相沢委員長閣議後記者会見の概要

【平成12年10月31日(火)於:参議院 議員食堂】
  

【閣議案件等】

 今日の閣議における他省庁関係は省略しますが、一つだけ、労働力調査について、9月の完全失業率が季節調整後4.7%になり、前月に比べて0.1ポイント上昇し逆戻りしたということです。男女別に見ると、男性4.8%、女性4.5%でそれぞれ0.1ポイントの上昇となっているということです。完全失業者数は、3万人増加して320万人となり、前年同月の水準を上回りました。私が特に申し上げたいのは、労働大臣は「雇用情勢には改善の動きが見られると考えております」と言うのですが、そうは言うけれど完全失業率が4.7%と増えたというのは改善の動きなのかという疑問があります。新規の求人がサービス業、製造業の主要な産業で増加して、有効求人が前月より0.3%増えている。それから有効求職者数は、0.6%減少しているということであります。ですから改善の動きはある、しかしながら完全失業者数は0.1%増えているということです。

 それから東海豪雨について、中小企業関係の被害が従来の激甚指定で言うと、1400億円を超えてはいるけれど、愛知県の場合は分母が大きいものですから、従来の指定基準では激甚災害にならない。しかし愛知県の被害額が大きいものですから、中小企業の所得の総額に係わらず、つまり分母のいかんに係わらず被害額が1400億円超えた場合にも、激甚災害として指定できるように、本日改正をしたということであります。これは建設大臣及び通産大臣から話がありました。

  

質疑応答】

 問:今日、検査監理官会議が金融庁で行われますが、信用組合の検査において金融検査マニュアルの適用が画一的なものにならないようにという話が出るようですが、大臣のお考えと言うか要請で行われると思われるのですが、それについてはどのようにお考えでしょうか。
 

員長:この間から業界別の懇談会をやってきまして、特に中小、協同組合組織の金融機関から、つまり信用金庫とか信用組合から、大金融機関並みの金融検査マニュアルで、画一的に厳しく検査をすることになると、益々中小企業に対する融資が厳しくなる。それは中小企業者にとっては大変重大な問題となる。特に、信用組合について4月に都道府県から国に検査・監督権限が移管され、実際にはその検査は7月から始まっているのです。そこで、金融検査マニュアルには、担保主義ではなく、企業としての将来の可能性とか、経営者の問題とか、或いはパテントを持っているとか、或いは保証もかなりしっかりしたものが見込めるとか、つまり画一的な担保主義ではなくやれるようにマニュアルには書いてある。11箇所そういうことが書いてあるそうです。しかしなかなか検査官が第一線で検査をする時に、必ずしもそういった実情に即しないで、言うなれば切り捨て御免みたいな形で検査が行われていることに対する不満と脅威、脅威と言っては変ですが、心配を耳にしています。スタンダードをもう一つ、つまりダブルスタンダードを作ったらという意見もありますが、私は、そういうものを仮に作ると一体どういう金融機関にそれを適用するのかという問題も出来る。また本来、ダブルのものがあって良いものではない。但し、中小企業を相手とする金融機関、特に地域性の強い金融機関については、従来とも企業の内容その他をよく熟知している場合が多いのです。従って、多少担保に不足があっても、或いは今ちょっと具合が悪くても、将来回復する可能性がある、将来伸びる可能性がある、十分に債務を弁済しうる可能性がある、こういうものについては、弾力的にやっていくことが中小企業の為に必要なのではないか。別に手心を加えろという意味で言っているのではありません。中小企業の為に、そういう点において弾力的な検査をすべきではないか。実際問題、検査官もここ数年急増していますから、ベテランも多いですが、ベテランでない人もいる。ですからそういう問題について、一度検査官を集めて、よく本庁としての考え方について第一線の検査官の理解を得られるように会合を持ったらどうだろうかということを金融庁の長官に話をしていたのであります。金融庁長官も「分かりました」ということで、今回検査監理官会議を開催することになったのです。私が言ったということだけではなく、金融庁としてもその必要性を感じていたのだと思います。

  

 問:今回、官房長官の更迭人事があり、国会運営に色々支障があるのではないかという見方も出ていますが、それについてはどう思われますでしょうか。
 

員長:福田さんも、元総理の秘書を長くしていましたし、福田総理の時の秘書官も務めているので、私も良く存じております。ですから総理官邸の中の仕事、それから官邸を中心とした他省庁或いは場合によっては他派閥との関係等々についても、ズブの素人ではないですから、その点は心配ないと思います。

  

 問:支持率が下降気味ですが、内閣の一員として心配はありませんか。
 

員長:今まであった色々なことが上げる要素とは思えないから仕方がないです。一刻も早く、今までのようなことが払拭出来るように、内閣としては景気回復その他、政策の実現に向けて努力をしていかなければならないと思います。その為にも、あまりあちこちで雑音が起こらないようにしなければいけません。内閣ではないですよ。

  

 問:一部新聞のインタビューでですが、協栄生命の支援先選びの過程の中で、早すぎたのではという報道がありましたが。
 

員長:何という表現だったでしょうか…。「拙速」でしたか。協栄生命については、6月1日にプルデンシャルと基本合意というものがあって、そういう方向で進んできておりましたから、とにかく更生計画の申立てをしてから決定まで期間が短かったということだと思うのです。ただ、あれは大和生命がそういうことを言ったのですか、他からももう少し検討する余裕を与えてくれたら良かったのではないか、という声は聞いております。ただ、更生特例法で言うところの更生計画の決定に至る間にまだ時間はあるわけです。よくその辺のところは、更生管財人も裁判所も良く検討すると思いますし、またその過程において金融当局の意見も求められる折もありますから、そういった点についての検討はされるものと思っております。プルデンシャルに最終決定したわけではありませんから。

  

(以上)


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