金融庁2014
13/48

13Hitoshi Kume久米均 ここでは、現在国際的に議論されている金融規制に関する主なトピックとして、「シャドーバンキング」を紹介します(図表2)。 シャドーバンキングとは、ヘッジファンド※1やマネー・マーケット・ファンド(MMF)※2など銀行システム外で行われる信用仲介活動のことです。こうした活動は、銀行類似のリスクを有する一方、銀行のように厳格な規制が課されていなかったため、金融危機を増幅・伝播させた一因といわれています。 そうしたシャドーバンキングに対して、各国が足並みをそろえた規制対応を行うことは重要です。他方、金融システムにおいてシャドーバンキングが果たす役割やリスクなどは国ごとに異なるため、必ずしも“one size ts all”(各国一律)の規制が適当ともいえません。 国ごとに異なる前提条件の下、各国に適用可能な枠組みの合意は容易ではありませんが、世界中の金融当局が連携しつつ、金融システムの安定という重要課題に取り組んでいます。図表1 金融危機を受けた新たな国際交渉の枠組み図表2 シャドーバンキング●銀行監督当局や中央 銀行などから構成。●銀行監督に関する国 際的なルールを策定。●金融監督当局や中央銀行、  国際機関などから構成。●国際的な金融安定上の課題 を議論。●証券監督当局や証券 取引所などから構成。●証券監督に関する国 際的なルールを策定。●保険監督当局などか ら構成。●保険監督に関する国 際的なルールを策定。銀行システム(比較的厳しい規制・監督)貸出/運用債券投資シャドーバンキング(比較的緩い規制・監督)企業・金融機関預金者・投資者預金銀行ヘッジファンドなど持分保有G20首脳会合FSB(金融安定理事会)IOSCO(証券監督者国際機構)IAIS(保険監督者国際機構)BCBS(バーゼル銀行監督委)総務企画局総務課国際室【著者】※1ヘッジファンド:少数の投資家から資金を集め、積極的にリスクを取り、高収益を目指す  ファンド。※2マネー・マーケット・ファンド(MMF):信用度が高い公社債を中心に投資するファンド。  預金に代わる安全性の高い資金運用先として認識されることがある。

元のページ 

10秒後に元のページに移動します

※このページを正しく表示するにはFlashPlayer10.2以上が必要です