谷垣委員長閣議後記者会見の概要

【平成12年3月7日(火)於:参議院議員食堂】
  

【閣議案件】

 今日の閣議は、国会提出案件は、請願2470件の処理及び質問趣意書対する答弁について。法律案は、消費者契約法案、保険業法及び金融機関等の更生手続の特例等に関する法律の一部を改正する法律案(金融再生委員会及び大蔵省の共同請議)、資金運用部資金法等の一部を改正する法律案を決定。政令は、資金運用部預託金に付する利子の利率を定める政令の一部を改正する政令を決定。その他は人事案件。

 閣議における閣僚発言については、外務大臣からモザンビークにおける洪水災害に対する緊急援助についての発言。

 閣僚懇につきましては特段ございません。

 

【質疑応答】

 問保険業法等改正法案が閣議決定されましたが、これで保険業界に対してのセーフティーネットは万全の体制が出来たとお考えでしょうか。
  
員長:法律を速やかに通して頂くことが前提ですけれども、これできちっとした形が出来上がってくるだろうと思っております。

  

 問:週末にかけて大正生命の早期是正措置の発動が各紙一斉に報道されたわけですが、昨日の月曜日は解約が相次ぐような状況ではありませんでした。本件の大臣への報告の状況と大臣の早期是正措置についてのお考えをお聞かせください。
  
員長:個別具体の早期是正措置については、お答えをしないということになっておりますので、本件につきましても同様です。一般論として、早期是正措置というものは、ご承知のように読んで字の如く早いうちから手を打って健全化をして行くということですから、必要があれば速やかに発動し金融ビックバンに向けて備えていくということに尽きます。

  

 問:契約者への情報のディスクロージャーという観点から、早期是正措置の発動について公表すべきではないかという議論も一部ではあるのですが、公表のあり方についてはどのようにお考えでしょうか。
  
員長:金融秩序あるいは信用秩序というのは、デリケートなものですから、早期是正措置を発動したとかしないということを、私共の立場から発表することは今のところ考えておりません。

  

 問:上場している保険会社は早期是正について自らディスクロージャー義務があり、非上場の会社はディスクロージャー義務がないという差が生じることで、結果的に市場に周知されることに対して不平等が生じているのですが、その点についてはどうお考えでしょうか。
  
員長:それぞれの個別の会社の置かれている状況、上場しているかしていないということによってのご判断ですから、私共行政の立場にいる者あるいは監督の立場にいる者が、個別の会社によって違いが生じているからと言って、今にわかにその違いを行政の方からうめていく必要があるとは考えておりません。

  

 問:個別の会社に情報開示を求めることは考えておられませんか。
  
員長:早期是正措置に関しては、考えておりません。

  

 問:銀行業の異業種参入の問題について、海外調査団が帰ってきて1週間強が経つのですが、現在の進捗状況についてお聞かせ下さい。
  
員長:海外調査の結果、かなり膨大な資料を持ち帰ってきましたので、最速概要について報告を受けました。それから本件に関するPT(プロジェクトチーム)で問題点の洗い出しが進んでいるという報告を受けていますので、これから論点を詰めていくということになると思います。

  

 問:年度内にある程度の方向性なり、中間論点整理のようなものは出せそうでしょうか。
  
員長:具体の日時は、まだはっきり申し上げられる段階ではありません。

 

 問:新規免許の話で、大臣ご自身問題点として重要だと思われる点を、いくつかお聞かせ下さい。
  
員長:やはり一つは、事業会社と金融機関の関係を、どういうものとして律していくかということがあると思います。以前の記者会見では、日本の戦前の金融恐慌という古い例を出して、機関銀行化することの良し悪しということを申しましたけれど、今の日本の法制では、事業会社が金融機関のオーナーになるというか、銀行を作っていくことに対して法律上は特段の制限がないわけです。他方、金融機関が事業を営むという事に関してはいわゆる5%ルールというものが法律上も決められている。そうすると銀行と事業会社のこの分野における規制というものが、非対称になっています。そういうことが良いか悪いかという論点があると思います。それから金融機関というのは、ご承知のように健全性というものがなければその役割に応えられないわけです。金融機関の親会社が、例えば事業会社である場合に事業会社自体の業績と言いますか、体力と言いますか、そういうものを免許、認可、監督、検査の中でどのように位置付けていくか。 現状の法体系の下では親会社たる事業会社の経営内容についてなんら問う形の制度になっていないわけですが、そういうことで果たして金融機関の健全性が保っていかれるのかどうか、という問題点があるのだと思います。さらに先ほど申しましたような機関銀行化というものが金融機関の健全性を保つのに適切かどうか、という事業会社と金融機関の距離のとり方という論点が一つあると思います。もう一つ述べますと、いずれも新しい事業会社が金融機関に参入される場合には、今までの金融機関の業務のあり方と多少違った形を模索しておられるのだろうと思います。例えば個々の店舗は持たずに、インターネット上だけで銀行を作ろうとか、あるいはスーパーの店舗の中にATMだけを設けた形で金融機関を作ろうとか、いろんなやり方が考えられる。更には今の金融機関はみな預貯金の受け入れと同時に与信業務もやっているわけですが、自分のところは与信業務はやらないのだと、預貯金の受け入れはやるが与信業務というのはやらないということを考えておられるところもあるかもしれません。 そうしますと金融機関の体力という点から見て、与信業務をきちっとやらないという金融機関はどういうものだろうか。そういう金融機関の健全性というか体力はどうやって養っていけるのだろうかと、そのような金融機関の営業の形態と言いますか、構想している事業の形態というものが、金融機関の本来の目的と関連させてどう位置付けていったらいいかという問題があるのだと思います。問題点を上げればきりがありませんが、そういうようなことを論点整理をしながらこれから詰めていくということだろうと思います。

 

 問:今現在大臣は与信をしない銀行に関してどういうお考えをお持ちですか。
  
員長:私自身もなるほどそういう問題点があるなという所までで、それ以上具体的な答えは持っておりません。与信業務をしないという事になると、預かった預貯金の運用というのはどういうことになるのでしょうか、国債を扱うとかということになると思いますが、そういう極めて健全なもので回していくと言えば健全なのですが、競争力とかという面では果たしてどうだろうかとか、その辺りももう少し詰めて考えてみないといけないなと思っております。

 

 問:銀行と事業会社の非対称化ということですが、とすると銀行法改正まで踏み込む話だと思いますが、今の新規免許のガイドラインだけでは通用しない領域になってきますが、そういったところまで検討されるのでしょうか。
  
員長:一つの問題点は、要するに法改正というものが必要なのか現行法の枠内で検討してみたらガイドラインのようなものでやれるぞという事になるのかというのは、かなり大きな分岐点だと思います。前に進んでいくという前提で考えたらそれが大きな分岐点だろうと思います。そこのところもまだ答えは出ておりません。

 

 問:日債銀については、まだ優先交渉先の段階ですが、ソフトバンクが50%くらい出資されるということです。これも事業会社の参入と同じ形になると思うんですが、そこについても同じような規制と言いますか、監督体制をとっていくという理解でよろしいでしょうか。
  
員長:事業会社と金融機関の関係ですか。そこらも含めて問題はできるだけ視野を広く考えてみなければいけないと思います。まだ答えをあらかじめ用意しているわけではないので、できるだけいろんな問題点を視野に入れていかなければいけないと思います。

( 以 上 )


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