谷垣委員長閣議後記者会見の概要

【平成12年6月27日(火)於:金融再生委員会会見室】
  

【閣議案件等】

 閣議の報告の前に選挙の結果ですが、与党3党が安定多数を超して与党連立体制の信任を頂いたとということだろうと思います。ただ、内閣の中におきましても二人の閣僚が苦杯をなめられました。まことに残念なことだと思っています。3党体制では信任を得られたわけですが、自民党が議席をかなり減らしたことも事実であり、連立の意味も自民党が衆議院で過半数を持っている場合の連立と、過半数を割った場合の連立ではかなり違うとも考えられるわけです。そのあたりの問題をどう考えて行くかということが残っているのではないかと思って、この選挙の結果を受け止めさせて頂いたという次第です。

 閣議ですが、一般案件は、一般会計の予備費の使用が3件。国会提出案件は、質問主意書に対する答弁書が3件。条約の公布が1件。政令が9件。人事案件は環境庁長官が海外出張をされますので、臨時代理に厚生大臣を指名。及び叙位叙勲等。報告は、平成11年度第4・四半期に締結された無償資金協力の取決めについて。配付案件は、平成12年度の労働白書。関連して労働大臣から発言。今回の選挙結果について配付。

 閣議における発言は、外務大臣からパキスタンにおける旱魃災害支援等に関して発言。総務庁長官から少年非行の現状及び対策等について発言。建設大臣から三宅島の火山活動について発言。

 閣僚懇では、北海道開発庁長官から北海道活性化懇談会の報告書について報告。科学技術庁長官からヒトゲノムの解読の完了について発言。総理から三宅島火山対策について発言。運輸大臣から中部国際空港について発言。

     

【質疑応答】

 問:冒頭、大臣から選挙結果について、信任を得たと仰られましたが、与党3党が議席数を減らして、野党側や国民からしてみれば3党の枠組みについて必ずしも信任を得たとは言えない、と言う立場の方々も多いと思いますが、それについて改めてお伺いしたいのですが。
  

員長:先程申し上げましたように、連立3党で270議席を超えたわけです。480議席の内でそれだけ議席を頂いたわけですから、これで信任を受けていないとは言えないと思います。信任を受けたということは、この結果の読み方として、決して間違っていないでしょうし、そのように考えて信任を受けた者が、更に努力していくことは当然のことだと思います。他方、今言われましたように、確かにだいぶ数を減らした結果ですから、それをどう考えるかという問題は次の問題としてあると思います。3党としてと言うより、自民党から見ますと、自民党が過半数を占めた上で参議院のことも考えながら、連立が必要であるという段階と、衆議院では過半数を占めていない段階とでは、若干意味合いが違ってくる点も確かにあります。その辺りの意味合いは、先程言いましたように3党体制を信任されているという前提の中で、この選挙データをどう受け止めていくか議論されなければいけないと思います。

  

 問:そごう問題ですが、新生銀行がそごう向け債権の買い取りを預金保険機構に請求して、その債権放棄を求められていますが、現在の交渉状況について、監督する立場の金融再生委員会としてはどのように捉えていますか。
  
員長:まだ、具体的な報告を頂いてないので、コメントする状況ではありません。我々の方からしますと、契約書に瑕疵担保条項というものがありますから、前々から申し上げているように、資本注入行が債権放棄をする時に、どういう前提の下で議論して判断して頂くかという問題が一つと、その次の段階として、瑕疵担保条項というのが適用になるかどうかという2段あろうかと思っていますが、まだ私のところには来ておりませんのでそれ以上は申し上げにくい状況です。

  

 問:2次損失による国民負担の増加という懸念があって、そういう中で、民間企業を救済することへの批判がありますが、一般論として、一民間企業を国民負担のリスクをしょいながら救済することには大臣はどのようにお考えですか。
  

員長:資本注入を受けた金融機関が債権放棄を決断されるということは、基本的には受けておられるところの経営判断だろうと思います。その上で資本注入して金融機関を健全化し、注入した資金の回収の確保を図らなければならないのが我々の立場ですから、その観点から見て、どういう問題があり得るかというと、前々から申し上げているように、債権回収という観点からみての合理性、それから経営責任、社会的な影響、この3点を考えてやってくださいということを申し上げているわけです。

  

 問:今後のスケジュールですが、現在の閣僚の任期もありますので、大臣としてはいつ頃を目途に考えていますか。
  
員長:具体的に報告が来ていないので分かりません。皆さんの頭の中に色々と時期を想定されたタイムスケジュールがおありだろうとは思いますが、私もいつまでもやっているわけではありませんので、これから報告を聞いて判断していかなければいけないと思っています。

  

 問:連立の中で、自民党が過半数を占めているのといないとでは違いがあると仰ったのですが、具体的にどういう違いがあるのでしょうか。
  

員長:衆議院で内閣総理大臣を指名する時に、過半数を占めていなければ自民党だけでは、指名ができないわけです。他の党にご協力を求めなければ、首班指名自体を行うことができない。自民党の想定する方を首班として指名することはできない。自民党が多数を持っていれば、参議院で仮に否決され、別の方が参議院でご指名があるとしても衆議院で首班指名ができますので、憲法の条項からいってそれが国会の意志になっていくプロセスがありますから、そのことが連立を組む場合の根本的な違いだろうと思います。

  

 問:それ以上に、これだけ席を減らしたということについて、自民党幹部の責任などもあるのではありませんか。
  
員長:3党体制そのものは信任をされていますから、その枠内でどういう問題があるかということは、一つ一つの政治的なプロセスが終わった時に、きちっとその問題点を振り返ることは先へ進む為に必要だと思いますので、その議論はなされるべきだろうと思います。

  

 問:その議論はどういう形で進展したら良いとお考えですか。
  

員長:私は今、閣内におりますから、私から申し上げることではなく、党の問題として、党の方でご議論があるだとうと思います。

  

 問:日債銀問題ですが、最終合意に向けた交渉が続いていると思いますが、ソフトバンク連合側から、瑕疵担保責任スキームについて見直しを求められていると思いますが、これは、そごうの債権放棄問題と密接不可分かと思うのですが、こちらの方の進捗は如何ですか。
  
員長:かなりぎりぎりのところまで煮詰まっているのだろうと思いますが、瑕疵担保スキームの見直しという話は承知しておりません。

  

 問:ソフトバンクが、瑕疵担保スキームの運用によって民間企業の破綻の引き金を引きかねないということについて変えてほしいという話があったかと思うのですが。
  

員長:瑕疵担保の契約条項そのものについて議論があるようには現在のところ聞いておりません。

  

 問:東京相和銀行ですが、今日の再生委員会で譲渡先を決定するということでよろしいのですか。
  
員長:今日、再生委員会で議論することになると思いますが、管財人のご努力で相当煮詰まって来ている段階だろうと思います。再生委員会に出てきたときに、委員の方からどういうご議論が出るか分かりませんが、かなり煮詰まった段階で議論をさせて頂くことは間違いありません。

  

 問:自民党がこれだけ議席を減らした原因はどこにあると思われますか。
  

員長:私自身がその結論を良く掴みかねて、明確に分析が出来ていないので、或る意味で、今回の結論は分かりにくいことも事実です。数は減らしているけれども3党体制では信任を得たという状況をどう理解するかというのはなかなか言葉で明解に言うのは難しいのです。ある方に言わせると「蛇の生殺しのような状況」という表現をした方もおられます。結局、連立体制というのは、考え方の違うものが集まって連立を作るわけですから、それぞれの支持者にとって、何となく肌触りが悪いところがあるのが連立の宿命だと思います。連立というものはある意味での肌触りの悪さがあることも含めて連立についてはある程度理解はあると思いますが、連立はそういうことも裏に伴うということについて、ご理解が十分ではないと思いますし、我々の方で連立の肌触りの悪さを乗り越えていくために、どういうことをしなければならないのかということは、まだ議論の余地があると思います。

  

 問:「蛇の生殺し」というのは、大臣ご自身も感じていますか。
  
員長:そういう見方もあるのかなということです。

  

 問:政策的に、景気回復を確保するまで積極的に行っていくのか、それとも財政再建にそろそろ手を付けていったらいいのか。そういった大きな2つの軸の中でも与党の中では、まさに蛇の生殺しという状況が生まれているのではないですか。
  
員長:その方が「蛇の生殺し」と仰ったのは、政策的な方向性について国民は判断を下したのだろうかという意味合いで「蛇の生殺し」と言われたわけです。私の表現ではないので、こういう場合で引用するのは、適切ではなかったかもしれません。

  

 問:3党体制信任とは言うものの、閣僚が二人落選ということは、異例なことだと思いますがその点は、森内閣そのものに対する国民の評価はどう思われていますか。
  

員長:この結論を見て今の3党の体制が信任を受けていないということは言えないと思います。ですから先ほどから自問自答するようなことを言っているのは、我々としてはかなりご批判を頂いた面があるのだろうと、このご批判をどう受け止めていくかということについては、まだ十分に答えが出ていない。そこは我々は自分たちで答えを見つけ出すようにしなければいけないと思います。

  

 問:自民党としては、勝利したという感じはあるのですか。
  
員長:勝利したというより、やや疲れる感じがあると、かなりの同士が苦杯を飲まれているわけですから。

  

 問:都市部とそうでないところでかなり選挙結果に違いがあったと思いますが、1票の格差についてはどのような見解を持っていますか。何倍までならということはお考えになっていますか。
  
員長:1票の価値については、最高裁がどうのような判断をしているのか判例は十分に承知していませんが、確か小選挙区制度を作る時にも、地域のいろいろなことを全部数字だけで解決することはできないから、基礎数を各県毎にした上で2対1までが限度としてこの制度を作ったと理解をしているのですが、そういうことかと思います。

( 以 上 )


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