相沢委員長記者会見の概要

【平成12年9月12日(火)於:金融再生委員会会見室】
  

【千葉興業銀行・八千代銀行への資本注入について】

員長:千葉興業銀行と八千代銀行に対して、資本増強の審査を今年の8月10日以来進めてまいりましたが、今日、結論を出しましたので両行に対しましてその結果を通知をしたということです。審査については、地域金融機関の資本増強についての基本的な考え方を去年の6月10日に出していますが、それに基づいて申請の内容とか、経営健全化計画などについて、8回に渡って委員会として検討を続けてきた結果、申請を承認することにしたわけです。
 千葉興業銀行については、お手元にありますように優先株として約600億円。これに自力調達として280億円。合計で約880億円を資本増強したということになります。八千代銀行につきましては、劣後債で350億円申請がありましたので、これを認めるということになったわけです。大体これで、千葉興業銀行も八千代銀行も資本の面においては、心配するところもなくなったと判断をして、これからもしっかりやってもらいたいと委員会としては考えているところです。審査結果の通知としては以上です。

   

【質疑応答】

 問:今後、所定の手続きを経て9月末になると思いますが、細かく手続きを教えていただけますか。
 

務局長:本日、両行に対しては資本増強の正式承認を行った旨の通知が行きますので、先方におきまして取締役会を開き決議をし、商法の規定に則りまして手続きを進めまして、9月29日に払い込みをして、その増資の効果は9月30日に顕れる。したがって中間決算期末の自己資本比率が、資料にある見込みの自己資本比率になることになると、即ち千葉興業銀行で言えば9.94%、八千代銀行で言えば8.20%。中間決算期の単体ベースの自己資本比率としての数字が出てくることになります。

  

 問:両行の健全化計画で、今日の決定までの過程で委員長ご自身どうご覧になっていて、何か注文を付けたりしたことはあったのでしょうか。
 

員長:これが始まったのは、既に前から事務当局において検討を進めていて、その話が相当程度詰まってきたので、8月10日に予備審査をして以来、8回に渡って審査をした結果決めたわけです。私共としては、両行それぞれエリアは違うわけですが、今後の景気の情勢とか、特に地域の情勢とかに影響を受ける点は十分に考えなければならない。千葉興業銀行については、富士銀行が千葉興業銀行を健全な姿に育てるという気持ちを十分持っていますから、その協力の下にしっかりしたものにして行くという気持ちで取り組んできたわけです。色々今後の景気情勢の見方とか、或いは地価の動向とか、特に担保となる不動産価格の推移等については見方も分かれますが、この程度の自己資本を持っていれば十分に、今後の情勢の変化にも対処していけるという判断の下に、国としても資本注入を了承したということです。

  

 問:地銀、第二地銀全般に対して、健全化に関してのメッセージはございますか。
 

員長:とにかくこれで千葉興業銀行と八千代銀行は決着はついたわけです。ただ、金融界、協同組織金融機関について全く問題がなくなったということではないという気もしないではない。これは今後の経済情勢にもよりますし、先ほども申しましたが担保となる地価の動向その他色々な要素に支配されるわけですが、やはり金融不安にならないように各行が、まず自己資本の低いところは自らが増資をするなり、社債を発行するなりして、自己資本比率を高める努力をしてもらう。特に、信用組合等については、独立してやることが難しいものについては、合併等も検討していくとか、とにかく自らの努力というものが先に立つべきものだと思います。これは国が先に立ってああしろこうしろと言うべきものではないので、やはり各金融機関の努力に対して国が金融の安定化のために協力をするという考え方の下にやっていくべきものではないかと思っています。特に、自己資本比率の低いところ、勿論自己資本の比率が8%とか4%を割っているわけではなく、破綻する危険性があるという意味ではない銀行についてですが、それでもそういった努力をしてもらいたいと私共としては思っています。

  

 問:今回の八千代銀行、千葉興業銀行で資本注入を受ける地銀・第二地銀が9行になるわけですが、130行の内9行に注入になったということは、当初の予想に比べて多いのでしょうか、それとも少ないのでしょうか。
 

務局長:当初どう見ていたかということは控えさせて頂きます。再生委員会が立ち上がって1年8ヶ月経とうとしていますが、少し環境の変化があったなと、すなわち我々が考える以上に各銀行がそれぞれの決算期における体力を測定して、体力が不足していると思ったところは、我々の考え以上に自力調達・自助努力を頑張ってくれたという面があると思います。それが11年3月期の自己資本比率と12年3月期の自己資本比率、例えば地銀で言いますと11年3月期は9.3%であった自己資本比率の平均値が1年後の今年の3月期には10.2%ということで、約0.9%上がっています。第二地銀につきましても、平均値で11年3月期が6.8%だったものが、今年の3月期には8.1%にまで上がっています。これは相当将来を見据えて自助努力に各行とも走ってくれたなと、その環境の変化は当初考えたもの以上のものがあったということは言えると思います。

  

 問:あと半年間注入期間はありますが、今のところ注入に向けて再生委員会に相談されている地銀や第二地銀はないのですか。
 

務局長:相談というか、私が頭取と会った時に話が出るとかというものも含めれば色々ありますが、具体的な申請というところまで今いっているところがあるかと言われると、今のところはございません。言わば打診のような段階はともかくとして、申請という段階まできているところはありません。
  
員長:現在そういう状況にある銀行があるということは、私は聞いていません。具体的にどうこうということは私も聞いておりませんし、あまり持って来ない方がいいのかな。ただ、申請したいところがあれば、それは勿論放っておくわけにはいかないことは当然です。金融の安定を図るために、こういう仕組みができ、予算の裏付けもあるわけですから、それはやはり心配のないように十分国もお手伝いをしていく。協力をしていくということだと思います。

  

 問:ペイオフの備えという意味で資本注入に来ないというのは、金融界に気の緩みが出ているということはないですか。ペイオフの延期ということではなく、ペイオフまで1年半あるわけですが、それに対して少し緊張感があったり、或いはもっと資本注入を利用したり、普通なら出てくると思うのですが。
 

員長:それは当然ペイオフの時期の来ることを考えていない金融機関はないと思います。同時に特に金融界というのは、色々なルーマーに対して極めてセンシティブなところだと思うし、そういう業態だと思います。ですからそういう噂が流れないように、ということは結局自ら体制をしっかり固めていくと、自己資本比率にしてもそうで、そういう努力をしていかなければならないという気持ちを持たない経営者というのは、もういないのではないかと思っています。ですから決して気が緩んでいるという状態ではないと、一般的にはそう思っています。
  
務局長:ですから先ほど申しました通り、大宗の銀行が自力調達に走っているというのもそういうことかと思います。
  
員長:地銀、第二地銀、信用金庫、信用組合は地域的な性格が非常にあって、そうすると地域にとっても、それが主要行であるかどうかは別として、それぞれの銀行に頼ってファイナンスを受けて仕事をしている、商売をしているところは非常に多いわけですから、頼みとする柱が潰れるようなことになったら、銀行が潰れるということだけではなく、関連する企業が皆影響を食うという気持ちを、相当強く今回の金融不安を契機として持っていると思います。ですから銀行が増資をする、或いは劣後債を発行するという場合にも、かなりそういう気持ちも持って協力をしているところが多いのではないかと思っています。そういう努力を銀行側もするし、地域の財界と言うか経済界と言うか中小企業の人達も含めて、核となるものを潰してはならないという気持ちを持って協力をするという体制ではないかと思っています。

(以上)


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