相沢委員長閣議後記者会見の概要

【平成12年8月15日(火)於:金融再生委員会会見室】
  

【閣議案件等】

 今日の閣議は、総理が19日から26日までバングラデシュ、パキスタン、インド、ネパールに行かれること。国会提出案件の中に、当委員会関係で、民主党の岩国哲人議員から提出されていました「預金取扱い金融機関の自己資本比率算定基準の改定に伴う有価証券の含み益の45%を補完的項目に算入せんとする件」に関する質問に対する答弁書がありました。

 私の方から、破綻金融機関の処理のために講じた措置の内容等に関する報告を国会に提出することについて発言。内容は、半年に1回金融再生委員会がその間に講じた破綻金融機関の処理のために講じた措置の内容を国会に報告するということになっております。昨年の11月16日までの分は、昨年の12月10日に報告をいたしましたから、本来は6ヶ月後ですので、6月頃に報告をするのが習いですが、その間に国会の解散、総選挙、そごうの問題、日債銀の譲渡問題等がありましたので、予定の6月には報告ができず今日に至ったわけです。今回の報告書では、銀行が7つ、協同組織金融機関としては、信用金庫が1つ、信用組合が7つの破綻処理について述べられております。その主なものは、長銀並びに日債銀の譲渡であります。なお、そごう問題については、再生委員会が預金保険機構による債権放棄要請の受入れを了承しましたが、そごうが自主的な経営判断として民事再生法の手続きに入るという申請をいたしましたので、問題が解消したということになっております。報告が遅れた理由について、私から閣議においてご説明をして了解を得ております。

 官房長官から国の審議会等における女性委員の登用の促進について発言。官房長官及び自治大臣から地方分権推進委員会の意見について発言。総理から総理及び農林水産大臣の海外出張時の代理を発令。

   

【質疑応答】

 問:日銀がゼロ金利政策を解除しました。これに伴い、再生委員会の役割である金融システムの安定化対する影響、悪い影響、或いは良い影響があると思いますが、こういった点について大臣のお考えをお聞かせ頂きたい。
  

員長:私は、前から申し上げている通り、今の経済金融情勢から見ると、まだまだゼロ金利政策を解除するのは尚早である。延期すべきであるという意見であります。これは大蔵大臣、経済企画庁長官とも度々話し合ったことで、政府としては、森総理も含めてそういう考え方でありました。党もご承知のように亀井政調会長もそういうことでありました。我々としては政府側のそのような考え方、これは経団連始めとして経済団体、又地方を含めて産業界の一般的な要請をバックにしての我々の意見であると踏まえておりましたから、日銀金融政策決定会合の委員の多数の方々のご意見と、その辺のところはいささかギャップがあると了解をしております。そういうことで議決の延期を政府側から、大蔵省の村田総括政務次官からの発言として出したわけです。しかし、それが採決によって否定をされたということでありますから、粛々として受け止めていかなければならないと思っております。ただ、私が心配をしておったのは、その翌日の無担保翌日物のコールレートが、限りなくゼロに近い状態から若干、0.25%と仰ったようですが、引き上げるように日銀が誘導するということは、仰るようにそれほど数量的に大きな変化を色々な面にもたらすものでないのかもしれません。総裁も、「超緩和の緩和だ」と、「微調整だ」と、極力、幅も小さいし、影響も少ないということを強調されております。私の意見はそういうことではなく、寧ろ日銀が長いこと取ってきた金利政策の流れをここで切り替えようと考えているのではないか、そのことが金融界、産業界、経済界に与える影響がどんなものになるか、今後の推移を良く見てみなければならないと思っております。海外も、概ね、日本がゼロ金利政策を切り替えるというのは如何なものだろうかという批判があるようであります。無論、国内にも一部ゼロ金利政策の解除は妥当だというご意見の方もおられます。こういう措置に伴っては、全員が同じ意見になるとは私も思いません。そういうご意見があるということは当然予期されることであります。数年前、日本銀行法改正をやったことでもありますから、特にそういう思いを深くしていますが、日銀がそういうプロセスを経て決定したことですから、決まった以上そのこと自体に対してどうこう申し上げるのは不適当かと思います。繰り返しになりますが、このことは今後の金融・経済界にどういう影響を与えていくのか、その推移を良く見守っていかなければならないと思っております。ただ、0.25%無担保翌日物コールレートを、引き上げるということを意図したが、実績は0.1程度である。そこで何とかつじつまを合わせて、日銀が市場から話によると2兆円程国債を買い上げたということを聞いております。自分(日銀)がそういうことを言ったからそれに合わせて、表現は適切ではないかもしれませんが、無理に調節をするというようなことは如何なものだろうか、適切なのだろうかという気は致します。

  

 問:影響については、慎重に見極めるということでしょうか。
  

員長:そうです。

  

 問:具体的に再生委員長として、こういうところが心配だということがあればお聞かせ下さい。
  

員長:しいて言えば、この政権にとって一番大きな関心事は景気の回復です。ですからそれにこの処置がどういう影響を与えるだろうかという懸念が一つあるわけです。もう一つは、日銀が超超緩和の市場をどういうふうに、金利を上げるということは結局引き締めです。引き締めがきつくなりますと、一般的に金融機関の融資態度にも影響を与えて、或いは貸し渋りがまたきつくなるのではないかと懸念されなくもない、ということではないかと思っております。

  

 問:良い影響というのはどうなのでしょうか。例えば、先日第一生命が、保険勧誘に伴う転換、こちらの方で不当勧誘行為があったということで行政処分になったわけですが、これは一時的にはルール違反の問題ではあるのですが、背景には、低金利による逆ざやの問題が横たわっているような部分もあると思いますが、そういう部分では金利を上げたり、まだ逆ざやが解消されるほどの段階ではありませんが、方向としてはそういう方向についたという部分もあると思うのですが。
  

員長:預金金利にしても、0.05を0.1に引き上げるようなことも聞いておりますが、それは預金者にとって確かにプラスだけれど、プラスというほどの大きな影響があるかどうか。仰るように、これはまあ悪い影響ではないのかもしれませんが…。ただ、率直に私の気持ちを言いますと、預金者にとってこの程度のものは大したことにならない。ただ、相当巨額な借り入れを行っている産業界にとっては、結構大きな影響になる恐れがあるのではないかという気がします。私共は産業界の擁護をするということではありませんが、景気対策ということを考えると、やはりその辺のところが懸念される。今この程度なので、大したことないではないかということですが、今言った金利調節の方向が更に、今後どうなっていくか、3月先、半年先、その先にどのように強まっていくのか、その辺のところも良く見る必要があるだろうと思っております。

  

 問:靖国神社の参拝はされたのでしょうか。
  

員長:今までずっと、「みんなで靖国神社に参拝する会」のメンバーでした。それよりも、私は本当に数少ない、太平洋戦争の実戦の参戦者ですから、沢山の我々の仲間も部下も亡くしておりますから、神社にお参りをするということではなく、亡くなった戦友の霊を慰めるということで、欠かさず都合がつく限り靖国神社には参拝をしておりました。今たまたま国務大臣ということで、公式とか、非公式とか、言われるのですが、私にしてみればそういう意識はないので時間が許せば参拝をしたいと思っています。さて、今日は間に合うかどうか、今日はちょっと無理ではないかと思います。皆さんと一緒に行けなければ、後でお参りしようと思っております。

  

 問:後でというのは今日中でしょうか。
  

員長:時間がつけば。

  

 問:肩書きはどのようにされますでしょうか。
  

員長:記帳すればそうでしょうが、そういうことも考えておりません。色々な注意がありまして、閣僚として行く場合には、2礼2拍1礼はしない方が良いとか、私人として行く場合には良いとか…。中曽根内閣の時に、藤波官房長官が靖国神社の参拝に関しての懇談会を作って、検討した結果、公式参拝は憲法違反ではないという結論を出して、中曽根さんは参拝したのです。その後色々なことがありまして止めてしまったのです。政府側としての決定としては、それしか残っていないはずなんです。色々とご意見もありますから、その辺は各人の判断で良いのではないかと思っております。

  

 問:今日は公人として行くということでよろしいのでしょうか。
  

員長:公人としてというのが良くわからないのですが。皆さんと一緒に参拝すると、靖国神社で署名をします。その時に国務大臣と書けば公人かということですが、ただ、皆さんと一緒に行けないで、行った場合にいちいち中に入って記帳するということもないのではないかと思っております。参拝はしようと思っております。

  

 問:公人、私人は明らかにしないで、参拝だけするということでしょうか。
  

員長:今朝、公人として参拝すると放送していたそうです。宮沢大蔵大臣が見たと言っていました。いいですよ。でも、今から着替えて靖国神社に行ったら武道館に間に合わないので、まっすぐ武道館に行こうと思います。ですから時間があれば皆さんと一緒に行くつもりだったのです。

(以上)


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