谷垣委員長閣議後記者会見の概要

【平成12年4月21日(金)於:参議院議員食堂】
  

【閣議案件等】

 今日の閣議は、一般案件は、大使の信任状及び解任状の認証を仰ぐことの1件。国会提出案件は、質問主意書に対する答弁書が1件。法律の公布は4件。政令は4件。人事案件は、天皇陛下がオランダ国及びスウェーデンをご訪問する際の橋本元総理を主席随員とする他随員等の決定等。

 閣僚発言は、大蔵大臣から2000円銀行券に関して発言。官房長官から天皇、皇后両陛下のオランダ及びスウェーデンご訪問のご日程に関して発言。農林水産大臣からみどりの募金運動に対する協力依頼に関し発言。

     

【質疑応答】

 問:今週、東京三菱銀行と三菱信託銀行が経営の統合を発表し、或いは、住友銀行とさくら銀行が合併を1年前倒しするとの動きが出ていますが、こうした大手行の競争力強化に向けた動きについての評価と期待はいかがですか。
  

員長:東京三菱銀行と三菱信託銀行の持株会社を作ることについては、昨日、東京三菱銀行と三菱信託銀行それぞれのトップがおこしになりお話を伺いました。後段の方はまだ報道に接しているだけですが、具体的なことは今日発表があると聞いております。一般論として、色々なご努力が続いていることは、これからの競争の激化、金融環境の変化の中で競争力の推進、経済社会に対する利便等を考えた上で大変結構なことだと思っています。

  

 問:先日、金融監督庁の電子金融取引の研究会が無店舗のインターネット専門銀行について、特に問題があるわけではないと結論を出しましたが、この結論についてどう評価されていますか。
  
員長:勉強会の結論が出たわけですが、今後は勉強会の結論を基に具体的な咀嚼をどうして行くかということになっていくと思います。今後、発展が期待される分野だけに、しっかり議論しておかなければならないということで、あのような結論が出てきたのだと思います。

  

 問:大臣が仰ったように、あれは勉強会だったわけですが、あの結果は今後どのように新規免許のプロジェクトチーム(PT)に、反映させていくのですか。
  

員長:この勉強会の結論が、直ちに今PTがやっている事業会社の新規参入問題と重なるものではないです。新規事業者の中には、あのようなことを検討する方もあるかもしれないということで重なっている部分もあると思います。昨日も、金融再生委員会で、新規事業者が金融業務に参画してくる問題について、色々議論を行いました。論点は以前から大体申し上げていると思うのですが、色々議論を致しまして、少しずつ再生委員会の認識も深まっていることですから、先程の勉強会の結論もこういう議論の中に消化されていくと思います。

  

 問:PTは必ずしも事業会社の参入のみならず、インターネット専門銀行のような新しいタイプの新規事業全体を勉強しているのですか。
  
員長:PTでは、事業会社の新規参入の論点を中心に整理しているということです。

  

 問:新規参入を希望する会社が、これまで事業計画を出すなりして、いわゆる内伺いを立てている数はいくつあると把握していますか。
  
員長:色々な打診はあります。

  

 問:銀行法に基づいて予備審査の書類を出しているところはいくつですか。
 
員長:まだありません。

  

 問:公的資金注入を受けた大手行の中小企業向け融資で、一部の銀行で期末にかけて不自然な形で中小企業向け融資が増えているようですが、それについて民主党とか共産党などの野党から疑念の声が出ているのですが、再生委員会としてチェック体制強化とか、それについて検証するとか、というようなことはあるのでしょうか。
  
員長:これは国会でも答弁していますし、閣議後会見でも申し上げていると思いますが、この間の数字はまだ見込み値と言うか、暫定値ですので、作業日程としては、これをきちっとした数字に各金融機関で決めて頂いて、我々は見込み値は良い数字になっていますから、何故そうなったのかについて、ヒアリングを行い、経営健全化計画の中小企業向け貸出しが、この3月末でどういうことになっているか整理をしておかなければいけないということです。

  

 問:不適切な融資の拡大策があった場合には、業務改善命令などを出すのですか。
  
員長:不適切なものがあるかどうかは確認していませんから、これからの議論です。

  

 問:中小企業向け融資にに限らず、経営健全化計画は来年の3月までとか、あるいはあと2〜3年で計画が終わるものを、公的資金を返済するまでバージョンアップしていくわけですが、その間、中小企業向け融資は増やす計画を求め続けるのですか。
  
員長:それは結局どれだけの資金ニーズがあるのか、ということが一番問題なのだと思います。健全で優良な事業者が資金に苦しむとことがあってはならないわけで、それはやはり金融機関に体力をつけてもらいながら、その金融仲介と言いますか、本来の力を発揮してもらわないといけないわけです。資金需要のないところに数字を拡大せよと言っても、砂上の楼閣のような話になるので、その辺の見極めが一番根本になければいけないと思います。

  

 問:日債銀ですが、最終合意に向けて今どういった状況ですか。
  
員長:基本合意に向けて、今色々議論を詰めつつあるということで、まだ、いつそういうものがきちっと形になるかはお答えできる段階ではございません。

  

 問:優先交渉の期限が今月末であと1週間しかないですが、この段階でいつと言えないのでは、遅れることも視野に入れ、延長も視野に入れているのですか。
  
員長:努力目標としてはあるわけですが、あと1週間というのはなかなかきつい日程ではあります。

  

 問:第二地銀の破綻行が、今後相次いで丸一年を迎えるわけですが、まだ受け皿が固まりきれていないわけですが、それを一年経った時に、ブリッジバンクにするのか、或いは延長するのか、或いは是が非でも一年以内で決めるのか、その辺の判断の状況はどうご覧になっていますか。
  
員長:出来るだけ早くしなければならないのですが、「これは難しいからブリッジバンク」というような判断に至っているのはまだ無いということです。

  

 問:昨日、衆議院を通過した預金保険法ですが、大蔵委員会の附帯決議で、「地域金融機関に対して、時価会計の具体的運用に当たっては柔軟に対応する」とありましたが、あれはどう見ても「時価会計を少し甘く査定しろ」と聞こえるのですが、大臣はどうお考えでしょうか。
  
員長:時価会計を協同組織金融機関、地域金融機関にもきちっと入れていくことを前提に、色々配慮せよ、という趣旨だと思います。その趣旨は、例えば今まで外部監査が入ってないところがあるわけです。そうすると大手中心に外部監査をやってこられたやり方と、そうでない金融機関へのやり方と、根本的な意味での基準は同じだと思いますが、協同組織金融機関の間で今までのノウハウの蓄積に差があるのだろうと思います。その辺をこれから勉強してやっていく必要があると思います。

( 以 上 )


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