相沢委員長閣議後記者会見の概要

【平成12年9月14日(木)於:金融再生委員会会見室】
  

【閣議案件等】

 今日の閣議は、当委員会関係で、千葉興業銀行と八千代銀行への資本増強についてと日債銀についての資本増強の報告をしました。千葉興業銀行が600億2500万円、八千代銀行が350億円を9月12日に承認をしたということです。そらからソフトバンク・グループに9月1日に譲渡した日本債券信用銀行についても、今日、金融再生委員会において約2600億円の資本増強について審議の上、これは承認を行う予定となっています。この3行からは、資本増強申請の際に経営健全化計画が提出されていますが、これが適正に履行されるように万全を期して参りたいとということも併せて述べておきました。あと、中華人民共和国の国務院総理朱鎔基閣下及び同令夫人が公賓待遇を受けて10月12日から17日の間日本に来られることが了解されました。

 月例経済報告は、閣議の前にありましたが、特別申し上げることはありません。日銀に対して何か意見が出るかと思いましたが、今日は出ませんでした。私は日銀総裁の隣に座っているので話をしましたが、日銀総裁は「とにかく1―3月は年率で10%の伸び、4―6月は対前期1%、年率4.2%という伸びになっているし、ゼロ金利の解除は当然だと、やらなければならないこと」みたいなことを言っていました。私は、昨日宮沢大蔵大臣とも話していましたが、「これで景気が底を尽いたということになるのかどうか。幸い法人の利益については、かなりの増益、したがって法人税収も増えるという見通しもあるけれど、しかしそれだけで判断していいかどうか。その辺が問題だな」と、また、補正をどうしますかという話をしていて、「前年の剰余金があるからそれを使っていくことを考えるのだけれど」と言っていたので、私は「それだけで良いのですか。やはりその辺は少し考えていただかないといけないのではないか。」という話をしていましたら、「そうだな。その辺が一つ問題だよ。」という感じでした。つまり景気の先行きについて、まだ本当に底について上昇過程に入ったのだということを、確実に見られるという状態ではないのではないかというのが、率直に言って私の感じなのです。大蔵大臣も全く同じかどうかは分かりませんが、やはり景気の先行きについて関心を持っていることは事実であります。ですから今日は私は日銀総裁には、「とにかく大蔵大臣も景気の動向については、楽観するような気持ちではないようですよ。」ということを付け加えておきました。今のは独り言ですが。 

  

【質疑応答】

 問:信用組合業界の現状のご認識についてお伺いしたいのですが、7月から金融庁の集中検査が始まっている一方で、預金保険法等の改正で、公的資金注入も出来るようになっていますが、これからの検査の進捗に伴って、公的資金の申請も出てくる可能性もありますけれども、信組業界の現状についてのご認識をお伺いしたいと思います。
 

員長:ご承知のように、今年の7月から従来の都道府県知事の検査・監督下にあった信用組合に対して金融庁としての、勿論財務局を含めてですが、検査が始まったわけです。ただ、まだ全体から見るとまだまだ半分にもいっていません。そういう状況ですから、全体的にどうこうということを申し上げる段階ではありませんが、率直に言いまして都道府県で信用組合の検査・監督、特に検査をしている段階では、やはり各都道府県に検査の専門家が乏しい。そういう点で問題がなかったわけではないので、都道府県での検査は、問題があったということは認めざるを得ない。金融庁・財務局が検査をしますと、都道府県の検査段階よりも厳しい結果が出ております。そういうことで全体として検査が進むに従って、従来よりも信用組合として問題になるものが出てくる可能性は否定出来ないと思っております。我々が、本格的に検査に入ったのは7月からですから、2ヵ月です。来年の3月までですから、まだまだ期間だけから言っても全体の何分の1にしかならないわけです。残りの3月までの期間において、検査が進むに従って、どういう状況が出てくるのかを見守りたいと思っております。

  

 問:金融庁が、制度問題について業界と意見交換をする会合というのをスタートしましたが、業界との癒着ということが問題となって、かなり業界との対話も規制されてきた経緯がありますが、一部では過剰に規制し過ぎているのではないかという声もあるようですが、業界との対話ということについてどのようにお考えでしょうか。
 

員長:業界との対話をどういう恰好で始めるかについて、私も格別に報告を受けておりません。確かに色々な点についての業界との癒着というようなことが言われ過ぎて、相互理解に欠ける点も無いわけではない。お互いに良く話合うということが必要だと思います。また、癒着と言われるようなことがあってはいけませんが、そうでない限りにおいて、私は実態の話を聞く、或いは役所の考え方を説明する場があっても結構だと思っております。

  

 問:海外の事例で恐縮ですが、先だってチェース・マンハッタンがJPモルガンを買収するという事例がありましたが、日本の大手行が後ろ向きな対応をし、日本の企業が疲弊をしている状況で、国際競争力も落ちていると言われていますが、大臣は、海外の事例ですが、どのようにご覧になっているかというのをお伺い出来ますでしょうか。
 

員長:あれは、私は新聞で見て、そこまできたのかなあという印象を持ったわけです。やはり日本も大手行については、4行体制にまとまりつつあるというような状態ですから、国際的な金融行政の中にあって、日本の金融機関に対して評価が高まるような方向においての再編というのはかなり進んできているのではないかと思っております。ただ、世界的に見ると、それを上回るような動きがあるので、やはりそういう点も我々としては良く見ておかなければならないなと、これは率直な気持ちです。

  

 問:再編が進んできていると仰ったのですが、例えば、今日であれば、生保、損保間の再編が明らかになっているのですが、それについては好評価されますでしょうか。
 

員長:具体的な問題については、批評は差し控えますが、やはり生損保に限らず、金融機関全体として規制緩和ということで垣根を低くして、相互に業務を自由に行えるようにするという方向が今までも取られてきたし、また今後もそういう方向に行くのだろうと思っております。ですから、異業種の銀行参入問題についてもその一環なので、しばしば申し上げますようにこれに対応して銀行業が異業種にも参入出来るように銀行法、あるいは独禁法の改正も進めていかなければならないと思っているわけです。今まで長いことそれぞれの業界体制がありましたから、それが規制緩和ということで垣根が低くなり、融合する過程においては色々摩擦もあるでしょうし、問題もあると思いますが、やはりそういう方向を取らないと、日本の金融界全体が世界の中においても力が強くなっていかないのではないかという思いがしています。

(以上)


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