谷垣委員長閣議後記者会見の概要

【平成12年5月9日(火)於:参議院議員食堂】
  

【閣議案件等】

 本日の閣議は、一般案件は平成12年度中小企業者等に対する特定補助金等の交付の方針について決定。関連して通産大臣から発言。アルメニア大使に対する信任状及び解任状の認証を仰ぐことについて決定。法律の公布は4件。人事案件は国際復興開発銀行の理事及び叙位叙勲。平成12年度版外交青書が配付され、関連して外務大臣から発言。

 その他の閣僚発言は、防衛庁長官、経済企画庁長官、科学技術庁長官・文部大臣、環境庁長官、外務大臣、大蔵大臣、通産大臣から海外ご出張について発言。

 閣僚懇で、国家公安委員会委員長から高速バスの乗っ取り事件について報告。

     

【質疑応答】

 問:5月1日に、損保会社の第一火災に業務停止命令を出されました。直接は監督庁の所管ですが、大臣の立場としてどのようなご所見か伺います。
  

員長:損保会社に対する業務停止は、最近においては初めてのことであろうと思います。業務停止命令を出したことは残念なことですが、このことが損保全体の信頼性、安定性に響いてくることはないと思っています。

  

 問:連休明け、異業種の銀行免許ガイドラインについて、議論が活発化すると思いますが、今後のスケジュール感を教えて頂けますか。
  
員長:連休も明けましたので、そろそろ詰めの作業に入っていかなければならないと思っています。

  

 問:かなり論点も整理され、議論も煮詰まってきた印象を受けますが、その点についてはどうですか。
  

員長:論点も段々煮詰まってきたというのは、私もそういう感じを持っています。

  

 問:第一火災の業務停止についてですが、これは第一火災が相互会社であるなどの特殊な要因であり、損保の構造的な問題とは違うという認識でよろしいですか。
  
員長:損保全体の構造的な要因に起因するものだとは考えておりません。やはり第一火災という会社に特有の問題点、難しさがあったのかなと思います。

  

 問:第一火災の記者会見で、経営トップが、検査が厳しくなったことが破綻の原因であるというような発言をしています。検査が厳しくなったという意見は金融機関の中にも多少あるかなという感じがしますが、その点についてはどうお考えですか。
  

員長:本件に関わらず、検査は一般論として、厳正で透明なものへという流れはあると思います。「それが厳しくて、ちょっと実情を踏まえていないのではないか」というご質問と受け取ったのですが、それは必ずしもそうではないと思っています。ただし、検査マニュアルにあるように、画一的・硬直的にならないように配慮することは必要だと思います。全体として、検査を厳格・公正にやろうという流れはあると思います。

  

 問:異業種参入の関連ですが、ガイドラインは公表するおつもりですか。
  
員長:その辺も含めて、再生委員会で議論して頂かなければならないと思います。大きな方向としては、やはり世間に知って頂く必要もあるかなと思います。いずれにせよ委員会で決めるわけですから、私がこう言ったから、こうというわけではありませんので、これから委員会で議論して、結論を出さなければと思います。

  

 問:透明性を高めるという意味では、公表した方が良いという考え方もあると思いますが。
  

員長:それは当然そういう議論もあると思います。

  

 問:第一火災の件ですが、平成7年の大蔵検査で、第3分類、第4分類で140億円ぐらいなのですが、今回の検査では第4分類だけで600億円と出たのですが、前回の5年前の検査ではそんなに資産が痛んでいない気がしますが、この5年間で相当資産が劣化しているのか。それとも、或いは飛ばし類似商品を使って会計操作をして含み損であったものがオンバランスに出て、ああ言う形になったのか、その辺の分析については監督庁からどの様に報告を受けておられますか。
  
員長:検査の具体的な中身は、金融監督庁に聞いて頂ければと思います。

  

 問:異業種参入の問題ですが、ガイドラインを公表するかどうかはまだお決めになっていないということですが、ガイドラインを決めるタイミングですが、自民党の金問調で非常に関心を持って議論を進めていることに配慮して、総選挙の時期までは公表し難いというお考えというか配慮というのは再生委員会ではされているのでしょうか。
  
員長:公表の時期とか、いつ結論を出すかということは、再生委員会の中で議論していかなければならないことです。先程申しましたように、そろそろ詰めの作業に入らなければならないと私自身は思っています。そのことは、個別のところからの具体的な申請があるかどうかは別として、議論が始まってからかなり時間も経過していますので、先ほどどなたか仰ったように論点もかなり整理されていると思います。小田原評定というと言葉は悪いですが、そう先の話ではないのではないかと思っています。もちろんこれも再生委員会で議論して、煮詰まらないということであれば別ですが…。

  

 問:日債銀の譲渡では、そのガイドラインは適用される方針ですか。
 
員長:もう少し煮詰めてみなければなりませんが、制度論としては、一応別なのだろうと思います。再生法の枠内での議論とは制度論としては一応違うのですが、議論の相互関連があるかはもう少し整理してみないといけないと思います。

  

 問:幸福銀行の株主だった大一商店が、昨日自己破産しているわけですが、あの銀行の場合大株主である大一商店とか大一グループというのが、一種の機関銀行化の例ではないかと思うのですが、そういう過去の事例についても、議論の俎上に上がっているのでしょうか。
  
員長:個別具体的なことを再生委員会で議論したということはありません。もう少し一般論的な問題として、その機関銀行化の問題、前に申しあげた私の表現によれば、その事業会社との距離のとり方というのは、一つの重要な議論のテーマであるということは、その通りだと思います。

  

 問:先ほど小田原評定と仰いましたが、私共にとって異業種参入のガイドラインについては、1月から5月の連休明けを迎えているわけで、既にかなり小田原評定かなという感じがするのですが…。
  
員長:あまり軽率な表現を使ったのは反省しています。この問題は具体的なところがどう申請してくるかというところから本来は始まった議論であり、ある程度事業会社、申請される側の動きも見ながら、海外にも調査団を派遣したりして作業を進めてきました。なお、先程の表現は撤回致します。

  

 問:昨日も参議院で質疑があった資本注入行の中小企業融資ですが、実勢ベースの取り方ですが、融資額に不良債権処理をオンして見ると、実際に中小企業にどれだけ資金が回るようになったかは、正味把握できるとお考えでしょうか。今の実勢ベースの取り方について何か問題があるのか、あるいは少し補完していかなければいけないとお考えでしょうか。
  
員長:それは昨日の国会での議論の中で、事務局長から答弁したと思いますが、ある意味でこういう表現が良いかどうかもまた別ですが、不良債権処理も進めてもらわなければならない、それから中小企業向けの信用供与にも努めてもらわなければならない。言わば、二兎を追っているわけですから、両方アクセルを踏みたいわけです。片方アクセルを踏むと、片方なんとなくブレーキがかかってしまう手法はやはり取りたくないということがあるのだと思います。色々な議論があると片方がやはり少し抑えられるのをできるだけ避けてやっていこうということなのではないかと私自身は理解しています。

  

 問:中小企業向けの融資で、新規融資を余り伸ばさないで、不良債権処理しても、実勢ベースの見かけの額は増えると思うのです。それで的確に中小企業への信用供与が伸びたと言えるのかどうか。そこは定性的なヒアリング等で補っているのかもしれませんが、数字としてそういう作り方が法律の趣旨にかなっているかという問題があると思うのですが。
  
員長:数字の見方、取り方というのは、最後はその数字の読む人の読み方というのも入ってくると思いますから、どういう数字のとり方をしても色々な議論があり得ると思います。現在のあのような数字の取り方で今までやってきたわけですが、その数字の意味合いをできるだけ的確に把握するように努めるということしかないのかなと思います。それぞれの対象となっている金融機関も、決算に向かって色々な数字を整理されてきているでしょうから、そういうヒアリングが実際にできるかなという時期になってきていると思いますので、どういう姿が浮かびあがってくるのか、関心を持ってみていきたいと思っています。

( 以 上 )


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