相沢委員長閣議後記者会見の概要

【平成12年10月20日(金)於:参議院議員食堂】
  

【閣議案件等】

 今日の閣議は、総理と外務大臣がASEM出席で不在でした。当委員会関係では、一点ありまして、書面の交付等に関する情報通信の技術の利用のための関係法律の整備に関する法律案の決定です。前にも申し上げたかと思いますが、要するに、商取引において書面の交付を義務付けている関係法律について、書面の交付等に代えて電子情報処理組織を使用する方法等を利用する。それを書面の交付等をしたものと見なすというものです。それから組合等における議決権等につき書面による行使等を義務付けている関係法律について、これも書面の議決権行使に代えて電磁的方法により行うことができるようにするというものです。それに関して金融庁関係のものがあります。証券取引法の改正とか、投資信託及び投資法人に関する法律の一部改正とか、また有価証券にかかる投資顧問業の規制等に関する法律の一部改正その他金融関係の法律について、書面の交付に代えて電子情報処理組織を利用する方法でやるということです。問題は、金融関係だけではありませんが、そういうことをした場合にいわゆる情報内容の改竄とかハッカーに対する対策等々を確実に確保することができるかという点については、なお今後も考えていかなければならない。お金に関することが多いですし、やはり一桁間違っても、大変なことになるわけですから、そういった点について特に金融関係は、その対策について万全を期する事が必要だろうという気がします。

 あとは昨日やった日本新生のための新発展政策ですが、これについて経済企画庁長官から報告がありました。これについては格別申し上げる事はないと思います。ただ、税制のところで、「税制については、平成13年度改正において、現下の経済情勢等を踏まえ、企業の組織再編成に係わる税制、国民生活に関する税制等、真に有効かつ適切な措置について、検討を行い、結論を得る。」と、これが一つ。もう一つは株式譲渡益課税で、「また株式譲渡益課税についてこれまでの経緯を踏まえ、株式市場の役割や株式市場への影響、一般投資家の参加、公平な課税等の見地から、検討し、年度改正の中で早急に結論を得る。」と、何のことか良く分かりませんが、要するにそのままではないということが一つ、来年4月から一本化するということをそのまま放っておくということではないと、検討すると。それから年度改正の中で早急に結論を得るという二点がここにはっきりしているということです。選択制の継続ということなのですこれは。しかし株価に関しては、アメリカも1万ドルを回復したようですし、ナスダックも上がったようですから、今日の株価はちょっと上がって始まったがあまり変わっていないようですが、それはおそらく何がしかアメリカの株価がいい効果を与えるだろうとは期待しています。ただ1万5000円くらいではしょうがないです。こうなると金融機関も含み益は減るし、あるいは含み損が増えるし、そうするまた貸し渋り、貸出枠を締めるということになって、中小企業を初めとして皆さんにご迷惑をかけるということになるわけです。やはり株価というものは景気の先行的な指標と見られるだけに、そしてまた現実問題として先程私が申し上げたように金融関係でもそういう影響が出てきますから、やはり株価対策というのはもっと真剣に取組んでいかなければいけないと思っています。

  

質疑応答】

 問:先日、大手行が東京都の外形標準課税について訴訟を起しましたが、改めて大臣のご所見をお伺いしたいのですが。
 

員長:私が、自民党の金融問題調査会長をしておりました時も検討をしました。今年の春でした。その時にいち早く、特定の企業を対象にして、しかもあれは預金量5兆円以上ですから、特定規模の企業に対して外形標準課税をするということは極めて問題である。しかも銀行だけですから、外形標準課税を事業税でやるというよりも、銀行税を課したようなことになるので、非常に銀行の収益に関係するというだけではなくて、いわゆる不公平税制になるのではないかということで反対をしました。その気持ちは私も変わっていません。ただ、若干付け加えてみますと、昭和25年の占領軍時代に、アメリカのシャウプ博士が来て、いわゆるシャウプ勧告というのが税制に関して行われたわけです。その時に、地方税の内事業税に関して、外形標準課税のことを勧告しているのです。外形標準として何を捉まえるかは色々議論があります。売上額を捉まえるとか、従業員の数を対象とするとか、その他事業所の規模とか。今の日本の事業税は、ご承知のように所得課税なのです。赤字企業に対しては事業税は掛かってないわけです。というよりも、法人税や住民税の法人税割りとパラレルに事業税が課せられる。それは事業税本来のシャウプの勧告した事業税本来の性格から言うと問題なのである。ですから外形標準による課税をすべきだということは、その後も長いこと自治省も各地方団体も主張をしていたわけですが、やはり今、赤字企業が6割もあるとか、特に中小企業においては赤字が多い。それらが利益が出なくても税金を払わなければならないということで、外形標準課税全体が見送られてきたという経緯があるわけです。そこで東京都は、儲かっていると思われる大規模の金融機関、銀行に限って課税をしてくるということを思いついたわけです。ただ、税収はどのぐらいになるか。当時言われたのは、東京都は1,100億円です。それは東京都の一人勝ちになるわけです。交付税の不交付団体ですから。1,100億円入ってくればそっくりそのまま自分の収入になる。但し、事業税は損金処理をされますから、事業税が増えることになると、法人の利益が減るわけです。従って、法人税も住民税の法人税割りも減る。ですから、国も東京都以外の地方団体も皆煽りを食うわけです。その点でも問題がある。仮に、大阪府でもそうですが、他の地方団体が東京都と同じような形で外形標準による事業税の課税をした場合どうなるかというと、都道府県の場合は、標準税収の8割を基準財政収入額に算定することになっているわけです。ですから早い話、100億円収入が増えると80億円は基準財政収入額に算定にされる。普通交付税は、基準財政需要額から基準財政収入額を引いたものをやるわけですから、100億円仮に事業税が増えても、その内の80億円は基準財政収入額の増加で以って引かれますから、差し引き20億円、引かれない20億円しかネット増にはならないです。普通の交付団体についてはです。だからやっても、東京都以外はやりがいがないということです。それがまた非常に問題なのです。そこで各地方団体は、東京都のような方式ではなく、事業税と言うかどうか分かりませんが、法定外の普通税を色々と検討しているようです。ただ、あまり良い種はないのです。大体何を捉えても、地方税でやると、我が鳥取県のような所はあまり税収が上がらないのです。何を捉えても、やはり税収が増えるのは大都市です。昔、自転車税がありましたが、これは割りと公平でした。それから、我が鳥取県のような林業の多いところには木材引き取り税がありましたが、しかしそれも止めました。本当に地方税というのは、色々種を探してもなかなか公平に取れるというものも少ない。やはり貧乏な所は貧乏で、金持ちの所は金持ちになってしまう。その辺が問題なのです。昨日、一般的な意見交換のため銀行業界のトップと我々、金融庁の長官も含めて懇談をしました。その時も断固として訴訟に訴えると言ってました。東京都の公金行はどうするのだと、ちょっと冷やかしたら、富士銀行は、私共も仲間に加わって訴訟していますと言っていました。

  

 問:破綻した損保の第一火災の受け皿選定ですが、難航しているというお話ですが、それについて大臣はどのようにご覧になっていらっしゃいますか。
 

員長:まだ最終的な結論を得ていないと思います。表現悪いですが、どうにもならなくなったとは聞いてないです。

  

 問:日債銀の後任社長の問題ですが。
 

員長:色々な説があり、正直どれが本当かなと思うのですが、人選難であることは事実のようです。暫くかかるから、集団指導体制でいくかという話も聞きますし、そんなのでは駄目なので、やはり信用を失うことがないように早く決めるべしという説もあります。ですから案外早く決まるかもしれません。変な言い方ですが、とりあえず誰か決めておいて、少しゆっくり考えて、という話も聞きます。要するに、それを総括して言うとまだ決まっていない。但し、私の方からは、日債銀は公的管理銀行ではなく、民間の銀行になったわけですが、早く責任体制の確立をしてもらわないと銀行の信用、経営にも影響を及ぼす恐れがあるから、とにかく早く決めてもらいたいということを、事あるごとに言ってはおります。

  

 問:株価対策の絡みですが、今の厚生年金改革の中で代行返上の問題ですが。
 

員長:これは、昨日の日本新生の為の新発展政策の会合の時に津島厚生大臣からも発言がありまして、10兆円もの株を放出されたら、更に低迷していると言うか下落している株価に大きな影響を与える恐れがあるので、そういうことにならないように検討をしなければならないと思っているという発言がありました。ではどうするのか、ということについてはこれからの問題ですが、私共も関心を持っています。

  

 問:大臣ご自身は、現物返上を認める方向で検討すべきだとお考えでしょうか。関係5省庁の中には、金融庁も入っていますら大臣も関係があると思いますが。
 

員長:良く相談をしてみたいと思っております。

(以上)


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