金融庁では、国際化・複雑化する課題に行政として対応するため、国内・海外留学制度を通じて、国際感覚を養う機会や高度な専門知識を身につける場を提供しています。幅と変化とスピードに富んだ金融という分野で、「行政のプロフェッショナル」として活躍できるよう、職員一人ひとりの成長を応援しています。主に修士号を取得しますが、博士号を取得する例もあります。

海外留学
  • 金融庁在外派遣制度
  • 行政官長期在外研究員制度
    (人事院)
留学先の例
  • カリフォルニア大学デービス校(米・法律)
  • ケンブリッジ大学(英・金融)
  • エコールポリテクニーク(仏・経済学) 等
国内留学
  • 金融庁専門職大学院派遣制度
  • 行政官国内研究員制度
    (人事院)
留学先の例
  • 早稲田大学大学院会計研究科(会計)
  • 情報セキュリティ大学院大学情報
    セキュリティ研究科(IT)
  • 一橋大学国際
    ・公共政策大学院アジア公共政策プログラム(公共経済) 等
米国 ピッツバーグ

2018年入庁

カーネギーメロン大学
工学研究科 博士課程

川井 大輔
KAWAI Daisuke

現在学んでいることを教えてください。

 暗号資産取引の実態解明に向けた研究をしています。暗号資産およびその派生商品は世界中の取引所で取引されていますが、中には不公正な目的で行われた疑いのある取引があります。インターネット上に公開された取引記録を分析し、このような取引による被害の拡大を防ぐための技術基盤を構築するとともに、それを金融制度にどう取り入れていくべきかを日々検討しています。

留学を決意した理由は何ですか。

 業務に携わる中で、情報技術について理解することが今後重要になると強く感じたからです。フィンテックや暗号資産の台頭により、情報技術が金融に与える影響を把握し、技術者をはじめとする新たなプレイヤーと対話することがより重要になると思います。そのような状況下で金融行政に貢献するため、腰を据え情報技術を学び、一度当局者とは異なる視点から金融制度を考えたく留学を決意しました。

今後挑戦したいことを教えてください。

 暗号資産の研究には、IT技術・経済学・公共政策等様々な分野の関係者が参入し、それぞれの視点から新しい知見を提示してくれています。そのような中で研究業績を上げ、コミュニティに貢献することが目下挑戦中の課題です。そして、この期間の交流を通して様々なステークホルダーと信頼関係を築き、帰庁後もより良い金融制度を構築できるよう挑戦し続けていきたいと思います。

米国 シカゴ

2018年入庁

ノースウェスタン大学
経営学(MBA)、デザインイノベーション専攻

杉野 隆弥
SUGINO Takaya

現在学んでいることを教えてください。

 ノースウェスタン大学にて経営学(MBA)とデザインイノベーション(Master of Engineering in Design Innovation)を専攻しています。MBAでは、財務会計、マーケティング、経営戦略、組織論等を幅広く学びつつ、世界各国から集まった様々なバックグラウンド(事業会社、金融機関、投資ファンド等)をもつ人々とともに、多くのビジネス事例について議論しています。MEDIでは、新規の事業や政策をステークホルダー中心にデザインする手法について学んでいます。

留学を決意した理由は何ですか。

 政策立案や監督業務に関わる中で、金融機関や投資家の方々と彼らの視点に立ってより高いレベルで議論できるようになる必要があると感じ、ビジネスを体系的に学ぶ必要があると考えました。国際的な場面で交渉や議論を行う機会に備えて、特にMBAにて、自身がマイノリティとなる環境でプレッシャーのかかるコミュニケーションを繰り返し練習したいと思いました。

今後挑戦したいことを教えてください。

 留学後は、留学で培った国際的なコミュニケーション力、デザイン手法の経験、金融実務やビジネスへの理解等を活かして、国際金融規制に関する海外当局との交渉、フィンテック関連の新規政策立案等に挑戦していきたいと思います。

日本 神奈川県

2017年入庁

慶應義塾大学大学院
メディアデザイン研究科

土屋 あんな
TSUCHIYA Anna

現在学んでいることを教えてください。

 セキュリティを中心としてサービスデザイン、テクノロジー、マネジメント、政策等幅広い分野について学んでいます。授業では最先端の技術に触れる機会も充実しており、より実践的なスキルを習得することが出来ます。また、留学生も多く、国や組織を超えた議論を通じて理解を深めることができ刺激を受けています。

留学を決意した理由は何ですか。

 金融機関のセキュリティに関する業務に携わる中で、デジタル化やサイバー攻撃の高度化に伴い、セキュリティが金融システムの安定にとって重要な要素の一つとなっていることを実感しました。こうした経験のもと、金融分野のセキュリティを強化するためには、金融当局職員として求められるITの専門性を高める必要があると考え、留学を志しました。

今後挑戦したいことを教えてください。

 留学後は、大学院で培った知見やノウハウを活かし、金融機関の検査・監督業務等に資することが出来ればと考えています。金融分野のデジタル化が進む中で、検査・監督業務でもIT知識が求められる機会が増えています。金融の検査・監督業務において、高度な知識と経験を持つ行政官とITやセキュリティの知識を有した専門家を結びつける橋渡し人材として貢献していきたいです。

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