久世委員長閣議後記者会見の概要

【平成12年7月7日(金)於:金融再生委員会会見室】
  

【閣議案件等】

 本日の閣議は、一般案件としては、情報通信技術(IT)戦略本部の設置について、日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定第2条に基づく施設及び区域の一部返還、共同使用、追加提供及び新規提供について決定。国会提出案件は、質問主意書に対する答弁書が1件。政令は6件。人事案件が2件。

 閣僚発言は、通産大臣及び郵政大臣からIT戦略本部の設置に関して発言。経済企画庁長官から、「経済社会のあるべき姿と経済新生の政策方針の実現に向けて」と題して、IT革命を起爆剤とした躍動の10年へという経済審議会報告の趣旨を報告。官房長官から、平成11年度版原子力安全白書について発言。総理大臣及び大蔵大臣から、公共事業等予備費の使用について発言。

 閣僚懇で、官房長官からIT戦略本部等の開催、日本新生プランの具体化について発言。
閣僚の自由発言で、大蔵大臣から税収見込みについて発言。法務大臣から司法改革の役割について発言。厚生大臣から社会保障制度改革について発言。文部大臣・科学技術庁長官から技術開発の必要性について発言。経済企画庁長官から新生プランの具体的段取りについて発言。

 金融再生委員会の関連では、扇建設大臣から発言がございました。それは民間企業に対して企業を救済するということが行われたわけですが、そごう問題を指摘をしておられるのだろうと思います。それに関連して建設省内においては、ゼネコンの救済がどうなるのか、そのためにどこまでそれをやって行くのかという論議が自分の所管行政の中において起って、一体、どのような場合に、どういう方法でそれをやるのかやらないのかということについて、政府として決めてもらいたいという発言がございました。特に、これもそごうを指しているのだと思いますが、救済が行われたのはちょうど選挙が終って新しい内閣の成立の前にそういう決定がなされたのであるから、新内閣としても、それについての方針というものを決めるべきだという発言がございました。扇大臣から、ひとつには基準というものを内閣としてどう決めていくのかという問題と、それを国民に分るようにしなければいけないということの要請がございました。それを受けて、総理からも、谷垣前金融再生委員会委員長からはこの考え方を聞いているけれども、新しい内閣としてもそれは考えていかなければいけないという必要性を言われました。


【質疑応答】

 問:扇建設相の発言とも関係しますが、今度、そごうの問題も国会での集中審議が決まりましたが、基準等について扇建設相が発言されたということですが、現在の金融再生法の枠組みでは、国民負担の最小化の部分には基準がありますが、その他、倫理の問題等の部分についてなかなか難しい部分があると思いますが、再生法自体の見直しの可能性はどのようなお考えをお持ちですか。
  

員長:再生法の見直しということについてはまだ考えていません。この間、記者会見をやりましてから、それぞれの個別の会見で、かなり細かいことも各社からお話を承りました。私もその後の過程において色々とご意見を今聞いている最中であります。この間申し上げましたように一応、前金融再生委員会委員長としての決定は良く分かっておりますが、これは大変重要な問題でございますし、今ご指摘がありましたように金融再生法の基準としてはただ一点、費用の最小限ということが書かれているわけでございますが、倫理の問題、社会的影響の問題、そういうことから4原則、3原則ということで、基準が一応あるわけでございます。今日の閣議、閣議後懇談でもそういう発言がありましたし、現に、国民サイドから見ると、そういう色々な記事がそごうの新聞記事を少し過去にさかのぼって見て頂いても色々ございますので、私なりに前委員長の決定を、どういう過程でこういう決定になったのか、それを自分の考え等を今まとめるべく努めている最中でございます。特に、17日、18日には集中審議と申しますが、それぞれの衆参の委員会で審議があると思いますので、色々なことが出てくると思いますので、まとめている最中でございます。

  

 問:組閣のことに戻りますが、新大臣は、地方行政とか選挙の分析とかのかなりエキスパートと言われていますが、自ら就任の会見で、金融の素人と仰ったのですが、これは組閣に当って適材適所と言われている基準にどう当てはまるのですか。
  

員長:私が国会議員になりましてから14年間経っているわけでございますが、その前にも、公務員として自治省という役所におり、また地方自治体に勤務致しまして、比較的広い視野から行政というものを考えて参りました。そういうことから財政や税は大蔵委員会の所管でございますが、かなり深く取り組んでおります。どちらかと言いますと、金融分野につきましては、従来余り取り組む機会がなかったことは、この前記者会見で申し上げた通りです。しかし、金融再生の問題というのは、一昨年の金融二法が基本になっているわけでございますが、これは法的な枠組み、法律的な問題というのが片やあり、片や経済情勢なり金融情勢なり、経済的側面もありますので、私としても従来から広い視野からは取り組んで来た問題でございますので、従来の自分の基礎に立ってこの問題について真剣に取り組んでいきたいと考えております。

  

 問:そごうの問題ですが、国会の審議日程が決まり、色々な批判も出ていますが、先程仰ったように谷垣前委員長の決断を見直される可能性はあるのですか。もしくは、見直さないのであれば、国民にどういう点を訴えていかれるか教えてください。
  

員長:谷垣前委員長にも詳しく聞く時間がないのですが、断片的には引き継ぎもありましたので、お話は聞いております。しかし、今ご指摘がありましたように、これはあくまでも一つには金融行政としてどう考えていくかという問題と、もう一つは国民サイドから見てこの決定というものをどう国民が理解しているか、谷垣前委員長の真意もなかなか仕組みが複雑であるだけに、またそれが2年前の金融二法の制定過程との関連もあるだけに、国民には非常に分かりにくい複雑な仕組みになっておりますので、国民にどうやって趣旨をもっと理解できるように説明することは当然の行政としての誠実です。特に政治としては大事なことだと思いますので、そういう視点にたってもう一度、谷垣前委員長の決断された過程を良く理解して私なりに考えていきたいと思っております。

  

 問:就任から3日経ちましたが、大臣に就任されての率直なご感想をお願いします。
  

員長:改めて大変重要な任務をお引受けしたと責任を痛感しております。今、申し上げたように、今はそごう問題がございますが、これからの問題も色々考えられると思いますので、考え方の基本をまとめるとともに、これからいかなる問題が出てきても、解決できるような、そういう広くまたいろんな問題があると思いますので、これに取り組んでいかなければならないので非常に責任の重さを感じております。

  

 問:内閣の中で貧乏くじを引いてしまったという大臣もおりましたが、大臣は貧乏くじを引いてしまったというようにお感じですか。
  

員長:貧乏くじとは思っていません。なかなか難しい分野であるけれども、重要なことをお引き受けして、その責任を痛感している次第でございます。

  

 問:そごうの問題で、経営者の責任追及が大事であると、前回の会見で仰いましたが、私財の提供ということはこれまでも何回か言われているのですが、そういう金銭面のことだけではなく、そごうの経営陣、旧経営陣が何故こういう事態になったのかということを、国民負担を使って再生するということから、国民に説明する義務があるのではないかと私共考えているのですが、今度の17日、18日にせっかく良い機会になりましたので、これまで経営を仕切ってきた水島元会長が国会の場に出てきて謝罪なり、これまでの説明なりをされる必要があるのではないかと思うのですが、その点についてはどうお考えですか。
  

員長:これは国会がお考えになることでございますから、私の考えを申し上げることは控えたいと思っております。私も国会運営、国会対策をやっておりました時には、ご指摘ありましたような観点からやはり国民に分り易いような実態を考える為にはそういう必要性はあると思います。

  

(以上)


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