金融庁では、金融システムの諸課題に対応するため、世界各地の国際機関や在外公館、金融規制当局、日本全国の財務局等に職員を派遣しています。こうして世界中、日本中に派遣された職員から、金融に関する国際的な議論の状況や、各国の金融・経済情勢に関するフィードバックを受け、国際交渉や国内の金融制度の企画立案に役立てています。

フランス パリ

2009年入庁

経済協力開発機構(OECD)
事務局

深見 健太
FUKAMI Kenta

※筆者は右から3番目。当時同じく金融庁からの出向者でOECD事務局に勤務する原口さん(左から2番目)とOECD代表部で勤務する新谷さん(左から3番目)とともに撮影

現在取り組んでいる仕事を教えてください。

 OECDコーポレートガバナンス委員会は、企業統治分野の唯一の国際基準である「G20・OECDコーポレートガバナンス原則」の改訂作業を2021年7月に開始しました。同原則の改訂は約8年振りであり、改訂の論点もESG(環境・社会・ガバナンス)への対応、企業の強靭性を支える株式市場の整備、社債市場における過剰なリスクテイクの抑制等、多岐に亘っています。
 私はOECDに出向する以前に、金融庁の国際部門でいくつかの国際基準の策定にメンバー国の一員として関わっていましたが、現在は国際機関の事務局でいわば舞台裏を見る立場にあります。重要な論点について各国が事務局にどう働きかけ、事務局がどう対応しているかを知る貴重な機会をいただいています。

出向して感じた金融庁の魅力を教えてください。

 アジア最大規模の資本市場を有し、民主主義等の基本的な価値を共有する国として、日本が国際社会で非常に重要な地位を占めていることを再認識しています。また、多様なバックグラウンドを持つ職員がOECDに勤務する中で、金融庁で一国の規制策定プロセスを肌身で経験したことが私自身の大きな強みであると感じます。国内外で重要かつ実質的な仕事に関与でき、都度、自分のスキルや経験を見つめ直して次に活用出来る機会が与えられることは金融庁の魅力の一つです。

日本 東京都

2019年入庁

日本銀行金融機構局
金融第一課

中山 健
NAKAYAMA Takeru

現在取り組んでいる仕事を教えてください。

 日本銀行の金融第一課で、大手行のモニタリング業務に従事しています。具体的には、担当行の資金繰り状況の把握、経営状況の分析の他、当行が所管する預金・貸出統計を用いたマクロな金融環境の把握も行っています。
 近年の大手行では、グループ戦略の強化や海外展開に伴い、そのリスクプロファイルは複雑さを増し、更に外部環境も新型コロナウイルス感染症の影響やデジタライゼーションの急速な進展によって大きく変化しています。日々変化する金融情勢の分析は知的好奇心を大きく刺激しますし、分析の結果が、金融政策決定会合の参加者に伝わり、実際に金融政策に反映されていくという中央銀行職員ならではの醍醐味も感じながら業務に取り組んでいます。

出向して感じた金融庁の魅力を教えてください。

 数年前には考えられなかったことが常識になる変化の激しい時代、今ある銀行・証券・保険といった業態ごとの金融の姿も今後大きく変わっていくのかもしれません。それでも私は、社会・経済の血液としての金融の役割は不変だと信じています。この国の金融について、柔軟な発想で業態横断的に議論し、規制・制度の企画・立案を通じて、あるべき姿の実現に向けて動いていく。唯一無二の金融行政機関である金融庁だからこその魅力だと思います。

日本 福岡県

2017年入庁

福岡財務支局理財部
金融監督第一課

熱田 優季
ATSUTA Yuki

現在取り組んでいる仕事を教えてください。

 福岡財務支局では、金融庁からの事務委託を受け、福岡県、佐賀県及び長崎県の地域金融機関等の検査・監督を行っています。
 私が所属する金融監督第一課では、地域銀行の監督業務を行っており、銀行の収益性・健全性が確保されているか、持続可能なビジネスモデルが構築されているか、日々検証を行っています。
 地域金融機関を取り巻く環境が厳しさを増す中で、地域銀行が地元の企業から求められる役割は多岐に亘っています。地域企業の抱える課題・ニーズを適切に把握し、企業価値向上に向けた最適なソリューションを提供するために、地域の要である地域銀行が、どのような取組みを行っているのか確認し、金融機関の取組みが持続的な地域社会の実現に資するよう、後押ししています。

出向して感じた金融庁の魅力を教えてください。

 出向して感じた一番の金融庁の魅力は、日々変化する状況に対して、機動的に支援策を講じることが出来る点です。新型コロナウイルス感染症等、未曾有の事態が生じた場合、迅速かつ正確に問題を捉え、先手先手で対策を講じる必要があると思います。国民生活に関わる重要な政策決定を行う過程に、一職員として携わることが出来る点は、金融庁の大きな魅力であると思います。

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