谷垣委員長閣議後記者会見の概要

【平成12年5月30日(火)於:参議院議員食堂】
  

【閣議案件等】

 一般案件は、中央省庁等改革推進本部から提出された政策調整システムの運用指針及び外交的な案件5件を決定。国会提出案件は、高齢社会白書、株式会社ジェー・シー・オー東海事業所核燃料加工施設臨界事故による原子力損害の報告、環境白書、防災白書、無差別大量殺人行為を行った団体規制に関する法律の施行状況に関する報告及び質問主意書に対する答弁書8件を決定。法律の公布が6件。政令は当委員会及び金融監督庁に関係する、中央省庁等改革のための金融庁関係政令等の整備に関する政令、金融危機対応会議令、金融審議会令、自動車損害賠償責任保険審議会令、公認会計士審査会令、株価算定委員会令、株券等の保管及び振替に関する法律第14条の2の規定に基づき内閣総理大臣から金融庁長官へ委任される権限から除かれる権限を定める政令、中央省庁等改革のための内閣関係政令等の整備に関する政令、中央省庁の改革に伴い関係政令等を廃止する政令、を含め92件。人事案件は大使の免官及び叙位叙勲等。労働力調査報告及び家計調査報告が配付されました。

 閣僚発言は、総務庁長官から高齢社会対策白書、環境庁長官から環境白書、国土庁長官から防災白書、それぞれについて発言。法務大臣及び国家公安委員長から無差別大量殺人行為を行った団体規制に関する法律の施行状況に関する報告に関して発言。総務庁長官から労働力調査結果及び家計調査結果に関して発言。労働大臣から平成12年4月の有効求人倍率について発言。外務大臣から総理の韓国訪問について発言。厚生大臣及び官房長官から世界禁煙デーについて発言。

 閣僚懇では、大蔵大臣及び労働大臣から有効求人倍率及び失業率等について発言。

     

【質疑応答】

 問:異業種の銀行業参入の関連ですが、今日、指針の成案が得られるかと思いますが、これについて改めて大臣の方から、骨格はほぼ変わってないと思いますが、ご所見をお願いします。
  

員長:今日、再生委員会で、最終のご報告をして、その後会見をさせて頂くことを予定していますので、正式にはその場で申し上げたいと思っています。色々な努力がここまで進んできたわけですので、本日パブリック・コメントにかけるところまできたことを嬉しく思っております。今はそのぐらいにさせて頂きます。

  

 問:第一ホテルの関連ですが、会社更生法を申請すると、長銀のいわゆる瑕疵担保が発生することになると思いますが、これは瑕疵担保責任が発生するということですか。それと国会審議でも、多少質疑があったかと思いますが、債権放棄に応じない方が、むしろ契約上有利なことになってしまう状況が生まれやすいことが、今回の第一ホテルのように、債権放棄に応じない方が、長銀或いはこれから日債銀も同じような形で有利になるのではないかというケースにもなり得るのではないかと思いますが、その点について、大臣のお考えをお聞かせください。
  
員長:第一ホテルが会社更生法という法的な整理に入ることになりますと、長銀との契約上は瑕疵担保条項の、具体的に2割以上の減価があるかどうかはまだ分かりませんから、今コメントできないのですが、会社更正法の適用については一応、その瑕疵に当るということになっています。そこらがこれからどうなっていくのかまだ分かりませんが、そういうことだと思います。それから、国会でも、債権放棄をすると瑕疵担保の解除権がなくなるという構成はどうか、という議論があったことは事実ですが、国会でも答弁しましたように、債権放棄というのは、それぞれのぎりぎりの判断で、こういう厳しい状況の中での一番の合理性はどこにあるのかと、ぎりぎりの判断で、探って頂くものだろうと思います。ですから、自由にできますよ、という性格のものでは本来ないのだろうと思います。以前にも、記者会見で申し上げたと思いますが、金融機関側にしても安易に認めれば、株主代表訴訟でその責任を追及される可能性なしとしない。或いは、もっと極端な場合を考えれば、背任ということも考えられないわけでない。そういう中で、全体の経営を考えて債権回収との合理性、一番債権回収を図れたり、その銀行として、経済的に合理性のあるのはどこか、というのを金融機関の経営者にご判断頂かなければならないと思います。それから、債権放棄を求める方も、当然、今までの経営責任というのも何も問われずに、債権放棄というわけには、まずいかないというのが普通でしょう。何らかの形での経営責任を問われるということですから、そういう中で、本来、債権放棄というものは、慫慂されるべきものではないと思います。現状では止むを得ないのではないかというところを探っていくということですから、自由に出来るのが良いというわけにはいかないのではないかと思っています。

  

 問:債権放棄についてですが、日銀総裁も昨日、講演の中で、債権放棄の発生、かなりの頻度で発生しているということの危惧を仰ったのですけれど、今のペース、額は、本来想定と言いますか、3条件はございますが、今のペースは当然これぐらいあってしかるべき額、件数という、その範囲内に収まっているのですか。

  

員長:これはそれぞれの経営判断ですから、我々が予めこのぐらいでやりなさいとか、このぐらいで抑えなさい、というものではありませんが、やはり、これから6月の株主総会を控えて、色々な中でこういう動きが起こってきているのだろうと思っています。

  

 問:中小企業向け貸出の曖昧になっている点についてですが、2000年3月期の融資残高の増加額の公約値、目標値は3兆円という理解で良いのですか。
  
員長:結論から申し上げれば、そうだと思います。2兆9000億円で約3兆円です。我々が経営健全化計画の中で定めて頂くように求めてたのは、資本注入を受けることによって、どれだけみなさんのところは従来より、中小企業向け貸出を増やすことが出来るのでしょうかということです。そういうことで想定値等を出して頂いているので、私は3兆円という理解で良いのだろうと思います。

  

 問:発射台で沈んだ部分は期待値というこことで、公約値ではないのですか。
  
員長:公約値というのはまさに3兆円です。要するに、それぞれが、自分達がこれから1年間でこれだけ資本注入を受けた時にどれぐらい増やせるかという形で、現状、このぐらいと見てここまでもっていけるという計算ですから、彼らの当時の見方から、要するに総計すると3兆円増やせるということで、3兆円で良いのだろうと思います。

  

 問:発射台である99年3月期の実際の見込みと実績が乖離した部分があると思いますが。
  
員長:その乖離を入れて計算しているわけではないと思います。

    

 問:実額でも、各行の実額の目標値と実際どれだけ増えたかと2つの議論を見て考えると、確かに実像の部分では達成されたかもしれませんが、各行でそれぞれ、今の発射台の議論もそうだと思いますが、99年3月期のところでのスタート時点が低かったがために、増加の額は達成されたかもしれないけれど、各行の目標額として達成されないという事態が生じているのではないかということなのですが。
  
員長:要するに、それだけ増加しますということですから、それで良いのではないかと思います。つまり、これだけ資本注入を受ければ、1年間でこれだけ増加ができると思います、ということで出して頂いたわけですから、それが達したところ約3兆円ということですから、それが、やはり私は達成すべき目標なのだろうと思います。

  

 問:実際増えた額に着目するということですか。
  

員長:そういうことです。

( 以 上 )


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