金融庁 採用案内 2013-2014
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3939ぶん金融だけに収まらなくて、経済のしくみ、国と国の関係にまで及ぶものだと思うんですが、どういう枠組みであれば、両方を達成できるのか、世界の人みんなで解決しなければならない課題ですね。 日本も金融危機の経験があるわけで、そこからの教訓を人類の共通財産として使えるようにして、世界に貢献する必要があります。私どもの世代も、できる限りやってきたつもりで、リーマン・ショック後に日本が提案して国際ルールに入っている部分もそれなりにあるんですが、グランドデザインの提示という面で本当はもっと工夫できたのではないかという気がしています。これから当庁に入られる新しい世代の方には、是非、外国からの提案に対抗してハードネゴをするだけではなくて、こういう金融資本主義の最終段階を生き延びていくために、人類としてどうしたらいいのか、世界のために提案できるようになることをできれば目指してほしいと思います。―最後に、これから金融庁を目指す学生へのメッセージをもらった。佐々木  我々が過ごしてきた30年間もそうでしたが、金融の世界では〝これが絶対の正解だ〟といえる対策や手法が確立しているわけではありません。その一方で、さまざまな知見は蓄積されてきている。過去の教訓を活かしながら最良の手段を探っていくプロセスは、よりダイナミックでチャレンジングだと思います。こんな点に魅力ややりがいを見出していただきたいですね。三井  公の仕事をしたい、同時に民間並みあるいは民間以上に先進的な取組みをしたいという若者には、霞ヶ関の中でも金融庁が最もお勧めです。世界の先進的な金融機関における高度な金融技術・金融取引について勉強し、悩みながら、検査監督手法の高度化に取り組む、これは金融庁の日常です。 私が主に携わってきた法律案の作成のような事務にあっても、新たな破綻法制の構築、横断的な投資者・契約者保護の法制整備とか、課徴金と民事法制を活用した新たなエンフォース(法執行)の仕組みのような先進的な取組みをする機会に恵まれています。金融の分野は、国際的で常に変化が激しく、行政においても、最もダイナミックな仕事ができる分野の1つだと思います。氷見野  最近の学生さんがかわいそうなのは、企業から、即戦力としてきてほしいという要望が強いことです。森鴎外が、椋鳥主義ということを言っていますが、入ってすぐ役に立つような人が、将来よく育つとは限らないいんじゃないかと思います。 たしかに、金融庁の仕事は、すごく専門的に深いことも必要ですし、実際の中小企業なり家計なりで何が起こっているか想像する力も必要ですし、危機対応のときに仕事をしていくチームワーク必要だし、と、いろんな力が必要ですが、入った時からそんなものが揃っている筈はありません。金融庁は、色んな仕事を通して、時間をかけてじっくり勉強したり、自分でよく考えたりしていく機会を提供できる、そんな組織だとも思っています。 「当分は役に立たたないと思っているので心配するな」――以前、長官が入庁したばかりの新人に言っていた言葉です。時間をかけてしっかり育っていただきたいですね。 小野  なんといっても金融は面白いです。なぜなら金融は経済の根幹・血液であるとともに、グローバリゼーションの最前線を走っており、さらに、デリバティブに象徴されるように最先端の技術を駆使しています。そしてその一方で、ATMでも分かるように国民の一番身近なところにある。こういっても、学生さんは「金融の知識が無くて…」とおっしゃるが、氷見野も言うように、入るまでは金融の知識なんてそれ程必要ありません。金融というものがなんだか面白そうじゃないか、そういう気構えがあれば、もう必要十分です。 ぜひ、金融の世界に跳びこんで来てください。

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