相沢委員長閣議後記者会見の概要

【平成12年10月10日(火)於:参議院議員食堂】
  

【閣議案件等】

 本日の閣議に、当委員会関係の案件はありませんでした。

 閣僚懇談会において、千代田生命と幸福銀行について報告をしました。ご承知のように、千代田生命保険相互会社の会社更生手続きの申立てが昨日東京地裁に行われました。ご承知のように、色んな経緯があったわけですが、東海銀行との間に本当に紆余曲折があって、アリアンツとの間でも最終段階まで行ったという報告も聞いておりました。それから他の話もあったようですが、結局東海銀行またその関係にある三和銀行等が外資提携というものが要件でなければ応援できないと。私は少しこの間において、東海銀行が取った行動の軌跡について必ずしも納得できない点がありますが、いずれにしてもそれが上手くいかないで、結局最終的にはAIG(American International Group) が引き受けるという形で、会社更生手続きの申立てを行ったということになるわけです。私から、死亡保険金は平成13年3月末まで全額保護されますし、責任準備金の9割は保証されるということですから、契約者の人にも冷静に行動してもらいたいとお願いしているということを今日の閣議でも発言をしておきました。資産が45社中12位という、今まで破綻した生保に比べるととにかく大きな規模ですから、更生手続きが上手く進行するということを特に期待をしているわけであります。AIGはご承知のように、既に損保ではAIU、生保系ではアリコが日本の国内にそれぞれ子会社又は支店の形で存在しています。大きい会社ですし、何とか千代田がそういう形で更生計画が上手くいくことを期待しているということです。3月末現在での責任準備金が約2兆6000億円ですから、その9割が保証されるということであります。

 もう一つ報告をしておきましたのは、幸福銀行の営業譲渡契約締結のことで、これは既にご案内の通りでありますが、5月18日にアメリカのアジア・リカバリー・ファンドとの間で基本合意書が締結されておりました。その後、金融整理管財人とそのファンドとの間で協議を進めていたのですが、その協議が実って合意が成立し、10月6日に営業譲渡契約書が締結され、来年の2月26日に、営業譲渡が実行されるわけであります。ただこれは、千代田生命と違って債務超過が4,300億円あるということですから、預保の勘定から4,300億円プラスαというものが金銭贈与されるということになるわけです。東京相和がちょっと手続きが遅れていますが、いずれにしても幸福銀行が関西さわやか銀行になり、東京相和が関東さわやか銀行になる。両者を統括する形で日本さわやか銀行というのができるかどうかは決まっていないようですが、いずれにしてもそういう形でスタートするということになっているわけです。関西さわやか銀行については、既にお話していますからこれ以上申しませんが、この事について報告をしました。

 それからこれは私の地元のことですが、鳥取県西部地震と言うことで、県西部としては初めての大きな規模の地震でありまして、県東部は昭和18年に大震災があった。それから聞くところによると、丹後・丹波の当りももっと前に地震があったようです。段々と西の方に動いてきて、鳥取県西部は10数年前から危ないという予報を出していた学者もいるようですが、まさかあそこに来るとは思わなかったと言う人が多いわけです。ちょうど活断層に当っていたのでしょう。マグニチュード7.3という、その点では阪神淡路を上回る規模の地震でありました。震源地もちょうど私の選挙区の一番南の辺でありまして、昨日、一昨日、一昨昨日で一回りをしました。金曜日の夜帰って、米子空港の滑走路が断層ができて使えないものですから、鳥取空港へ行って鳥取から西部の方を回りましたが、死者がなかった事は幸いだったと思います。本当にその点は幸いでしたが、やはり若干の重軽傷者を出し、また結構古い家が多くあの辺はみな屋根瓦を使っているので、瓦が飛んでしまい、シート屋、屋根屋が大変です。それから墓石がみな潰れたものですから、それから灯篭は倒れ鳥居も倒れる。要するに石の物がみんな引っくり返っている状態です。その様なことで、いわゆる道路が決壊したとか公共施設として災害復旧の対象になるものはまだいいのだけれど、個人災害については復旧の制度がありませんから、その辺が一つの問題だと。それから生活支援金ですが、昨年、私や谷君や原田君等と議員立法で作ったものがあるわけです。一戸100万円を限度として生活支援金を支給すると、その対象には半壊が入っていないので半壊などを入れてほしいという要望がありました。当時から問題にはなっていました。建物の全半壊に対して、国地方の金を以って補助しようという制度を作ろうということで、私が中心になって法案の形まで取りまとめたのですが、これを早く実現しなければ今度の地震にも間に合わないと、なかなか難しいかもしれません。ただ、そういう形で保険でカバーできないようなものが多いから、やはり個人災害に対する財政支援というものは、特に火事の場合は保険にほとんど入っていますからいいのですが、風水害・地震に関する被害の救済措置というものを考えていかなければならないと強く印象を持ちました。

 閣議後に、シンガポールとの間に自由貿易協定を結ぶということについて関係大臣で話をしました。これは、外務省、通産省を中心として話が進められているわけです。今まではWTOを中心としていて、日本はバイの形での交渉はやっていないと、シンガポールが初めてになるわけです。シンガポールとの間では、先方も熱心だし、又こちらも貿易上特に問題になる農産物関係の問題も少ないということもあり、その点は日韓とか日タイとか日中とかとは違う。特に日韓などはそういう問題を抱えているために、バイの自由貿易協定は結び難いという状態にあるわけです。シンガポールに関しては、そういう問題も少ないので、積極的に進めたらどうかと、森総理も1年以内ということではなく、できれば年内にも締結できないかという話がありまして、関係各省が集まって今後問題点を詰めていくということになったわけです。ただ、経済企画庁長官から話がありまして、自由貿易協定、Free Tradeという言葉は誤解を招くと言うか差し支えもある点もあるので、貿易連結協定と言う名前でやっていく方向にあるという説明がありました。私からは、シンガポールもアジアの金融の一つの拠点なので、自由貿易協定を結んだ場合にどういうような影響が出てくるのか、事務的に検討はさせているところだという発言をしておきました。課税問題についてはどうですかと言ったら、それは租税協定を結べばいいのではないかという大蔵大臣の話でしたが、やはり具体的に法人税率などは違ってくる可能性があるものですから、そういう問題の解決は必要なのではないかと通産大臣が言っていました。

   

質疑応答】

 問:千代田生命の件ですが、東海銀行の支援が最終的には無かったわけで、軌跡に納得出来ないと仰いましたが、もう少し東海銀行の行動・決断・判断をどう見ていらっしゃるのでしょうか。
 

員長:とにかく、東海銀行が中心になって、アリアンツとか色々と外資系に話をしていて、かなり良い線まで行ったと聞いているわけです。最終的な決断が、東海銀行等々の意向があって出来なかったというような経緯があるようです。当事者ではありませんので正確には承知しておりませんが、そういったことがあって、非常に長引いた。その間には、ご承知のように三和、東海、東洋信託、3社の合併の問題、United Financial of Japanの問題などもあったので、なかなか東海としても千代田のことに十分にかまっていられなかったのかもしれませんが、どうも決定段階になって、色々と千代田の意図する通りに進まなかったという事実はあるのではないかと思っております。いずれにしても結論的には、AIGという会社がスポンサーとなって再建を図るということになり、千代田もそういうことでは、言うなれば単独で再建が図られることになったので、結果的に見れば或いはその方がベターだったのではないかという気がしないでもありません。この更生計画が早く作られるということが何よりも必要だと思っております。生命保険契約者保護機構からどのぐらい金を出す必要があるのかとか色々話がありますが、その点は楽観しているわけではないのですが、そう大きな負担にならないで済むのではないかという感覚でおります。

  

 問:AIGとの更生計画ですが、大臣はどういう見通しを持っておられますか。何時くらいまでにどういうふうにとか。
 

員長:私は1〜2カ月で出来るのかと思っていたら、違うらしいです。年単位だというから、年単位で以って時間がかかるのかと聞いたら大体会社の更生計画というのはそうなんだそうです。ただ、特にこれは契約者もいることでありますし、保険から融資を受けている企業も当然あるわけで、そういうことを考えると、一日も早く更生計画が承認されるということが必要なのではないかと思います。途中の段階でも、金融庁から意見を述べることが出来るようになっていますし、最終的には、金融庁の承認が必要となるということでありますから、その点を含めて出来るだけ早く更生計画が確定するということを期待したいと思っております。

  

 問:千代田もかつて、竹下銘柄とも言われましたし、ニュージャパンとの関係も過去にずっとありますし、不正融資とか事件性のある融資があるのではないかということも取り沙汰されていますが、今後そういったことが明るみに出てきた場合、更生計画に影響してくると思いますが、そういった時の対応はどのようにお考えでしょうか。
 

員長:千代田が他の保険会社よりも良く言えば成長した、発展したのでしょうが、その原因としては、有利な保険契約を結んでいるということ。それから、バブル期にかなり不動産関係の投資を行ったということがあるようです。従いまして、当然こういう大きな会社について、更生計画というものが早く確定されるということが望ましいと思うのですが、同時に、そこまでに至った経緯において、民事上、刑事上の責任というものがあるとすれば、それはしっかりと問われなければならなのではないかと思っております。ただ、具体的に仰ったようなことがどのようなことになっているか承知しておりませんし、その件に関して言えばお答えの限りではないと思っております。

  

 問:生命保険会社の整理、健全化については、千代田が片付いて大体目途がついたとお考えでしょうか。
 

員長:これから先、あっては困ります。私が金問調の会長の時に、生保の保護機構について、保証枠を5,000億円増やした。1,000億円については業界負担として、4,000億円を政府において補助することが出来るという制度整備をしました。その際には、日産、東邦生命が問題になっていて、今後の事態にもこれだけあれば大丈夫だという目途で枠を決めたのであります。いずれにしても、当面これに続いてどういうものがあるかと言うと、そのことについては聞いておりませんし、先程も申し上げたように千代田生命の場合も、生保の保護機構として、そんな大きな金を出さなければならないことは無くて済むのではないかという期待を持っているのです。出さなくても良いのではないかという話もありましたけれども、その辺のところは更に更生計画の策定と関連をして数字的な検討をしていかなければならないので、今から予測的なことを言ってはいけないと思います。

  

 問:先程、AIGがスポンサーとなって、或いはその方がベターだったかもしれないと仰いましたけれど、これはどういう意味で仰ったのでしょうか。
 

員長:色々なひっかかりが少ないでしょう。東海だ、三和だ云々…色々なことを言われていたから。個人的な感想です。

  

 問:今週号の週刊誌に、宮本総括政務次官の話が出ているのですが、あれについては何かお話を聞かれたりされましたでしょうか。
 

員長:ちょっと彼から聞いたのですが、毎年行っていたようです。毎年秋、何回かに分けて行っていたので、特別今年計画していたのでもない。しかも、ちゃんと会費は頂戴をしている。このごろあのような旅行などは、昔と違って、議員の方で補助するようなことはやりませんで実費を頂戴してやっています。中にはあのようなイベントをやって非常に儲けている人もいるという話ですが、とにかく出しますと、買収とか供応とかになるから注意する必要があります。私も、丁度選挙の最中に旅行の計画がぶつかってしまって行ったことあります。そしたら早速警察が飛んできて、ずっと参加した人を調べて、ところが完全に実費は払ってもらっていますから、何も問題がなかったですが。会費制の旅行は問題ではなかったと思うのです。但し、しいて言うと、案内状に選挙で色々お世話になったと書いたらしいのです。それはやはり選挙が済んで一ヵ月ぐらいしか経ってない月に、お礼状みたいなものを出したということについては適当ではないということがあると思います。事前にもそうですが、選挙後そういうお礼を出したということは適当ではないと思います。我々もその点気を付けているわけですが、ちょっとそこの所が適当でなかったと思うのですが、ただ、旅行の案内の最初のところにちょっと一言付け加えたというだけの話ですからそれ程私はそのこと自体が非常にまずいとは思いません。ただ、いずれにしても適当でなかったような気がします。旅行というのは問題ではないです。案内状の言葉が良くなかった。

  

 問:大臣から注意をされたのでしょうか。
 

員長:週刊誌が出る前に報告があったのです。「週刊誌に出るようでして」と。「何だよ、今度は」と言ったらその話だと言うので、「それはやはり気を付けにゃいけないねえ手紙の文句は」と言ったら、「そうなんですよ、私もちょっとうっかりしていて…」と言っていました。ただ、毎年やっている旅行だったものですから、その点は予定通りやったということで、そのこと自体は問題にされてないですね。あの雑誌を私は読みましたけれども。

(以上)


メニューへ メニューへ
ホームへ ホームへ戻る