「生活設計・資産運用について考えるシンポジウム」(東京開催)の概要

金融庁では、関東財務局との共催により、「生活設計・資産運用について考えるシンポジウム」を平成19年12月15日(土)に、時事通信ホール(東京都中央区)において開催しました。

今回のシンポジウムは、地域の住民の方々を対象に、金融商品が多様化するなかで、生活設計・資産運用の在り方について考えてもらうことを目的として、以下のプログラムにより開催しました。

主催者挨拶、基調講演、プレゼンテーションの後に行われたパネルディスカッションの模様は以下のとおりです。

プログラム

  • 開会挨拶(山本 明彦(内閣府副大臣))

  • 基調講演「これからの家計を安全に賢く守り育てるために」(武田 米生(千葉商科大学大学院会計ファイナンス研究科教授))

  • プレゼンテーション「相談事例紹介」(丹野 美絵子((社)全国消費生活相談員協会 常任理事))

  • パネルディスカッション

    • コーディネーター

      藤沢 久美(シンクタンク・ソフィアバンク副代表)

    • パネリスト

      武田 米生 (千葉商科大学大学院会計ファイナンス研究科教授)
      丹野 美絵子 ((社)全国消費生活相談員協会 常任理事)
      安野 能里子 (金融行政アドバイザリー)
      堀 俊一 (横浜銀行 個人営業部副部長)
  • 質疑応答

パネルディスカッション

  • (司会)

    それでは、これよりパネルディスカッションを始めさせて頂きます。 初めに私より、コーディネーター及びパネラーの方々をご紹介したいと思います。まず、コーディネーターをお務めいただくのは、シンクタンク・ソフィアバンク副代表、藤沢久美様です。パネラーは4名の方にお越しいただいております。順番にご紹介させて頂きます。

    皆様向かって左手から、先程、基調講演を頂きました武田米生様です。そしてそのお隣、先程、相談事例を紹介頂きました丹野美絵子様です。続きまして、金融行政アドバイザリー、安野能里子様です。最後に、一番右手にご着席いただいてます横浜銀行個人営業部 副部長、堀俊一様です。

    ただ今ご紹介致しました皆様のご略歴は、本日お配り致しましたプログラムの裏面に掲載されております。ご参照下さい。それでは、ここからは、藤沢様にマイクをお渡ししたいと存じます。どうぞよろしくお願い致します。

  • (藤沢氏)

    それでは早速パネルディスカッションを始めたいと思いますが、今日はその「資産運用の重要性」とそして「生活設計」、このまさにテーマの部分を詳しく専門家の方々に伺っていきたいと思い  ます。皆さんが、日頃どんなことをされているかという自己紹介と、できれば、先程の金融トラブルの話、あの話は皆さんにとっても身近な話かもしれませんけれども、どういうふうに私たちは身を守ったらいいのか、そのあたりも含めて、少しずつコメントを頂きたいと思います。

    まず自己紹介と、そしてこういう金融トラブルに対して、我々はどう対処していったらいいのか、このあたりを伺っていきたいと思いますが、まずは武田先生からお願いします。

  • (武田氏)

    はい。今2パターンの仕事をしておりまして、1つは今の大学の大学院で、生徒に講義しているというのと、もう1つは、20年来このファイナンシャルプランニングの仕事をしておりますので、随分と苦しい目に遭いながら、バブルの初め、バブルのピークから、バブルが終わって灰色の時代まで含めてワンサイクル、お客様の相談にあずかっているということですね。その時にお客さんだった方が、今残念ながらお亡くなりになりつつありまして、今年に入って、2件、その相続関係を今やっているという状況でございます。

    先ほどのコメントですが、先ほどちょっと言いましたように、日本人って、私に対してもそうなんです。いつもは、「武田さん何か良い商品ない?」、「武田さん良い儲かるものない?」って、これが最初ですね。だから先ほど「リスク」と「リターン」と言いましたでしょう。お客さんの中ではリターン・リターン・リターンなんですね。お客さんが見えたら、「あまりお金で欲を出さないで下さいね。お金で欲を出しますと、人格まで無くなりますから気をつけて」って、こう言っているのですけれど。その時になると忘れてしまうことがあると思いますが、まず「リスク」と「リターン」、「リターン」と「リスク」ではない。だから、もちろん運用のベースになるのは目的を作ること。だから、人生でどういう目的のために、どういうお金が必要かと考えれば、リターン・リターン・リターンと考えなくていいわけですね。

    自分のとれるリスクの中でやるということで、先ほどのようなケース、いつも不思議に思うのですが。新聞紙上、定期的に何十年か毎にこういう事件が起こってくるので、不思議です。今のように、リターン・リターン・リターンと思わないで下さいね。リターン・リターン・リターン、歌だけで結構でございますのでね。皆さんは、「リスク」と「リターン」というふうに憶えていただきます。

  • (藤沢氏)

    はいありがとうございます。リターン・リターン・リターンって思っちゃいけない。聞いたことあるんですけれども、騙された経験がある人は、もう1回騙される確率がとても高いといわれ、『騙された人リスト』というのがあり、それが詐欺の人たちの間で大変価値が高いなんていう、なぜそんなことが起きるのかということを、順番に伺っていこうと思いますけれども、丹野先生、先ほど講演時間が短すぎましたので、追加のコメントと、なぜ、そんなに何回も騙されるんだろう。どうしたら騙されないで済むんだろうか、その辺も含めて教えてもらえますか。

  • (丹野氏)

    はい、さきほど未公開株の話をしましたでしょう。

    あの話について、休憩中に、「どうしたら騙されないで済むんですか」と皆さんから質問されました。どうしたら騙されないかと言えば、あの場合はとても簡単です。証券業の登録がない業者は証券の売買、仲介などをしてはいけないとなっております。ですから、今で言うと、金商法の登録ですけれど、そういう登録がありますかって、「お宅は証券会社ですか」って聞けば、業者は、この人知っているなあと思ったらガチャンと電話を切っちゃうことになります。

    つまり金融トラブルに引っかからないようにするには、申し訳ないけれど、最低限の法律的な知識だとか、最低限の商品のスキームの知識とかが要ります。そこを知らないで、業者の言うがままに信用して買ってしまって、後で話が違うとなるケースが大変多いんです。

    また先ほどは、インチキな金融商品の方の話ばかりしてしまいましたが、まともな方の金融商品の話でも、トラブルはたくさんあります。たとえば、生命保険や損害保険のトラブルがたくさんあります。その原因は、自分が加入している保険の内容がこうだと思っているのに、実際の保険が全く違っていることがたくさんあります。この違っていることが、保険のトラブルの1番の原因なんです。

    そこのところは、商品が難しいとか、ちゃんと説明されていないとか、いろんな理由があるのですけれども、お客様がイメージしているものと、現実の商品が違うということがあって、これが保険だけでなく、大抵の金融トラブルの元なんです。例えば銀行でお売りになっている投資信託でも、それから、変額個人年金保険でも、その他いろんな金融商品のトラブルについて言えば、お客様は、これを買ったと思っている。実際には別のものだった。それはインチキ業者でいえば、騙そうと思っていますし、まともな事業者さんでいえば騙そうと思っているわけではないけれど、ご説明がちゃんと行なわれていなかったり、それから、その人にとって不必要なものだったりするんですけども、そういうことがまずあります。イメージと実物の違いをどうやって埋めていくかという部分では、事業者の方に法律的な網をかぶせて、いろんなふうに努力をしていただくことになります。だから説明をちゃんとしていただくようなことで事業者には頑張っていただく。だけどお客様、消費者側だって、少しは法律的な知識だとか基本の知識を知って、違いを埋めないといけない。イメージと実物を合わせないと健康なんて言っていいものかどうかわかりませんけど、健康な金融商品の買い方にはなりませんし、トラブルはなくならないのではないのかなあといつも思っております。

  • (藤沢氏)

    ありがとうございます。最低限の勉強というところが、どの程度までなのだろうという不安があるんですけれど、今日はまさに、『金融商品取引法制について』という冊子がありますので、最低限、ここにはその、先ほどまさに丹野先生がおっしゃってくださったような、何か投資組合みたいなものとかは、どういう人が販売できるのかとか、どういう規制があるのか、少なくとも電話がかかってきたときに、ここに載っている単語くらいを発信してみると、向こうが引く可能性はあるのかなという気がします。こういうものについての勉強っていうのは、先生のところでセミナーなど実施されるのでしょうか。

  • (丹野氏)

    市民講座で、いろんな所で話をさせて頂きますが、ただし、お言葉をかえすようですが、この冊子は大変、金融庁さんごめんなさい。大変これ難しゅうございまして、これを読んで理解できるというのはなかなかですね。これを読むために、また解説書がいるんじゃないかっていうぐらいですね。難しいです。むしろ、例えば個々の金融機関ですね、これからたぶん横浜銀行の方のお話があるかと思いますけれども、今お取引のある金融機関から、「新しい金融商品法制、これができたのでこういうふうに変わりました」みたいなご説明書みたいなものが、お客様に、みんな行っていると思います。そういうご商売にからまないようなスタンダードな知識の提供みたいなものですけれども、そういうものから、お入りになるとか、それから、いろんなところで市民講座をやってるとか、それから、お隣にいらっしゃいます安野さんがやってらっしゃいますけれども、金融広報の講座をお聞きになるとか、自分のご興味のあるところの部分では勉強ができると思います。少なくとも金融商品のこれを買おうと思ったら、それに伴う最低の知識は、『いろはのい』ぐらいは知らないと、相手の言うままに買ってしまって、後で話が違うというふうになった時に、どうしょうもないということになるんじゃないかと思っています。

  • (藤沢氏)

    なるほどありがとうございます。では、金融広報委員会で活動されている安野さん、自己紹介を含めて金融トラブルに私たちがどう対応していったらいいのか、アドバイスいただけますでしょうか。

  • (安野氏)

    安野でございます。私は、12、3年、生活設計ということで、金融広報の仕事にかかわらせていただいています。本業は別にあるんですけれども、それで、やはり、まず日本人というのは、お金のことについて語るということに対して後ろめたさみたいなものがあって、それで、こういう金融商品というんでしょうか、そういったものを勉強するということ自体、あまり積極的ではなかったのかなという気がしております。

    10年前は、本当にまだそういう状態でしたし、それとそんなに危険な商品自体が、正直なところなかったんです。元本は保証されていましたし、金融機関は護送船団で、そういうところで、いきなり金融ビッグバンが始まって、口は悪いんですけれども、消費者が放り出されたかなっていう感じがしております。

    やはり先程の未公開株なんですけれども、私の自宅にも電話が掛かってきまして、ご丁寧にパンフレットまできました。とてもすばらしいパンフレットなのですけれども、よく見れば、書いてある取り扱っている会社も、「ん?」っていう感じですし、公開されるっていう会社、目玉商品が一つ載っているんですね。某製薬会社ですけれど。あと3枚くらい資料が付いていたんですけれども、それを見ると、とても買いたくなるような会社ではないわけなんです。だからそのあたりを見る目というのは養っていく必要がこれからの消費者にはあるのかなと思っていますし、それを見抜くということもとても簡単なんですね。金融庁のホームページにアクセスすれば、確か登録されている金融機関というのが出てますので、見事にその会社は出ていませんでしたし、その後、摘発を受けた会社を見ましたら、その会社はきっちり入っていましたので、やはりこれだけ情報が出ていますので、そういったことも、やっぱり消費者側に提供していくということの一つかなと思います。

  • (藤沢氏)

    そういう意味では、やはり電話なんかでの勧誘は多いじゃないですか。すぐに返事をしないで、1度、電話を切って確認することは大事ですね。

  • (安野氏)

    はい、それは大事ですし、電話勧誘の場合、「もう掛けないで下さい」という権利が消費者側にありますし、それと、こちらから質問してしまえばいいんです。「どういう会社なんですか」、「住所教えてください」、「代表電話番号は」と。そしたら怪しい会社だと必ず電話を途中で切っていきますから。

  • (藤沢氏)

    そうですね。逆に質問攻めにするというのも、大事なことですよね。

  • (安野氏)

    そうですね。それはひとつ身を守る手かもわかりませんね。

  • (藤沢氏)

    ありがとうございます。それでは、金融機関でもトラブルあるのよなんて言われて、ちょっといきなり大変つらいスタートになってしまいますが、堀さん、自己紹介を含めてお願いいたします。

  • (堀 氏)

    横浜銀行の堀と申します。自己紹介でございますけれども、1961年に生まれまして4人兄弟の1番上(長男)でございます。両親は、昭和一桁世代、父親は普通のサラリーマン、母は専業主婦という、ごく普通の家庭で育ちました。昭和59年に横浜銀行に入社いたしまして、そして平成元年に結婚し、現在、妻と中学3年生の娘という家族構成でございます。

    ライフプランをお客様と語り合うというのは、お互いの人生を語り合うということでございますので、日頃このような話をしております。もう少し自分の話をさせて頂きますと、まず、自分が結婚してしばらくいたしまして、バブルが崩壊しはじめ、バブルの最盛期に5000万くらいの値をつけておりました中古のマンションが、4000万くらいまで値を下げてきたんですね。よしこれは買いだと、3950万で買いました。その不動産がですね、4年前ぐらいに売却したんですけれども、売却額は1000万ということでございまして、差額の約3000万を、資産形成期に失ったという経験がございます。

    また、中学3年の娘がおりますので、これから教育費でございますとか結婚費用といった支出が発生します。これらの苦労はまだこれからでございます。今日、この会場にも、こちらから拝見しますと、私の人生の諸先輩も多数いらっしゃいますが、私より人生経験の豊富な方に、決してアドバイスというふうなことはできませんけれども、日頃は、お客様のライフプランを一緒に考える、あるいは、そういうきっかけづくりとか、ちょっとしたお手伝いができればというふうな気持ちで、私自身、動いておりますし、同僚部下にもそういう話をしています。

    さて今日の銀行でございますけれども、さきほども護送船団の時代の話がございました。護送船団の時代は、銀行が扱う運用商品というと預金のみでございます。この時代は、商品そのものでは差別化ができませんから、熱心に何度も訪問するとか、盆栽を褒めるとか、農作業のお手伝いをするとかいうことで、銀行員は、他行と差別化をして預金を獲得しておりました。今日は、どうやってお金に働いてもらうかという、知識や知恵がモノをいう、コンサルティング営業で差別化できる時代でございます。私が入社した頃に比べますと、今の銀行員は幸せだなというふうに感じております。

    そして、例えば藤沢さんからもお話がございました金融商品取引法でございますけれども、新聞を賑わしている部分ございますが、私個人としては、法の精神と言うのは、投資者の保護、利用者の保護でございまして、9月30日を境に劇的な変化があったというふうには少しも思っておりません。前も後も全く変わっておらないと思います。一部、時間が長いというご苦情の声もあるようですが、それは、販売担当者の会話がまだ未熟であるということであり、私たち販売者側にまだまだ改善すべき点があるということです。

    消費者保護、利用者保護という観点で申し上げると、自分の両親や友人にも、自信を持って勧誘できるかということ。これがお客様と長期の信頼関係の絆を築いていく上で、我々販売者にとって一番大切な心構えというふうに思っております。そんな中で、当行では、おそらく他の金融機関さんもそうだと思いますが、これから申しあげるお客様には、特に丁寧な対応を心がけています。

    第一に、高齢者の方。特に、お一人暮らしの方というのは、何度も何度も説明をしたり、日を分けるとか、ご家族の方のご同席を頂くなど、慎重な対応をしております。

    第二に、投資経験のない方。初めて価格変動商品を買うという方にも十分な説明を心がけております。例えば自分の勤めている会社の持株会をやっているだけとか、親から相続で株券を受けただけとか、そういった場合には、事実上投資経験ありといえるのかどうかというようなところまで踏み込んでお話を承っております。

    最後に、元本割れのリスクを極端に嫌われるお客様です。これらのお客様に対しては、お客様のご意向を十分に把握するよう、私どもも、慎重な対応をしておるというところでございます。以上でございます。

  • (藤沢氏)

    ありがとうございます。そこで一つ伺いたいのですけれども、割りと今日お集まりの方は諸先輩が多いですけれども、ある意味、高齢者という年代になると、やっぱり慎重にということで、たくさん説明をしてくださるようですが、「高齢者ですけれども、結構経験はあるので、説明もちょっと短めにしてください」と、言っていいでしょうか。

  • (堀 氏)

    それは当然おっしゃっていい話だと思います。年齢というのは、あくまで一つの基準に過ぎません。70歳であっても、日本の首相が何歳という話がございますし、一方で、物忘れが多くなったとおっしゃるお客様もいらっしゃいます。やはりお客様とお話しする中で、例えばお客様が「大丈夫だよ」とおっしゃった時に、自然な会話の流れの中で、昨日の日経平均がいくらぐらいだったかを尋ね、その反応で、お客様の知識や経験を汲み取るということが大切です。やっぱり、複合的・多面的に、そのお客様の知識や経験を把握するというのが、販売者に求められる姿勢だというふうに思っております。

  • (藤沢氏)

    ありがとうございます。やはり対話をするというかコミュニケーションをとることがとても大事なんだなということを感じました。それでは、今回のテーマにも書いてあります生活設計、資産運用、このあたりに入っていきたいですけれども、本当にここの所ずっと、資産運用セミナーなんていうのは、どこでも開かれているわけで、なぜこんなに資産運用、資産運用と言われているのか、改めてちょっと大きなところから、武田先生、お願いします。

  • (武田氏)

    日本人の方が1536兆円と大金持ちなんですね。お金が貯まってくると、「なにかいいものないか」という話になるそうです。そこで初めて、もうちょっと儲かるものとか、いいものがあるかということを考えることになるそうです。

    だた、今金利が低いですね。日本の経済成長率はこれだけ頑張って当時は7%8%の時もありましたけれども、今2%ぐらいだと、そうすると基本的には、元本安全で金利のいいものっていうのは、これはちょっと望むのが難しいんですよ。結局ベースになっております長期金利というのが指標になる。10年物国債が中心になっているんですが、今1.5%ぐらいかな。だからあまり元本絶対安全で金利のいいものをみつけろっていうのは、ちょっと今の状況では難しいですよね。それともう1つは、先程言いましたように、最近、皆さん方、俺の人生このまま墓場へ行っていいのかと思っている人が随分多くなりました。

    「俺の一生だからね、もうちょっとマシな生活したい」とか、或いは「自分の意にかなった生活をしたい」っていうことで、私の今のお客さんの顔色みていると、なんかこう目標みたいなものがはっきりしてきてるんです。「この目標に近づけるにはどうしたらいいか」となってくると、「このままで1%であったらどうしようもない」とね。先程社会貢献のお金の話をしましたけど、その人はそれを運用するのに、毎年これでできるかって計算してたわけですね。だいたいリターンが5%あれば、今の元金だったらだいたいこのぐらいの利息金額、これだったらきっと寄付しても単なる一時で終わらないで継続してやれるとね、運用で毎年できればいいわけですから恐らくそう決心されたと。だから自分の目標が出来てこないと、ただ運用してお金持ちになったらいいということではないのじゃないでしょうか。

  • (藤沢氏)

    まず目的ありき。

  • (武田氏)

    目的あって・・・。

  • (藤沢氏)

    ここね、悩ましいんですよ、先生。

  • (武田氏)

    そうそうそう。

  • (藤沢氏)

    だいたい目的がはっきりしてきた人が増えてきたということですけど、でもなんとなく海外旅行まではイメージしてたとか、退職したら毎日ゴルフ三昧まではイメージしてたんだけど、やってみたら疲れたっていう、その先がっていうのをアドバイスなんかもされたりしますか。

  • (武田氏)

    そうですね。実際に疲れる方も多いのです。これは人それぞれあるのですけれど、でもね、最近聞いていておもしろいことを考えている人が出てきましたよね。それは、今はやりなんですけれど、"船に乗って世界を回る"。

  • (藤沢氏)

    世界一周とか?

  • (武田氏)

    そうそうそう。世界一周とか地域ごとのもありますけどね、「乗るだけじゃつまんないじゃないですか」って言ったら、「武田さん、それがね、営業マンの話だと、中でダンスパーティありディナーパーティあり」って言うから、「そのときは、奥さん一緒に行くんでしょう」って言うと、「行くよ、ダンスには今度はものすごくいろいろ服を用意して行く、それがいいんじゃない、それぐらいお金使ってもね」と。10年近く前から私のまわりでそんな話をしている人がいるわけです。

    だから、そんなピンの話をしても仕方ないのですけど、やはり自分の生き方でこうしたいとなれば、それに合ったお金を作るっていうのは、大変いい作業じゃないでしょうか。

  • (藤沢氏)

    そうですね。やっぱり使うには目的が必要ですね。

  • (武田氏)

    そうそう、だからおそらく資本主義っていうのは、基本的にはお国に税金を納めてお国がそのお金を使っていろいろやるのでしょうけれど、やっぱり強い者や弱い者が出て、社会的弱者も出てきたときに、国だけですべてできるわけじゃない。そうすると民間の会社も含めて個人がそのギャップを埋めるという作業はどうしても必要なんで、そういうふうにもしお金が使えるんだったら、どんどん儲けていただいていいんじゃないでしょうか。

  • (藤沢氏)

    なるほど、そうですね。自分が豊かになれば、そのお金をまた社会に使おうっていう気持ちにもなれますよね。

  • (武田氏)

    それがいい満足感になって、安心して墓場に行けるのじゃないかなという感じですね。

  • (藤沢氏)

    ありがとうございます。その辺の生活設計はこの後伺いたいなと思うんですけども、目的を見つけるっていうところはね。昨日たまたまタクシーに乗りましたら、運転手さんが、「俺、20キロ痩せたんよ。検査をしたら肺に影があるから、今度家族と一緒に来て下さいって医者に言われたんだよ。それで、これはやばい、もう終わりなんだと思って、実は遺言書を書いて、預金通帳も全部出して、誰にいくら残すかも全部計画して、奥さんと一緒に行った。そしたら、太り過ぎだから、奥さんもっと料理を考えなさいっていうだけで終わって、ものすごい考えたのに、藪医者だ。ただそのおかげで自分の今後やりたいことが分かった。山登りも今積極的にやってこんなに痩せたんだ」っておっしゃっていたんですけども、やっぱり1回、遺言書いてみるというのもいいかもしれないなと思いました。

  • (武田氏)

    この中でどれぐらい遺言書いてらっしゃるんですかね。

  • (藤沢氏)

    遺言を書いたという方、いらっしゃいますか? ゼロですか。遺言書を遺書と間違える人がいるんですよ。

  • (武田氏)

    そうそうそう。

  • (藤沢氏)

    遺言ならいいですよね。

  • (武田氏)

    遺言書は別に大層に考えなくて、私も随分お手伝いしましてね。公正証書を作成に行く時はウィットネス、要するに私が証人になっているのもあるんですけど楽しいですね。「どういう風にお金を分けるの?」って言ったら、全部理由を書いてあるのね。この息子にはこういうことがあったから金額いくらとか書いてあって楽しいですね。もらう方はいいですけど削られた方は嫌ですね。お前は俺にあんまり尽くさなかったから減らすとか書かれた時など。気楽にお考えになって、いくらお書きになってもあれは新しいものが有効でございますのでね。

    それで、もし自分の財産が多い方は、ぜひ自筆遺言じゃなくて、公正証書にされる。それから、認知された子供がいらっしゃったりする時には、ぜひ公正証書にした方がいいと思いますね。この話は長くなりますからこれでやめましょう。

  • (藤沢氏)

    ありがとうございます。亡くなられた後から、たくさん子供が出てくると大変ですもんね。先に準備しておいた方がいいと思います。資産運用の話に戻りたいと思うんですけれども、「資産運用」、今おっしゃったように、たぶん私たち一人一人が本当に気持ちよく墓場に行くっていうことはないのかもしれないですが、「ああいい人生だな」と思えるようなためにも、非常に必要なんだというふうに感じたんですけども、この資産運用を考える時とはいえ、最近は投資というものを取り入れていかないといけないし、どんなことに注意したらいいのか、丹野先生、アドバイスをお願いします。

  • (丹野氏)

    トラブルという観点でなくて言えば、ごくごく当たり前で分散と長期という話になるんでしょうし、卵を一つの籠に盛るなというそういうお話になるんでしょうけど、基本的には、武田先生がおっしゃったように、目的があるんだから、その目的という原点を見失わないようにやっていくんだということになるんだと思うんです。注意点という話になると、さっきインチキの話があまりにもインパクトが強かったので、皆さんそのイメージがあるかもしれないけど、ちょっとそれはずして頂くとですね、やっぱりどこで資産運用をするのかなっていうふうに考えれば、お付き合いがある金融機関でということになるんでしょう。

    そうすると、銀行さんとか、郵便局とか、証券会社、そういうところになるのかな。たまには保険で資産運用という人も、たまにはいらっしゃいますから、そういう話になるんですが、今日、さっきから言っていることは一つなんですが、従来、金融機関さんを信仰的に信用するあまりに、言っていることをそのまま受け入れてしまうというのは、いかがなのかなと。実は、先週、郵便局に用事があって郵便局に行ったんです。時間が空いていたので投資信託のところへ行ってお話を伺いました。

    お話を聞いていてわからないからちょっとつっこんで聞いたら、向こうが立ち往生なさって、さてどうなるかなと思ったら、出てきた言葉が、「とにかく郵便局が売っているんですから!」って言われたの。それで、私は「いやすいません時間がないので」って言って逃げちゃったんですけど、それはどういうことかなって考えると、やっぱりこれでは例えば金融商品取引法っていう法律ができて、そこで広告はこういうふうにしなさい、リスク、リターンを書くんだったら、リスクをリターンと同じくらいのところに、同じような大きさで書きなさいみたいな。そういう広告表示の規制もされたし、説明義務も、ちゃんと個々のお客様が納得するまでしなさいとか、適合性の原則も見て、たとえば私のようなこんなおばさんに難しい商品を売っちゃいけませんとか、そういうことも全部法律で規定されたんです。

    法律で規定されたけど、あとはそれをどういうふうに実行をあらしめるかと、そうすると、もしも郵便局の関係者の方がいたらお詫びを申しあげますが、最初に投資信託を郵便局さんがお売りになったころは、他の郵便局で聞いたことあるんですけど、とても慎重にお売りになっていて、とても丁寧なご説明だったんですよ。今12月ですよね。売り始めてから数ヶ月後、その時点で、こういう形に変わってしまうということは、もしかしたらノルマがあるのかもしれないけれど、そういう意味では、そういう売り方を恒常的にされてはいけないわけです。私の後ろの人はご高齢の方でございました。その方は、その最後の決めのセリフを、その職員さんが言った時に「じゃあ信用する」って言って買うかもしれない。それだとやっぱりいけないわけです。そうすると先ほどから申し上げているように、お客様、消費者側の方も知識をつけなくてはいけないと思っています。

    法律が手当てされて、広告表示にはちゃんとリスクをこんな大きな、今までは、この位の紙でこういう小さい隅っこのところで米印がダーと書いてあったところを持ち上げてきて、リターンとリスクと同じぐらいの大きさで書くようになったんです。異ならない大きさの文字で書くことが法律上は決められたので、そういうところをじっくり眺めて、説明を聞いた時に、「あなたの言っているその説明、この紙のどこに書いてあるんでしょうか」とか、闇雲にサインしないで、「これどういう意味ですか」と聞いていくという、いわばある意味慎重なもっと言えば、嫌な客になるというか、そういう視線を失わないでいないと。後から考えて話が違うということにならないように、そういう目線をちゃんと入れていきましょうということを、私の役割としては申し上げたいなと思っております。

  • (藤沢氏)

    ありがとうございます。おそらく資産運用って、「どうやったら儲かるの」っていう視点で考えると、たぶん間違えるだろうし、今、丹野先生もおっしゃっていて、資産運用するんだったら、分散投資で、そして長期投資で、先程武田先生もおっしゃって下さったように、分散で長期に積み立てるっていうようなことっていうのは、もう基本で、たぶんおそらくまずこれを知っていればいいんだと思うんですね。そのうえで、やはり私たちがどうしても足をつまずいちゃうところっていうのは、まさに丹野先生が今ご指摘されたような最初のところなんだろうなという気がするんですよね。

    そういう意味で、安野先生いかがでしょうか。『資産運用』、私たち、始める時、まず何から始めていったらいいのか、先程の武田先生だと、「まず貯金からいきましょう」という話でしたけど。

  • (安野氏)

    やっぱりそうだと思います。まずは、自分の収入と収支、給与明細頂いて、税金がどれだけ引かれていて、社会保険料がどれだけ引かれていて、実際に自分が使えるお金がどれだけで、その中からどれだけ貯蓄にまわして、あと生活費にどれだけ取れるか、そこからまずは始まるんじゃないかなと思うんですね。

    武田先生もおっしゃったように、「最初に生活できる生活費を貯めましょう」っていうのが、たぶん1年分の年収、それが貯まった時点で、そのリスクを取れるものであれば、そういう商品を買う。

    それから、これはやっぱり元本が減っては困るというものであれば、元本の確定したキチっとした貯蓄に回すなり、そういう商品、目的に合わせて選んでいく。それと準備金って、武田先生はおっしゃいましたけど、貯蓄っていうのは、いろんな商品がありますので、やっぱりいざとなった時に保険商品を選んでいくとか、だから、まずは自分がどういう生活をしたいか、自分にどれだけの収入があるのかというところから始まるのかなというふうな気がしています。

  • (藤沢氏)

    ありがとうございます。今、いろんな商品があるというご指摘があって、これまた私たちにとって、とっても悩ましいことで、銀行に行けば昔は本当に預金だけだったのに、今はもう投資信託は売ってるし、変額年金もまたこれが保障があったりなかったりだったり、外貨預金があったり、最近は株の仲介をしている銀行もあったりいろいろあるなかでこれを分散しましょうと言われても、それぞれの意味がよく分らない。堀さんの銀行ではこの辺どんなふうに助けて下さるんでしょうか。

  • (堀 氏)

    一緒にお客様と話をしながら、徐々に徐々にお客様の思考を、なんていうのかな、幅広い商品の中からこう縮めていく時のお手伝いをするというのが、模範解答なんですけど、実は販売者としても非常にここは難しいところです。先程、丹野先生が、闇雲にサインしない慎重なお客様を「嫌なお客様」とおっしゃいましたが、実は販売会社からみると違っていて、そういうお客様、実は一番、ありがたいお客様なんですね。ご自分の金融資産のうち、どこまでをリスク商品に投資できるかをよく考え、そこまで慎重な方というのは、逆に長い信頼関係を築けるお客様ということで一番ありがたいお客様。これは本当です。

    「いやもういいいい」とか、「君、なんかいい人そうだからいいよ」というお客様には、「いやちょっと待って下さい」というのが、私どものスタンスでございます。スタンスというか、そういうふうにしなくてはならないというふうに思っています。

    先程、自己紹介の時に、お手伝いというお話を申し上げましたけれども、その前提としていつも私どもで思っているのは、先程武田先生もおっしゃいましたけれども、日々の為替だとか株の値動きに、一喜一憂するようなそういう追い詰められた状況の投資というのは、長続きはしませんし、私どもとのトラブルも多くなるというふうに思います。肩の力を抜いてリラックスして、ゆとりを持って全体の資産の中の一部をその価格変動商品、お金に働いてもらう部分に振り向けるというのが原則かと思います。

    ダジャレに近いんですが、『ダラリ』はやめましょうというふうにいつも私申し上げているんですけども、この『ダラリ』という言葉のそれぞれにですね、無をつけます。『無駄』、『むら』、『無理』ですね。この『ダラリ』はやめましょうということをお客様にいつも申し上げております。

    まずこの『無駄』というお話でございますが、コストを省くという話です。たとえば投資信託の場合でございますが、投資信託をお買い求めの際には、私ども販売会社が販売手数料というのを頂きます。それから、保有期間中というのは信託報酬というものを年いくらという形で頂きます。最後、解約をする時には、退室のペナルティのような形で、『信託財産留保額』と、ちょっと難しい言葉ですけれども、こういった手数料がかかるわけです。

    そして、その中で、買った売った、買った売ったということを繰り返せば繰り返すほど、販売手数料、入り口の販売手数料を販売会社に払うわけですから、こんな損なことはないと。販売会社を儲けさせるだけですので、先程来、長期投資というお話がございますけれども、これは強くお勧めをしたいところでございます。

    それから、保有期間中の信託報酬です。これは、私どもが取り扱っている商品でも、0.5~2%ぐらい結構幅があるんですね。仮に1000万のお金を、仮に投資信託で運用するとします。1%の信託報酬と2%の信託報酬、買う時にあまり気にならないかもしれませんけれども、実は1000万ですと、1%の10年分ですから、100万円の差が10年後についているということになります。本当に無視できない部分でございます。

    続いて、『ダラリ』の『ラ』ですから、『ムラ』ですね。ここは、銘柄の分散であり、時間の分散であり、はたまた長期の投資ということで、先ほど来、武田先生がおっしゃっている部分ですので、省略をさせて頂きます。

    最後に、『ダラリ』の『リ』、『無理』でございますけれども、これは理屈、理屈がない投資というのは、これはやっぱり良くない。投資の世界というのは、欧米が先進でございます。投資という言葉は英語の辞書を引きますと、二つ出てきます。

    一つは、『ベンチャー』とか『スペキュレーション』という言葉が出てきます。ちょっとスペキュレーションという言葉は難しいですけれども、ベンチャーってありますね。これはアドベンチャーのベンチャーだと思うんです、たぶん語源はですね。要は危険とか不確か、これに一発賭けようという冒険、これが、ベンチャーでありスペキュレーション、これは『投機』、日本語に訳すと『投機』と思うんですね。

    そして、投資のところを見ますと、英語は、『インベスト』っていうふうになっています。英英辞典で今日のために調べてきたんですけれども、結果に方向性を求め、不確実性をコントロールするというふうなことが書いてありました。これは辞書を引いても分からなかったのですが、インベストという言葉に似ている言葉として、『ハーベスト』という言葉があります。収穫という言葉、なんとかベスト、インベスト、似ているんじゃないか、たぶん語源は一緒じゃないかなと思うんですけど、やっぱり農作業で汗を流して、その結果、果実を得るというイメージ、これが投資だと思うんですね。

    投機というのは、典型的に言えば、お侍さんの時代の半か丁かっていう世界だと思うんですけど、そこには、何の根拠もないわけですね。だから理屈がないのはやめて、ご自分の投資判断の中で、理屈を持って進めていただければよろしいのではないかと思います。

  • (藤沢氏)

    ありがとうございます。そうですね。『ダラリ』っていうのは覚えておきたいですね。お店に行ったときには、このダラリを基準にしていろいろお話ししていけたらいいなと思います。今、インベストの語源の話がありましたけれども、私もこの間調べたんです。『インベスト』っていう言葉の語源は、『イン』、『ベスト』なんですね。ベストの中に、石を入れて温めておくというところから始まっているって、私は豊臣秀吉を思い出したんですけれども、ぞうり入れておいて出世したみたいな、だから、中に入れて温めておく。だから投資というのはそういうものなんだなというふうに、それで理解したのですが、『生活設計』、今話を伺っていると、資産運用というのは、要するに長期分散積立という基本の三つを知りながら、金融機関とコミュニケーションをとって、そしてそのリスクのあまりありすぎるようなもの、自分にとってリスクがありすぎないものを上手に選んでいくっていうことが大事だというふうに伺ったように思うんですけれども、そもそも必要なのは、自分の言いたいこととか自分がどう生きたいかという設計のところから始まるのかしらっていうふうに聞こえてきたんですけど、これは難しいですよ。武田先生、すいません。いつから、何から始めたらいいんでしょう。

  • (武田氏)

    これは私の恥をお話ししないといけないと思うんですが、私が51歳の時に、「もう銀行やめろ」と言われまして、強制退職ですね、当時孫会社に出向しておりましたので、そこへ行っているから、もうおまえはやめろということのようで、早期退職、51歳です。一応退職金はもらったんですけれど。

    その時に、社宅に居たんです。社宅に居たら会社の社員でなくなると1週間経たずに出て行けということになるのですね。そんな酷いことあるかと、俺何十年この会社のために頑張ってきたんだと思っていましたけれども、それが規則上ダメだと。それで慌てましたが、自分の家計簿をつけたことないのですよ。女房は私に全部お金を任せて自分はノホホンとしてずっと生活しており、私が全部お金を管理しています。ところが自分のお金の出入りが全然分からなかった。

    おそらく、定例収入無くなりますよね。今のこの私が作ったファイナンシャルプランナーの会社っていうのは、儲かるかどうかもわからない。給料払って貰えるかもわからない。その時点で、会社がダメだったら、銀行に帰りたいって言ったら、おまえもう退職したからダメって言われますよね。

    慌てて自分の家計の月の出入りを調べてみたんですが、全くわからないのが一つありました。私は大体財布に1万円か2万円くらいしか入っていないんです。キャッシュが。ほとんどがクレジットカードで払っているわけですね。だからどこで何を使ったかは、そのクレジット会社からくる明細リストを見ないとわからない。しかし分類できなかったのです。把握できないお金がありましたので随分苦労しましたね。一体私の一ヶ月の家計の基本になる枠組みがいくらかもわからず随分苦労しましてね。

    まぁまぁ、このぐらいっていうのも家内にも聞いて、それから始まりました。だから、私、今までこの仕事、銀行に居ながら、こういうことまったく何も知らないで、よくきたもんだと思って大反省でしたね。皆さんはどんな状況にいらっしゃるか分かりませんけど、奥さんと、もしやれるのなら一緒に今自分の家計どんな感じっていうのを、基本的に、臨時の大きなのは別にして、今の基本になっているところだけ、一度おやりになれば、それが失敗しないでいいかも知れませんね。

  • (藤沢氏)

    そうですよね。特に退職をする時なんかはいいかもしれないですね。

  • (武田氏)

    そういうタイミングが一番いいですね。退職金は今しばらくありますからね、しばらくはなんとか食いつなげるでしょうしね。

    ただ、先程老後の生活設計ってあったでしょう。いくらぐらいあったらいいって人それぞれ違うんです。全く違う。生命保険文化センターってあるのですけど、そこにいくと、年金はちゃんともらうにしても、退職時に最低3000万円いるよって書いてあるのがありますね。

    人によっては1億円いるよっていう人もいるし、いろいろですけど、それは人によって違うんですが。後ね、退職してからおそらく長生きしますよね。今、男性が76歳ぐらいだったかな、77か、78か。女性が80超えていますよね。そうするとね、現役の時代より後の時代の方が長い。これをどうクリアするかは大変ですよね。だから、早くやらないと、私みたいに、アアいかんっていうことでやったらダメなんですね。

    そこで気づいても、お金は急に入ってきませんでしょう。宝くじ当たれば別ですけれども。今3億円のクジをやっていますけれど、ウチの家内、これ買いました。でも、まず当たらないでしょうね。そうすると、今なんとかやれる、頑張れる間に、残りの何十年かを生活することを考えないといけないので、元気な人、あるいはノウハウを持ってる人はもちろん仕事することでもいいし、そこで何か考えねばなりません。このプランニングは、大変でございますが、もう私はいいんだと思わないでやって下さいね。

    これは大変な作業になりますので、その時に必要なのが金融知識です。先程言いましたが、複利の方程式なんかの計算も必要になります。

    パソコン持っている人は、エクセルっていうソフトでやると、すぐ何乗っていうのは計算できますから、簡単に出ます。今私は強制的で急な状態で失敗したのですけれど、皆さんもそうならないために、現状で後どう生きるかっていうのを大変難しい計算作業になりますがやってみられると良いと思います。今、なんでしたっけ、脳のパズル?

  • (藤沢氏)

    はい、数独。

  • (武田氏)

    そう「数独」やるぐらいなら、自分の生活プランをやった方がよっぽど役に立つんじゃないかと思いますけど、いかがでしょうか。

  • (藤沢氏)

    ありがとうございます。まず自分が月々いくら使っているか、そこからスタートだっていうことですよね。これは本当、皆さんぜひ私もやらないといけないんですけど、だいたい退職前に皆さん不安になってしまうんですよね。「長生きして足りなかったらどうしよう」って、だから足りるか足りないかは、それはまず見ればわかりますよね。

  • (武田氏)

    そうですね。今、私のような仕事している人とか、銀行、きっと堀さんところもあると思いますが、パソコンで今あなたの現状聞かせて頂ければ、30年ぐらいかな、30年ぐらい先までで、あなたがいつパンクするかっていうの出してくれるソフトがあります。

  • (藤沢氏)

    パンクするかっていうソフトって、ちょっと暗いです。

  • (武田氏)

    パンクしたらダメなので、それで、銀行のセールストークは、「だからあなたダメでしょう、これからこうしないといけません」って、きっと言うと思うのですが、そのパンクする以前に、パンクを修理するっていうことを考えられればいいかっていうことになるかもしれませんね。

  • (藤沢氏)

    パンクするかしないかって、安野先生、日銀のサイトなんかでもそういうのありますよね。

  • (安野氏)

    はい。生活設計のサイトがあるんですけれど、その前に、私がこの仕事を始めた頃に、74歳でパンクしちゃう家計というのをどう立て直すかというシミュレーションをしたことがあるんです。4人家族で、確かご主人が35歳、奥さんが32歳、お子さんが二人、そこの家も平均的なサラリーマンで、まだ10年前ですから、一応右肩上がりで退職金も満額出てという想定で、お子さんを私学にね、確かあのとき小学校から入れて、海外旅行をして、お家を建ててという、そういうお家だったんですけど、残念なことに、74歳で家計が破たんしてしまいますということで、どうするか、どうしたらいいでしょうというシミュレーションを、グループでやったんです。その時に、まず奥様に、下の方が小学校の、そうですね、3~4年生になったら、まずちょっと働いていただく、それも年収100万で働いていただいて、それで、ご主人を60歳定年ではなくて、68歳まで働いていただいて。

  • (藤沢氏)

    まず働く?

  • (安野氏)

    それから、学校は中学までは公立で、高校からその方の好みで行っていただくということにしまして、あと、学費が終わった時点で奥様の収入はまるまる貯金に回すというふうにしましたら、かなりゆとりのある生活になりました。そのときに感じましたのは、やっぱり武田先生がおっしゃったように、複利の原則と、それから長期の、だからその奥様の貯蓄を全部貯蓄に回すということで、10年ぐらい回せたんですね。そうすると1年100万かもわかりませんけども、10年たてば、1000万になります。それは複利で運用すれば相当な額になるというのを、その時すごく学ばせていただいて、やっぱり早目の手当と、家計をまず1回棚卸ししてみるというのは、一年に一度されるというのはすごくいいことかなあと思っています。

  • (藤沢氏)

    そうですね。ちょうど年末ですしね。

    家の掃除の後は、お財布の大掃除。

  • (安野氏)

    それこそ、会社の貸借対照表みたいなものができたら素晴らしいんじゃないかなと思っていますけど。

  • (藤沢氏)

    それを教えてもらえますか。

  • (安野氏)

    金融広報中央委員会の『知るぽると』というホームページで、『資産運用』という項目をクリックして頂きますと、それに近い表があります。計算式もエクセルが入っていますから、できるようなっていますので、もしよろしかったら皆さんしてみてください」

  • (藤沢氏)

    はい、じゃあ年末はご夫婦そろって数字を入れていくと、年末に『70歳で破たん』って出るとちょっと暗いですけどね。

  • (安野氏)

    でもまだまだリカバリーはできると思いますので。

  • (藤沢氏)

    その場合は、安野先生のところに相談に行けばいいということでしょうか。

  • (安野氏)

    そう、私でなくても。

  • (藤沢氏)

    堀さんのところに、もしくは武田先生のところに。 

  • (武田氏)

    子供が心配するんじゃない。「両親2人何やってるんだろう」と、「俺んとこ大丈夫かしら」と。

  • (藤沢氏)

    いや、でも大事なんですよ。これからたぶん子供の世代こそがそういうことをやらないといけないので、子供達って親から正面で言われていることって、意外に聞いていませんけど、親の後ろ姿を見ていますから、そういうことを親がやっていたというのはいいことですよね。

  • (安野氏)

    そうですね、それで、これから若い方っていうのは、細かな生活設計は立てる必要ないと思うんですけども、だいたい何歳ぐらいで年収がどのくらいになってるとか、預貯金がこうで、出費がどうでと、そういうことのアウトラインを掴むうえでも、生活設計を立てることはすごく必要かもしれないと思っています。

  • (藤沢氏)

    なるほど。ありがとうございます。丹野先生もウンウンっておっしゃっていました。どうですか、この生活設計。

  • (丹野氏)

    その通りだと思っています。私は、団塊の世代真っ盛りでございまして、娘が二人いるんですけれども、それが30代になったばっかし、いわゆる団塊ジュニアで、母親が一人いましてそれが80いくつ、典型的なこういう暮らしで、お金に対する考え方は、みんな全然違うんですね。

    母は、80ウン歳、もうすぐ85、6になるんですけど、母のいつもの決めのセリフは「老後が不安だわ」って言われてですね。もちろん持家もございます。きっと私は知らないけども、それなりに預貯金もあるんだろうというふうに思っておりますが、それでも、そういうふうに実際に言っていると、父が亡くなった時に、ウチの母親が一時的に気が弱くなっていまして、その時に、「ウチの預金の額を教えるから」、「私はちゃんと生きていけるかしら」って言われて初めて、母親にどれだけの収入があって、どんなことっていうのをやってみたのですね。それをその辺にあった紙で、それこそチラシの裏みたいなところで、こうやって線を引いてみて、こういう形で暮らす、毎月いくら入ってくるでしょう、出ていくのはこれだけでしょう、これはこうでしょうというふうにやって、一応安心をさせたという経験があるんですけど、たぶんそれが母にとってのライフプランなんだろうなと。もちろん、高齢者の方って、突発的な、例えば冠婚葬祭にやたらお金を掛けますので、これからそういう自分の出費がすごく増えていくにしても、それでも、一応そういうものが頭にあれば、そこら辺は押さえていけるだろうなと。それから、自分の話はちょっと飛ばして、うちの娘たちの話で言いますと、なぜか知らないけれど、彼女たちの年代って、不動産にすごく興味があって、「とにかくマンションが欲しいんだ」と。

    一人の娘はですね、堅実な性格で、就職して以来、社内預金をずっと手をつけずに持ってきたという、そういう典型的にそういう性格で、姉妹でも、彼女はケチと言われていますが、そういう性格でございまして、キッチリしていて、自分の収入をいつも把握していて、出ていくのも把握している。連れ合いも似たような性格の人間だから、そこでちゃんとマンションを買って、頭金を出して、それでこうやってこうやっていくと。そうすると、当然、ライフプランって、みなさんお立てになると、とても窮屈だとよく言われるんです。さっき、武田先生の話の中に、ちゃんと突発時っていうお話がありましたけど、それでも、そういう変数が読めないというふうに言われるんですけど、そこら辺をたくさん大目に見ておけば、少なくとも基本になるベースの預金があって、例えばマンションを買ったとしても、こういう形で返していけるっていうプランニングもできれば、そういう形でいけるとなります。

    もう一人の娘は、典型的な入ってきたら使っちゃう、「あんたは江戸っ子か」っていうようなタイプの人間でございまして、それもちょうどそれに相応しい連れ合いなんですね。そうすると、姉が買ったから自分も買いたいって言ったときに、「お姉ちゃんは、ちゃんと頭金は自分でためたのに」って、そこがないということになります。

    そういう意味で、そこから始めなくちゃいけないっていう話になって、「お母さん貸して」とか言われて今とても困っているんですけど、それはそれとしてですね、やっぱりそこら辺の部分で、じゃあ、一緒になって、それこそ母にやったのと同じようで、「あんた達一体いくら収入があるの」と、「一体普段どういうふうに使っているの」と。別に親だからと言ってそんなことしたくもないんですけれども、そういう形で話をしていって、基本で、これだけ入ってくるとすればこうでこうでこうでっていう話をして、ある程度のそのそういうものを見込んで作ってやると、「ウンじゃあ、この方向でいって、じゃあ、マンション買ってみようかな」っていうような方向でいけるっていうことになります。

    やっぱり、ある意味、そういうその基本になるプランニングというのは、どの人にとっても必要で、それも、いつから始めるかということになれば、当然気が付いた今日その日から、早いうちにということになります。ですから、先ほど来お話にありますように、暮れになったらとか、新年の除夜の鐘を聞くときには、家計の中のライフプランニングの話を二人でして、ご夫婦でなさって、除夜の鐘を聞きながら、こういうふうにするから来年はこういうふうにしようねっていう話をなさっていくっていうのが、たぶんとても大事なことではないのかなというふうに思います。

  • (藤沢氏)

    お子さんのライフプランを、お父さん、お母さんがみてあげるって、実はとても大事で、まさに団塊ジュニアあたりの人たちのアンケートを取ると、老後の心配っていうのはあるんですけど、でも、親が資産を持っているということを書く人が結構いるわけですよ。

    だから、自分たちは今、宵越しの金は持たなくても、いずれは親が残して去っていくのではないかという老老介護ならぬ老老扶助みたいな世界がやってくるんじゃないかというので、これは自分のためにも子供のためにも大事ですね。堀さん、金融機関として生活設計に対してはどんなふうにお考えなんでしょうか。

  • (堀 氏)

    私自身、ライフプラン、人生設計、計画というものについては、社会人になってから人生の終着駅までを、三段階に分けて考えています。

    一番最初は社会人になってから結婚するまでです。この時期というのは収入は少ないですね。でも結婚もしておりませんので、世帯も構えておりませんので、支出はもっと少ないということで、少ないながらも収入が支出を上回っているという時期かと思います。

    この時期に何をするかということですが、資産と言うのはお金だけじゃありません。友人関係、人脈、健康、体、仕事上の知識、すべてが資産ですので、結婚するまではあまりお金のことを考えずに、一生懸命仕事に打ち込む、人脈を作るという時期かと思います。お金のことに限って言えば、持ち株会で自社株を月々無理のない範囲で買うとか、投資信託も月々いくらということで積み立てられますので、会社の関係、仕事の関係で興味のあるような投資信託を一つ二つ買っておくというぐらいで、先ほど申し上げた時間分散、長期保有で、10年たったらこんなに貯まっていたという程度でよいと、個人的に思います。

    次が結婚から退職というところですけれども、ここは住宅ローンだとか子育て、教育、こういったところで、だいぶ支出も嵩んで参りますけれども、収入もぐっと伸びて参ります。この時期も、収入が支出を上回るという時期でございますので、ここは、退職時の目標をきっちりと定めて、計画的に、金融資産の貯蓄をするという時期かと思います。

    今まで触れられていなかったので、住宅ローンについてちょっとだけ触れさせて頂きたいと思いますけれども、結婚から退職までの時期、ここで住宅ローンを組む方がほとんどだと思うんですけれども、いろいろな本の中には、最低1割2割は自己資金を投入しましょう、などと書かれています。それによって毎月の返済負担を軽減して参りましょうということが書かれておりますけれども、私自身の体験も含めて申し上げると、自己資金を投入することは大事だけれども、それ以上に大事なのは、万一に備えて、一定額、例えばその住宅の価格の10分の1だとか、年収の半分程度を手元に置いておくこと、これがすごく大事だと思うんですね。

    住宅ローンを組んだ後に、リフォーム・結婚式・教育など、先ほど武田先生のお話のような、急な出費があったときに、手元に余裕資金がないと、銀行に借りなければなりませんが、住宅ローンの金利よりずっと高い金利で借りることになります。なので、住宅ローン借入時には、手元に余裕資金を残しておくほうがよいと思います。これも私の体験的な感覚でございます。

    そして最後、退職してから人生の終点までということで、これは武田先生がおっしゃったとおり、40年ですか。仕事していたよりも長い時間だということになります。

    この時期というのは、年金生活者ということになりまして、それまでの生活水準を維持するとなりますと、収入よりも支出が上回っていく時期だということになります。すなわち、これまで蓄えてきた金融資産を消費していく時期ですよね。

    ここで長生きリスクなどという、たいへん嫌な言葉がございますが、本来、長生きと言うのは大変おめでたいことですけれども、先ほど申し上げたとおり、この最後の40年間というのは、収入よりも支出が多いわけですから、蓄えてきた金融資産がどんどん目減りしていくと、これは本当に不安だと思うんですよね。先が見えないから不安だと思うんです。ここをぜひ見えるようにするというのが、このライフプランの本質ではないかというふうに思っております。100歳の人生を前提にしてライフプランを立てると、孫になんとかとか、海外旅行したいとか色々夢があると思います。でも、すべて、そういった主たる経済取引の裏側には、お金の取引が付いて来るわけですから、お金を抜きには語れないところでございます。

    最後本当に時間おしておりますけれども、リスクとリターンの話だけ、ちょっとだけさせて頂きます。

    リスクと言うのは価格のぶれ幅というふうに言われております。リスクが高いほど、リターンは高いというふうに言われておりますけれども、私たちが職業選択するときに、意外と無意識のうちに、ちゃんとリスクとリターンを計っているというふうに思います。

    例えばですが、スポーツ、芸能の世界というのは収入のブレが多いですよね。イチロー選手だとか、松井選手、これはもう億円のプレーヤーでございますし、芸能の世界で申し上げれば、ちょっと古いかもしれませんが、五木ひろしだとか森進一だとか氷川きよしというのは、これもワンステージ何百万という人たちです。一方、夢半ばにしてそういう世界から挫折して身を引く方もいらっしゃれば、世界チャンピオンになるまでアルバイトで生計を立てていたという人もいるかもしれません。

    私たちは職業を一つしか選べません。多くの人は、スポーツ・芸能の世界の、収入の多い少ないのブレを避け、サラリーマンを選択します。私もサラリーマンです。なので私の収入はそれなりに安定しているかもしれません。ここで重要なのは、スポーツ・芸能人の年収の平均は、我々サラリーマンの年収の平均よりも高いということです。職業の選択でリスクをとった分、全体で見ると、サラリーマンである私たちの平均の収入よりも高いということです。リスクとリターンの考え方の大本としては、リスクを取れば、リスクをとらない場合より、平均の期待収益は大きいということなんです。

    これは物理学・数学のいわゆる方程式とか、公式とか定理とは違うかもしれませんけれども、過去の経験上はこうです。未来永劫保証するものではありませんけれども、過去を顧みるとこうなっています。全資産をリスク資産にバンと持って行くということは、これはあってはならないことですけれども、こういった低金利下、一定の部分はお金に働いてもらうというのが、やはりこの最後の40年を乗り切るうえで、これはとても大事なことなのではないかなというふうに私自身は思っておりますし、先ほどの言葉をもう1回申し上げれば、両親や友人にも自信を持って勧めてまいりたいところだというふうに思っております。

    また、この考え方も先がございまして、金融資産の総額は、最後の40年は年令とともに目減りしてまいります。そういう変化に合わせて、金融資産総額におけるリスク商品の割合を減らしていくとか、あるいは、リスク資産のなかでも株と債券の割合を変えていくとか、こういったところは計画的に見直していく必要があります。

    預金は、翌日解約しても元本が保証されるという優れた商品ですが、一方で、預金だけでは、最後の40年をゆとりもって進めていく上では、やや心もとないのかなというところが個人としてはございます。以上です。

  • (藤沢氏)

    そうですね。先ほどの話にあったように、自分のお金の流れを確認していったら、どうも足りなくなる。でも歳をとってから、夫婦で、「じゃあ働きに出るか」っていうわけにはいかないですから、やっぱり運用とおっしゃっているように、どう取り入れていくかということが非常に重要だと思いますし、やはり世界、トータルで見れば経済は成長していくわけですから、その成長をどうやって取っていくか、その割合をどうするかということに関しては、まさに『知るぽると』のサイトを使ったり、先生方に相談に行ったりというところがスタートなのかなと思うのですが、それでもその前に、私たちにとってこういう金融経済の知識って、すごく重要なのですが、私も日頃すごく感じることなんですけれども、こうやって集まられる方と、全く来ない方って、やっぱりいらっしゃるわけですよね。いらっしゃる方はどんどん賢くなっていくんですけど、いらっしゃらない方は、その機会を得ないままずっと知らなくて、70すぎて、「知らなかった」、「ああ知っておけばよかった」ってことになってしまうのかなと思うのですが、こういう学びの場とか金融経済教育って、どうしたらいいんだろうっていうので、もう時間もあまりないですけれども、安野先生、何かアイディアはございますか。

  • (安野氏)

    いや、アイディアになるかどうか分からないのですけれども、私がもう9年ぐらいになるんですけれども、仲間で投資クラブというのを作っておりまして、一定割合それぞれがお金を出し合って、株式を買うということをやってるんですけれども、やっぱりその会社に対する興味だとか、それから、経済に対する興味だとか、金融商品に対する興味を持つようになりました。投資信託でなんでこんな手数料とられるの、直接投資すればもっと安いじゃないっていう話だとか、そういった、実際自分でお金を出すと勉強するっていうところはあるかなというふうに思いますので、やっぱり自分が買った商品に対して、どういう商品なのか知りたいと、そういうところから始まるような気もしてるんですけれども。

  • (藤沢氏)

    そのお仲間は、どうやって募られたんですか。

  • (安野氏)

    たまたまちょっと同じ仕事だったり勉強の仲間で、女性ばかりなんですけれども、それこそ、9.11の後の日経平均7600円でしたか。その時も経験しまして、本当に、いろいろあったんですけれども、いい勉強させていただいたなと思っております。

  • (藤沢氏)

    ちょっと込み入った質問ですけれども、どのくらいの資金でスタートされたんでしょう。

  • (安野氏)

    最初は一人1万円からで、やっと株を買えたのは、始めてから3ヶ月でミニ株を買いました。

  • (藤沢氏)

    じゃあ、毎月1万円ずつ出し合って、最初は買わないで計画を立てて。

  • (安野氏)

    そうです、そうです。

  • (藤沢氏)

    それはいい話ですね。

  • (安野氏)

    そうですね。その間に何を買うか、『喧々諤々』、ちょっと険悪なムードになったこともあったんですけれども。

  • (藤沢氏)

    それはいいアイディアですね。お友達どうし、もしくは家族でやるとか。家族なんかはもめますかね。

  • (安野氏)

    うん。もめると思います。

  • (藤沢氏)

    そうですか。じゃあぜひお友達関係で、そういうサークルとか、たくさん作られたいいかもしれませんね。

  • (安野氏)

    今、確か証券業協会の方で、投資家を育てようということで、投資クラブの積極的な説明ですとかそういうこともなさっているようですので、そういったところに気軽にお出向きになるのもいいんじゃないかと思います。

  • (藤沢氏)

    そうです。株は今、長期投資もいいし、配当ももらえますから、年に1回の配当でその会の飲み会をやってもいいでしょうし、あと株主優待なんかもありますから、どこかのレストランの株を持ってればそれで食べに行っても。

  • (安野氏)

    結構、株主優待で楽しんでいます。

  • (藤沢氏)

    そうですか。ぜひ勉強というのは、こうやって座学だけじゃないので、きっと今先生がご指摘くださったように、やっぱり自分で体験して。

  • (安野氏)

    そうですね。やっぱり体験する程度がやっぱり一番身につくというか関心も湧くでしょうし。

  • (藤沢氏)

    先生ちなみに儲かっているんですか。

  • (安野氏)

    うん、とりあえずちょっと。

  • (藤沢氏)

    うん、ちょっとということで安心しました。ということで、そろそろ質問時間となりましたので、ひとまずここでマイクを井川さんにお渡ししたいと思います。

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