相沢委員長閣議後記者会見の概要

【平成12年11月17日(金)於:金融再生委員会 会見室】
  

【閣議案件等】

 今日の閣議案件に、当委員会関係のものはございませんでした。公益法人に関する年次報告が出され、官房長官から、公益法人の活動内容の適切さ、あるいは行政との関わり等の観点から近時国民の厳しい批判が寄せられております。定期的な立入り検査等による法人の運営状況の的確な把握、不適切な運営に対する速やかな対応など一段と強力な指導・監督にお努め頂き、公益の実現という本来の目的に沿った活動が行われるよう特段のご努力を改めてお願いいたしますと発言がございました。前から公益法人については、特殊法人、認可法人等の整理とも関連して、問題になっておりました。私も党の行政改革本部で色々とこの問題にも取組んでおりましたが、確かに全くの休眠法人やあるいは目的と沿わない活動をしているというようなものがあるわけであります。今問題になっているところも確か公益法人だったと思います。ですから確かにこういうことは、特に必要な事だと私も思っております。

 閣僚懇談会の中で、扇さんが保守党党首としての発言だと思いますが、「この時期に不信任案を出すとかどうとかという話があるけれども、不信任案を出すというような派閥から出ている閣僚は当然辞任すべきではないか、またその辞任の際にはどういう手続きを取るのか、臨時閣議を開くのか、宮沢大蔵大臣はどのようにお考えですか」という質問が出まして、宮沢大臣は、「不信任案に賛成するような閣僚は、やはり即刻辞任すべきだ。手続きは辞表を出せばいいのではないですか。」と言われました。扇さんは「不信任案に賛成するような派閥から出ている大臣は」と言ったわけですが、宮沢さんは「内閣に対する不信任案に賛成するような閣僚は」と言ったわけです。その後古川官房副長官から、手続きは辞表を出せばいいので、臨時閣議をそのために開く必要はないという話がありました。これに関連して河野外務大臣その他から、特に今大事なのは本臨時国会の目的である補正予算の成立であるし、また医療関係の法律、それから中小企業への融資の保証に関する法律とか、船舶検査法とか、色々と重要な法案があるからやはりそういう法律案の成立も含めて重要案件を成立させるということが今国会の大きな目的であるから、今ここで不信任案を即刻提出するというようなことはいかがかと、こういうような発言がございました。そういう一幕がございました。

  

質疑応答】

 問:政局が今の時点でもどういう決着になるのかが見えにくい状況ですが、こういう政局の混乱、アメリカも同じく混乱していますが、政局の混乱が株価に与える影響を大臣はどのように見ておられますか。株価は昨日も今年最安値近辺で低迷しておりまして、金融機関の経営に与える影響は非常に大きいと思うのですが、株価の低迷が続いていること等々と政局の混迷の影響をどのように見ておられますか。
 

員長:そういう質問をされるのは、何らかの関係があるとお考えだから聞くのでしょうが、アメリカの大統領が、投票が終わってから約10日経って決まらないという状態、これは明かに政局としては不安定な状態にある。日本の場合も、不信任案を上程するとか、或いはその賛否がどうなるか。しかも与党或いは自民党の中から賛成ないし棄権者が出るということを心配されている状態では、株価に良い影響を与えるわけがなく、悪い影響を当然与えていると思います。ただ、これは主として政局絡みの話なので、経済の実態がそれによってすぐ影響を受けるものではないと思いますから、アメリカにしても日本にしても、この問題に決着が付けばその影響によるところの株価の下落というのは、必ず回復をすると思っております。

 

 問:株価の下落が金融機関に与える影響なのですが、大手行の株式の含み益はこの半年間で4兆から5兆円減ったと言われています。金融機関の経営の安定性への影響についてのご懸念等はおありでしょうか。
 

員長:当然BIS基準においても、資本に株式の含み益は参入されることになっておりますし、ソルベンシーマージン比率の算出においても分子に計上されていますから、そういった点で株価の下落が金融機関に与える影響は決して少なくない、大きいものがあると思います。それがまた、銀行で言えば貸し出しに影響してきますし、それが一般企業に対しても影響してくるということであります。やはり株価の下落は含み益の減少ないしは含み損の拡大という形で、金融機関または金融機関を通じて一般の経済界に大きな影響を与えると思います。ですから、私は、再三申し上げておりますが、株価または地価の回復に向けての政策は、思い切ったことを展開していかなければならないと思っております。
 その為にはどうすれば良いかということについては、色々議論があると思いますが、その気になれば、方策というのは当然考えられるわけですし、その努力はしていかなければならないと思います。その一例としては、株の譲渡益課税の問題です。それから、やはり金融の量的な問題とも当然関係がありますから、やはり量的緩和については、年末の年越し資金という問題もありますが、思い切った量的緩和を日銀は考えていかなければならないと思っております。現に昨年、Y2K問題があって、企業が手元資金を増やしておく必要があったということもあり、相当資金が出ている。使われたというより資金が出ていたと、滞留していたのかもしれません。そのことは確かに株価にも良い影響を与えておりましたし、株価が上昇することを通じて経済の明るさも感ずるようになったわけですから、私はやはりこの段階では、それも非常に大きな問題だと思っております。再三申し上げますが、財政が果たす役割というのは、昔よりも小さくなっているし、それからこれ以上借金して財政規模を膨らませていく点についても自ずから限界があると思っています。一方財政再建という議論もありますから、ここは一つ金融の面でも思い切った緩和を是非考えてもらいたいと思っております。

  

 問:ペイオフの1年前が相当近づいてきて、民間金融機関の方で色々とペイオフ対策の商品を開発したり、1000万円超の部分を預金保険でカバーされない部分について保証し合ったりとか色々な動きが出ていますが、こういう動きについてどのように考えておられますか。
 

員長:1000万円超の資金が動くということは、今始まったことではなく、去年もペイオフの議論をしている頃には、既にそういうことは言われていたし、行われていたことです。それは銀行から資金が逃げてしまうということでなければ、即ち、銀行間の移動、AからBに持っていくけれど、BからAにも移るということであれば、1000万円超の資金が動いても、その点で直ちにどうという影響は出ないと思っています。ただ、銀行に対して絶対的な安心感を持っていて下されば良いのですが、まだ「ペイオフ、ペイオフ」と言うと、破綻する金融機関に対する問題だということを必ずしも十分に認識されておらず、「もうペイオフが始まったらみんなそうなんだ」と誤解している向きもありますから、私は「それはそうではない」ということを良く認識してもらうことが大事だと思っています。仮に、預金者が安全を考えて資金を移動しても、相対として他に金が流れることがなければ、別に心配はいらないのではないかと思っております。例えば、それが株式市場にでも流入して、株価を上げてくれればそれはそれで結構だと思いますが。今ペイオフの期間が再来年の3月に迫ってきていることを以って、直ちにそれが色々な不安の原因になるとは思っていません。

  

 問:政局ですが、来週早々にも不信任案が提出される見込みですが、提出された場合、大臣ご自身はどのような行動を取られるでしょうか。
 

員長:私は不信任案には反対です。我が派は、ささやかなグループですが、昨日も例会を行いましたし、一昨日は臨時総会を行ってとにかく一致して「不信任案に対しては反対」ということを確認しておりますから、私も勿論反対票を投じます。

  

 問:先程の扇さんの発言に関連しますが、自民党の中で、賛成ではなくても欠席も含めて、反党的な行為だという声もあります。そういった意味で、賛成と言わずとも、欠席という行為を取った派閥の閣僚について、大臣のお考えは如何でしょうか。
 

員長:私は、森首相に対する不信任案の上程に対して、それに賛成する人、或いは欠席も含めて、欠席ということは賛成ではないということで森首相に対して少なくとも信任はしないという人が森内閣の閣僚であることは、おかしいことだと思うので、そういう人は即刻辞任すべきだと思います。

  

 問:「森総理ではやはり持たない」「選挙も戦えない」というような声も上がっていますが、それについてはどのようにお感じでしょうか。
 

員長:私共はそう思ってはいません。そういうことをお書きになればなるほど、そう思う人が増えてくるのではないかという気がしています。色々な発言をなさって、点数は落としたかもしれませんが、今森さんを辞めさせてどういうメリットがあるか、私には良く分かりません。いずれにしても、今すぐ森内閣をどうこうということについて、私は賛成はしません。

  

 問:各社報道機関の世論調査で、支持率が低いことについての大臣のご所見は如何でしょうか。
 

員長:森内閣が発足した時の支持率は、確か40%なかったと思います。歴代の内閣でも20%前後でうろうろしたことが無いわけではありません。小渕さんの時もやはりその位の低空飛行をしたこともあります。支持率だけが世論の全てだとは思いませんし、支持率が下がる原因には色々あると思うのです。だからすぐ政権は交代しなければならないということにはならないと思っております。

  

 問:前回の閣議後会見では、加藤さんのグループと主流派の話し合いで、党内で何とか調整をというようなことを仰っていましたけれども、実際そういう話し合いによる解決は出来そうな状況なのでしょうか。
 

員長:政治の世界は、なかなかどういうふうに展開するかが読めないところがあります。ですから「今こうだから、それでいくだろう」とは必ずしもならない。抽象的なことを申し上げるようですが。しかし世論の大勢では、こうなっては不信任案を提出するなら受けて立つという考え方の方が強いのではないでしょうか。少なくとも党の執行部はそういう考え方で固まりつつあると思っております。ただ、現実に提出されているわけでもないし、早くても20日ということですから、その間において、また話し合いがどのように展開するかそれは予測がつかないところもあると思います。

(以上)


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