相沢委員長記者会見の概要

【平成12年10月9日(月)於:金融再生委員会会見室】
  

【千代田生命について】

員長:既に今朝方、私の談話は皆さんにご紹介をしていただいたようですから、これについては重ねて申し上げません。今まで記者会見において皆様方に申し上げておりましたように千代田生命保険相互会社と従来関係が深い東海銀行等との関係において、再生を図るという形にならなかったということは、大変私としても残念に思います。ただ、外資との提携等の話が思うようにまいりませんで、会社の現状からすると現時点において、更生手続きを申し立てるということが一番現状においてはやむを得ないと同時に妥当な処置だという判断の下にそういうことをされたわけです。ただ、ご承知のようにスポンサー会社としてAIGという大変に強力な会社が登場するということが報道されておりますから、私としましてもこの会社の更生手続きが今後裁判所の監督の下に、特に保険契約者の保護に配慮した更生計画ができるだけ速やかに策定されることを期待したいと思います。そういうことでありますから、特に保険の契約者におかれては、冷静な行動を取って頂きたいと、このことを重ねてお願いを申し上げる次第ございます。私も色々と経緯も事務当局を通じて聞いておりましたし、また有力な外資の提携先も幾つかあるということで、千代田生命としてもまた関係の深い東海銀行等としても色々と努力をされてきておりますことも承知しております。私としましてもそういう方向での会社側の努力を要請をしてきたわけでございますが、遺憾ながら従来の形での会社の再建が実現しないで、このような形になったということは、大変残念でありますけれど、しかしそれは先ほども申しましたように、会社の更生手続きが順調に進展すれば、私は将来の展望も開けて来るという期待を改めて表明をしたいと思っております。

  

質疑応答】

 問:大臣は今回の件について、何時、どのような形でお聞きになったのでしょうか。
 

員長:あまり時間的その他のことについては、細かく申し上げるのもどうかと思いますが、少なくとも今朝の発表前にはそのことを連絡を受けて承知をしております。ただ、ざっくばらんに言いますと、昨日あたりも色々とお聞きになってこられた方もあると思いますが、ただ私としてはそういった点について承知しているとか、どうとかこうとか申し上げるような立場ではないと思っていましたので、そういう点は事情をご賢察をお願いしたいと思っております。

  

 問:今回、千代田生命は更生特例法の適用申請ということになったのですが、金融機関としては初めてのケースということですが、この更生特例法についてはどうお考えでしょうか。
 

員長:ご承知のように金融機関に関して特例法はすでに制定されておりましたが、相互会社である生保についても適用されるようになって、奇しくもこれが第一号になるわけです。そういう意味におきまして折角そういう更生手続きができるようになりましたから、その強力なスポンサーというものをバックにしての再生というものを我々としては強く期待したいと思っております。

  

 問:生保業界全般に今逆ザヤと言う厳しい状況に変わりはないわけですが、千代田に限らず生保業界全体の状況をどうご覧になっておられますか。
 

員長:戦後ずっと見てみると、生保にしても契約残高でいうと対前年が減ったということは長いことなかったと思います。ここ一両年の現象なんです。ですから新規契約は伸びない、契約解除は増える、従って契約の残高が減ってくる。これに対応して生保、損保各社とも人員のリストラを初めとして、相当思い切った対応策を検討されてきておるし、またその実効を上げてきていると思うのですが、何分にもバブル崩壊後の情勢の変化、特に景気の長い間の停滞、それがこの上にも強く働いているということでありまして、やはり基本は景気の回復を早く図るというこということになるのではないかと思っています。

  

 問:大臣が期待しておられました東海銀行の方から、この件について報告は何時あったのでしょうか。直接何か報告はあったのでしょうか。
 

員長:私はそういう点について、誰とどういう話をしたかということについては、この場では申し上げない方が良いのではないかと思っております。大体において事務当局を通じて情勢も報告を受けておりますし、また私の考えも先方にも伝えてありますけれども、直接的な話合いをどうこうしたということはご容赦願いたいと思っております。

  

 問:契約者の保護について、新しいスキームで分り難いのですが、改めて契約者保護についての基本的スタンスをお聞かせください。
 

員長:ご承知のように責任準備金の9割までは保証される事になっておりますし、それから平成13年3月末までは死亡保険金等については全額保証する事にもなっています。これは生命保険契約者保護機構によって保証されているわけです。また、これは保護機構についての手当てが必要となる場合は、ご案内のように国としても4,000億円の枠を確保して補助金を出すことが出来るようにしています。ただ具体的に千代田生命について、更生計画が策定されるまでには若干期日がかかると思いますが、その計画が策定されて、計画について意見がある場合は当然金融庁長官から意見を申し上げる事になっています。そういうプロセスを経て再建計画が確定する段階において果たして保護機構による資金援助が必要になるかどうかという事が決まると思います。いずれにしても現在の状態においては千代田生命の更生計画に支障が生ずるような事はないと思っております。

  

 問:金曜日に3行の頭取が大臣の所に来られて話をされる予定が、地震があってキャンセルになったのですが、その時にもしお会いになっていたらどんなことを千代田の関連で仰るつもりだったのでしょうか。
 

員長:お会いするという事は公表していたわけではないですが、ご案内のように私の地元でマグニチュード7.3の大地震が起って大変だということで、誠にその点は残念だったのですが、もし会えたら従来の東海銀行を中心とした所の線での再建というものについて更に検討をお願いしたいと私はそう思っていました。むしろどういう状況にあるか私は事務当局から色々話を聞いておりますが、やはり責任ある3社の方からお話をお聞きできたらと思っていたわけです。ただそういうことで実現はしませんでしたが、私の考え方は事務当局を通じて先方にもよくお話をするようにという事を、私がここを離れる時にお話をしておきました。

  

 問:今回の当事者である千代田生命、東海銀行その他の関係機関の努力は十分だったとお考えでしょうか。
 

員長:私は特に千代田生命は、明治37年に設立されたという伝統のある会社だし、業界においても第12番目という、今まで破綻した会社よりはるかに大きな規模のものであり、伝統も歴史もある会社ですから、その会社を何らかの形において存続・再建を図っていく事について当然その社長その他会社の首脳部は努力をされたと思います。また関連の東海銀行その他においても、外資提携その他についても十分努力をされたと聞いておりますし、また私もそう思っております。

  

 問:東海銀行の姿勢が変わったのは、今月4日のUFJ発足会見の時だと思うのですが、その東海銀行の姿勢が変わった時点については改めてどうお考えですか。
 

員長:あの時の会見の模様を直接テレビや録画で見てはおりませんが、ただ会見の席上での話を色々とお聞きしました段階では、従来よりも厳しい話をされていたとは聞いています。ただあの段階で既に東海銀行を中心とする千代田生命の再建というものがギブアップされたというふうには、私は思っていなかったのです。事実そこまでのネガティブな返事を3社の責任者がされていたというふうには理解しておりませんでした。

  

 問:破綻した千代田生命の経営陣の責任追及についてはどの様にお考えでしょうか。業界の健全化を進めるという意味で、大臣の考えていらっしゃったこととは違う決断をして、そういう道を選んだということについては一つのやり方だと思うのですが、一方、公的資金を使うかもしれないという意味では経営陣の責任を追及することを期待したいのですが、その辺はどの様にお考えですか。
 

員長:それはいずれにしても、今は保全管財人、そしてその後更生管財人が置かれて、裁判所の監督下で手続きが進められ、検討も行われるということになっていくわけなので、その成り行きを見ませんと、同時にその結果を見ませんと仰るように果たして国費云々という事になるのかどうかははっきりしないと思っています。必ずしもそこにいくということではないと思っています。ただ、しいて言えば過去において、先ほど申しましたように東海銀行を中心とした言うなればこういう更生手続きに入らない形での会社の再建ができれば本当に願わしい事であったと思っていました。それは手をこまねいて荏苒日を暮らしていたということではないと思いますから、その方々に対して責任追及どうこうということは、私は考えておりません。

  

 問:9月末の段階でソルベンシーマージン200%を切っていない段階で、この段階でこの手続きを選んだという決断について大臣はどうご覧になりますか。
 

員長:それは今朝、金融庁長官が発表されたということですが、債務超過が343億円という事実が今年の9月末の試算値です。そういう状況も出てまいりましたし、このまま推移する事になりいよいよ契約が解除されることになれば、会社の経理の劣化が進む心配がある。そのことは契約者にとっても、会社の資金を受けている人達にとってもいいことにはならない、従ってことこの段階に至れば早く手を打った方がよろしいと、幸いにして色々な経緯がありましたがAIGという会社が名乗りを上げて再建に努力をするということになりましたから、しかも単独の形でやるというようなことを言っているようでありますから、そういうことになれば会社としても生きる道が出てきたのでよかったのではないかと思っています。

  

 問:来年3月末で、死亡保険金の全額保護や、銀行向けの資本注入もなくなるということで、セーフティネットが小さくなるわけです。もう半年を切っていますが、そういう時に戦後最大の保険会社の破綻ということで、金融システムの再生というのが間に合うのかということですが。
 

員長:保険に関して言えば、ご承知のように今年5,000億円の枠組の追加もいたしましたし、その内の1,000億円は業界の支出ですが、あとの4,000億円は国が補助し得るという法律的な手当てもできていますので、その点についてご心配の事はないと思っています。

(以上)


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