相沢委員長記者会見の概要

【平成12年9月14日(木)於:金融再生委員会会見室】
  

【日本債券信用銀行への資本注入について】

員長:午前中の記者会見でも申し上げましたが、日本債券信用銀行に対する資本増強の審査結果について申し上げます。8月31日以来、予備審査も含めて合計5回にわたって検討を重ねてきました。結論を申しますと、9月の1日に日本債券信用銀行の譲渡が実行されましたが、その契約において、この新生日債銀に対して早期健全化法に基づき、健全な自己資本の状況にある旨の区分に該当する金融機関として、株式引受けの申請をすることとされているわけでございます。その後、ヒアリング等を行い、新生日債銀の申請内容、経営健全化計画などを精査してまいりましたが、本日申請を承認することが適当であるという結論に達し、2600億円の優先株の引受けを決定することにしたわけです。10月4日に資本増強が行われることになりますが、今回の資本の増強によって金融システムの安定化及び経済の活性化に資することを期待しているという次第です。お手元に参考資料があり、色々なことが書いてありますが、趣旨は以前からお話しています。

  

【質疑応答】

 問:これで資本注入がひと段落する事になりますが、それについてご感想なりありましたらお願いします。
 

員長:色々と私もこの問題については、金融問題調査会の会長をして党において色々と検討を行って以来、と言うよりもっと前の一昨年のいわゆる金融2法を審議する特別委員会の委員長をして以来の係わり合いの長い問題です。長銀に引続いてここでとりあえず日本債券信用銀行についても、一件落着という言葉が適当かどうか分かりませんが、ここで一区切りついたということです。この上は、是非貴重な国費が注がれたわけですから、この銀行が立派に業務を展開していくことを心から期待もし、これからもよく注意をして見守っていきたいと思っています。

  

 問:一昨年の金融国会の結果をこれまで振り返りまして、金融の一般についてはどう見ておられますか。
 

員長:あの時の状態、北海道拓殖銀行がああいう状態になって、長銀がとにかく株式市場において完全に叩かれて、ひどい状況になった。要するに金融不安のある意味においては極地に達しているのではないかという状態の中で金融2法が作られた。あの法律については、色々な経緯がありますしご批判もあります。結局、政府提案に代わって野党の法案を中心とした審議が行われる。取組む政党も途中で入れ替わったりして色々なことがありましたが、とにかくそういうプロセスを通って成立をした法律が基になって、金融機関の再生、あるいは早期健全化というものが実現されてここまで至ったわけです。まだこれで問題が完全に解決したとはまいらず、例えて言えば信用組合についても、都道府県知事の検査・監督から離れて金融庁と言うか国が引き受けるようになった。その検査が進行中ですし、またこれらの検査結果というものも見守っていかなければなりません。ですから金融界の安定ということがまだまだ完全に実現されたというふうには考えられませんが、大筋のところは大体落ち着いた所まで来たのではないか。おそらく海外から日本の金融界に対する評価もそういった点では、随分変わってきているのではないかということを期待もしているわけです。

  

 問:まもなく国会が開会になりますが、夏に金融再生法の改正という議論がありましたが、現段階ではどういう印象をお持ちですか。
 

員長:私が金融問題調査会の会長の時代から問題にしていたことは、例えば異業種の金融業への参入に関連をして、銀行業が異業種を出来るように、銀行法なりあるいは独禁法の改正というものを検討していかなければならない。ワンウエイを改める必要があるということですから、そういうことについての検討は庁内においても進めておりますが、どういう形で今国会に、今国会でなければ再生委員会がなくなってしまうので、いずれにしても法律の改正についての最終的な態度を取極めなければならないとは考えています。

  

 問:銀行法の改正ではなく、再生法の改正で、公明党が主張していた倫理条項とか。瑕疵担保の関連での議論ですが、それは収束したのですか。もうそういう論議はなさそうですか。
 

員長:質問の趣旨を取り違えてしまったようですが、国会の答弁でもしたことを思い出しますが、要するにロス・シェアリングの規定もない、このことはこの法律についての一つの問題点だから、この点も考えなければならないのではないかということも確かに申し上げました。そういういことについて金融再生法の改正を当然に考えなければならないのではないかということを申し上げましたが、何せこの法律自体が来年の3月末であと半年ということですから、そういう意味で来年の4月から施行される預保法においては、ロス・シェアリングの規定も入っているということも考えれば、要するにその間をつなぐものとして、金融再生法の改正等が必要になるかということだと思います。まだこの点については最終的な結論は出していません。ただ、私としては国会答弁との関係もありますから、このことについてできれば所要の措置を考えたいと思っておりますが、まだ、最終的な党側も含めて、調整も済んでいないという状態です。

(以上)


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