久世委員長閣議後記者会見の概要

【平成12年7月14日(金)於:金融再生委員会会見室】
  

【閣議案件等】

 今日は、閣議の前に月例経済報告についての閣僚会議がありました。経済企画庁長官からの月例経済報告の説明がありました。

 月例報告後の自由発言で、保守党の野田幹事長から、そごう問題について、こういう措置しかなっかたのだろう、社会的なコストや、金融システムへの影響はあるかもしれないが、これから残された問題について個別の案件も出てくる可能性があり得るから、それについては早期に乗り越えていくことが必要であり、然るべく政府として措置をされたいという意見がありました。亀井自民党政調会長から、直接そごう問題ではなく、よく趣旨が分かりませんが金融機関は、その責任を果たすことが必要であるという発言がありました。

 閣議ですが、一般案件が、香淳皇后の斂葬の儀当日の弔意奉表について了解等。国会提出案件は、質問主意書の答弁書が3件。政令が6件。人事案件は裁判官の任命等。報告として、人事院年次報告及び臨時国会召集要求書が衆参議員から出ていることの報告がありました。配布資料として、経済白書、月例経済報告及び海外経済報告がありました。

 閣僚発言として、経済企画庁長官から経済白書について発言。官房長官から承子女王殿下の米国御旅行について発言。外務大臣臨時代理から東チモール復興開発に対する緊急援助について発言。文部大臣から国立教育会館館長の人事について発言。官房長官から閣議の時間変更について、7月18日は国会関係で9時35分、7月21日はサミット関係で取止め、7月25日は香淳皇后の斂葬の儀のため前日24日15時から行うことの報告がありました。

 閣僚懇では、自治大臣から警察刷新にに関する緊急提言について報告。私からそごう問題について報告をいたしました。

 その後の意見ですが、農水大臣、北海道開発庁長官及び厚生大臣、から雪印牛乳問題関係について発言。労働大臣から日立造船のダイオキシン問題について発言。建設大臣から中尾元建設大臣関係で発言。

 そごう問題に関連して、労働大臣から雇用関連連絡本部を作り情報収集を行い雇用対策に万全を期したいと発言。通産大臣から中小企業対策、中小金融対策に万全を期したいと発言。建設省にも関連事項があるので、その前の金融再生委員会の了承についての考え方、経緯、基準について確かめて行きたいとの建設大臣の発言に対して、私から今回はそごうの自主的な判断によって事態が大きく変化したが、その前の金融再生委員会の考え方は、冒頭そごう問題について発言しました、あくまでも金融再生委員会においては金融再生法が定める破綻処理費用最少化原則、国民の負担が最小限になるという観点から慎重審議を行って債権放棄要請を受け入れることにやむを得ない状況に至ったということを、もう一度繰り返して建設大臣に対するお答としました。その結果として、苦渋の決断をしたという事を申しますとともに、金融再生委員会としても、昨日、委員会を開いてこの問題について報告をし、また各委員からの意見を受け賜わって、委員の意見の幾つかを紹介しました。例えば、費用最少化原則と法的処理の関係を検討すべきという意見。国民感情や世論の動向も重視していかなければいけないという意見。経済の実態は私的枠組から法的処理、しかも透明化を図っていきながらやっていくというような経済の実態は変わってきているから、それに則してそういうものを検討しなければいけないという意見。株主責任、減資ということも考えなければいけないという問題点の指摘。このような意見を紹介して、金融再生委員会としても論議を行ったという報告をしました。私共も今回の問題について内部でも色々と議論していきたいし、また各方面のご意見を受け賜わりたいと申し上げました。

     

【質疑応答】

 問:今日の閣僚懇の発言の中で5番目に、与党はじめ関係方面にも十分説明していくというくだりがあるのですが、ここは、委員会の独立性との兼ね合いはどういうことになるのですか。
  

員長:金融再生委員会は、あくまでも3条機関でして、独立性が高いわけです。今後、金融再生委員会の判断は判断ですが、やはり各方面の意見は十分承っていきたいと考えております。

  

 問:今の質問に関連してですが、これは事前に相談するということですか。
  

員長:事前に相談すると言いますか、やはり政府部内は勿論ですが、与党も含め、またそれ以上に広く国民の声というようなものも聞きながら判断をしていきたいということです。

  

 問:例外中の例外だったそごうが駄目になってしまったということで、やはり大臣個人としても、相当今後は難しくなったという認識でおられますか。
  

員長:やはり私は、非常に例外的な措置だと思います。私的な処理と言いますか、債権を放棄するということは慎重な上にも慎重な検討が必要ではないかと思います。

  

 問:ご発言の5番目ですが、事前に与党に相談をして、与党の意見が再生委員の意見と食い違った場合はどうされるのですか。
  

員長:あくまでも与党の意見は、意見を聞くというよりは、政治の意見というものを参考にしながらということです。あくまでも金融再生委員会は独立機関ですから、それはそれとして決定していかなければいけないわけです。再生委員会の委員の意見にもありましたように、世の中の経済は動いているし、今回は民事再生法という枠組みを使ったわけですが、破産法制も、段々仕組みが多様化しております。法的な処理の方も段々体制が整備している。それも一つの移り変わりの一つですので、そういうものも睨みながら、私的な処理と公的な処理を考えながら判断したいと思っております。

  

 問:今のに関連して、重要な案件と曖昧な表現になっていますが、これだと、ずるずるとどこまでも与党と相談する事にはなりませんか、その辺はどうお考えですか。
  

員長:基本的な考え方や、或いは色々な方面の意見というのは必要であり、与党と言いますが、それと同時に国民の声が、政権党である与党に反映しているので、そういう国民の声、そういう所からも一つ聞いていきたいと思います。

  

 問:個別案件についても相談されるのですか。例えば、今回そごうというのは個別企業の個別案件ですが、それについても相談されるのですか。
  

員長:そごう問題も、影響するところの範囲が非常に大きいと思います。現にそごう自身は取引中小企業を1万件も抱えている。昨日今日の新聞に見ますように色々な所に社会的な影響というものがありますので、あのような流通関係業、特に百貨店のような国民と接するような場合であるそごうは一つのケースだと思います。個別の案件を相談するというのではなく、やはり重要な、かつ、それが色々と他の分野に波及する問題については、各方面の意見を聞くべきであり、与党と言っているのではなく、広くは国民の声を反映する色々な機関、色々な意見を聞くべきだと思っております。

  

 問:再生委員会には、かなりインサイダー情報がたくさん入っているわけですが、意見を聞くためにはデータを提供しなければいけませんので、そのデータには相当程度のインサイダー情報が含まれていると思うのですが、それは説明されるのですか。
  

員長:前のことは良く存じ上げませんが、新生銀行になる旧長銀の処理につきましても、長銀の状態がどうであるかということは、再生委員会でも色々と検討され、また専門的な機関、法人等の意見も全部委員会で報告されて決定されたと承っておりますが、そういう意味において、示されたデータもありましょうし、何分、膨大なものですので、委員会にかけるべきデータというものは限定されていると思います。

  

 問:今朝、森総理からそごう問題について発言はありましたか。
  

員長:一切ございません。

  

 問:週明け17日に、日銀が金融制度決定会合をやるのですが、一部には、そごうの問題で、この後連鎖的に法的処理が進めば、金融システムへの問題の波及ということも言われていますが、そういう観点から見て大臣は、今、ゼロ金利を解除するということについてどういうご見解を持っておられますか。
  

員長:これは、就任の記者会見の時も申し上げました。今日も実は、金利の動向について日銀総裁からの資料に基づく報告もございました。しかし、このゼロ金利問題、金利問題は終局的には日銀が決定することですから、私共は、そういう金利の動向も経済指標の重要な一つとして勘案して参りたいと思っておりますが、それについてうんぬんする考えはございません。

(以上)


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