金融庁2014
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24̶̶2人は、就職先選びで、女性としての働きやすさを視野に入れていたのだろうか。そんな点も含めて入庁動機について聞いてみた。八木 私は金融庁に入庁する前、証券会社に務めていた経験がありますが、当時は不況下だったこともあり、マーケットの仲介業者である証券会社は目先の業績を重視せざるを得ない状況で、このままでは個人投資家やひいては日本のマーケットが育っていかないのではと感じていました。官庁訪問をしていたころ、ちょうど金融監督庁が立ち上がり、自分の問題意識に対しここに入れば何かできるのではないか、と思ったのが金融庁を選んだきっかけです。就職先の選択にあたっては、職務の内容に関心があるかに優先度があり、女性として働きやすいかどうかは、まったく考えていませんでした。中川 学生時代は経済学部にいましたが、教室で経済学の理論を学んでもいまひとつリアリティを感じられずにいたんですね。そんな折にアジア通貨危機が勃発したんです。問題の深刻さや各国の対応などを見ていて、座学で聞いた「金融は経済の血液」という話が、ようやく実感をともなうようになったんです。それで金融行政に興味を抱きました。私も八木さんと同じで、就職先の選択にあたり自分が女性であることは意識していませんでした。逆に、今の学生さんは、そういう部分もしっかり調べているようなので感心しているくらいです。八木 実際の職場でも、「女性だから」任せる・任せないという場面はまったくないので、妊娠・出産するまで「女性」を意識したことはなかったです。たとえば、新たな制度を作るための法令改正に携わったり、経営破綻のためにいったん国有化した地域金融機関のスポンサー選定に携わったりと、忙しいけれどやりがいや社会的意義を見出せる職務を経験させてもらっている実感があります。中川 金融立国を目指したり、リーマン・ショックで危機対応にあたったりと、リアルタイムで世界の金融情勢の動きを実感できる点に、ダイナミックさや醍醐味を感じます。最近であれば、米国のボルカールールという1000ページ近くある英文を読み込んだりしながら、各国の主張の背景にあるさまざまな要因を勘案して国際交渉に携わっています。金融行政というのは、基本的に担当者の性別とは無関係ですよね。̶̶2人とも、産休・育休を取得した後に復帰を果たしている。制度の使いやすさや職場の雰囲気、子育てと仕事の両立などについて聞いてみた。八木 民間企業に勤めている友人などに聞くと、制度は用意されていても、実際にはあまり長い期間の育児休暇を取得できない雰囲気の職場もあるようです。金融庁では、ごく普通に1年以上休ませてもらえました。また、復帰後も、たとえば私の名前で幹部への説明を申し込むと優先的に受けてくださるなど、恵まれた環境にあると思います。中川 民間企業だと同じ部署に長く勤めることが一般的なので、復帰後の配属が産休・育休前とまったく変わってしまうことに戸惑うこともあるようですが、私たちはもともと1~2年で異動するのがスタンダードですから、そうした点で戸惑うことはない。この点は、霞が関対談:金融庁ではたらく女性たち。金融庁の特徴のひとつとして、近年の新規採用職員における女性比率の高さが挙げられる。入庁後に出産を経験し、現在は子育てと仕事を両立させている八木と中川に、女性の立場から見た金融庁の魅力について語ってもらった。

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