久世委員長記者会見の概要

【平成12年7月12日(水)於:金融再生委員会会見室】
  

【そごう問題について】

員長:既に皆様ご承知の点だろうと思いますが、そごうが本日、再建計画による再建を断念いたしまして、東京地方裁判所に民事再生法に基づく申請をして受理されたようでございます。そごうが預金保険機構への債権放棄の要請を取り下げたことにより、この前の預金保険機構の決定、そしてそれに基づく私共金融再生委員会の了承の前提が大きく崩れたわけですので、これら決定・了承は全くなかったことと同じになったわけでございます。ご承知の通り預金保険機構が持っている債権、額面は2000億円ですが、実際は1000億円これも裁判所の監督の下で法的処理を行う仕組みの中で、これから預金保険機構としては回収する事になったわけです。以上が今日そごうの自主的な意志で決定をされたと聞きましたことの報告でございます。

     

【質疑応答】

 問:債権放棄計画を一旦了承されたわけですが、この判断が、例えば顧客の反発を計算に入れていなかったとか、判断の甘さがあったのではないかという指摘がありますが、その点はどうお考えですか。債権放棄は、当初3つの条件によって受入れを了承されたわけですが、その判断の時に国による再建支援が顧客の反発を呼ぶという点について計算に入れていなかったのではないかという批判があるのですが、その点はいかがですか。
  

員長:6月30日に預金保険機構が判断して、私共の了承を得たということについては、その時の状態はまさに決定にあるような環境だったと思いますので、その時における判断も間違っていなければ、それを了承した金融再生委員会の判断もその環境あるいはその提案されたものに従って行われたものと思います。

  

 問:聞き方を変えれば、今回の一連の決着について反省点はありませんか。
  

員長:特に反省は、私の就任以来ようやく一週間経ったところですが、この一週間皆様方と何回か会見でこの問題を聞きましたし、個別にも色々と話を聞いて、私もその過程においては、その決定に基づいて更にその過程を検証しながら、これから前向きで考えていかなければいけないことを、いくつかここで申しましたように、検討をしてまいりましたもので、その決定はその時の環境では正しかったという考えをなお深めて行きたいと思い、また、痛感させられた点が何点かありました。それはまた私共が申し上げる事によって、例えばそごうの中においても経営者責任の追及について色んな事を感じてくれましたし、株主の責任についても多いに検討をされたという事については、こういう問題を今後考える上では、色々と参考になったと思っております。

  

 問:預金保険機構の判断、あるいはそれを了承された金融再生委員会判断の債権放棄を容認された一番の要因は、最大の根拠となったのは国民負担の最小化だったと思いますが、今回、民事再生法による処理になったことで追加的な国民負担はどれくらいに増える事になるのですか。
  

員長:国民負担は追加になるだろうと思いますが、まだ額については、これからの民事再生法に基づく取組み方にもよるでしょうし、それから債権者の協力度合いもあるでしょうし、特にメインバンクである興銀あるいは金融機関の協力度合いにもよるでしょうし、なによりもそごう自身が本当に真剣になって自主再建をやっていくということにかかっていると思います。

  

 問:会社更正法の場合よりも少なくなると考えていいですか。
  

員長:会社更正法と民事再生法それぞれいい特色があるわけですから、これからどういう段取りで、どうなって行くかによって額も違っていく事になると思います。

  

 問:自民党内からは、債権放棄の基準を厳格化した方がいいのではないかとか、瑕疵担保特約についても見直した方がいいのではないかという声が出ているのですが、その辺はどう対応されますか。
  

員長:党も一昨日の政調正副関係部会長会議で、色々なご意見が出たということは聞いております。昨日の3党の政策責任者会議においても色々とご意見が出たということも聞いております。今ご指摘の点も含めて、こういうご意見につきましては謙虚に受け賜わって今後の問題に対処していきたいと思っております。

  

 問:今後、新生銀行から同じ様なケースが持ちこまれた場合はどう対応されますか。
  

員長:私は相当慎重に考えなければいけないと思います。勿論このケースも大変慎重の上にも慎重な配慮の下に行ったわけですが、今後もし類似のケースが持ち込まれた場合には、慎重に検討しなければいけないと思っています。

  

 問:6月30日の決定は、当時の環境においては正しかったということですが、まだわずか13日で、12年かけて回収してもらうような回収計画がわずか13日で環境が変わったという、このような短期間の変化も見通せなかったということはやはり甘いのではないですか。
  

員長:これはそごう自身の受け止め方よると思います。百貨店というお客さん相手の業種ですし、ここ二週間近い間の環境の変化はそれなりに大きかったのだろうと思います。

  

 問:今後のケースでは債権放棄はあり得ないということですか。
  

員長:申し上げましたように、全くあり得ないということは言えないと思います。しかしながら、仮に出てきた場合は、慎重に判断すべきものと思っています。

  

 問:金融再生委員会と預金保険機構の6月30日時点での説明責任が、与党だけでなく国民に対してももう少ししっかりしていれば、今回もう少し違った結果になったのではないかと官房長官も午前の会見で指摘していますが、説明責任についてはどうお考えですか。
  

員長:預金保険機構の判断とそれ受けて私共が了承したと、これは前委員長の時代のことですが、私も預金保険機構の松田理事長がこれについて仰ったことも読ませてもらいましたし、再生委員会の委員の各先生方は専門家ですから、それぞれのご意見を27日、30日に言われ、決定後も私の着任後に短時間ではありましたが、皆様方のご意見を聞きましたが、いずれも慎重に判断されたことであって、その判断そのものは極めて適切だったと思っております。

  

 問:判断の適切性より、判断がいろんな反発を招く可能性も考慮しながら、委員会の行政として説明をして行く段取りがもう少しきちっとしていれば、今回のような事態に至らなかった可能性もあるのではないかという指摘もありますが、それについてはどうお考えですか。
  

員長:選挙直後の時期であったこともあり、確かに与党から色々言われましたように、十分な説明が行われなかったことについては、私共も反省をしておりますし申し訳なかったと思いますが、それは与党に対する説明であって、私共の判断、考えについてはその時の環境を十分理解してなされたものと思っています。それから、国民の皆様に対する説明もやられていたと思います。しかしこの問題はなかなか仕組みが難しく、皆様方は専門ですが、特に瑕疵担保責任はなかなか国民の皆様にご理解頂く十分な説明をやるのは非常に難しいと思います。ただ仰る通り、これからはもっと透明性を高める意味において説明しなければいけないと思います。実は、政府でまとまった見解を出すか出さないかを巡っては私共も検討しましたが、その時に瑕疵担保のくだりを書くのに行数が20行30行書かないと分り難い。全体の仕組みが非常に分り難い問題であるだけに、これを判り易く説明するということも大変大事なことだと思います。

  

 問:亀井政調会長が、そごうの社長に電話をして、政調会長の説明ではアドバイスという表現でしたが、その結果大きな事情変更に結び付いたのですが、政調会長の行動について大臣はどの様にお考えですか。
  

員長:私も大臣に就任する前、7ヵ月間くらい政調の副会長も勤めましたし、また政策責任者としてご一緒にやらせていただきましたときの体験からして、今度の決定は特に総理むしろ党の総裁がこの問題については、党としては亀井政調会長にということでお任せになったと聞いておりますが、そういう事に対して政治家としての判断であり、行動であったと思います。

  

 問:亀井政調会長から大臣には、この件についていつ頃連絡があったのですか。
  

員長:今日の午後だったと思います。

  

 問:金融再生委員会は3条委員会で、政治から独立する形で発足しましたが、結果的に6月30日の判断は正しかったと仰っていますが、6月30日の了解から導き出される結果は、今回は3党によって導き出された結果と大きく変わってしまったのですが、これは政治の力を受けて3条委員会の結論が覆されたとは考えられないですか。
  

員長:3条委員会は、公平、公正、中立というの趣旨で作られている行政委員会ですが、6月30日時点においては、この決定は3条委員会である金融再生委員会が決めたのではなく、預金保険機構が決めたものについて、3条委員会である金融再生委員会が了承したという形をとるわけですが、了承したということについては、本来の行政委員会の趣旨をわきまえた了承だったと思っています。

  

 問:国民負担の最小化という方向は、決めた段階では大きな決断だったと思いますが、結果として膨らむリスクがある今回の決定に変わったわけですが、それは国民負担の最小化という観点からすると今回の決定はよくないものなのか、それとも国民負担の最小化という事よりも何か優先しなければいけないことがあるのか、ということについていかがお考えですか。
   

員長:債権放棄という問題について、金融再生法に基づいて預金保険機構が取るべき態度としては国民負担をできるだけ最小にする原則だけが、法律上に掲げられているわけです。その趣旨に則って国民負担が最小になるような方策の下に債権放棄を申請したわけですので、その原則に従って正しいと思っております。

  

 問:その観点からの今回の決定についてはどう思われますか。
  

員長:今回のそごうの判断というのは、あくまでもそごうが色々な事を考え、特にここ二週間くらいの間の国民からの世論なり、そごうという百貨店に対するイメージなりを総合的に考えた結論だと思いますので、それはそれとして、私共としてはその前に決定をした債権放棄について国民負担をできるだけ少なくするという原理に従ったわけです。勿論今そごうが自主的な判断に基づいて出された計画がこれから進められると思いますが、そういう場合においても預金保険機構としては国民負担が最小限になるような観点からやる事については何ら変わりはないと思っています。

  

 問:具体的にどういう取り組みを今後されて行くのか、国民負担の最小化という元々の発想というのは、ある意味で合理性があると思いますが、それがこういう形の処理に変わりましたが、法的手続きの中で、例えば興銀に対してきちっと再建支援をさせるとか促すとか、何か国民負担の最小化を法的手続きの中でもやっていく余地はあるのですか。
  

務局長:ご質問は結局、民事再生手続きはご存知のように今年の4月に実施されたばかりの和議に代わる新しい再建型倒産制度です。その運用という面では日本は非常に経験が浅く、ただ言える事は、債権者団の合意ができれば再生計画案をまず作って、その時参加した債権者の過半数が同意して、かつ債権者の総債権額の2分の1以上を有する者が同意した場合に、再生計画案が可決される。それを裁判所が合理的であるかを判断して認可をする手続きに入るわけです。そうなりますとある程度は、全くのプロラタということではなく、私的整理の場合とは違って債権者平等の原則が働くのですが、全くのプロラタではない可能性があるわけです。そういう中で大臣の仰ろうとしている事は、預金保険機構もNo2の債権者ですから、色々メインバンクとも話合い、他の金融機関とも話合い、その過程において、先ほど大臣が仰いましたように私的整理である今回取り下げられた債権放棄を中心とする再建計画に比べれば、国民にはある程度のロスが出る事はやむを得ないと思いますが、それをできるだけ小さくすべく預金保険機構が回収機関として頑張っていくことに変わりありません。しかし、それは基本的に法的処理ですから私的整理よりかなり制約があることは事実でしょうし、どの程度のものになるかという事は、先ほど大臣が申されましたように今の段階ではなかなか申し上げ難い。何と言ってもこの4月から始まった新しい制度ですから、どういうふうになっていくのか、その中で預金保険機構は懸命に頑張っていくということではないかと思います。

  

 問:それは融資団が150くらい金融機関があると思いますが、債権放棄に応じない80いくつの小さいところがあるともいますが、そうしたところに影響が出ないように預保を通じて完全プロラタにならないように働きかけて行くということですか。
  

務局長:それは違います。今度は単なる債権者という立場ですので、今までは73は債権放棄が起き、82は債権放棄が起きないというのは、あれは融資団でできた一つの合意ですが、今回の公的処理によりその合意は全くその基礎を無くしました。全くゼロからの出発です。その時にそういう配慮を、つまり預金保険機構は回収機関ですから、どこのところに影響が出ないようにというより、まず自分の回収額を極大化すると、そこを中心に考えて行くのではないでしょうか。

  

 問:そうしますと金融再生委員会として、地域の金融機関にリスクが発生するわけですが、どう考えるのですか。
  

務局長:回収の話と、地域金融機関がどうなるかという話、これは別の話であり、銀行監督の立場とは違うのではないでしょうか。そこをごちゃごちゃにしたら行政のルールはおかしくなります。
  
員長:今度そごうは民事再生法によって申請したわけです。今事務局長が申しましたように、民事再生法は今年の4月から施行したわけですが、今のところ150件から200件民事再生法に基づくものが出ているそうです。そのくらいいわゆる破産法制としては工夫をしてできた法律のようで、会社更正法を選ぶのか、民事再生法を選ぶのか、そごうも色々考えたのだろうと思います。民事再生法で今は行くけれど途中から会社更正法に乗り移る事も可能のようです。かつ、先ほどのそごうの記者会見をテレビで見ていましたが、社長以下並んでいる中には、担当弁護士というのが日本の破産法制の一番腕利きの弁護士がいるわけです。そういうことでそごうも民事再生法によって自主再建をやろうという以上は、メインバンクとも十分話をしているでしょうし、他の金融機関とも話をしていて、自主再建で万全を期するような努力はしていると思います。そういう中において私共もそれを見守っていきたいと思っています。

  

 問:今回、法的処理に入った事によって、他の金融機関あるいは金融システム全体に対する影響をどの様にお考えで、それに対する対応はどの様にお考えなのですか。
  

員長:金融システム全体の問題としては、従来と何ら変わらないと思っています。公的な整理による場合においても、私的な管理をやる場合におきましても、その点は何ら変わらないと思っています。

  

 問:再生委員会の資料によれば、法的処理になれば1万社の取引先、消費者に負担が波及し、5万人の雇用にも影響するなど、社会的混乱の惧れがある。と説明していますが、社会的混乱の惧れはやはりあるのですか。
  

員長:これからのそごうの対応のし方によって変わってくると思います。

  

 問:先ほど融資団の中の規模が小さな金融機関には、これまでは負担がかからないような形で再建をしていくというのが従来の方式だったのですが、今回民事再生法になることで、地方の小さな金融機関にもそれなりの負担を求める事になって、それが結果的にその金融機関の経営なり、地域の金融システムに影響を及ぼすような懸念があるのですが、そういう点は金融再生委員長としてはどうお考えで、どう対応されるのですか。
  

務局長:先ほども申しましたが、行政は公正なルールに基づいて透明にやるということでものを考えますと、そごう問題に限定しますと、もう法的処理に入る事が決まったわけです。ただ法的処理の中では、これは破産ではなく、民事再生法の適用という一番ショックの軽い形での再建を図る。先ほど申しましたように、再建案というのは過半数という多数決ではありますが、色々な債権者の間で相談しながら作って行く、その時に私が申し上げたいのは、預金保険機構の立場としては地域の金融機関の面倒を見る機関ではありませんから、回収機関ですから、従って組織としては回収の極大化を図るために色々債権者の中で主張して行くのだろう思います。それはルールとしてはそれでいいのだろと思います。その時に「小さい金融機関はどうだ」とか「その分うちが持ってやる」という話になるはずはないのであって、自分として一番回収を極大化していこうと、それはそれでいいと思います。ご質問は、その結果として82の今まで債権放棄をしなくてもよかったところが債権放棄に追い込まれるではないかという話で、私はそこは債権者間の話合いがどう進むか全く予測はできませんが、話をまとめて行く中心はメインバンクであるわけですので、メインバンクが中小金融機関の声も聞きながら、どう案をまとめていくのか、この問題についてはそこがひとつ注目されるところだと思います。しかし結果として、地域の中小金融機関に何か影響が出たとするならば、そこは銀行監督なり、金融再生法、金融早期健全化法、銀行法に当る協同組織金融機関の法律、そういうものを駆使しながら、そのシステム不安を起さないようにする話であって、私が申し上げたいのは、預金保険機構の役割と金融再生委員会なり金融庁の役割は分けて考えるべきではないでしょかと言いたいわけです。
  
員長:民事再生法が4月から施行されて、大企業で民事再生法で処理されるのは他にも2つくらいあるらしいですが、言わばこれだけ知名度が高いのは初めてだろうと思います。その場合に一般的には会社更正法は株式会社しかできないわけで、民事再生法は株式会社も出来るけれど同時に個人の経営の場合もこれに乗っかれる。一般的には大企業は会社更正法だという常識になっていましたが、あえて民事再生法にそごうが踏み切ったというのは、ひとつは会社更正法でいくと手続きに入るまでに一月くらいかかると、非常に手続きも煩瑣だと、それが早急にできるというところに民事再生法の特色があると、ところが民事再生法には逆に担保によって保証されていないものしかできないわけですから、みんなが担保で保証されたものについては、拒否をしたらできなくなってしまう。ですから先ほど申し上げたように、そこにおけるメインバンクなり、あるいは金融機関が持っているのをメインバンクがいかにこの計画に協力するかによって、違ってくるだろうと思います。その事を考えますと、場合によっては入り口は民事再生法ですが、途中から会社更正法に移る事ができる。おそらくひとつの倒産に対するあり方としては、日本で初めてという要素も含んで、民事再生法を使って何とかそごうを自主的に立て直そうという意欲がそこに現れているのではないかと推測として思われます。そこは今事務局長が申しましたように、いろんな債権者がいるわけですが、その間において上手く行けば法的な処理ですがそれなりの成果が上がって行くのではないかと、期待したい気持ちで一杯です。

  

 問:そごうの問題がこういうふうに決着して、率直に言ってお気持ちはほっとされているのではないですか。
  

員長:そういう気持ちではないです。私はまだ一週間ですが、毎日毎日「そごう」「そごう」と言われて、そごうの亡霊に悩まされているような感じはしていますが、むしろ今まで了承の中で、再建が進んで行くものだろうと思っていましたが、あまりにも世の風が厳しいと、それに対して実質的には昨日の深夜だそうですが、決定が行われてこういう形になった今においては、私は今度新くできあがった民事再生法によりながら、あるべき法制度のもとにおいて努力をしていきたいというのがそごうの自主的再建の本当の気持ちだと思いますので、私共がはじめに取ったものよりは国民負担かかるかもしれないし、いろんな意味において負担するものが大きくなるかもしれませんが、そこは上手くやっていただきたいという気持ちで一杯でございます。

  

 問:今回のそごうの決定は自主的な決定と仰っておりますが、外から見た場合に、亀井政調会長が再検討を促されて、それに基づいてそごうがやむなく再検討したと受け止められますが、そうすると一政党の政調会長が一私企業の生殺与奪の権を持っているのではないかという懸念があるのですが、その辺はどうお考えですか。
  

員長:それは亀井政調会長の判断と、アドバイスというのはそれなりに大きな意味をもっていると思います。それはそれとして政治的な判断としては、尊重されたのだろうと思いますが、同時に昨日の今日でそごうが自主的な判断をしたとも思われない。今の民事再生法を選択するとか、既に倒産法制の日本の1番と言われる人を選任して準備をしていたということも事実あるだろうと思います。その点からいくと、亀井政調会長の言葉も自民党の政調会長という与党の中心の方が3党の意見を代表して言ったという事は、非常に重く受け止めたと思いますが、それだけでは決してないと思います。

  

 問:6月30日の預金保険機構の決定を了承したということは、あの時点で正しかったと仰ったのですが、先ほどの会見で亀井政調会長は事前の協議がなかったことが間違いの始まりだと仰ったのですが、一方自民党のほうでは再生委員会の責任を問うべきだという声も上がっているようですが、大臣はその様な見方に対してどうお考えですか。
  

員長:再生委員会は、3条委員会として預金保険機構の判断を了承したわけですから、これは公正・中立な立場で判断をしたのですから、これは私は正しい事だと思います。自民党からそういう意見が出たということは記憶にはないですが、自民党からそういう意見が出たとしても、それは一人の政治家の意見であって、大勢としては預金保険機構の判断、そしてそれを受けての再生委員会の了承というは正しかったと思っています。

  

 問:30日の再生委員会の判断も正しくて、今回のそごうの判断も正しいという事になると、大臣ご自身としては何が一番正しいとお考えなのですか。
  

員長:再生委員会の了承したのはそれなりに正しいいと思います。私はそごうの自主的な決定が決して正しいと言っているわけではありません。そごうはそごうなりに色々と考えたうえでの決着なのでしょうから、ひとつそういうことに決した以上は、前提が全く変わったわけですので、私共の了承した過程と違うわけですが、自主的な判断を決定した以上はそれをできるだけ、メインバンクの問題や他の債権者の問題や、あるいは雇用に対する影響とか、関係の中小企業に対する影響など、色々な問題があると思いますが、それは私共の考えたものとそう違っていないわけですので、自主的な判断の上でできるだけ上手くいくように見守っていきたいということを申し上げたわけです。
  
務局長:6月30日も正しかったし、今回の結果が矛盾しているのではないかというご質問かと思いますが、それほど決定から後のそごうを巡る環境の変化が大きかった。事情が全く違ったということではないでしょうか。

  

 問:世の風が厳しかったのは、何が原因だと思われますか。一般企業を公的支援で救済する事への風当りですか、それとも亀井政調会長が仰っている話なのか。何が厳しさをもたらしたとお考えですか。
  

員長:私も新聞の世論を見ていますと、投書の中にもそごうに対する周りの風というのは非常に厳しかったということは書いてありましたし、そういうものを非常に敏感に受ける業種の問題ですから、それで非常に厳しかったのだろうと思います。

  

 問:今回の風当りを抑える事において、今回の決定というのは仕方ないということですか。
  

員長:私が言ったのは、私共とは関係なく、そごうが色々周りの風当りの厳しさというものを感じたのだろうという事を申し上げたのです。

  

 問:今回の問題とつき詰めるとどこに問題の原因があったとお考えですか。
  

員長:私共の判断が、仕組みが複雑なために十分に理解が頂けなかった面もあるとと思います。それ以上にそごうという百貨店に対して、国民に近い企業ですからそれを巡って、他の競争下にあるデパートの問題もあるでしょうし、そういうところから「なぜそごうが救われるのか」ということに対する、感情的な問題もあったと思っております。

  

 問:今回の問題でかなりそごうのブランドイメージに傷がついたと思いますが、そごうは再建できるとお考えですか。
  

員長:真剣に自主的な再建について取組んでいるのだから、それが新しい民事再生法の下において上手く行って欲しいとは思います。

(以上)


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