谷垣委員長記者会見の概要

【平成12年6月29日(火)於:金融再生委員会会見室】
  

【協同組織金融機関の資本増強についての基本的考え方】

谷垣 委員長:本日の金融再生委員会で協同組織金融機関の資本増強についての基本的考え方をまとめましたので発表させていただきます。ご承知のように、今まで都銀・大手行に対する資本増強についての考え方、それから地域金融機関についての同様の問題についての考え方、今まで2回にわたって発表してまいりましたが、今回、協同組織金融機関についてこのようなことをまとめることができたわけであります。ここまで至りました経緯を簡単に申し上げますと、ご承知のように昨年、いわゆるペイオフを1年間延期するという決定をいたしたわけでございますが、その時に1年延期の主たる理由とされたものは、いわゆる協同組織金融機関について国、この4月から特に信用組合については従来の都道府県の管轄から国の管轄にきたわけですが、そういう協同組織金融機関については必ずしも実態把握が十分ではないということが、ペイオフ延期の理由となっていたわけです。他方、それではそういうものの実態把握が十分でないから、国に監督権限が来まして、この7月から来年の3月にかけて検査が集中的に行われていくわけです。実態把握が必ずしも十分でない協同組織金融機関が仮にペイオフに対して不安であるような体質がもしあるとすれば、国が持っている資本増強の仕組みでそれを健全化していく。従来この資本増強の仕組みが協同組織金融機関には必ずしも使いやすいと言うか、現実的には使い難い状況にあったこともご承知の通りです。そこで、優先出資法や早期健全化法の改正も行われ、また協同組織金融機関に関しては他の金融機関に比べて1年間公的資本増強の期間も長くするということにもなりまして、道具建てが整ってきた。そうしますと協同組織金融機関に対しての資本増強はどういう考え方で行われるべきかということが整理されなければなりません。これはこの通常国会で金融関係のご議論がありますときも大変関心を持たれまして、議論をしたテーマでございます。金融再生委員会としては、国会で法律が通りましてから4回にわたりまして問題点を議論してきたわけでございます。このほどこうしてまとめることができたわけですが、その際に協同組織金融機関は相互扶助組織であるが、現実的にはそれぞれの地域において中小零細企業向け金融等を通じて地域経済に大きな役割を果たしているわけです。ただ、規模が小さいあるいは営利を目的としている機関ではありませんので、必ずしも内部に十分な留保を積んで資本基盤を強くできないという制度的な理由もありますので、客観的に見て経営基盤が脆弱であるものも多い。しかし地域では重要な役割を果たしている。そこで我々としては、地域経済の要請からこれを強化していく、資本増強していく、この武器を使いたいわけです。他方、資本注入をした場合それが毀損する事があってはならないということが前提になります。その辺りをどう調整するか、という議論をして、これをまとめさせていただいたわけです。中味につきましては、事務局長から読み上げてもらいます。

 

事務局長:読み上げ「発表資料参照」

     

【質疑応答】

 問:全体の経緯についてはご説明頂きましたが、審査の考え方について、検査結果を踏まえるとか、過少資本以下の自己資本区分に属する金融機関については自力増資を前提にするとか、いくつかポイントがあると思いますが、この辺についての再生委員会での議論と状況を伺いたい。協同組織金融機関に関しては、政治が絡んだりいろんな可能性があると指摘されていますし、そういう点も念頭に置いていただいて、審査の条件等についてどういう議論があったのかご説明頂けますか。
  

員長:いろいろな議論がありましたので、上手く整理して申し上げられるか分りませんが、一番基本的なところから申し上げます。今までの都銀あるいは地銀等についても全く同様ですが、資本増強の目的は、個別行の救済ということが目的ではなく、その地域の金融システムの安定を図っていくということが目的である。ここはそう異論がある議論はなかったと思います。そうしますと、相互扶助組織、特に信用組合というものになりますと規模の小さい相互扶助組織であると、そういうところに果たして地域の金融システムというような問題が生じ得る場合があるのであろうかという議論がありました。しかしそれに対しては、相互扶助組織ということはもちろんそうなのですが、現実には中小零細企業向け融資などその地域でのそういう中小零細のところに対して経済活動を支えていくインフラの役割を果たしているものが現実にはたくさんあるではないか。そういう流れの中で優先出資法等の改正も認められて、そういう中での資本注入であるから、やはり資本注入というものが必要とされる場合があり得るであろうという議論がありました。では地域における資本注入の要請というのが、一体どういう所から出てくるのだろうかと、つまり地銀などの場合には主要行、競争行それから再編行といった分類をして、議論をしたわけですが、相互扶助組織の場合には、主要行とか競争行という概念があり得るのかどうか、という議論もありましたが、やはりその存在があるいはその存続が地域経済にとって必要であるとされる金融機関は協同組織のものでもあり得るだろうと、そういうところには優遇する必要があるだろうし、「再編」と書いてあるのは「再編」というのはこういう協同組織金融機関の場合に「再編」というものをどこまで要求すべきか、一定の方向を持って再編をリードするのがいいのか、あるいは相互扶助組織という特質から考えるとそういうことをリードする必要があるのかないのか。こういう議論もありました。しかし再編の場合もいろんな再編があると思いますが、率直に申し上げるとかなり体力の落ちたものを合併することによってその地域の金融システムを安定させるということがあり得るだろうし、そういうところに資本注入して体力を高めて健全化をしていくということもあるのかなということから、こういう整理になっています。表現上は過少資本以下の自己資本の区分に属する金融機関と書いてありますが、論理的な可能性としては、もちろん過少資本以下の金融機関に注入する場合がないとは言えないわけでございますが、ここにも書いてあるようにその地域経済に必要であると認められる場合には、かなり自助努力あるいはその地域における援助とかいうものがあり得るだろうと、そういうことを想定しつつ物事を考えていくのかなと、こんな議論であったと思います。それからもうひとつの問題は、先ほど申し上げましたが、注入したけれどそれが毀損してしまったということがあってはならないということです。そうしますと、その場合に、どういうことを前提として、資本が毀損しない、大丈夫だとみるかというと、存続可能性の要件とは適切な引当てが行われていることを前提として債務超過時の存続可能的状態ではないということですが、それと同時にそれがどういうものに基づいて判断するかと申しますと、信用組合については原則としてはこの7月から国の検査が始まっていきますので、国の検査を見たうえで判断をしていくことが原則なのだろうと思います。しかしそれのみに限定する理由は必ずしもないわけで、都道府県の今までの検査等から見まして、金融機関の状況を十分把握して大丈夫だという場合には行える。必ずしもその状況を把握する手段としては国の検査ということには限られないのではないか。こういう議論をしましたのは、今直ちにある検査結果というのは、国の検査結果がない場合が全部ですから、今すぐ必要に迫られた場合には、国の検査とは必ずしも言えないだろうと思います。しかし7月からだんだん検査に入っていきますと、現実には今のような議論より国の検査が使える場合が多くなってくるのではないかと思います。

  

 問:大手行から始まった資本注入が、これで全金融機関に行き渡ったイメージがあるのですが、2002年4月のペイオフ解禁前に金融システムなり銀行界全体の健全化は可能なのかということについて、現時点でどのようにお考えですか。
  

員長:大手行では再編がいろいろ進んできておりますし、いわゆる地銀・第二地銀等のレベルについても必要なものには資本注入を行ったりしながら、安定してきたと思います。問題は信用組合をはじめとする協同組織金融機関でして、これについては今の資本注入の手法がどう使われていくか、またどう使っていくべきかということと関連してくるわけですが、率直に申しますと7月から検査をしていって検査結果を見ながらこの使い方を具体的には判断していくということになると思います。しかしこういう手段が与えられたことと、これから検査が進んでいくということで、私共はしっかりした金融秩序をこの分野でも作っていくことができると思っています。

  

 問:過少資本以下の自己資本区分の金融機関についての自助努力については、4%までは自助努力を求めるということですか。
  

員長:先ほど申し上げたように、過少資本行でも全く資本増強措置というものが原理的に否定されているわけではないわけですが、やはり個別行を救済するということが目的ではなく、その地域の金融システムを安定させるということであるとすると、やはりその地域で必要とされるということがあるわけです。そこでこの金融機関がなくなったら中小零細企業向け融資等に大きな支障が生ずるという場合には、会員・組合員以外の地域経済界とか、あるいは地方公共団体といった場合もあるかもしれませんが、そういうところから地元への増資の要請というものや協力が行われる場合があり得るのではないか、そこで目安は自助努力による4%というようなことになるのかなとは思いますが、論理的にそれに限るという意味ではありません。

  

 問:在日韓国人系とか、在日北朝鮮系の信用組合は地域経済というよりは、民族の相互扶助組織という形になるかと思いますが、この扱いはどうなるのですか。あるいは職域信組は、地域経済にとって必要とかいう観点から離れるような気がするのですが、これらはどういう扱いになるのですか。
  

員長:一般的に職域とか民族系であるからといって、論理的に全部資本注入の可能性を排除する趣旨ではありません。それは今例示されたような場合でも、地域経済にとって欠くべからざるものであるとみなされる場合はあり得ると思います。ですから職域であるとか、職種別であるとか、職域といった場合にどれくらいあるのか、職域の場合地域経済にとって不可欠ということがあり得るのかどうか今は分りませんが、そういう職域とか、民族系とか、職種別ということで予めだめだという考え方ではありません。

  

 問:過小資本以下というのは、債務超過も入るのですか。
  

員長:債務超過ということになりますと、これは破綻処理ということに、論理的にはなるわけですが、ただ債務超過という場合でも、瞬間風速で債務超過になったけれども、やはりそれぞれの地域で「これが破綻してしまったら大変だ」ということになって直ちにみんなで支援態勢を敷いて資本を集められるという場合もあり得る。みんなで努力をなされて、更に強化するためにという場合はないわけではないと思いますが、債務超過になって何も打つ手がないというようなものには、破綻処理に進んでいくことになると思います。

  

 問:「瞬間風速」というのは、検査結果の債務超過というのは、基本的には当てはまらないということですか。
  

員長:検査したら債務超過になっていたと、しかしこれでは大変だとその地域でみんなで努力して、資本増強が直ちにできてくるということもあり得るわけです。そういう場合に、今回の資本増強を予め否定しなければならない理由はないと思います。

  

 問:7月に金融庁が発足して、年内に金融再生委員会もなくなるわけですが、そういう中でもこの基本的考え方がずっと使われていくと思いますが、金融監督庁時代はルール行政ということでやってきて、金融庁になってもそういう考え方は変わらないと思いますが、今回、個別金融機関の救済ということではなく地域の健全化ということでやっていると思いますが、ひとつには金融庁になって企画部門も一緒になり、再生委員会もひとつの組織になって裁量への回帰が起きるのではないかという懸念もある中で、例えばこの考え方の中で自己資本比率4%台とかいう数字を盛り込んだほうがよりルール行政が明確になるのではないかという意見は委員の中で出なかったのかということがひとつと、大臣ご自身そういう組織の過渡期に中でルール行政が損なわれて裁量へ帰っていくのではないかというお考えはないですか。
  

員長:この中で数字をはっきりと4%以上でなければ資本注入をしないと書き込むべきだという意味でしょうか。

  

 問:過少資本でも入れるが、目安として4%台をある程度確保する必要があるとか、考え方としてある程度明確に数字を示しておけばいいのではないかという意見はなかったのですか。
  

員長:そういう意見は必ずしもありませんでした。数字にはしていませんが、自助努力が十分に行われていることを前提とするとか、その場合の自助努力とは何だと、あるいは自助努力による自力調達が行われているかどうかを考慮するという中に、定量的な表現ではありませんが、こういう定性的な表現で書かれているということだろうと思います。金融庁になって、今までの行政手法と変わっていくのではないかということですが、ルールに基づいて市場と自己責任を重視していくという行政の方向は大きな流れで変わらないと思います。ただ、やはり企画立案部門のない検査と監督だけの時代と、企画立案の含まれてきた場合とは、少し行政というか役所の物の考え方というものにある意味では変化があり得るのかなと思います。しかしそのことは今までの護送船団的な行政手法が復活するという意味ではあり得ないと思います。

  

 問:引受けの条件ですが、ペイオフ解禁に向けて強固な状態をベースに配当率をということですが、これは何で見るのですか。
  

員長:結局、協同組織金融機関というのは、銀行と比較して規模も小さいですし、客観的に見て経営基盤が脆弱なものが多いわけです。特にその地域の金融システム自体はまだ十分に戻ってきたという信頼性が十分にない時代には、財務内容あるいはそういうものを評価した場合、配当率は相当高いものにしないと、リスクに応じたものにならないと思います。ここで書いてありますのは、それで相当高いものにした場合に、こういう金融機関が銀行から融資を受け難い中小零細の企業を相手に実際に融資を行っているという実態からみると、齟齬が生じてしまうのではないかという観点からこういうことを書いているわけで、ただその場合に、配慮するとは書いてありますが、これは当然のことですが資本増強の原資の調達コストを下回るようなものであってはならないということは当然だろうと思います。
  
務局長:今大臣のご説明した点は3ページ目の一番上の点についてのものであり、大変重要な点でございます。では2ページの最後の点は何を言っているかと申しますと、これは大手行の資本注入の考え方でも、地域金融機関への資本注入の考え方でも述べておりますが、資本注入というのは言わば業態が脆弱だからするわけで、そのときに現在の脆弱な環境のもとでのマーケットレートではなくて、それは健全化した時の、例えば大手行で言えばジャパンプレミアムが解消した時の状態でまず水準を考えましょうと、つまり資本注入をして強固になった段階での配当率がベースですよと、こういうことを述べた部分でして、これは大手行でも地域金融機関でも同じ考え方を採っております。

  

 問:大手行の場合はLiborの市場金利を使っていると思いますが、信用組合の優先出資証券ではそういうものがあるのですか。
  

務局長:当方この信組への資本注入を前提といたしまして、専門家にモデルをきちっと作ってもらっております。それで一応配当利回りというものは、まさにどれくらいの信用度、あるいはリスク度に見合ったものでなければならないわけで、そういうものが全て出るようになっております。ただし、只今大臣が申しましたように、それ自体は、例えば信組が全信組連から今受けている金利は2.数%という金利ですが、それより遥かに高くなってしまう。そういうもので資本注入するといっても、それでは受け手がないでしょうと、それで大臣が仰いましたように信組の果たす役割等を考えてある程度現実的な水準まで低めますが、だからと言って補助金になるわけではありません、というのは国の信用で集めてくる原資のコストというのはやはり優先出資で出資する配当利回りより低い利回りで集めてきますから、逆ざやにはなりませんということが大臣が仰ったことです。

  

 問:優先出資証券ですと、商品性のところで社債型優先株にもっとも近いと思いますが、それだと受ける方が相当不利だと思いますが、4つの項目を挙げてどこまで下げられるのでしょうか。これは相当銀行に適用してきたものに比べて信用組合のものは甘くなるという考え方でいいのでしょうか。
  

務局長:甘い辛いの表現は避けますが、先ほど大臣がご説明した3ページの一番上の2行に書かれていることに全ての意味を込めているつもりですが、やはり中小零細企業向け金融を行っているということ、更に協同組織金融機関が法律で相互扶助機関として認められていること、そういうことの点を配慮して配当率等の水準をある程度厳密な意味でのマーケットレートより少し下げるというこではないかと思います。

  

 問:過少資本で自助努力をして4%を超えれば資本注入を考えるのか、過小資本で自助努力をして4%を超えなかった時に公的資金で助けるのか、どちらなのですか。
  

員長:過少資本については、論理的には否定をしているわけではありません。過少資本の場合には一切入れないということを原則としているわけではありません。それは告示の中にも分類しておりますが、そういう場合に公的資金を入れる場合には入れる条件が厳しくなってくるわけです。論理的な可能性としてはそういうところにも入れる余地はあるわけです。ただ現実問題としては、今ここで申し上げたような個別金融機関への救済ではなく、地域の金融システムを安定させていくのだと、そうなった場合に地域から本当に必要とされているかどうかということを判断する目安として自助努力というものがあって、それは4%くらいまで自助努力で集めようではないかということになって来るということが、ひとつの目安ではないかという考え方です。

  

 問:論理的余地で言えば、大手銀行でも地域金融機関でも過少資本行に入れられたわけですが、現実の再生委員会の運用というのは極めて厳しく、自助努力で過少資本をクリアした後に入れていたと思いますが、同じ取り扱いということですか。
  

員長:全く同じでいいかどうかということは、ここにもあるように実態ということになるのですが、これから検査が進んでいった時にどういう使い方をしていくかは、いろいろな考え方があり得ると思います。ですから今我々はある意味ではその辺のところは慎重にいろんな可能性も考えておこうという気持ちはあります。ただ先ほどから申し上げておりますように、過少資本のところにどんどん入れられるかと言うと、やはり存続可能性とか、毀損させないというところから言っても、どんどんできるということは相当危険であろうと思います。ですから自助努力と併せて4%というところがひとつの目安かなと思います。

  

 問:そこが一つのポイントになると思いますが、結局、地銀とか第二地銀に比べてより甘くなるのか、これまでと同じ基準、もちろん対象が違いますから全く同じということはあり得ないと思いますが、これを読みますと地域金融機関とか大手銀行より若干甘い適用をするのではないかという疑念も生まれるわけですが、一方で金融危機の中で生まれた大手銀行とか地銀への資本注入と、現在のように大臣も国会で金融危機は終ったと言われている中での資本注入との違いもあって、なおかつ金融システムへの影響度で言うとより遠い協同組織金融機関の件は、それにより甘くすると言うのは逆ではないかと思うのですが、この辺の理解というのは再生委員会の中ではどういうふうにされたのですか。
  

員長:甘い甘いと仰いましたが、それぞれの実情を踏まえたものでなければならないと言っているところは、そして小さいし脆弱な基礎があると言っているところは、都銀とかとは違う事実も十分に見なければいけないと言っているわけですが、しかしその他のところは必ずしも甘くしているとは考えていません。それは読み方かもしれません。

  

 問:地銀の時は、主力行、ライバル行とかより具体的な基準が明示されていたわけですが、こちらはなかなかそういう基準が作り難い事情は分りますが、曖昧であるというところが、地域の政治的圧力が介入しやすくなるのではないかという疑念があるのですが。
  

員長:ですから国の検査とかを踏まえた上で、十分な引当てがなされているかということも踏まえた上で判断していこうと、それぞれの地域で政治的な要求があるからと言ってそういうことを抜きにして、政治的に救いましょうというものではないと、やはりきちっとした検査を踏まえた上で判断をするということだろうと思います。

  

 問:債権放棄については、公的資金を注入した協同組織金融機関の債権放棄については、どういう考え方になるのですか。
  

務局長:これは協同組織金融機関の資本増強についての基本的な考え方ですが、最後にありますように、これの全体に被っているのは地域金融機関の資本増強についての基本的考え方であり、その更に上に被っていますのは大手行への資本注入の考え方で、更に言えば金融再生委員会運営の基本的考え方があります。そこにあります資本注入した場合の債権放棄の基本的考え方と申しますのは、1に経済合理性、2に社会的影響度、3に経営責任の明確化ということを言っておりますので、基本的にそれが協同組織金融機関に当てはまると思います。ただ、具体的な話として今の質問のようなことが果たして協同組織金融機関の相手方に対してあるのかどうか、現実性のあるものとしては思い浮かびません。ただ、理論的にはそういうことです。

  

 問:過少資本への資本注入ですが、銀行と比べると過少資本の金融機関への資本注入というのは間口は広がったという認識でいいのですか。
  

員長:間口が広がったというわけではないと思います。そこはほとんど同じなのだろうと思います。ただ、我々としても予め過小資本行を全部排除するという姿勢は取っておりませんが、仮にそういう要請がある場合でもそこの地域にとっての必要性を判断するような場合には、自助努力が必要ではないかと考えています。

( 以 上 )


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