谷垣委員長閣議後記者会見の概要

【平成12年6月30日(金)於:金融再生委員会会見室】
  

【閣議案件等】

 今日の閣議ですが、一般案件は平成12年度仲裁裁定の処理について了解。関連して官房長官から発言。国会提出案件は、質問主意書に対する答弁書が2件。政令が1件。人事案件は、経済企画庁長官がOECDからお帰りになりましたので日本政府代表を免ずる件。及び金融庁長官に日野正晴現金融監督庁長官を任命、次長に浜中現次長を充てるとことを含め各省庁の人事等。配付資料は、労働力調査報告、消費者物価指数、家計調査報告。関連して総務庁長官から発言。労働大臣から有効求人倍率について発言。

 その他の閣僚発言は、経済企画庁長官からOECD関係閣僚会議等について報告。法務大臣から第50回社会を明るくする運動について発言。科学技術庁長官、通商産業大臣、運輸大臣、郵政大臣及び労働大臣から人事口頭了解事項について発言。

     

【質疑応答】

 問:そごうの債権放棄の問題ですが、今日、預金保険機構から再生委にこの問題について報告があるかと思いますが、再生委として報告があった場合に大臣個人のお考えでも結構ですが、どの点に注視して議論するのかということを改めてお願いします。
  

員長:これは今日の再生委員会で議論することになると思いますが、28日にいわゆる瑕疵担保条項によってそごうに対する債権の大半を解除したいという通知が預保にきたようです。預金保険機構としては、3年の間に2割減価という条件に該当しているかどうかということを検討されて、それと同時に預保として債権放棄に応ずるべきかどうかという結果を持って、今日は再生委員会でその案件が出てくるだろうと思います。これは多面的な問題を持つことですが、従来から申し上げているように預保としても基準を作っているわけで、要するに債権回収の観点から見た上での合理性、このことは国民負担の最小化につながってくるだろうと思います。それから経営責任の追求の問題、社会的影響、いわゆる民間主導による和議は進んでいるわけですから、その再建計画の合理性ということを基準にして預保が判断するわけですから、その辺りの報告を聞いて我々も判断していくことになると思います。

  

 問:そごうの再建計画そのものについても、「この再建計画で大丈夫だ」というような議論はするのですか。
  

員長:報告をよく聞いて我々としても考えなくてはけない点ではありますが、本来、再建計画の合理性というのは、民間主導による和議と言いますか再建計画を作り直しているわけですから、どこまで行政機構がそういうことを判断すべきか、判断せざるべきかという問題も他方あると思います。しかし我々としては、そういう問題もあるわけですが、同時にこの問題を議論する時には国民負担を最小化していくという要請は当然ありますから、砂上の楼閣のような議論に組するわけにはいかないということはあると思います。その辺を今日は報告をうかがって我々としても議論しなければならないと思います。

  

 問:日債銀の問題ですが、最終合意に向けて交渉中かと思いますが、同じ瑕疵担保スキームを使っているということですが、こういったそごうの問題も起って改めて瑕疵担保スキームを、特にソフトバンクはそのスキームに疑念を持っているわけですが、その点について改めて見直しということはあり得るのですか。
  

員長:瑕疵担保スキームについての見直しということはないと思います。

  

 問:今日の再生委員会は何時から行うのですか。
  

員長:10時45分からです。

  

 問:今日の結果については、会見等は開かれる予定はありますか。
  

員長:日債銀が、これから議論するわけですから議論してどうなるか予め申し上げられませんが、結論が出るということであれば会見をセットさせていただくことになると思います。

  

 問:そごうの再建計画が砂上の楼閣であれば、組するわけには行かないと仰いましたが、一方でメインバンク等は社会的責任から融資をして再建を支援するという動きがあるのですが、砂上の楼閣というのは社会的影響と天秤に掛けた場合、どちらが優先するのですか。
  

員長:先ほども申しましたように、これから議論しなければ分りませんし、それぞれの委員がどのようなお考えを持っておられるかということもあると思いますので、委員会の前にあまり確定的なことを申し上げるわけにはいきませんが、要するに我々としては債権回収の確実性と言うか、国民負担が軽減していくことを考えますから、将来の再建計画というものが全く脆弱なものであるとすれば困るということですが、他方、行政機関として再建計画の合理性をどこまで判断できるかという問題もあります。これはこれからの今日の議論です。

  

 問:国民負担の最小化という条件があると言われますが、一方で仮に債権放棄を受けると新たな国民負担になるということもありますが、その辺の兼ね合いについてはどうお考えですか。
  

員長:これも今日の議論ですので、委員会の前にあまり私の見解を立ち入って述べてしまうとどうかと思います。今申し上げましたように、再建計画がどのくらい確実性があるかによって国民負担の軽減化ができるのかどうか、やはり天秤に掛けなければならない要素があるわけです。

  

 問:そごうの問題ですが、新生銀行はそごうの準メイン銀行でそこが債権を預保に移したいということは、そごうの再建は非常に難しいと、今後二次ロス、三次ロスが出る可能性があるからこそ、債権を預保に売りたいという判断だと思うのですが、しかし預保は再建できると、二次ロス、三次ロスは生じないと、そういう判断を預保がした場合に、準メイン行が再建が難しいと判断しているのに預保が再建可能だと判断するのは矛盾しているのではないかと思うのですが。
  

員長:新生銀行がどういうご判断で解除権を行使されたかは私は申し上げる立場にありません。それは新生銀行のほうに聞いてください。我々としては契約に定められた瑕疵担保条項の条件が成就して解除権を行使されたことが、適正なものであればそれを受けてどう判断するかということです。

  

 問:素朴な疑問として、なぜそごうが救済に値するのかについてはどうお考えですか。
  

員長:素朴な疑問としてそういうお考えがあることは分りますが、我々としては法の枠内で、法はできるだけ処理コストを少なくして、国民負担を少なくすることを要求しているわけですから、そのことを考えなければなりません。それと同時に先ほどのように債権放棄に応ずる場合の基準を固めているわけですから、その基準に該当するかどうか、こういう判断をしながら決定するということだろうと思います。

  

 問:今後もそういう基準に該当するものがあれば、同じような措置を取っていくということですか。
  

員長:今後どういうものが出てくるか分りませんが、今から先まで全部見てお答えするわけにはいきません。

  

 問:二次ロスの話としては、昨年から議論があるわけですが、今大臣は素朴な疑問としては分るがと仰いましたが、大臣は個人的には二次ロスの問題についてはどうお考えですか。
  

員長:この議論を今します時に使い分けて「個人的にはこう思うとか」「閣僚としてはこう思うとか」は答え難いですから、私は今は再生委員長としてお答えするということです。

  

 問:素朴な疑問としては分るということは。
  

員長:素朴な疑問として、そういうご疑念が存在するということは、先ほどのご質問の方だけではなくあるだろうと思います。

( 以 上 )


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