相沢委員長閣議後記者会見の概要

【平成12年11月14日(火)於:参議院 議員食堂】
  

【閣議案件等】

 今日の閣議では当委員会関係の案件は、政令が7件ありあした。SPC関係、投資信託及び投資法人に関する法律施行令等いずれも施行令関係でした。森総理が今日から17日までAPECに出張する、その間臨時代理は官房長官。官房長官から、社会保障改革関係閣僚会議を設置して、社会保障改革について関係閣僚で速やかに検討を行うという趣旨の発言があり、関連して津島厚生大臣から、10年前に50兆だった社会保障費が今は80兆になっている、大変なことだという発言がありました。インターネットに関して堺屋長官から、各省庁のインターネットを増強しろということに対しての説明がありました。法務大臣から、少年法改正について、各省庁にわたる問題なので青少年対策協議会を中心に今後検討を色々とお願いを申し上げたいという発言がありました。

  

質疑応答】

 問:政局についてですが、かなり国民的な関心も高まってきていると思います。加藤元幹事長が森首相の退陣を求めるということを、派閥として正式に決めて、山崎派がそれに同調されるという流れになってきて、今後の見通はし難くなっていきています。加藤元幹事長がこういう行動を起された理由として、まず今の森内閣が国民の支持を得ていない、支持率が非常に低いということ、経済政策でバラ撒き型ではなく財政改革路線に早く転換すべしということを主張して今の行動を起しているようですが、大臣も内閣の一員としてこうした加藤さんの一連の動きとか発言についてどのように受け止めておられるでしょうか。
 

員長:森内閣の大臣としての発言というと、色々と差し障りがあるかもしれませんから私の考えでよろしいでしょうか。私は、何故今の時期に加藤さんが、野党から不信任案が提出されたときに本会議を欠席するとか、或いは賛成票を投ずるとか、その辺はよく分かりませんが、何故そういうことを言い出したかについては、正直言って今お話になったような理由があるとは思います。だけど果たして今の時期に、そういう行動を起すことが、自民党の、少なくとも派閥の長として、適当かということについては、私は非常に疑問に思います。何故かと言うと、今の臨時国会では、とにかく景気回復ということを最大の課題とした。私は、これは内閣としての課題ではなく、我が党としての課題でもあり、或いは国の政策としての大きな課題だと思うのです。ですから補正予算を速やかに審議をしてこれを通す。或いは医療法とか、少年法とか、斡旋利得罪の法律とか、そういう重要法案を抱えているわけです。特に補正予算の審議です。その時期に、党内から言うなれば反党的、これは考えようですが、要するに審議を阻害するような行為に出るということは、大変心外だと思います。もし補正予算が、加藤さんの言う財政再建路線に反するという考え方もあってのことであるとすると、尚更、私は言いたくなる。それは財政改革が大事だということは私も否定はしません。これはやらなければならない課題です。ただ今は、そのことよりも経済成長を高め、そして所得を上げ、税収を上げる、そういう形で財政再建を考えていくのが、順当な考え方だと思っています。それが今の日本としての取るべき方策だと思います。今ここで、財政再建路線をどうしてもやらなければならないと主張するのは、大変理解に苦しむと思うのです。じゃあ一体景気回復はどうしたら出来るのか、何か具体的な政策を示してもらいたい。私は加藤さんが政策の路線が違うということを一つの理由にしていること。それは党内で色々議論があって差し支えないとは思います。しかしながら少なくとも森政権を否定して、森首相に対する不信任案に同調するというまでの態度を見せるなら、少なくとも自分がどういう具体的な政策を持っているのかを掲げて、それを世に問うという気持ちがなければ、私は国民一般の理解が得られないと思います。今朝の新聞などによると、これから政策について急いで検討して発表すると、私はこれは逆さまだと思うのです。ましてや野党の不信任案に同調をして、欠席ないし不信任案に賛成投票するだけの考え方があるならば、私は党を離党すべきではないかと思います。森総理は、総理であると同時に自民党の総裁なのですから。その総裁を頂いている自民党に属しながら、そういう行動に出るのは、これは理解に苦しむ。離党してやろうというなら話は別です。良いとは言っていません。中にいながら賛成者を増やしていこうと、しかも野党と手を組んで野党の信任も得て、首班指名に臨むということは、おかしいと思います。
 もう一つは、加藤派や山崎派がまとまりますか。表面上は結束を誓っているでしょう。しかしながら離党を覚悟して、戦うということで一致しているとはとても私は思えない。もし本当にそこまでやるなら、小選挙区ですから、必ず自民党が対抗馬を立てて戦うことになります。そこまでの覚悟を持って、つまり離党の覚悟を持って同調するという決心を持っている人が全てであるとはとても思えない。ですから、何とか一つこれは良く話し合って行くのが先だと思います。まずは森さん、加藤さん、山崎さんで話し合ったらいいと思うのです。党内における問題として処理する方が妥当ではないかと私は思っております。これは一相沢代議士としての言だと思って下さい。同時に河野グループの一員としての。

 

 問:財政再建で、現行の政府としてもきちっと見通しを出していないところに反省はないでしょうか。今回の問題提起に対して。
 

員長:仰る点は、私は敢えて否定はしません。つまり、今は財政再建ではない、景気拡大だと、しかし財政再建も大事だと口で言うのは易しいです。ならば具体的政策として、どうしていくかということについて、今の政府としては明確な案が示されていない。今はとにかく、形振り構わず景気回復に向けて努力しようという姿だと思うのです。ただ、私も長いこと大蔵省で財政関係の仕事をしていましたから特に思うのですが、一体このまま赤字財政を、借金財政をいつまでもだらだらと続けていくことについての問題点はあろうかと思います。ですからどの程度までこういう政策を続けていくかということと、景気を回復するのに他に方法があるかということを同時に考えていかなければなりません。
 私は、それは金融だと思っております。財政のやることについては限界がある。これはGDPの中において占める比率にしても、政府部分の投資と消費と含めて今2割程度で、個人消費は6割です。あとは民間の投資です。国の占めるウエイトは5分の1程度しかないのですから、これを1割増や2割増やしても、言うなればほんのわずかな影響しかないかもしれない。方策としてそういう考え方を持っていることに伴う影響はあるでしょう。私は全体のGDPを押し上げていく要因としては、金融の役割が大きいと思っているのです。だから日銀が思い切った、量的緩和政策を採って行くことが必要だと思っております。ゼロ金利政策の是正については、それが果たして良かったかどうかについての検討は必要になると思いますが、仮にゼロ金利政策を採ったにしても、量的緩和と今の程度なら当然両立し得る面があるわけですから、そこは一つ是非考えてもらわなければと思っております。もう逼塞しているのです民間の活動は。とにかく先行きが見えないものだから投資はしない。設備投資が増えているというけど、IT関連とか、大企業とか一部に偏っています。地方で見てみると、本当に先が見えないから、ここで投資をしようという元気がなかなかでない。勿論一部あります。土地の価格が下がり、株価も下がっている。従って担保力が不足して銀行もお金を貸さない。借りに行っても、貸してもらえないと思うから行かない。こういう状態では景気回復が進んでいくとも思えないから、やはり金融面において思いきった緩和政策を採る。政府関係の金融機関も当然融資を拡大して力を入れると思うし、市中の金融機関についても、特別融資保証枠が来年3月までですが、これに代えて一般保証枠を拡大するというけれども、そういうことも勿論やってもらえば良い。とにかく量的な緩和、貸出しの増加が実行出来るようなことを考えてもらわなければならないと思います。
 金融機関に対する信頼感も回復していかなければならない。それで保険法のことを言っているのです。また週刊誌が「危ないところがある」と書いてくれている。どこだどこだと、そういうことがいつまでも続いて良いのですか。私が悪口を言われることは差し支えないけれど、見方が違うのだからしょうがないけれど。しかしあんなことを書かれて黙っているわけにはいきません。このことについてはいずれ反撃しようと思っています。

  

 問:保険業法の改正ですが、今の政局がかなり流動化してきて、この問題がちょっと先送りになるのかなという気がしますが。
 

員長:先送りになるというより、頭がなかなかそっちに向いてくれない心配はあるわけです。会期もあと17日です。会期延長の話はあるけれども、どうなるか知りません。会期が非常に短くなってきているということもあります。私は、この前申し上げた通り、党の金融問題調査会或いは3党のプロジェクトチームにおいて早急に検討してもらって、議員立法で処置してもらいたいということを林会長に話をしております。それについて保守党の野田さんがこの間来て「絶対賛成だ、是非一つやろうではないか」と私を激励してくれました。

  

 問:亀井政調会長とか自民党の幹部の方とは、この問題についてお話になっているのでしょうか。
 

員長:この問題については早急に話します。一応耳には入れてありますが、党の方の検討を待って話しをします。私は、今国会中にと思っておったのですが、少し会期が短くなってきたし、こういう問題が起きていますので、この会期内にそういうアクションが取れるかどうか、そこは様子を見る必要があるかと思います。それこそ私一人が突出して、法案を一人で書いて出すというわけにはいきませんから。

  

 問:金融庁の方に検討をご指示されていましたが、そちらの方の進み具合はどのように報告を受けていますでしょうか。
 

員長:今日また報告を聞きます。明日参議院の委員会があって、必ずこの問題が聞かれると思いますから。色々と宿題と言うか検討する事項を言ってあります。盛んに「憲法違反だ、憲法違反だ」と言うのですが、どうも憲法違反だということは、皆さんにご案内の通り、この前申し上げたが最高裁の判決としては違憲ではない。

  

 問:96年の議論では憲法違反かどうかに加えて、そういう契約条件を守れないような保険会社は、そもそも解約が殺到して会社自体がもたないのだという実際的な議論もあったようですがその点については如何でしょうか。
 

員長:それではその時までにそういう状態があったのですか。平成8年までに。

  

 問:そういう例はその時まではなかったようです。
 

員長:だからその規定があるから、そういう問題が起きるという問題ではないです。ただ仰るように、今のこの状態の下において、そういう議論は理論としてはあり得ると思っています。ただそういう問題なのか、日銀クラブなども追っかけていますから耳に入っている筈です。そういう状態で明日は何処かとか、その次は何処だとか、そういうことでもしその通りになったとしたら、そのことの及ぼす影響の方が私は遥かに大きいと思います。それこそ心配なのです。これはセーフティネットのもう一つのセーフティネットかもしれませんが。どんな条件になったにしても、会社が潰れることが分かっていて、つまり保険制度が成り立たなくなることが分かっていても、それを固守してやるというのは、誠に芸のない話だと思います。そういうことを書いて下さる人もおります。考え方が良く分かるということを書いて下さっている人もおりますけれど、とにかく保険については固定したものでないので、新しいものが増えてきます。新しいものは当然に予定利率を下げていますから、実際の運用率とのギャップは段々と時が経つにつれて小さくなってくるでしょう。短期的な保険を多く抱えているところは比較的楽だ。しかし元来が生保というのは長期のものですから、そのことは申し上げるまでもありません。ですからそう急激にギャップを埋める事は出来ない。
 もう一つ誤解があるのは、私は予定利率を変更するということについて、すぐ保険金を減額することになるのと書かれていることはおかしいと思います。そういうことではなく、調整をするなら保険料だと思います。保険料を改定することになるのだと思います。20年で1000万円としたらそれを変えるのではなく、毎年の保険料を変えていくということではないかと思います。この前も申し上げたけれど、例えば年金にしても、年金財政が現にもたないから年金の支給開始年齢を3年だ5年だと遅らす。同時に保険料も引き上げざるを得ないとか、或いは国の負担率も上げざるを得ない。現に運用益が小さいのですから、それはそうなるでしょう。そういうこともやらなければ年金財政というものは持たない。それと似たような情勢が、保険料についてもあると、生保についてもあると、生保の年金についても当然あると思っているわけです。年金についても現に入っている人について、支給開始年齢が60だと思ったら65になるというのは、既得権の侵害だと言えば、そういう面もあります。そんなことを言ってもしょうがないではないかということで、結局理解を得て現に法案も出している。損保の場合は、何と言っても短い保険が圧倒的に多いですから、比較的問題が少ないのです。

  

 問:大臣の方へは苦情が来たりするのでしょうか。
 

員長:私もホームページを持っているので、それに時々来ます。あまり激励の言葉は少ないようです。たまには激励の言葉もあります。手紙とかなんかも「しっかりやってくれ」とか「そんなことは絶対反対だ」というような話といろいろ来ます。それは色々意見はあるでしょう。

(以上)


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