分が貯蓄から投資へ移る適格性を持っているのかどうか、それをしっかりと判断する能力を養う、これが第一だと思います。資金の性格にはライフ資金といいまして自分の生活にとって、欠くことのできない資金、例えば住宅ローンの頭金。これは減ってしまったら住宅が買えないわけですね。それから準備資金。例えばリストラされたとき、病気になったとき、こんなときのための準備資金があります。このライフ資金と準備資金は元本割れしていたらいけないわけですね、自分の資産の中でライフ資金と準備資金を引いて、残った余裕資金、利殖資金、これが株式や投資信託等のいろいろな金融商品に皆さんが投資する資金であるということ。これをしっかりと頭に入れておくこと、これが一番大事なことです。

ひとつ問題なのは例えば退職金などのように、一度きりボンと入ってくるお金、お金というものは心理学的にふたつの考え方があるようです。ひとつは自分がこつこつこつと貯めた大切なお金。もうひとつは宝くじを当てたようなそんなふうなお金で。そしてどうも退職金などはこの後者のほうと捉える人が多いようです。そこで、例えば私が受けた事例では、3,000万円あった退職金を全部マイカル債につぎこんで、発行会社が破綻しちゃったとこういう事例があります。退職金は必ずしも利殖資金ではなくて将来20年30年にわたってライフ資金になる部分が相当あるんだよという、こういうふうな位置付けをしていかなければいけないと思います。

具体的には社会人に対しては、コストであるとか、それからリスクであるとか、仕組みが本当にわかりやすいように。例えばコストなんかだったら、100万円投資信託を買いました、2.5%手数料がかかる、それはどういうことかというと、2.5%、25,000円が銀行の取り分になって自分が実際に投資するお金は975,000円ですよと、こういうことをしっかりと理解できるような、こういう教え方、教育の仕方。この方法論を私たちは真剣に考えなくてはいけないなと思っております。」

髙橋

「有難うございます。時間が少なくなってきているんですが。すいません、藤村さん宜しくお願い致します。」

藤村

先ほどちょっとお話もあったんですけれども、今後金融教育に関して金融機関として何ができるかというと、ひとつはやはりお客さまに向けてのサービスの一環としての各種セミナー開催があります。当行では他行にくらべてちょっと遅かったんですけどけれども、昨年の8月からスタートさせまして大変ご好評をいただいており、これからもこつこつ続けていこうと思います。今度、9月に金融商品取引法が施行されますと、セミナー会場での個別商品セールスは原則不可能になりますのでますます皆さん安心してセミナーにおいでいただけるかと思います。お取引の有無を問わずお受け致しておりますので、是非一度お越しいただきたいと思います。

2点目は従業員のレベルアップです。商品を扱う従業員を一人ひとりきちんと育てて、お客様を啓蒙するに耐えるだけのレベルに持っていくことこそが、地域金融機関としてのミッションであると考えています。

髙橋

「有難うございます。最後に花元さんお願い致します。」

花元

「先ほど消費者はこれからは自己責任のもとで自立した賢い消費者になってほしいということをお話致しました。そうは言いましても、知識とか経験に乏しい若者というのは多くのトラブルに遭遇している実態があります。そのため県では今消費者教育が大きな課題ということで、ライフステージに応じた、小中高校生に対する消費者教育に取り組んでいます。現在そういった若者を対象とした、若者と消費者トラブルということの講座を開催し、または講師を派遣しておりますし、また教員の消費者指導者資料として、賢い消費者になろうという冊子を作成し、高等学校に配布しております。

また教員を対象に消費者教育指導者研修会というものを開催しておりますし、最近家庭における金銭教育も大切ということで小中高校生の子供さんを持つ保護者を対象に、「学びませんか?お金のしつけ」と題して、スマートライフ講座を開催して、消費者教育の啓発に努めています。

このスマートライフ講座、今度は中高生を対象にですね、9月13日の10時30分から12時00分の間、当研修室で行いますので、是非また来ていただければと思っています。

さらに、今年度からの消費者担当部局と教育委員会との提携も大事だということで連絡協議会を設けて実際の消費者教育にあたる先生方の教材の作成とか、教育ツールの活用などについて、これから連携を強化して、若者の消費者トラブルの防止に対応していきます。」

髙橋

「有難うございます。お時間になってきているんですけれども、せっかくですから何かご質問があれば、ひとつになるかと思うんですけれども、お受けしたいと思います。どなたかご質問のある方いらしゃいますでしょうか。

すいません、担当者の方いらっしゃったら。」

質疑応答

質問者

「表題とは話がずれるかと思うんですが、県の方にお願いしたいのは、マルチ商法と通称よく言われる商売があるじゃないですか、商売というか。例えば美容教材とか、そういうイメージはあるんですが、公的な施設を良く使うんですよ。例えば地域国際センターのA会議室を使う、そういうデータをやっぱり事前にこつこつとることが、私は市民、住民を助ける方法じゃないかと、たぶん個人情報には影響ないと思いますしね。そういう制度の利用者を、良い意味で、そういう団体をピックアップすることに日頃からお願いしたいなというふうに思っています。」

髙橋

「宜しいですか。はい、それでは花元さん。」

花元

「こういったマルチ商法で悪質商法をやっている業者がですね、そういう公的施設を利用するというのは、よく私たちの耳に入ってきております。いろいろなデータにつきましては、 パイオネット(PIO-NET:全国消費生活情報ネットワークシステム)で全国的な情報も集められます。一般的に公の施設は特別なことがない限り許可をすることが義務付けられています。しかしながら、いろんな理由により難しいという事例もありますので、今後ともそういった公的施設の関係者と情報交換も行い、消費者被害が生じないよう努めてまいります。」

髙橋

「有難うございました。宜しいでしょうか。はい、それでは長時間皆さん有難うございました。1時間半にわたってお話を聞いてきたんですけれども、お金というのは最終的には目的があるからお金を貯めるというふうに考えられます。ということはお金を上手にコントロールしながら、お金を貯めて、増やして、幸せになる為に使っていくことが重要なのではないかと思います。今日はわざわざゲストの方からご意見を伺いました。是非皆さま方、ご自分自身の判断によってこれから幸せになる為に資産運用、生活設計について考えていっていただければと思います。

今日は会場の皆さん、パネリストの皆さんどうもありがとうございました。」

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