相沢委員長閣議後記者会見の概要

【平成12年8月1日(火)於:参議院議員食堂】
  

【閣議案件等】

 一般案件として、シリア駐箚特命全権大使に対する更新信任状及び更新解任状の認証を仰ぐことについて等。国会提出案件は、平成11年度公害等調整委員会年次報告書の国会送付及び質問主意書に対する答弁書が2件。政令が1件。

 大臣発言は、官房長官から男女共同参画審議会「女性に対する暴力に関する基本的方策について」の答申について報告。外務大臣からASEAN+3外相会議、ASEAN地域フォーラム及びASEAN拡大外相会議出席の報告。官房長官から来年度の概算要求基準に関する臨時閣議の開催について発言。

 閣僚懇では、建設大臣からIT都市基盤戦略委員会の設置について発言。関連して郵政大臣から発言。経済企画庁長官からこれからの経済新政策について発言。

   

【質疑応答】

 問:日債銀譲渡ですが、昨日、与党3党の会合で、取りあえず契約の見直しの必要はなしという結論が出ましたけれども、それについてどのようにお感じですか。
  

員長:昨日の3党プロジェクトチームに、顔を出して挨拶はしましたが、メンバーではなくなったので、会合には参加しておりません。後で、プロジェクトチームの経過と結論についての話は聞きました。プロジェクトチームとしては、本当に言うとあまりはっきりしてないところもあるが、今ここで既定方針である日債銀の譲渡に関する契約に影響を与えるようなことはまずいのではないかと、予定通りやったほうがよろしいという事が結論であった。佐藤君が財政部会長として、私が欠けましたから座長としてやったわけですが、今の件に関する結論は予定通りやるべしという意見であったということです。今後の問題については、どういう制度にしても施行途中に問題点があって、改めたほうがいいということであれば、今国会は無理にしても先の国会において検討するということは差し支えないということだと思っております。

  

 問:改正については前向きに取り組もうと思っていらっしゃいますか。
  

員長:どういう改正をしなければならないか、改正をしないといけないかどうかも、これからの検討事項です。3党プロジェクトチームも、どこをどういうふうに改正するという結論を出したわけではないと言ってました。

  

 問:昨日の衆院本会議の中で森総理が閣僚を任命する際に、身辺調査をこれまでより厳格にやると仰っていたのですが、今回相沢大臣は就任にあたってどの程度その辺の調査をされたのですか。
  

員長:調査は、今までも官房長官中心になってやっているでしょう。私がやることではないです。

  

 問:どの程度調査を受けられましたか。
  

員長:調査を受けるといっても、取り調べをするわけではないので、その辺のことは私から色々申し上げることではないのではないでしょうか。

  

 問:官房長官の方から色々相沢大臣にお聞きになられたということも書かれていますが。
  

員長:それは多少あったでしょうが、ただ、しかしそういうことは官房が調査機関を持っているのですし、官房で色々とお調べになることでしょう。

  

 問:日債銀の譲渡ですが、先ほどのPTのお話はそういうことですが、大臣のお考えはどうですか。
  

員長:譲渡を一月延期したわけです。ただ、契約は出来ている。その譲渡の実行について8月1日の予定を一月延期した。延期した理由は、当方から延期してほしいと言ったのではなく、ソフトバンク・グループの方からこの問題に関して世論で色々と言われていることもあり、大方の理解を得る必要があるという判断のもとに一月程度延ばしてほしいという話があった。再生委員会としても、必ずしも説明等に関して十分でなかった点もあるのではないか、更に理解を深めるため一月程度延ばすことは賛成ということで延ばしたと聞いています。問題は、与党3党のプロジェクトチームがそういう意見を出されたわけですが、私の方は3党プロジェクトチームがそう決めたからそうしますという立場ではないわけです。党は党ですから。私共の判断で最終的な決定をすることになります。ただ、一般論ですが、契約ですから相手方もありますし、私共が一方的に変えると言うと、それなら契約はもう出来ないということにもなります。仮にそういうことになると、代わりの相手が出てくるかどうか。なかなかそういうことにならないのではないかという諸般の情勢も当然考えなければなりません。これは国内の問題だけでなく、海外から日本の金融行政に対する関心も当然絡んでくるわけですから、そういう意味におきまして、ことを考えて最終的に決断しようと思っています。基本的には、契約をしたのでありますから、それを変更するという考え方は役所側は持ってないということであります。ただ、再生法の改正問題等も出ていますから、そういった点の検討もしなければならないとは思っております。

  

 問:役所に契約変更の考えがないということは、大臣もそういう考えがないと思ってよろしいのですか。
  

員長:私共としては既定方針でやるというのがベターだと。ただ、色々な声も聞こえてきますから、その点との調整、理解も十分に得てやるほうが良いだろうと思っております。

  

 問:大臣は基本的に日債銀、日長銀もそうですが、特別公的管理というやり方を取ったことについて、大臣としてはどうお考えですか。金融問題調査会の会長時代は、ベストの選択では必ずしもなかったというご意見をお持ちだったと思うのですが。長銀と日債銀を破綻してすぐ特別公的管理にしたということについてですが。一部インタビュー記事等拝見致しまして、長銀や日債銀をそういう形でつぶすということは必ずしも良い判断でなかったということを仰っていたと思いますが。
  

員長:金融問題調査会長当時は、言い方には気をつけていたのですが、「そういう意見もありました」ということは言いました。「そういうふうに考えている人もあったし」ということも言いました。私がそう考えているとは言ってないです。

  

 問:相沢さんとしてはそういう考えは個人的には持っていないということですね。
  

員長:巨額な国費を投入しているわけですから、あのようなシステム自体は、金融再生国会で、金融再生法、早期健全化に関する法律、それで作った制度です。私は、その時の特別委員会の委員長ですから、野党案をまるのみにしたという意見もありますが、出来あがった法律は法律ですから、法律に従って行われた運用に関して私がどうこう言う立場にはないです。個人的な意見ということになれば色々ありますが。つまり、世の中に絶対ということはないわけで、どういう方法が良かったかについては、後で経緯を見て、色々な意見が出るということはあることです。決まったことについて、それを直ぐにどうこうということにはならないし、まして私の立場は官側になったわけですから、行政の流れと言うか、継続というものがある。だから個人的には色々あっても、役所として一貫性というものを当然保たなければならないし、少々私を殺して発言しなければならないことも当然あるでしょう。だからと言って、公的管理については問題だとか、間違いだということは一言も言っておりません。

  

 問:再生法の改正について大臣ご自身は、必要かどうかはどうお考えですか。
  

員長:一昨年の国会の時に、二月くらい、毎日毎日やって土日もつぶして、与野党、率直に言って、最終的には入り乱れて詰めた法律なんです。これは相当技術的な面でも難しい点がありました。そこで最終的に再生法は、当時の民主党、公明党、自由党、その3党の共同提案を、言うなれば中心として話し合って決めた経緯があるわけです。だから、皆様方は丸呑みと書くのでしょう。そういうことだったので、今から考えてみて、あの案が完全にベストだったということについては、その後の経過を見ても検討の必要がなしとはしないということではないでしょうか。今すぐ、どこをどう直すということではないわけです。

  

 問:再生法の改正をもし検討するとすれば、日債銀の譲渡契約にも影響を及ぼすような変更になるのですか。
  

員長:日債銀の譲渡契約は、譲渡をもし仮に予定通り行われるとすれば、今国会中については法案改正ということは議題にありませんから、もし適用するとすれば遡及して適用するということになるわけです。法律としては遡及して適用するということはあり得ないです。

  

 問:先程大臣は、海外も絡んでくると仰いましたが、特に意図があるのでしょうか。日債銀の問題は基本的に海外の話ではないですが。
  

員長:それはそうですが、日本の金融行政はくるくる動くではないかと、決めたこともすぐにひっくり返すということでは、どうも信用ならないということは懸念されないでもない、という意味です。

  

 問:新生銀行の社外取締役に対して、高額報酬の問題が書かれていますが、これについてはどうお考えになって、また今後どう対応されていきますか。
  

員長:基本的には、新生銀行の銀行としての経営の問題で、直接それについて役所として指図がましいことを言う対象にはならないと思います。ただ、銀行に対する公的援助との関係から言って、何か金額として大き過ぎるのではないかという意見も出ているので、それについてどういう考えるかという事だと思います。基本的には、我々の物差しで考えると、非常に大き過ぎるということでしょうが、外国の感覚から言えば、必ずしもそうではないというようなことがあるので。

  

 問:日債銀と長銀のファイナンシャル・アドバイザーの役割はどう評価されているのでしょうか。
  

員長:その辺のところは承知しておりませんが、他にこれしかなかったということではないでしょうか。

  

 問:高額の報酬が次ぎから次ぎへと出てくると、経営的なモラルハザード、少なくとも今の評論の中で見てますと、やらずぼったくりだという話も出てますが、そういった中で、金融再生委員会と若干畑は違うかもしれませんが、大臣自身はどんなふうにご所見をお持ちですか。今後という意味も含めて。
  

員長:金額だけを見れば、本当にそんなお金が妥当なのかどうかというと、普通の人としては疑問を持っています。そういう仕事に対する報酬として、グローバルな観点から見て、妥当かどうかということはまた別の物差しだと思います。貧乏人の物差しで計ってはいけないのかもしれません。だから、その辺については私の方も良く承知していないのです。それに対して、我々がどういう立場でどういうものを言うべきものかどうか、言えるものかどうかも検討していません。これからの問題です。

  

 問:昨日、民主党の菅さんが金融再生法を改正して、日債銀の契約を白紙に戻して、日債銀の一時国有化を延長しろ、という話を昨日されているのですが、それについては如何ですか。
  

員長:それは新聞等で承知しております。そういうことをしてはどうかと言っておられることを。延ばせと言っているかどうかは知りませんけれど。その点は、もしそうなれば契約を破棄するということになりますから、問題は、仮に、契約を破棄した場合における影響ということを考えますと、合法的に、十分な検討をして結んだ契約について、それを破棄するというようなことになった時に、先程から申し上げているように、内外の経済界、金融界に与える影響ということも考えなければいけません。もう一つ、仮に、条件変更を含めてそういうことをした場合には、私の方は契約をしません、というようなことになる可能性は大きいわけです。また、そうなった場合に代わりに誰が相手として見つかるかという問題もある。いずれにしても、来年の3月までにけりをつけなければならない問題ですから、そういう点から考えると非常に難しいと思います。3月を延ばすという話については提案もあったわけではないし、また検討もしていません。今のところそういう考えは全然ありません。

(以上)


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