谷垣委員長閣議後記者会見の概要

【平成12年4月28日(金)於:参議院議員食堂】
  

【閣議案件等】

 本日の閣議は、一般案件は、一般会計の予備費及び国立学校特別会計の予備費使用についての決定等。国会提出案件は、質問主意書に対する答弁書。法律の公布は2件。政令は4件。人事案件は、閣僚の海外出張について臨時代理ないし事務代理について総理から指名。大蔵大臣について私が指名されました。

 閣僚の発言は、総務庁長官から労働力調査報告、消費者物価指数及び家計調査報告、労働大臣から有効求人倍率、外務大臣から草の根無償資金協力及びエチオピア干魃被災民に対する緊急援助、労働大臣から国営企業の新賃金の調停、に関し発言。

 閣僚懇では、国土庁長官・建設大臣等から有珠山噴火に対する緊急観測監視体制の強化に関し発言。外務大臣から総理の海外出張についての各国の反応に関して発言。総理から海外出張に関し発言。通産大臣から総理の健康・緊急医療体制について発言。労働大臣から有効求人倍率、雇用問題に関し発言。

     

【質疑応答】

 問:幸福銀行の譲渡交渉ですが、これまで大和銀行グループとアメリカの投資グループがそれぞれ事業計画を再提出していると思いますが、その評価と見通しについてはどうお考えですか。
  

員長:今まで2回再生委員会では議論をして参りました。だいぶ議論は深まって、論点も詰まってきたと思っております。連休前はもうこれ以上特段の動きはございません。これから金融整理管財人がご努力をされてその辺を整理してこられるだろうと思います。

  

 問:来月22日で破綻から1年になると思いますが、連休明け直ぐくらいに決まりそうですか。
  
員長:連休の途中でどの程度の進展があるか、私もよく分かりません。1年というのはやはりひとつの目途ではあると思います。

  

 問:日債銀ですが、基本合意の期限が今月末かと思いますが、再生委員会として今後どういう対応をとるのですか。
  

員長:昨日の再生委員会で、期限を1カ月延長して5月末までとしました。連休を挟んでおりますので、30日まるまるあるというわけではありませんが、今色々な点を詰めているところですので、連休が明けますと精力的に取り組まれると思っております。

  

 問:延長の理由ですが、交渉が難航しているということですか。
  
員長:難航しているとは思っておりません。まだ双方の論点を整理しているところでございます。

  

 問:異業種参入の関係ですが、今進めている基準ができたら公表するのですか。
  
員長:どういう形で公表するかはまだはっきり固まっているわけではありませんが、何らかの形で天下に明らかにしていく必要はあると思っています。

  

 問:銀行の検査が順次進んでいますが、検査なり、決算で相当資本が痛んでいる場合に、債務超過ではなく救えるところに対して、行政当局は、完全に中立であるべきなのか、国民コストを抑えるという観点から、一定の範囲内で手伝えることがあれば手伝う方がいいのか、大臣ご自身の行動を含め、今どのようにお考えなのかお聞かせください。
 
員長:我々の持っている手法は基本的に資本注入をしていくということになるわけですが、何度も申し上げていると思いますが、我々の方から資本注入を受けなさいという性格のものではないので、第一義的にはそれぞれの金融機関がどういう形でより健全なものになれるかということをお考え頂くべきだと思います。例えば国民負担を少なくするということもあるでしょうし、地域経済の壊滅ないし衰退をどういう風に阻止していくかという観点もあるでしょう。法律そのものでは地域経済を維持せよということは書いてなく、また、個別の金融機関を救うという性格のものでもなく、金融システムの維持ということになっているわけです。いずれにせよ、総合的な断が必要だろうと思います。

  

 問:「そごう」について、大変痛ましい事件が起きましたが、もう一度振り返って、長銀の適資産として「そごう」の債権を譲渡したとことに対して、譲渡から1カ月ちょっとでこういう事態に陥っていること、あるいは債務超過の額が膨大であること等を考えてどう思われますか。
  
員長:痛ましい事件が起こりまして、お亡くなりになった方には心からご冥福をお祈り致したいと思います。適資産として判定したけれども1カ月でこうなる。これは十分な引当を積むことが第一です。十分な引当を積んだ上でどうするか、という判断であったのだろうと思います。ひと月でこういう結果がでることは残念だと思っていますが、その点は引当金でやったという以上には申し上げにくいと思います。

  

 問:「そごう」について、引当は十分だという認識ですか。
  
員長:「そごう」という具体的な名前はともかく、長銀に関連する資産の資産内容をどの時点の資料で判断したかというと、破綻時の資料で判断をして「適」「不適」としております。全体としては破綻時から劣化があるのだろうと思いますが、十分な引当は積んでいると考えていいと思っております。

  

 問:先日、西川全銀協会長が就任されて、金融システムの不安について、かなり改善されたようなニュアンスのことを仰っていて、もう一つ併せて、日銀の支店長会議や財務局長会議で地域の経済も相当上向いて来たという判断が示されているわけですが、そういった中で、金融システムについての現状をどう捉えられていますか。
  
員長:全体としては落ち着きを取り戻していると思います。マネーセンターバンクのようなものも私が就任してからも、いくつか色々な動きがあります。それぞれが国際競争力や、より適切な金融サービスを提供するにはどうしたらよいかという色々な模索を続けておられるわけです。それは恐らく止まらずに、不可逆的な動きではないのかなと思います。我々の課題は、再三申し上げていることですが、共同組織系の金融機関、地域の特に共同組織系の金融機関、今まで都道府県が検査をしていたわけですが、7月から国が検査に入るということで、そこら辺りをどうしていくかということが、これからの大きな課題だと思います。全体としては落ち着きを取り戻していると思っています。

  

 問:地域のそれぞれの金融機関についても、検査が入ってみないと分からないところもありますが、全体としては上向いてきたかなという感じはありますか。
  
員長:やはり大手都銀と、地域の金融機関は若干違うところがあると思います。大手は今のような動きが出てきていますが、地域には言うなれば、すみ分けのようなものがあったり、地域の企業カルチャーとか貸出し先との関係というものが色々あって、それぞれの金融機関の問題意識も随分幅があるのではないかと思います。そういう中でどういう形で今後の変化に対応していくか、こういう言い方するといけないかもしれませんが、危機意識に近いものを持っておられる方もあれば、比較的ゆったり構えておられる方もあるんだろうと思います。ただ、色々なところのお話を聞いていますと、システム投資とかは地域の金融機関と言えど膨大なコストがかかってきますし、色々な商品サービスの開発なども相当な手間隙がかかるということで、もう少し再編の動きとか、統合して体力を強めていくような動きが、起きて来ざるを得ないのではないかと思っています。

( 以 上 )


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