谷垣委員長閣議後記者会見の概要

【平成12年3月10日(金)於:参議院議員食堂】
  

【閣議案件】

 閣議の一般案件は、日米相互防衛援助協定に基づく航空機の取得及び生産に関する書簡の交換、ハンガリー共和国大統領の国賓待遇及びギリシャ国駐在特命全権大使に交付すべき信任状等を決定。法律案は、大深度地下の公共的使用に関する特別設置法案、商法等の一部を改正する法律案、著作権法及び万国著作権条約の実施に伴う著作権法の特例に関する法律の一部を改正する法律案、それから会社の分割に伴う労働契約の承継等に関する法律案、を決定。政令は5件。人事は、最高裁の判事の任命など及び叙位又は叙勲について決定。閣僚からは、外務大臣からペルー民主化支援及び運輸大臣から営団地下鉄日比谷線の件についてご報告。

 閣僚懇談会では、総理大臣及び通商産業大臣から今後のエネルギー政策について。二階運輸大臣からテクノスーパーライナーの上海実験航海について。保利国家公安委員長から警察組織の刷新についての御発言がございました。

 

【質疑応答】

 問事業会社の新規免許付与の関連で昨日の再生委員会の議論をご紹介ください。
  
員長:昨日、金融再生委員会として、新しい銀行免許に関して、事務当局から"論点整理"及び"欧州・米国調査団の調査報告"を聞いた。論点は5つぐらいであります。一つは事業会社と銀行との関係、或いは規制のあり方。2点目は、新しい銀行の業況、業務のあり方、例えば、コンビニの中にATMだけを設けるような独自の店舗を持たないやり方とか、インターネットバンクのようにまさにネットワーク上だけで仕事をして、店舗というものをもたないような、今までにない営業形態の持つ意味。3点目は、全体の決済、ファイナリティと言うのでしょうか、全体の決済のネットワークとどう結びついているかというような問題。4点目は、いろんな問題があるわけですけれども、バーゼルのコアプリンシプル等との関係をどう見ていくか。5点目は、法改正等との関係。海外調査は、アメリカ、ヨーロッパの具体例及び制度について報告。それを基に再生委員から事務局に対する質問中心のやりとりとなりました。私は、参議院予算委員会の為最後の所を中座しました。

  

 問今、再生委員会と監督庁のPT、再生委員会としての議論、具体的な事業会社の申請の3つの動きについて、どうリンクしながら基準をどういう形で作っていくのかということを含めて今後のタイムテーブルを教えて下さい。
  
員長:まだ昨日は、タイムテーブルの議論まではいっていません。問題点の洗出し、各諸外国のあり方について整理したということです。今後の具体的なタイムスケジュール等については昨日は、(私は中座していましたが)方向は出していないと思います。私の考えでございますけれども、あまりじんぜん荏苒時を送るというのは良くないなあと思っております。
 注:荏苒(じんぜん)古語/月日が移りゆくままに、何もしないでいる様子

  

 問:確認ですが、何らかの基準をつくるのは間違いないでしょうか。
  
員長:例えば色々やってみた結果、法改正が必要であるということになれば、当然法改正をしなければなりませんし、法改正が必要でないという場合には法に代わる何らかのガイドラインみたいなものが必要になるのかもわかりませんがいずれにせよ現時点では、煮詰まっているわけではございません。

  

 問:国民銀行の譲渡が今週正式に決まりましたが、残りの破綻した4行の状況を教えて下さい。
  
員長:順番とかプライオリティはないのですが、1年以内に処理をしていこうという方針です。幸福銀行については、現在、複数の候補先から具体的な提案を受けまして、金融整理管財人で検討を進めて頂いているという段階。東京相和銀行となみはや銀行につきましては、現在複数の候補先と守秘義務契約を締結して、順次候補先より事業計画などのご提出を受けているという段階。新潟中央銀行につきましては、新潟県内の複数の金融機関を中心として、新潟中央銀行の譲渡問題について説明などを行っているところ。日南信金につきましては、県下の複数の金融機関との接触を開始したところ。国民銀行以外につきましても、金融整理管財人によって、譲渡先選定にかかる作業に今、一生懸命取り組んで頂いているところですけれども、見通しについては、具体的にお話できる状況ではございません。

 

 問:異業種の銀行業なんですが、自民党では来週にもイトーヨーカ堂とかソニーから計画などについて話を聞こうという動きがあるようですが、党との関係はどうのようにお考えでしょうか。
  
員長:個別具体の金融機関への認可は、基本的には行政が、与えられた法の枠内で、行政が自らの権限と責任で行うべきではないかと思っております。

  

 問:法改正というところまで踏み込むとすると、党も関わるのでしょうか。
  
員長:勿論、法改正という話になれば、これは立法府のお仕事であることは間違いないことですから、当然立法府のご判断を仰ぐことになります。ということは政党政治の上では、政党ともいろいろご相談をし判断を仰がなければいけないということだと思います。

  

 問:金融審議会とも共同なんでしょうか。
  
員長:そういう技術的な点、或いは、運び方の点については詰めていかねばならない問題はあろうかと思いますが、まだ具体的にどうするかについて申し上げられる段階ではありません。

  

 問:今日、一部の報道で、97年の日債銀の奉加帳増資時に、増資のうち第一火災に関して、価値が減った時に返済する契約になっているということで返したという報道があったのですがこれは事実でしょうか。
  
員長:私も今朝あの記事を読みましたが、まだ具体的な詳細の事実関係まで確認ができていません。今時点では、契約に従って処理をしたということだと聞いております。もう少し勉強してみなければ良く分かりませんが、あの記事からも恐らく何らかの契約を結んでおられるのでしょうから、そういう契約が有効性を持つのか持たないのか、という話なのだろうと思いますけれど、これはもう少しよく話を聞いてみないと分かりません。今、聞けておりますのは、弁護士とも相談の上で有効であるという判断をされて処理を行ったということです。それ以上のことは私の方でお答えする用意がありません。

 

 問:特別公的管理銀行の処理、そのコストを巡って、明かになってないことが非常に多いと思うのですけれども、一連の特別公的管理にどれだけ、どういう形でコストがかかったかということを、今まで以上に詳細に公表するようなお考えはないのでしょうか。
  
員長:特別公的管理につきましては、コストというのは実は難しいところがあるわけです。それぞれの金融機関と貸出先との関係とかは、それぞれの信用に結び付いているところがございますので、全部オープンにするわけにもなかなかいかないところがございます。ただ、長銀に関して言えば3.6兆円、特別公的管理だからということではなくて、要するに、債権者の保護等を考えればこういう金額になったわけですけれども、これだけの公的負担をするのですから、納得の得られるような仕組み、やり方というのをできるだけ工夫していかなければならないと思います。

 

 問:第一火災以外でこういう契約で返した事例はあるとか、あるいは他にそういうものがまだ出てくることはないのでしょうか。
  
員長:そこはまだ聞いておりません。

 

 問:本来それは裁判で争うことではないのですか。破綻前に契約したということもあるのでしょうが、国民負担から考えれば裁判でやるのが常道ではないのですか。再生委員会でも容認されたという報道になっていますがどういう判断をされたのですか。
  
員長:それについてもこれからよく聞いてみたいと思います。

( 以 上 )


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