相沢委員長閣議後記者会見の概要

【平成12年9月1日(金)於:金融再生委員会会見室】
  

【閣議案件等】

 今日は、朝から色々な会合がありましたが、静岡地方に大地震が起こったという想定の下での災害対策本部の会合、即ち訓練の為の会合をやりまして、防災服を着て、皆集まりました。引き続いて、公共工事について、10%コスト削減についての各省からの報告がありまして、概ね目標を達成することが出来たということでございました。引き続き、公共工事のコスト縮減についてはこれからも努力をするということを申し合わせ、ただ、従来と違って、何%という目標は設けないということになったようであります。
 今日の閣議につきましては、閣僚懇で、日債銀の譲渡の実行についてお話を致しました。日債銀の譲渡につきましては、譲渡予定日、8月1日を一ヶ月間延期し、その間国会でも長時間の審議が行われ、国民の理解を得る努力を行ってきたところであります。本日予定通り、ソフトバンクグループへの譲渡を実行する運びとなっておりますが、今後は、新生日債銀が健全、かつ適正な経営に務め、我が国の金融システムの安定及びその再生に貢献し、我が国経済の発展に資することを期待したいと考えております。尚、昨日の連絡では、新しい銀行の名前が「あおぞら銀行」となるという予定だということも併せて発言をしておきました。

  

【資産公開】

 閣僚の資産公開につきましては、お手元に資料を差し上げてございますが、一箇所ミスがあったので、正誤表を併せて付け加えております。ご覧頂ければ分かるように書いてございますが、私も月給を貰うようになりましてから約60年近い。家内も仕事をするようになりましてから、50年近い。併せて100年近く2人が働いているわけですから多少のものはあるとご理解頂きたいと思います。前回、平成2年に経済企画庁長官を拝命しました時に、閣僚の資産公開をしたわけでありますが、それとそう大きく違っているところはありませんが、若干前回よりも家内の土地、建物、或いは株券等について増えているところがあるというふうに思っております。

  

【質疑応答】

 問:資産公開についてお伺いしますが、銀行株ですが、鳥取銀行と山陰合同銀行の株がありますが、その銀行株所有の経緯について改めてご説明頂けますでしょうか。
 

員長:私が議員になりました前後からですから20数年前に、やはり地元の銀行ですから、先生も一つ持って頂きたいという話がありまして、少々買ったというだけのことであります。前回の閣僚の時には、ふそう銀行があったと思いますが、これは山陰合同銀行に合併しましたから、そんなことでふそう銀行がなくなって山陰合同銀行の株が少し増えたというだけであります。

  

 問:その後引き続き、同じ株数を承継されているということでしょうか。
 

員長:全然増えてないと思います。20年間変わってないです。

  

 問:全閣僚の中での総資産ですが、河野さん、堺屋さんに次いで3番目に多いということのようですが、特にこれについては何かご説明ありますでしょうか。
 

員長:前回、企画庁長官の時、丁度バブルの最中でありまして、私がトップでした。成城の家内が昔から持っている土地の時価が、当時坪14万円位でしたから、それだけで35億ですか。それで私と併せて40何億という数字が時価評価して出されてまして、それで私がトップでしたが。自分が住んでいる家ですから売るわけにもいかずそのままずっと住んでいる。今は恐らく当時の価格の5分の1に下がっているのではないかと思います。

  

 問:資産公開制度そのものについての是非なのか、問題点があるか否か、ご所感はありますでしょうか。
 

員長:議員も、ご承知のように、議員になった時、毎年度議長宛でしょうか、届け出ることになってます。多少対象が違って、例えば株については公開株、上場株とか資本金がいくらとかそういうようなことになっております。議員になって、そのこによって、言うなれば議員という地位を利用する云々で、資産を増やすようなことがあるのではなかろうか、或いはそういうことがあったのではなかろうか、というようなことが一つの原因で資産公開ということが行われるようになりました。特に閣僚に関しては、議員よりも詳細に出すということになっています。私は別に、このことについてそういう世間に誤解を招かない為にも就任時、辞任時に資産を公開するということは妥当なことだと思っております。

  

 問:本日、日債銀が譲渡されましたが、改めて大臣のご所感をお伺いしたいと思います。
 

員長:私も、とにかく考えて見ると一昨年のいわゆる金融国会において、金融安定化に関する特別委員会の委員長をやりまして、いわゆる金融再生法、早期健全化法の2法の衆議院における成立に努力をした一人でありますから、その法律に基づいて、長銀、日債銀の譲渡が行われるということになったわけでありまして、そういう意味におきましては、日債銀の譲渡が色々な経緯がありましたけれども一応予定通り実行されることになったということについては色々な感慨がないわけではありません。巨額な国費をつぎ込むということについて、後世色々な見方があるかもしれませんけれども、当時の本当に危機的な状態にあった金融の情勢、不安を解消する為には、あのような法制的な措置が必要であったのだろうと思いますし、それに基づく処置が取られたということについては妥当なことであったというふうに思っているのであります。ただ問題は、折角それだけの巨額なお金をつぎ込んで長銀も日債銀もいわゆる再生を図ることになったわけでありますから、これからその間における色々な方面での努力、或いは折角つぎ込んだ国費と、これは金融の安定の為につぎ込まれたわけでありますけれども、そういうことが無駄にならないように、銀行として新しいスタートをきって、立派に再生を果たしてもらいたいというふうに思っているのであります。日債銀に関して言えば、従来の銀行カラーを変えてでも是非新しくスタートしようという気構えもあるようでございますから、我々はそれを見守っていくと同時に期待もしていきたいというふうに考えております。

  

 問:日債銀の旧経営陣の責任追及問題ですが、日債銀の方から報告があったと思いますが、今後どういうところを期待されているのでしょうか。
 

員長:長銀に関しては、民事責任の追及ということも行われるようになっていますが、日債銀に関して言えば、内部に設けられました調査委員会でもってかなり詳細、且つ綿密に調査を行いました結果が民事責任を追及すべき事案は見当たらなかったという報告を、これはその調査委員会が日債銀の頭取に報告し、頭取からまたそのことについての報告があったわけであります。ただ、我々として、報告でありますから、再調査を命ずるとかどうとかいうことではありませんが、ただ、RCCに引き渡されました財産、その他につきましても今後当然、民事責任に関する追及ということは行われるわけでありますから、我々はそのことについて期待を持っているのであります。ただ、実態を我々再生委員会が直接調査をするという民事責任に関しての権限はありませんから、今はRCCのこれからの活動を待っているということであります。

  

 問:大正生命の破綻の問題がありまして、クレアモントという助けてくれるはずだったところから金融商品を騙されたような形で、今捜査中ですが、これについて、生保協の宇野会長が、記者会見の中で、一種の異業種参入の問題と絡めて、これから金融に異業種から参入してくる場合に厳しいスタンダードが必要であろうというご意見を仰っておられましたが、今後こういう事例が多くなることが予想される中で大臣としてはどういうふうなお考えでしょうか。
 

員長:数日前に一応説明は聞きました。率直に言って、大正生命という、その名も示すごとく古い大正からの歴史のある会社が、何故あのような人のやることについて疑いを持たなかったのか、良く調査もしなかったのか。現在、捜査中ですのでまだ分かりませんけれども、どうも今まで報道されているところを見れば、騙されているわけですね。その辺のところは正直言ってもうちょっとしっかりしてもらわなければ困るではないかという気がします。そういう点についての印象を強く持ちますが、異業種の参入問題についても、まったく無関係とは言えない。やはり他の事業会社なり事業体がそういう金融関係の機関に参入してくる一つの形でありますから、その事業そのものがどうこうなるかということは別の問題でありますけれども、やはり公共的な性格を強く持っている。これは銀行でも保険でも証券でもそうでありますが、それがその為に大きな被害を被る、破綻に至る恐れがある、その為に沢山の預金者なり保険の契約者なり、或いはその融資を受けている人達、そういう方々に対して大きな影響を及ぼす恐れのあるのがまさに金融機関なのですから、異業種の金融機関の参入について前々から慎重に検討しなければならないことを言って、皆さんから守旧派だというふうに言われますけれども、そういう心配もあるから、そういう点が十分に防げるように、機関銀行化しないようにとか、或いはまた異業種が参入する時にどんなものが入ってきているのだということがまったく金融機関を監督しているところの者が調査も何も出来ないという状態はおかしいじゃないかということの警告をそのころから強く発しておったわけです。ただ、異業種の参入を今ここでどうこうするということを申し上げているのではないので、やはり慎重に十分研究することは研究し、対策はまた考えていかなければならないと思っております。

  

 問:金融監督庁の当時の対応はどう評価されますでしょうか。
 

員長:直接は金融庁の所管行政でありますし、私が直接指図する立場にありませんのでコメントすることはどうかと思いますが、やはりもっとしっかり見てなかったのかなあという印象はあります。大正生命としては恐らくなかなか厳しい状況にあった。つまり生保全体が色々、日産生命や東邦生命が破綻するとかそういうようなことがあったでしょう。とにかく、新規の契約が伸び悩み、それから既契約の解除が増え、契約残高が減るというようなことで、業界全体の経営として大変厳しい状況にありましたから、そういう非常に助けてくれる人が現れたら良かったというような感じでおったのかと思いますが、やはり金融監督庁としてもそういう点についてもっと良く見ててもらいたかったなあという印象はあります。

  

 問:熊谷組の件ですが、再生委員会でも当然、日債銀などの処理で色々議論の時間をかけて色々な想定をされたと思うのですが、今後のゼネコンの債権放棄について、再生委員会の議論の中でもあったのでしょうか。
 

員長:今まで、私が参りましてから再生委員会としてゼネコンの問題について特別にそのことを議題として審議をしたということはありません。

 

 問:今後もやる必要はありませんか。
 

員長:これは、とにかく銀行において、新生銀行やあおぞら銀行に特有な問題ではないので、一般的な金融機関のそういうような大きな不良債権についての処理の一環なので、過去においても皆さんご承知のように例もあったし、その一つだと思っています、いわゆるそごうの問題とはこれは違うわけでありますが、どういう状況で、ハザマの問題、熊谷の問題が推移をしてきていたのか、いるのか、そのことについては話を聞いてみたいと思っております。

 

 問:「あおぞら銀行」という名前についてはどうでしょうか。
 

員長:将来への展望もあおぞらの如くということを考えておられたというふうに聞きますけれども、そうあれば大変結構なことだと思います。

(以上)


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