金融庁 採用案内 2013-2014
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「自分の好奇心を満たしてくれる仕事は何か」「1度しかない人生を有意義に費やせる仕事は何か」というモノサシに合ったのが金融庁。10年目(8つ目のポスト)となるが、今のところ幸せなことに、このモノサシから外れずに今日に至っている。「民間企業に勤める妻と、2歳になる子どもを共働きで育てる」という仕事との二足のわらじ。何となく訪問した金融庁の、開放的でざっくばらんな雰囲気に惹かれ、入庁。「金融行政の仕事が好きか」と問われると、行政の仕事は好きだが、金融行政に特別な思い入れがあるわけでもない。でも、この組織の雰囲気は、今でも割と気に入っている。今泉宣親小長谷 章人き着きました。 従前のように既存の投資家だけに注目するものから、私たちのような20代・30代の若年層でも長期・分散投資をコツコツ続けることを通じて、バランスの取れたリスクを取って、投資の成功体験を積んでもらい、投資を身近に思える人を増やしていきたいと考えています。 小長谷さんのお仕事も、「投資家に成功体験を積んでもらう」上で欠かせない仕事ですよね。小長谷ーー「投資家に成功体験を積んでもらう」上では、市場に対する投資家の信頼を確保することが肝要です。不公正な取引が横行しているようでは、話になりません。 一昨年の秋頃、上場会社による会計不正が問題となりました。この事案においては、証券会社OBや経営コンサルタントといった上場会社の外部にいる協力者らが、損失隠蔽のための巧妙なスキームを立案し上場会社に提供するといった加担行為を働いていた点が特徴的でした。 従来の金融商品取引法の下では、会計不正を行った上場会社は課徴金という行政罰の対象となっていましたが、それに加担した外部協力者は課徴金の対象となっていませんでした。 そこで、外部協力者による不正な加担行為を抑止するため、これらの加担行為に対しても課徴金を適用することについて検討を行い、昨年春に金融商品取引法の改正案を国会に提出しました。この改正案は、国会での審議を経て、昨年9月に成立しています。 こうした改正を通じて、我が国の金融・資本市場の公正性・透明性向上に資することができれば、制度整備に携わる者としては冥利に尽きますね。金融・資本市場を取り巻く環境は、日々刻々と変化している。制度整備にあたる上で二人が心がけているのは、どのようなことなのか。小長谷ーー金融商品取引法制の目的の一つは、言うまでもなく、金融・資本市場のルールを整備することを通じて投資者の保護を図ることです。投資者保護の観点からは、上場会社や金融機関に対する規制は、厳しければ厳しいほど良いと考えられがちですが、過剰な規制は円滑な取引を阻害し、市場の活力を奪いかねない。そこのところのバランスには、気を遣っています。とても繊細で、難しい部分ではありますが。 あと、庁内の親しい後輩が「皆が、あと半歩の勇気を持てば、世の中はもっと良くなる」と言っていました。とかく「できない理由」から考えてしまいがちな公務員にとっては耳の痛い話であり、日々の業務の中で心がけるようにしています。 今泉さんは、どんなことに気を配っているの?今泉ーー私の仕事は、民間金融機関や金融庁内の「金融のプロ」と財務省や総務省の「税制のプロ」を繋ぐ仕事です。金融のプロに税制の立場を理解してもらわないと税制当局に耳を傾けてもらえるような「要望」にはならないし、税制のプロに金融の立場を理解してもらわないと、措置しても「使えない制度」になりかねない。こうした観点から、両者の立場への理解を少しでも深め、それぞれが納得してもらえるような話の持って行き方はどうすればいいか、日々苦心しています。最後に、仕事のやりがいと醍醐味について聞いてみた。今泉ーーやはり「やりがい」「醍醐味」は、霞ヶ関のどこの役所でも同様かもしれませんが、自分がやった仕事によって、多かれ少なかれ、「世の中に影響が及んでいる」ということです。その中でも、金融庁の業務は、「お金」を通じて、世の中のあらゆる活動に関わっていると思います。 今、携わっている仕事について言えば、おそらくこのパンフレットが人々の目に着く頃には、金融機関が日本版ISAについてのコマーシャルを展開しているでしょう。さらに、10年後、日本版ISAを通じた家計の資産形成が進んでいれば、各家計が自助努力によりカバーできる範囲も広がっていき、年金や教育といった分野における公的負担の在り方が見直され始めているかもしれません。小長谷ーー先ほどお話ししたとおり、一昨年秋に上場会社による会計不正が発覚し、再発防止に向けた課徴金制度の見直しに取り組みました。 昨年3月に金融商品取引法改正案を国会に提出し、ホッと息をついたのも束の間、今度は、私設取引システム(PTS)を通じて行われる株式取引について、公開買付規制の5%ルールの適用を除外できないかどうか検討を始め、昨年6月に改正案を公表、10月には新制度を施行しました。現在は、次期通常国会に提出予定の改正案の検討を行っていますが、それと並行して、昨年9月に成立した新しい課徴金制度の施行に向けた準備(政令・内閣府令といった下位法令の改正)も進めなければなりません。さらに、これら以外にも、見直しを検討したい法令があるんですよね。 こんな感じで、四六時中、何らかの改正案を検討していますが、「システムが抱える問題と向き合い、それを解決するために知恵をしぼる」という作業が好きなので、その作業に浸っていられる今の境遇は有り難いと思っています。今泉ーー我々のような若手が知恵を絞って出した答えが、組織の中でブラッシュアップされながら、世の中に出て行くのは醍醐味ですよね。きちんとしたアウトプットを重ねることで、世間から信頼を得、色々とインプットしてもらえるようにありたいと思う今日この頃です。小長谷ーーそういうまとめは、どう考えても先輩の仕事じゃない?今泉ーー風通しの良い組織ですから。↑↑19

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