谷垣委員長閣議後記者会見の概要

【平成12年7月4日(火)於:金融再生委員会会見室】
  

【閣議案件等】

 本日は閣議が9時から行われました。一般案件は、内閣の総辞職について決定。それに伴い官房副長官、法制局長官、危機管理監及び内閣補佐官の辞表も取りまとめました。

 閣僚懇における発言は、国土庁長官・建設大臣から新島・神津島近海地震について発言。総理大臣から閣僚に対して慰労の趣旨の発言。通産大臣及び農水大臣から謝辞と今後もがんばって欲しいという趣旨の発言。建設大臣から一連の不祥事報道に関連して中山建設大臣秘書官逮捕の誤報について遺憾の発言。
  

 私は4カ月余り、金融再生委員会委員長として仕事をさせて頂いたわけでございますが、4カ月間というのは短い期間であったわけでございますが、振り返ってみますともっと長かったような気が致しております。今更申し上げる訳でもございませんが、今までの金融行政を変換し、金融危機を乗り越え、新しい金融秩序を作る為の行政を展開して行こうという流れの中で、金融組織の大きな変化、7月1日から金融庁も発足致しましたけれども今まだ変化の途上でございます。その大きな流れの中で、4カ月間仕事が出来ましたことは政治家として大変ありがたい貴重な経験であったと思っております。その間、金融再生委員会という合議制の機関で仕事をさせて頂きまして、政界或いは官界から出ておられる以外の4人のメンバーの方と週2回色々と議論させて頂いたことは大変有益なことでした。実質的な議論もさせて頂き、4カ月間でございましたけれども、他の委員の皆様方は、発足以来このような大きな流れの中で大変ご苦労されて来たという思いも深くしております。それと同時に日野長官、森事務局長をはじめとする皆様にしっかりと支えて頂いて安心して仕事をすることができました。特別公的管理銀行であった長銀は私が参りましてからすぐ民間の銀行になり、日債銀も私の任期中に最終合意まで持ち込みたいと思っておりましたが、大変ご努力を頂いてこういう形にすることができました。色々な懸案は、ある程度整理をすることができたと思います。その反面、最後にそごうの債権放棄という大変苦渋の決断、難しい判断を土壇場ですることが良いのか否かということも実は悩んだことでございますが、一定の方向を出させて頂きまして、今後国会等でもご議論が続くと思います。後任の方には大変ご苦労をかけることだと思っておりますが、今後スムーズに問題が進展していくことを希望しています。いずれに致しましても、来年の1月に至るまで、或いはペイオフの解禁に至るまで大きな変化の途上でございますから、金融再生委員会、そして新たな金融庁、それぞれ新しい委員長の下で結束して成果を上げて頂くことを心から望んでおります。今後は陰から応援をしたいと思っております。また、在任中は、記者クラブの皆様には色々とお世話になりまして、教えて頂いたことも沢山ございました。心から御礼を申し上げまして、4カ月間の所感ということに代えさせて頂きたいと思います。

     

【質疑応答】

 問:今お聞きした中で、特に印象に残られたものは何ですか。
  

員長:特別公的管理に置かれた、国有化された銀行を行政機関の立場として売却のため契約を結び処理したことが挙げられます。金融再生法のスキームに基づく処理は、行政機関がこのような金融機関をどう処分をし、処理をしていくかというなかなか難しい問題があります。例えば契約の売却交渉にしましても、純然たる民間が民間に売る場合と、公的機関が民間に譲渡していくのと、自ずから性格の違いがありまして、その辺に難しさを感じたわけでございます。これは常にあるというのではなくて、一種の非常時、危機管理からくる問題だと思いますが、その辺に苦心を致しましたし、色々考えさせられることがあったということでございます。

  

 問:後任の委員長に引継ぎをされる際に、今後の課題として主にどういう点に重点を置いて引継ぎされますか。
  
員長:私が考えるというより、次ぎの方がお考えになることでございますが、今までは検査、監督という現場に即した仕事が金融監督庁の中心であったと思いますが、金融庁になりますと、企画、立案というものが新たに加わってくる。そして金融再生委員会というのはこのような一種の危機管理的な役割、或いは売却をしていく、民間との交渉ということが入って参りまして、金融監督庁のやっている行政と少し行政のスタイルも手法も違ったものがあるわけです。そこに企画というものが入ってきて、さてこのようなものをどう、それぞれの特色をきちっと発揮しながら全体の方向性を保って行くかというのは、これからの大きな課題だと思います。次ぎの委員長がそのお立場から、そのご識見で色々指導されると思います。今までで感じましたことの一端は次ぎの委員長にお伝えする必要があろうかと思います。

  

 問:合議制の委員長ということで、他の大臣とは立場がやや違ったのではないかと思われるのですが、その辺、会見での発言ですとか、そういった面で苦労されたことがありましたら教えて頂けますか。
  

員長:合議制ですから、議論をしてみないとどういう結論になるか分からないわけです。国会等で予め質問を受けましても、私はこうだ、と判断しておってもそれを私個人としての判断だと国会で答弁できるわけではないでしょうから、なかなかその辺が難しい。やはり独任制ですと、国会で、自分はこう判断すると言ってしまえば食言ということになるわけですが、その辺りがなかなか合議制の場合はどこまで言っていいのか難しいということがございました。

  

 問:来年1月に金融再生委員会が無くなるわけですが、それ以降も公的資金の注入や破綻処理、今まで合議体の行政委員会組織がやってきたことを今度は金融庁がやるわけですが、そうした事態を迎えて、金融再生委員会のこれまでの評価と、今後無くなった時に普通の行政機関がそういうことを直ぐ行えるかについてどのようにお考えですか。
  
員長:金融再生委員会が与えられた役割、合議制の委員会で今仰ったようなある程度危機管理的、或いは裁量的な要素もある、また相手との交渉事もある、通常の行政機関が扱うものと若干違う性格の仕事をやってきたわけです。今日までの評価としますと、あのような金融危機を一応沈静化させ、次ぎの安定した方向への基礎を作っていく意味では大変な成果を上げてきたのではないかと思います。今後、組織が変わってできるかということですが、特別公的管理などは、ほぼ方向が出て、8月1日からは日債銀も新しくスタートするわけでありますので、大きな方向は大体形がついてきました。これからも勿論まだありますが、かなり山を越しておりますので、今までの再生委員会の経験を踏まえて頂ければ十分処理ができるのではないかと思います。

( 以 上 )


メニューへ MENUへ
ホームへ HOMEへ戻る