相沢委員長閣議後記者会見の概要

【平成12年9月19日(火)於:金融再生委員会会見室】
  

【閣議案件等】

 閣議の案件では、当委員会に直接関係あるものはありませんでした。国連に関しての報告とか、三宅島・神津島・新島の災害関係で各省から視察の報告がありました。なかなか災害後の復旧対策をどうするかということが問題だという説明でした。人事院勧告について、勧告通りの改定をするということで関係閣僚の意見の一致をみたという報告が官房長官からありました。総務庁長官からは、人事院勧告通りの改定を一般職の国家公務員について行うと、特別職も概ね一般職に準ずるという報告がありました。2005年の日本国際博覧会の登録申請をすることについて閣議決定がありました。明日10時、明後日9時に臨時閣議を行う。明日は今度の国会における総理の施政方針演説に対する検討閣議。明後日はその決定を行う閣議。22日は、10時からの閣議で、いずれも官邸で行うことになっています。更に、26日以降は本会議等も始まるので、原則として9時から院内において閣議を行うということでした。

 閣僚懇において、大蔵大臣から石油価格の高騰が著しく、また、ユーロが下落をして、対米ドル85セントというところまで来た。石油価格もなおバレル当り38ドルから40ドルの水準まで来ているので、日本は石油に関して自由化をやったおかげで今のところは大きな問題とはされていないが、これは今後注目をする必要があるし、G7においては議論の対象になるだろうという話がありました。

 昨日、私が総理の所に行ったことに関連して、厚生大臣から閣僚懇で話があったのですが、ソ連抑留者の遺骨収集に関しては、総理からこの前プーチン大統領との間でも話がありまして、できるだけ早く遺骨の収集をするということで、平成14年までに極力収集できるところはやるということになって、ロシアの事務当局の間においても今話が進んでおり、平成13年度中には未調査の埋葬地93箇所について調査を終了し、平成14年度までには収集可能な埋葬地の4500柱を収集することにしたので、関係方面の協力をお願いしたいということでした。私からも発言を求めて、総理の配慮にお礼を申し上げると同時に、これが実行されるようにお願いをしておきました。ちなみに60万人抑留されて約6万人死んだ中で、ゴルバチョフ大統領が持ってきた名簿は4万人しかなく、2万人が分からなず、それも明かにするようにしてもらいたいということを要望していましたし、50万の抑留者の身上調書ファイルがあるので全部コピーをしてもらうようにという話もしています。これは金融再生委員会とは関係がないことですが、私はソ連抑留者の会の会長を20年もやっています。このことにも精力も使ってきたのです。本来なら今日からモスクワに一週間の予定で行くことになっていたのですが、再生委員長職務があって行けなくなったのです。ついでまでに申し上げておきます。

   

【質疑応答】

 問:東京海上、日動火災、朝日生命が、生損保の枠を超えて提携ということになりましたけれども、今後保険業界の再編は加速していくのでしょうか。
 

員長:これは、破綻の危険性のある金融機関の早期是正とか、或いは破綻金融機関に対する救済問題とは違いますから、金融再生委員会としてとにかく強力に推進をする、何でもかんでも進めていくという考え方でやるべき問題ではなく、あくまでも金融機関が、世界的な金融機関の統合・再編の大勢の下において、日本の金融機関として今後も立派にやっていくためにはどのようにしたら良いかという考え方で、自主的に判断をし努力すべき問題であろうというふうに考えております。ただ、我々としてはそういう方向は原則として望ましいという考え方で、協力をしていくという立場をとっていくべきものだと思っております。なお、いわゆる銀行の合併ということではなく、銀行と保険、或いは今回のように生損保の場合等もございますが、そのような形で言うなれば垣根を越えて金融機関の統合が行われて、力をつけていくということは望ましい方向だと考えております。

  

 問:熊谷組が、昨日、4500億円の債権放棄を要請しまして、銀行が応じる方向になりましたが、そういった銀行の対応をどのようにお感じでしょうか。
 

員長:熊谷組の話もありますが、他にもゼネコンで債権放棄の要請を再建のためにするという話は聞いております。ただ、熊谷組についても、具体的にどういうような銀行側に対して債権放棄の要請をしているかということは、熊谷組の再建計画の内容にも関連することでありますし、計画としてまだ確定したというふうにも聞いておりませんので、今後我々としても関心をもってこれを見守っていきたいと思っております。

  

 問:保険の再編の件ですが、金融再生の過程で出来た銀行の4大グループと、保険の再編は必ずしも一致していなくて、みずほが股裂きと言うか、そういう形になっているのですが、その辺についてはどうお考えでしょうか。
 

員長:昔の姿からすれば、財閥という言葉が適当かどうか分かりせんが、そういう資本の系列というものを越えて、色々と合併が行われる姿になってきているわけです。それはやはり一つの時代の流れなのだと私は思っています。それがおかしいとかいう問題ではなく、やはり時代と共に昔の財閥とは勿論違いますが、そういう資本の系列的な体制を越えて色々な合併も行われているということはやむを得ないことでもあるし、それも結構なことではないかと思っております。

  

 問:異業種の参入ですが、先般の日債銀の公的資金の注入の際に、細かくそれなりに配慮したというか、機関化銀行については書き込んだという感じがあるのですが、バーゼルとかルールが出ますと、益々機関化銀行について問題だとクローズアップされるのでしょうか。
 

員長:私が、金融問題調査会長をしている時期に、異業種参入問題についてしばしば委員会でも取り上げた時に、私はそういう点について、慎重に考えなければならないとしばしば申し上げまして、どうも守旧派だと言われたりしました。確かに異業種の参入については、野放図にすると機関銀行化の問題もあるし、色々と問題が出てくるわけです。繰り返して申し上げるようで恐縮ですが、何で金融機関に対して、国が金融再生、早期健全化、に関する二法等も作って、公的資金までつぎ込んでやらないといけないかということについては、預金者の保護という立場と同時に、一般の企業者に対する融資の円滑化、継続円滑化ということもあるわけです。ですからそういう公益性に着目して金融機関に対して格別な検査もし、指導もし、監督もし、支援もしてきているということなのです。他業種がそういうところに参入するに際して、それが先程お話が出ました機関銀行化するとか、色々情報の点で問題が生ずるということになってきたのでは、それは注意をする必要があるのではないかということです。外国もそうですが、そういう銀行業に参入する異業種については、その業績、事業内容、そのやり方とかについて調査もし、報告も求め、場合によっては監督もする、国によっては違うようですが検査もするというようなことをやっているわけです。そういう点において異業種が銀行に参入することによって起こる問題を出来るだけ少なくするようにやっていかなければならないという頭があるわけです。
 この間、外国紙の記者が来てそのことについて色々質問してきましたが、アメリカは何で昨年の4月に異業種の銀行業への参入を止めたか、また、従来それまでにやったものについては引き続き認めているわけですが、同時にそういうものに対して従来よりも厳しく報告を求めたりするようなことをやっているわけです。だから外国紙の記者が、「大臣の姿勢がそういうものに対して非常に消極的であるということを言われております」と言うから、それでは私もお聞きしたいのだけれども、アメリカは何で異業種の参入を止めたのか説明を聞きたいと言ったのです。そしたら、「色々問題があったからでしょう」と言っているから、私達もそう思うのであって、反対をしているのではない、そういう点についてはやはりきちっとしておかなければならないのではないかということが一つ。
 同時にもう一つは、銀行業が異業種に参入するとか、異業種を行うということについては、今の銀行法、並びに独禁法から言うと非常に厳しい制限が設けられている。銀行法から言うと出来ないです。それはやはりONE WAYということでおかしいのではないか、公平の観点から言っても、銀行についても異業種が出来るように、どういうことを具体的にお考えになるか私も良く聞いておりませんが、またそういう考え方を持っているかどうかこれから良く聞いてみないといけませんが、やはりそういうことでバランスをとっておく必要があるのではないかと思っております。

  

 問:ジャパンネット銀行が今日設立ですが、改めてご感想をお願いします。
 

員長:あれは、店舗を持たない銀行の第1号として発足をするわけです。さて、どういうふうな実際の運営になっているのか、1兆2000億の預金を予定していますが、それの運用などもこれからも一つ注目していきたいと思っております。ただ、確かにあれは第1号ですが、他からも計画がありますから、他のところもこのジャパンネット銀行のこれからのあり方を注目しているだろうと思っております。あのような銀行が出来ることになると、従来の町の表通りに立派な店舗を構えてやってきた今までの銀行のやり方に対して、相当影響を与えてくるのではないかと思います。銀行も昔と違って、預金や引き出しのために番号札をもらって並んでいるような現象はかなり減ってきたし、店舗もガランとしているし、行員の数も減ってきているようだし、やはり機械化と言うか、ネット化というものが進むにつれて、従来の金融機関、保険や証券もそうですが、あり方に相当大きな影響を与えてくるのではないかと思っております。

  

 問:大手銀行の公的資金の件ですが、一部報道で、三菱信託銀行が、今年度中に公的資金の前倒し返済を考えていて、再生委もそれを了承する方向であると報道されていましたが、今そういう方向なのでしょうか。
 

員長:今日新聞を見てあっと思ったのですが、前から話は聞いていませんでした。ただし、一般的には公的資金については、注入する時には出来るだけ早く銀行が健全化してこれを返してもらう、公的資金を返還してもらうということは誠に望ましいことだというふうに考えておりましたし、一般の方々もそう思っているのだろうと思うのです。もし、三菱信託銀行がそういうお考えであるならば、是非それを実行してもらいたい、早くやってもらいたいと思っております。ただ、具体的には聞いていませんが。

  

 問:今のところ打診はきてないのでしょうか。
 

員長:私は聞いておりません。或いは事務当局に話があったのかどうか…。

(以上)


メニューへ メニューへ
ホームへ ホームへ戻る