金融庁 採用案内 2013-2014
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33MESSAGERyosuke Ushida 私は昨年8月からトルコの首都イスタンブールにあるJETRO(日本貿易振興機構)の事務所に出向しています。トルコの急速な経済発展を受けて、多くの日本企業がトルコや近隣の国へのビジネス展開を模索しています。私の主な業務内容は、訪問企業へのトルコ経済についての解説、マクロ経済動向等に関するレポート作成・公表、現地ニュース記事の翻訳・配信など民間企業の事業展開を直接サポートするものに加え、日トルコEPAの締結に向けたトルコ政府との交渉に大使館・関係省庁等と連携して対応に当たることなど、多岐に及んでいます。日本企業のトルコ進出をサポート企業活動を支える金融牛田遼介日本貿易振興機構(JETRO)[平成22年入庁]MESSAGESaiko Nakagawa中川彩子スタンフォード大客員研究員[平成12年入庁] こちらに来て民間の事業会社で働く方々と接する機会が格段に増えたのですが、私が金融庁からの出向だと分かると、中小企業金融円滑化法や欧州債務危機の我が国金融システムへの影響などに関する質問を受けることが多く、金融庁の政策が実際の企業活動に与えているインパクトの大きさとその重要性を実感しています。若手のうちから重要な政策立案に関与でき、かつ多様な国際経験の場を与えてくれる金融庁は、きっと皆さんの知的好奇心を満足させられる職場なのではないでしょうか。 近年、「システミック・リスク」や「マクロ・プルーデンス」という言葉をよく聞きます。前者は、ある金融機関の破たんや、ある金融市場の機能不全という局所的な現象が、金融システム全体に影響を及ぼすリスクです。古くて新しい問題ですが、金融危機を経て再び焦点が当たっています。こうしたリスクを念頭に、個別金融機関のみならず、金融システム全体の健全性にも注視する概念が、後者、マクロ・プルーデンスと呼ばれるものです。マクロ経済・金融システムの俯瞰 目に見えないシステミック・リスクをどう定量的に把握するか。マクロ・プルーデンスという抽象的な概念をいかに具体化するか。この新しい課題には学界も注目しています。私は今、スタンフォード大学で客員研究員をしながら、この分野の最新の論文を読んだり、他の研究員と議論して、答えを求めているところです。 金融庁は、個別金融機関の健全性や法令遵守状況の「取締り」だけをやっていると思われがちですが、上述の通り、最近はマクロ経済や金融システム全体を俯瞰することも求められており、活躍の舞台が広がっています。(筆者は右から3番目)

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