谷垣委員長閣議後記者会見の概要

【平成12年5月26日(金)於:参議院議員食堂】
  

【閣議案件等】

 今日の閣議は、一般案件は3件、民間と競合する公的施設の改革について決定。小渕前総理の内閣・自由民主党合同葬儀に関しての弔意の表明と自衛隊の行う儀礼について了解。国会提出案件は、平成11年度観光に関する年次報告及び平成12年度に講じようとする観光政策を決定。関連して官房長官及び運輸大臣から発言。平成11年度男女協同参画社会の形成に関する年次報告及び平成12年度に講じようとする男女協同参画社会の形成の促進に関する施策を決定。関連して官房長官から発言。質問主意書に対する答弁書が5件。法律の公布が、預金保険法等の一部を改正する法律をはじめ金融関係の法律を含めて16件。政令が14件。人事案件は、総理が日韓閣僚会議に出席することの了解及び叙位叙勲。報告は国家公務員倫理規定の改正に関する国家公務員倫理審査会の意見の申し出。平成11年末対外の貸借の報告書、平成11年中の国際収支報告書。関連して大蔵大臣が発言。消費者物価指数が配付され、関連して総務庁長官から発言。

 閣僚懇では、経済企画庁長官から新千年紀記念行事について発言。外務大臣から第2回児童の商業的搾取その他性的搾取に反対する世界会議をユニセフと国際NGOの共催で開催することについて発言。これはスゥエーデンで第1回が開かれたところですが、私はユニセフ議員連盟事務局長ですので、日本でやってもらってたいへんありがたいと思っています。数年前スゥエーデンのシルビア王妃が日本に見えました時に児童の性的搾取に関しては日本も議員立法を行うと私が発言をしまして、その後立法の運びになりまして、閣僚懇で世界会議開催の話を聞いてうれしく思いました。外務大臣、国家公安委員会委員長及び法務大臣から京都で開催されたG8国際組織犯罪上級専門家会合について発言。

     

【質疑応答】

 問:異業種の銀行業参入の関連ですが、先だってガイドラインの骨格が示されて、今月末には肉付けされたものが出される。その後、パブリック・コメントというスケージュールになっておりますが、その中で、改めて大臣から銀行法の改正の必要性等についてのお考えをお聞かせ頂きたい。
  

員長:いわゆる異業種参入の問題につきましては、この前、自由民主党の金問調に骨格をご報告したところです。おそらく、30日の再生委員会でもう少し肉付けしたものを再生委員会で了解を頂いた上でパブリック・コメントにかけます。パブリック・コメントは6月いっぱいでご意見をお寄せ下さいという形になると思います。そういう形で、世に問うて、またその結果を見て、最終的に詰めていくことになると思います。今のご質問は、それとの関係で、銀行法をどうするかということですが、今回のガイドラインは、20年ぐらい前に出来た銀行法について、当時予想していなかった様々な経済情勢の変化、金融情勢の変化を踏まえて、銀行法がどう読めるか、という観点から整理したものです。これは銀行法の枠内という整理をしていますが、更に何が問題になってくるかについては、一つは、他業種からの銀行参入を認めると、銀行が他業種に参入することをどう考えるか、という問題がございます。これは、規制緩和推進3ヵ年計画の中にも、書いてあります。それを踏まえて、金融審議会でご議論を頂いて、成案を得られれば、法律化していくことになると思っています。もう一つは、今回は新規に金融機関を作る場合の考え方を整理したものですが、銀行法上は、金融機関を他業種の方が、買収してオーナーになることについては格段の制限があるわけではありません。その辺りをどう考えていくかという問題があると思います。勿論、これに対して一定の結論を持っているわけではありませんが、金融審議会でご議論頂いた上で、金融審議会は現在は私共の所管ではございませんからあまり確定的なことを申し上げにくいのですが、成案を得られれば、また立法化をしていくことになると思っています。

  

 問:金融審議会に諮るタイミングというのは、やはり7月の金融庁発足後すぐにでもとお考えでしょうか。
  
員長:今現在は大蔵省の所管になるわけですので、十分そこまで詰めているわけではありません。

  

 問:電子決済或いは、ネットバンキングと言ったものに対しては、これは、銀行法ではなくて、別の新たな立法措置が必要だとお考えですか。
  

員長:その辺も、もう少し勉強してみたい。やはり色々なことが進んで参りましたから、少しその辺も研究してみたいと思っています。

  

 問:破綻した第二地銀ですが、詰めの時期に入られたかと思うのですが、進捗状況とスケジュール等お聞かせ下さい。
  
員長:昨日の金融再生委員会で、「東京相和」と「なみはや」に関しまして、預金保険機構から、現在の状況の報告を聞いて、議論をしたところです。今の段階は、いくつかの譲り受けを申し出た方々と守秘義務契約を結んで、デューディリジェンスをやって、ある程度受け皿側ご提案の骨格の整理が出来てきたということです。それを基に、私共の目から見ての問題点を昨日は議論をしたわけですが、まだ特定のところに決めたわけではありません。色々な条件、それぞれの特徴というものはだいぶ明らかになってきたと思いますので、これから金融整理管財人に更にご努力を頂いて、出来るだけ早く結論を得るようにしたいと思っていります。

  

 問:金融関連の法案が成立して、信用組合に対する資本注入の考え方というのは、タイミングとしては早い時期にお示しになるということですか。
  
員長:昨日、預金保険法が通りまして、昨日の再生委員会で、それに関連する告示案について了承を頂きまして、これもパブリック・コメントにかけました。昨日の告示の内容そのものは、従来ある地銀等の資本注入に際して、健全行であればどうか、過少資本行であればどうか、と書いてあるものとほとんど同趣旨のことが書いてあるのです。もう少し具体的な信用組合等に資本注入をしたりするときに、どういうことを考えてやるべきかということについては、今後、議論を詰めていかなければならないと思っています。

  

 問:大手銀行の決算が出揃いましたが、当初の計画では、かなり甘く見ていたようですが、それについてコメント頂きたい。もう一つは、資産デフレ、倒産、債権放棄等の要請がある中で、今年度の不良債権の引当や償却の見通しも来年度になって、何倍になるという恐れはないですか。
  
員長:不良債権の処理は、当初の想定よりもご承知のようにだいぶ増えていたわけです。11年3月期で、大きな意味でずっと引きずってきた不良債権処理を、一応終えましたが、地価の下落とかいうものが、当初想定したものより大きかった。ということで不良債権処理が想定よりも多かったのだろうと思います。色々な損益の環境を見ましても、3月末の株式の状況が良かったというようなことも影響していますが、全体的に当期利益が、大手で言いますと、概ね黒字になっているということで、何点と評価していいのか分かりませんが、当期利益が黒字になったということは喜ぶべきことでないかと思います。ここから先の見通しで、甘くみておくと次の年、大変ではないかということですが、確かに、債権放棄の要請というようなものが、いくつか大きなものが起こってきていることはご指摘の通りですが、これについては色々な反応があり得ると思います。銀行側からすれば、安易に認めれば株主代表訴訟で民事責任を執行陣が負うことになりますし、更に言えば、銀行に損害を与えたということで、極端というか、強い場合は背任という刑事責任の対象にもなるわけです。経営陣としてはギリギリの判断をして全体で経済的合理性があると判断しなければ出来ないことだと思います。他方、その債権放棄を求める側から言っても、債権放棄を求める場合は厳しい経営責任を追及されるでしょうし、従来のような金融機関との関係というのもなかなか維持しにくくなるということでしょうから、求める側としても、ギリギリの決断をしながら求めることになると思います。そういう双方のギリギリの中で、どこが一番合理的な線か、ギリギリ努力しながらもこれからもやって頂くということになると思います。ですから、私共は債権放棄というのがどうなっていくかは十分注目していますし、注意していかなければいけません。かといってそれで悲観的に見ているわけではなく、かなりギリギリのこの辺りで止むを得ないのかなという線で決められていくと思います。

    

 問:例えば、東京都の銀行税とか大阪の銀行税とか、先程仰った要因の中で、例えば、銀行から経営健全化計画をやり直して、また提出してもらうという考えはないですか。達成できなかったところもあるようですが。
  
員長:今、練り直すということをそれで直ぐ考えているわけではありません。

  

 問:政局の関係ですが、解散には日本だと名前をつけるようですが、沖縄サミット前解散とか、神の国発言の解散、ということになっていますけれども、これはどう見ていますか。
  

員長:このようなネーミングはそれぞれの思惑によって、ネーミングが行われるわけですから、正しく舞台を反映しているかどうか、多聞にイデオロギー的性格を持つ命名なのだろうと思います。解散をまだ総理がご決断になっているのか分かりませんが、大体言われているような日に行われるのだろうと思っていますが、どう名づけて良いのか頭の中が整理できておりません。

( 以 上 )


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