谷垣委員長閣議後記者会見の概要

【平成12年3月3日(金)於:参議院議員食堂】
  

【閣議案件】

 今日は一般案件は、天皇皇后両陛下のオランダ及びスウェーデンご訪問、チリ共和国大統領の就任式典への井上裕参議院議員の特派大使信任状、ルーマニア国駐在特命全権大使三橋秀方さんの信任状及び前大使の小山嘉昭さんの解任状を決定致。国会提出案件は、地球温暖化防止の活動に関する質問に対する答弁書。法律案につきましては、確定拠出年金法案(金融再生委員会共管)、社会福祉の増進のための社会福祉事業法等の一部を改正する等の法律案、予防接種法の一部を改正する法律案、農地法の一部を改正する法律案、農産物検査法の一部を改正する法律案、漁港法の一部を改正する法律案、の決定。政令につきましては、工業所有権に関する通産省の政令改正。人事案件は、先程のチリの特派大使とペルー大使の件の他に文部教官他280名の叙位又は叙勲の決定。

 閣僚懇でまず保利国家公安委員会委員長の先般の処分についての発言、大蔵大臣から有効求人倍率についての質問、これに対して労働大臣から背景説明。総理から同質問について追加発言。経済企画庁長官から経済指標について発言のあと、若干の議論。

 

【質疑応答】

 問長銀についてですが、外国資本の新しい銀行として期待したいとお聞きしましたけれど、これまでに投入された巨額の税金の評価と新しい銀行への期待の2点についてお聞かせ下さい。
  
員長:ご承知のように、長銀が今月から新しく再出発したわけでありますが、まず、私は関係者のご努力に心から敬意を表したいと思っております。今お話のように、巨額の公的資金というものを投入して損失の穴埋めをして生まれ変わったというわけでございます。国会でも答弁を致しておりますけれども、特別公的管理という枠組みの処理としてこういう負担が生ずるということはやむを得ないことでございますけれども、大変巨額の公的資金を投入したわけでありますから、日本の経済、国民生活に大きく貢献して頂く健全な銀行として、成長をしていってほしいと思っております。

  

 問:長銀の旧経営陣の退職金の返金問題ですけれど、最終的に返還額が2割にも満たなかったということ、また日債銀も退職金の返還があまり進んでないようですけれど、それについてはどう受け止めていらっしゃいますか。
  
員長:これにつきましては色々ご努力をされたことだろうと思いますし、法的に言えば民事、刑事の責任追及というのも行われているわけでありますので、これは自主的な努力ということになるのだろうと思うのです。ただ、これだけの巨額の公的資金を投入している立場からすると、十分であるという評価はし難いなあと思います。日債銀に関しましては今も努力が続いているのだろうと思いますけれども、出来る限りのご努力をして頂かないといけないと思っております。

  

 問:北海道銀行が、今日にも公的資金の申請をするかと思いますけれども、これに続く銀行があるのかないのか、地銀、第二地銀の経営基盤の強化について、今大臣がどのように考えていらっしゃるかお願いします。
  
員長:北海道銀行は今日、また二度目のヒアリングを再生委員会としてするわけですけれど、今後これに続くのがあるのかどうかということは、まだ私も詳細に承知しているわけではありませんけれども、今仰ったように地銀、第二地銀等もこういう枠組みが出来てるわけでして、やはり私は利用して頂きたいと思っております。

  

 問:新潟県警の事件をきっかけに国家公安委員会のあり方が問われていますけれども、大臣ご自身、国家公安委員会のあり方についてどうお考えでしょうか。
  
員長:金融再生委員会も合議制の役所、委員会ですから、私も、金融再生委員会のあり方というようなこととも関連させながら国会のご議論も聞いていたわけでございます。組織論から見ますと、保利さんも仰っている事だろうと思いますけれども、国家公安委員会のあり方もやはりそれなりの歴史的な経緯と判断があって、政治的な中立性を求める為に、あのような組織なり運用になっているのだと思います。そこのところは少し冷静な議論も必要だと思うのです。国家公安委員会のあり方と離れまして、やはり今回の一連の経緯を見ておりますと、一番まずかったのは虚偽の発表をした、虚偽の報告をしたというのが一番まずかったのだろうと思うのです。結局、人間のやってる行政ですから間違うことはゼロにはなかなかできないわけですが、そういう時にとかく、隠蔽をしたりすることによって余計傷も深くするし、国民の信頼も失っていく。そこの所の虚心坦懐な姿勢というのを無くしてしまうと、かえって傷を深くするということだろうと思いますので、私共もそのことは肝に命じて行政に当たっていかなければならないなと思っております。

  

 問:再生委員会設置法では、委員については積極的な政治活動を禁止しておりますし、在任中、あるいは、職を失した後でも、仕事上で知り得た秘密を漏らしてはならない、委員長にはそういう規定は、国務大臣もって充てるということで区別されているのですが、再生委員会が期限を切ったある意味特例でできた委員会という性格、或いは再生についての非常に中立性を求められている性格から考えても、委員長ご自身についても委員と同等の高いモラルが求められていると思いますが、それについてはどのようにお考えでしょうか。
  
員長:再生委員長は閣僚をもって充てるとされているわけです。閣僚をもって充てるというのは必ずしも国会議員であるとは限りませんけれども、日本国憲法の前提のもとでは、閣僚は国会議員である確率が極めて高いわけですから、当然、法自体も政治家が再生委員長として入ってくるということを前提にしていると思います。ですから再生委員長に政治活動を禁ずるというようなことは、当たらないと思うのです。政治家として金融再生委員長を努めるということが期待されているのだろうと思います。そのことはどういうことを意味しているかと言いますと、やはり行政機関というのは日本国憲法でもそういう前提のもとに作られているわけですけれども、官僚機構の独走になってはいけない、最後は民主的コントロールが必要なんだ、という思想があると思うのです。民主的コントロールも場合によっては政治的という意味合いでもって使われますから、誤った使い方をするといけないわけですけれども、最後は民主的コントロールを果たすのは、閣僚である再生委員長が最後に負っている責任だろうと私は思うのです。ここのところはなかなか難しいところだと思います。安易にそういう判断をしてもいけないけれども、そういう気持ちは持ってないといけないと思っています。

  

 問:もう一つ踏み込んでお伺いしますが、前委員長が出席されたようなセミナー、国会議員の方が主催されているセミナーに出席されるということは、あまりよろしからざることではないかと考えますが、それについてはどうですか。
  
員長:セミナーの性格にもよるのだろうと思います。要するに政治家が全然人と接触しなかったり、自分の考えを外に言わないというのは必ずしも良いことではない。閣僚たる再生委員長がいろんな場合に自分の考えを訴える。それはみなさんのようにメディアの方と接触して、それを通じて自分の考えも国民に理解して頂くということも必要でしょうし、あるいは大勢の前で講演をしたり、いろんな方と接触して訴えることも必要だと思います。今、再生委員会がどういう形で金融再生に取り組もうとしているかということは、いろんな機会に訴えることは良いことだと思います。ただ、そのことが特定の、前委員長のご発言はご本人の真意であったとは私は思いませんけれども、あのような形で検査に手心を加えるようにとられたとすれば、そういうような言い方は間違いだと思います。

  

 問:公的資金を地銀・第二地銀に利用してほしいと仰いましたが、これは具体的にこれを促すようなことはしているのでしょうか。
  
員長:今のは具体的にどこそこに入れろというようなことを言っている、要請してこいと言っているわけではありません。

 

 問:具体的に促すようなことは。
  
員長:それは今までもいろんなところで再生委員会、あるいは再生委員長として前任者の方々が公的資金の制度を、今もっている早期健全化法やその枠組みを利用して健全なものにするような努力をしてほしいということは、いろんな機会に申し上げているだろうと思いますし、法の精神自体がそういうことですから、私もそのことは機会あるごとに申し上げていきたいと思っております。

 

 問:金融機関からの政治資金の受け入れの件ですが、ペンディングになっていたと思うのですが、そこを調査された結果をお教え下さい。
  
員長:調査を致しました。平成7年に幸福銀行から頂いておりました。50万円頂いておりました。これは29日火曜日にただちに返却の手続を致しました。

( 以 上 )


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