相沢委員長閣議後記者会見の概要

【平成12年10月6日(金)於:参議院議員食堂】
  

【閣議案件等】

 今日の閣議には、当委員会関係の案件はありませんでした。外務大臣から、シンガポールとの間に自由貿易協定を結ぶことを先般来話し合っていて、それがだんだん具体化しつつある。今までは日本は、WTOを初めとして多国間の協定を中心に考えていたが、他の所ではリージョナルな自由貿易協定ができつつあるので、日本としては初めてであるけれど、二国間の、つまりシンガポールとの間の自由貿易協定についても進めていきたいと。これは金融庁としても関連がある問題なのです。いずれ関係の閣僚が、10日以降に相談したいという話が外務大臣からありました。もう一つ外務大臣から、米の問題について発言がありました。拉致問題とか安全保障問題等の解決促進に向けて、日本としても従来努力をしていた。北朝鮮は、イタリア、カナダ、フィリピンに人を派遣するとか、ARFに外務大臣を出すとか、南北の首脳会談や特に諸外国との関係回復に向けての努力をしている。日本としても、そういう面においての努力を指定いかなければならないと考えている。それで7月に初めて外相会談を行ったし、8月はニューヨークで北朝鮮のナンバー2と森総理が会うことになっていたが、北朝鮮が入らなかった事情でできなかったが、向こうからも丁重にそのことについての釈明もあったということです。要するに50万トンの米を送るということについて、党内の概ねの了解を取って、各党の了解も得つつあるということになった。これに関して、扇さんから閣僚としてではなく国民として国会議員としてこの問題については、そう簡単に納得できないところがあると、要するに去年10万トン送るときも、これで拉致問題についての解決が促進される雰囲気になると言ったはずなのに、その後何も進んでいないし、WFPが食料不足として言っている10数万トンを超えて、これから100万トン不足ということになるかもしれないが、これから調査団を派遣しようということになることになっているその前に、日本が50万トンを送るということを決めることは問題ではないかという趣旨の発言がありあました。通産大臣も同感だという発言もありました。名前はともかく、閣内からもそういう点について色々と議論があったということは、北朝鮮側にも他の国にも明らかにしておくということは、大事なことではないかということでした。総理からも、色々ご意見はあるでしょうが事態は色々動いているわけでして、北朝鮮もまだまだ農業政策というものが十分に転換されていない。今後10年間は、なかなか食糧問題は解決されないのではないかという話しもあり、この際人道的な立場からということで、米を送るということであって、それを同時に日朝間における国交正常化というものの解決を促進することになれば、ここは外交問題に関する責任閣僚である外相の判断、あるいは党内の了解に委ねて欲しいという発言がありました。

   

質疑応答】

 問:今日、幸福銀行の最終契約があると思いますが、これを踏まえて大臣のご所感をお伺いしたいと思います。
 

員長:これから相談することなので、中身をどうこうと申し上げるのもどうでしょうか。相談しないと合議制の機関ですから、私がこう決めたとか、言ったとかを今言ったのでは大変失礼だとご了解ください。

  

 問:千代田生命の件ですが、先立って東海、三和の会見もありましたので、改めてお伺いしたいと思うのですが、火曜日の時に仰った、正確な表現は別な表現だと思いますが、東海に任せたいととか、協力要請とか、どういう真意で仰ったのかお教え下さい。
 

員長:あの時、東海に任せたいとは言ってなかったはずです。なかなかこの問題について、アリアンツが良い顔をしないということもあって難航しているけれども、私の方としてはやはり、千代田生命がそのまま上手く行かないというようなことがあると、生保の保護機構における処理にも関係することになることも考える必要がある。何よりも、やはりかなりの規模の保険会社の問題であり、保険を掛けている人、融資を受けている人、従業員にもこれは波及するところが多いので、この問題が解決されることが望ましいということが私共の基本的立場だと思います。ですから、最終的に東海を中心とするこの救済策が駄目になったという、万策尽きたという状態ではないのですから、我々としてはやはり出来るだけそれが存続する形で、特に関係の深い金融機関についての協力をお願いしたいという立場なのです。三和、東海、東洋信託の合併ということもこの間にあったのですが、やはりこの問題の処理も併せて関連をして考えてもらいたいと思っております。

  

 問:最近発売された月刊誌で、外国系の信用組合の問題が取り上げられていましたけれども、全部債務超過に陥っているとか、当局が密かに色々動いているというような記事があったようですが…。
 

員長:密かに動いているというのはどういう意味か良く分からないのですが、いちいち検査の経過を発表するというものではないですが、検査に入ったということは既に公表しています。今、尚検査継続中ということです。いずれ、その検査が終了すれば、それを明らかにするということにもなりましょう。しかし、いずれにしてもまだ途中の段階ですから、まだそこに至っていないということです。

  

 問:先立って、日銀短観が出ましたが、中小企業の厳しさ等も出ているようですが、大臣ご自身はどのようにお考えでしょうか。
 

員長:どうも、日銀の総裁が、えらいご機嫌なことを言っているように見えるけれども、私はそんな状態ではないのではないかと思います。伝え聞くところによると、余り景気が良くないという報告を支店が出すと、本店で怒られるというような雰囲気だというから、それはとんでもない話なので、今日も、堺屋経済企画庁長官と雑談をしていたのですが、「やはり消費も伸びてないし、状況も良くないし、日銀総裁が言うような非常に調子が良く、景気が回復しているということではないのではないかね」と閣議前の控え室で話をしていました。私はそれが実態だろうと思っています。やはり、地価にしても、物価にしても、株価にしてもそうですが、そういうものだけ捕まえて判断するのは如何かと思いますし、同時に、かなり上場企業については増益を発表しているところもあるという状態であります。この間の短観でも、大企業の設備投資というものについてはプラスが若干増えたとか、データとしては決して後ろ向きのものが揃っているというようなことではないと思うのですが、それでは本当に景気回復に向かっているという実感があるかと言うと、私はまだまだそこまで至らないのではないかと思っているのです。少し余計なことかもしれませんが、例えば信用組合の検査をこの7月からやっていますが、従来都道府県の知事の下に検査・監督が行われたという信用組合に対して、金融庁・財務局の検査が入る。どうも聞いてみると、傾向としては都道府県の検査というのは甘かったということがあるのです。そうすると、資本比率が下がってくるから、それに対する対策を考えなければいけない。そして、協同組織ですからいわゆる増資するというわけではなく出資を増やす。これに対しては、ご承知のように預保からも資本注入の体制も出来てはいますが、どうしても貸し出しを絞めると、分母を縮めるというような、つまり貸し渋りにつながりかねない心配もあるわけです。これは一例ですが。やはり、基本的にはもっと景気の回復を図ることに本腰を入れるという態度は、政府としても党としても変えるべきではないというふうに思っています。

(以上)


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